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隔世異伝・転生記~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
女子高生蛇神討伐編~黄金の瞳編~
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唯我蓮華~ノアの方舟~


捲簾はサラと沙悟浄を連れて逃亡生活を送っていた。


そんな時、謎の河童が現れた。



私は捲簾。

神から河童に転生した男。

妻子と海外に出航するため逃亡中の私達の前に河童達が先回りして道を塞いでいた。


私は数々の刺客を倒していたが、覆面を被った刺客が突然仲間の河童達を全滅させたのだ。

仲間割れ?違う。

その者は河童ではない。


私の目の前で河童の姿が消えていき仙人の姿へと変わると、私に向かって喋りかけて来た。

「お前からは不思議と私と似た力を感じて興味を持った。私とともに来い!」

「やぶからぼうに何を言うかと思えばさっぱり意味が分かりません。私は妻と子を連れて旅行の途中だったのですよ?邪魔は止してくれませんか?」

「私は命令しているのだぞ?お前に拒否権はないし、拒否するのであればお前の妻と子は今死ぬ」

その言葉に私は怒りを見せる。

「私の妻子に手を出すのであれば容赦はしません」

私は飛び上がると掌に水球を作り上げ投げ付けると弾丸のように敵の四肢を貫通させた。

「殺しはしません。けれど邪魔出来ないようにさせてもらいましたよ」

しかしその者の傷が全て消えていた。

躱されたのか?

それとも幻覚だったのか?

そんなはずはなかった。

私は手に水術の剣を作り上げて接近戦を始める。


しかしどんなに斬っても斬ってもきりがない?

これは冗談で言ってはいませんよ?


まるで斬った事が嘘だったかのように思える。

確かに斬った感触は残っている。

が、しかし敵は平然としていた。

「私は不死。何者も殺せはしない。お前は私の役に立つ。その素質があると見た」

「私を買い被るのは止して欲しい。私はただの河童。それ以上でもそれ以下でもない。だから諦めて消えなさい!」

「ふぅ〜。私は全てを見透せる。お前も来たのであろう?あの神と妖怪が跋扈する並行世界から!」

「!!」

私は驚愕した。

私以外に私の知る世界を知る者がいただなんて。

しかも何故?私の過去を知る?

「お前は一体、何者だ?」

私の問いにその者は名乗った。


「私の名は果心居士。私は再びあの世界に戻り、神も妖怪も全て消し去るつもりだ」


間違いない。

この果心居士と名乗る男は私のいた世界から来たのだと。

「あの世界に本当に戻れるのか?」

「当然だ!私は必ず戻る必要があるからな」

私は警戒しつつサラと沙悟浄を一度見てから答える。

「私の妻子には手を出すな!もし手を出さなければお前に力を貸そう。私にはそれが出来るのでしょ?果心居士さん」

すると果心居士はニヤリと笑い答えた。

「良かろう。お前の力を借りよう」

そして私はこの謎の仙術師に力を貸す事にした。


私は暫くサラと沙悟浄を日本に残し、果心居士と共に中国へと渡ったのだ。

二人を連れて行けなかったのは私達が向かう先が余りにも危険で容易くなかった事が理由。

それから私と果心居士は中国に渡った後、

目的の場所に着く。

私と果心居士は中国の砂漠の中に隠されていた遺跡の前にいた。

「この遺跡は私達が知る世界にもあったものだ」

「それはどう言う?」

果心居士は知り得た事を私に告げた。

私達が今いる世界は私達のいた世界とは別の並行世界なのだと言う。

それは知っていた。

並行世界では歴史が異なる。

この時代には私達がいた歴史は存在しない。

しかしあちらの世界に存在した建物や遺跡といった類似する物が存在し、私達が辿り着いたこの遺跡もその一つだと言う。

「で?この遺跡には何があるのですか?」

「うむ。私も初めてこの遺跡に来た時には驚いた。何せこの遺跡には刻まれていたのだからな」

「何が?」

「説明するよりも見た方が早い」

そう言って遺跡の中へと入り、隠し通路から地下深くにまで潜る。

「一体何処まで続くのですか?あんまり深いと私の頭のお皿が渇いてしまいますよ?」

「着いたぞ!」

「!!」

そこは石板が並んだ部屋だった。

そして石板には刻まれた文字があり、その内容に私は自分の目を疑ったのだ。

「これは一体?いや、誰がこの遺跡を!?」

石板に刻まれた文字は私の読める文字。

しかも仙界文字だった。

驚くはその内容。

刻まれていたのは歴史?

否!予言書のようだった。

一番古いので仙界大戦、封神大戦と呼ばれる戦争からだった。

それから美猴王の天界大戦。

遮那の事まで書かれていた。

そして世界を渦巻く蛇神の襲来。

「こ、これは?」

驚きの他に何も言えない。

「理由は知らないが、この遺跡は私達がいた世界から何らかの手段で流れ着いた放流物なのだろう」

私はそれで理解した。

この遺跡を使えば私達は元の世界へ行けるかもしれないと言う事を。

「私は時空間転移の装置だと思っている。つまりノアの方舟だよ」

「ノアの方舟?」

ノアの方舟とは世界滅亡の時に並行世界へと渡るための舟なのだと聞いた。

「かつて神、その神はお前たちの知る神とは異なった神の事だが、世界救済措置として生き延びる価値のある者に力を与えて別の世界へと渡れるように与えたのだ」

「やけに詳しいですね?」

「ふふふ。私の血が教えてくれたのだよ。かつて神に生き延びる価値のある唯一の人間として選ばれた者の名はノアと言った。そのノアには特殊な能力があってな?時を渡り、並行世界を渡る力を持っていた。そしてそのノアの血を引き継いだ一族はノアの一族と呼ばれ、その能力をも受け継いだ」

「まさか?」

「その通りだよ。私はノアの末裔。つまりこの方舟を使える唯一の血筋なのだ!」

驚く事ばかりだった。

しかし話が本当なら果心居士の能力のカラクリも理解出来る。私の攻撃が効かなかったのは殺される前に別の安全な選択肢のある並行世界に渡り私の攻撃を無かった事にしていたのだ。

「間違いなさそうですね」

果心居士の能力と遺跡さえあれば元の世界に渡れる。

その為にこの遺跡を調べ、並行世界へと移動出来るようにする必要があった。

聞けば果心居士の能力は未来に飛べても過去には戻れないと言う。

戻るためには大量のエネルギーが必要で、そのエネルギーを方舟を使い補うのだと。


そして月日が経つ。


私と果心居士の知識をもってしても遺跡を調べ尽くす事は難易だった。

「それにしてもこの遺跡を造った者は何者なのだ?神?それとも?」

「この遺跡は仙界大戦時に現れた何者かによって造り上げられたと記されているようだぞ?」

「私は天界に住んでいたがそのような話は聞かされてはいなかった」

神、しかも観音菩薩として天界から地上界にまで目を届かせ把握していたつもりでいたのに。

一体、何者が?

恐らく私と同等、或いはそれ以上の神により隠蔽工作されたに違いない。

何のために?

時を操り支配しようとした者が天界に存在していたと言うのか?

しかし今は私達にとって必要なのだ。

私と果心居士の持つ知識は通常数百年かかる解析を一つ一つ進めていた。



その時、サラと沙悟浄の身に危機的状況が迫っているとは知らずに・・・



ここは日本国。

全河童連合中央本部の棟梁、河童水王。

現世での私の父親でもある。

そして東西南北を総べる大河童将軍が四名。

さらに湖から這い出して来る河童兵達。

二千を超える河童達は動き出していた。


「我が愚息を始末する。良いか?あの愚息は河童一族を破滅に及ぼす危険分子。そのために妻子を捕らえ生贄にするのだ!」


雄叫びをあげる河童達はもう誰にも止められない。


そして私の運命の決断の日が迫りつつあった。

次回予告


果心居士の登場に中国遺跡。


かつての物語の伏線となる。


※ 果心居士 「女子高生救世主編!」の21話から登場しています。

※ 中国遺跡 「女子高生冒険編!」・「神を導きし救世主」に現れています。

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