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隔世異伝・転生記~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
女子高生蛇神討伐編~黄金の瞳編~
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世界の終わりを宣言する救世観世音菩薩!

法子の快進撃が始まろうとしていた。


しかしそう簡単ではない事は知っている。


私は法子

私は今、鉄扇ちゃんと戦っている。

女妖怪のボスと名高い鉄扇ちゃんを相手に出来ているのは特殊な新生神具のおかげ。

標識みたいな止まれの表示と矢印の表示を使い分ける事で能力が違い、止まれは一時的に動きを止める事が出来て、矢印は軌道を変える事が出来るの。

何より振り回して撲打する破壊力に、止まれ看板の赤く染まった逆三角は鋭利な刃でもある。

まさに攻防優れた私専用武器なのよ〜



その同時刻、遠く離れた地では太公望さんがこの結界に閉ざされた延命国内部に千里眼を飛ばして覗き見る事に成功したばかりだったの。そこで私が創り出した宝貝を見て信じられない様子で見ていた。


「信じられん。創始の枝を持って行ったは良いが宝貝の武器を創り上げるには専門の仙人でも時間をかけて数年から数十年はかかる。しかも法子さんが持って行ったのは中でも特殊で、創造し完成するに数百年は時が必要だと言うのに。どうやってあの一瞬で創り出したと言うのだ?しかもあの特殊能力は理を無視しておる!言魂に似た強制力が働いているのだろうか?本当に興味深い娘だ」


と、私の秘めた才能を褒めちぎる太公望さんの事は置いておいて〜

私は止まれの標識に似た「如意神向」って武器を使って鉄扇ちゃんと渡り合う。

正直、私も驚くくらいだわ。

この私の天才的成長を褒めて褒めて〜

チヤホヤしてくれたらもっと頑張れるかも!


私の如意神向と鉄扇ちゃんの大鉄扇が衝突しながら戦う中で、吹き荒れる突風も鵺の力を借りた雷の軌道を変えて防御しながら私は集中力を途切れさせないように高める。

だって集中力が少しでも欠ければ私一瞬で負けちゃいそうなんだも〜ん!

けど私だって今まで何度と死線を潜り抜けて来た。

だから分かるの。


(彼女、私を殺す気ないわ・・・)


もし本気なら今ごろ私、死んでるわ。

だから甘えさせてもらい隙を突く!

正直、捲簾覇蛇を倒すに至り私達にとっての一番の難関が鉄扇ちゃんだった。

敵に回ったナタクや恵岸行者さん、二郎真君さんを相手に戦う事は出来ても、八怪は女性である鉄扇ちゃんには手を出せない。だから私と白骨乙女さんが鉄扇ちゃんを食い止めて置かなきゃいけなかった。

実際は二郎真君さんと恵岸行者さんが味方側になっているとは思わなかったけれど。

嬉しい誤算だわ〜



そしてちょうど今、八怪は迷いなく捲簾覇蛇と戦うために向かっている。

迷いなくは間違いね?

八怪は私に今まで見せた事ない険しく真面目な顔で言ったの。

「法子はん。オラに任せて欲しいら。あの捲簾覇蛇の姿の捲簾はオラにとって法子はんと同じくらい大切な友なんら。だから」

その言葉には重みと強さがあった。

だから私は条件付きだ託したの。

「沙悟浄を助けて、お願い」

八怪は頭を掻きながら答えた。

「無茶振りらけど、当然そのつもりら!」

正直、元に戻す手段は分からないまま。


そんな時、私達から話を聞いていた白骨乙女さんの彼氏?今は旦那さん?

その錬体魔王さんが解決策を提示してくれたの。


「もしかしたら何とかなるかもしれん」


錬体魔王さんは今では良い人ぽく思えるけれど昔は大悪党だったようなの。人間を鬼人に変える人体実験や太古の恐竜の化石から妖恐なる化け物を生み出したマッドサイエンティストの錬金術師だった。

捲簾覇蛇の本体だった蝕王覇蛇の能力は自分を殺した相手の肉体を器として自らの魂を寄生させ乗っ取る事が出来る。一度寄生されたなら元の器の魂は元に戻れない。


「なるほど。何とかなるかもしれない」

「えっ?嘘?本当に?」

「まだ確実とは言えないが、その蛇神の能力は今の私の状況と同質だと思われる」

「んんん?」


錬体魔王さんは大昔、孫悟空の転生前の美猴王に倒されて一度は命を落としたらしいの。けれどその魂は妖恐ティラノって化け物と同化して一つとなった。

「あの時は無我夢中で自分でも訳わからないまま感情のままに妖恐と一つとなっていた。私の死への恐怖と未練、怒りに憎しみ、そして悲しみといった様々な感情が私の魂を別の器に移していた」

すると錬体魔王さんは自らの胸を触り、

「今でこそ私の意思がこの器を支配しているが、妖恐ティラノの魂も消えずに残っている。残っているからこそ妖恐の力を失われずにいるのだよ」

つまり何?

同じ器に魂が二つあって、主となる魂の方が支配している状態だって事なのよね?

「しかしもし私と同じなら魂を保管しているのではなく融合していると言った方が良いかもしれない。だから私はティラノの記憶や力の使い方を自分のモノのように扱えるのだよ」

「えっ?つまりつまり?」

「融合して一つとなっている以上、引っ剥がす事は本来出来ない」

「出来ないの?何よ!期待させて!馬鹿!」

「馬鹿?この私が?この私の話を聞いてなかったのか?私は言ったぞ?本来ほ・ん・ら・いと!」

「!!」

私は八怪と顔を見合わせる。

「なら沙悟浄を取り返せるのね?」

その問いに錬体魔王さんは頷いてくれた。


諦めなきゃ何とかなる!

繋がった縁は意味がある!

私は希望を掴めると信じてるから!


けれど絶望的な状況が起きている事を私は知らなかったの。

別の戦場で傷付き血だらけで倒れている者がいた。


じ、二郎真君さん!?

な、何が起きたと言うの?

二郎真君さんは楊善さんの力と共に捲簾覇蛇を追い詰めていたはず?

それが何故?


すると勝利した捲簾覇蛇は勝ち誇っていた。

しかもその開かれた瞼の奥に光り輝く瞳は、あり得ない事に金色に輝いていたの!

「ふふはははは!ついに覚醒したぞ!この蛇神の天敵であった救世の魔眼の力を完全に我が物としたぞ!あはははははは!」

二郎真君さんに追い詰められたその時、その極限状態の中で本能的に呼び起こした。

そして目の前に迫る二郎真君さんに向かって金色のオーラが爆発的に解放され吹き飛ばしたの。

捲簾覇蛇は幾度とこの金色の魔眼の覚醒を記憶の中から読み取り試みたけれど、駄目だった。

しかし覇王の封印の時、その力は一度は目覚めていたの。

「この私が扱えない力ではないようだな」

その力は覇王をも封じ込めるほどの能力だった。

だから欲した。

この金色の力は感情で魂が揺さぶられた時に覚醒する。

そして今、ついに究極の力を我が物にしたの。

捲簾覇蛇は天を指さすと高々に宣言したの。


「今より我が名は救世観世音菩薩として世界を掌握して差し上げましょう」


その宣言が響き渡った時、


「それはオラが握り返してやるらぁー!」


そこについに八怪が救世観世音に向かって突っ込んで来たの。

天界での因縁の戦いが再び地上で再び起ころうとしていた。


そんなこんな。

次回予告


救世観世音菩薩となった捲簾覇蛇に八怪の因縁。


世界はどうなるのか?

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