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隔世異伝・転生記~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
女子高生蛇神討伐編~黄金の瞳編~
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覇王と覇王!

軍駝覇蛇と金吒が一つとなり現れたのは、


軍荼利明王と呼ばれる蛇神の覇王であった。


世界を滅ぼす覇王。

何者をも凌駕するその脅威。

その覇王に今、難敵が現れる。

その者は言った。


「かつて世界を滅ぼした覇王だった者」


覇王と元覇王。

三只眼に八本の腕。

その身に鮮血の蛇のオーラが纏われている異形。

そしてまさかの覇王同士の戦いが繰り広げられていた。

しかしこの元覇王・軍茶利明王とは一体?


それは軍駝覇蛇であり金吒でもあり、その両者の前世の姿であった。

そもそもソレは何を意味する?

だが、さらに意味深な言葉を告げた。


「現覇王よ!お前とは一度ならず二度までも不完全な状態で敗れ去った。その借りを今ここで変えさせて貰おう」

「二度だと?この俺と交えただと?悪いが記憶にねぇな?お前ほどの喰いごたえある猛者は一度見れば忘れないはずだが?後な、お互い覇王であるなら俺の事は那我羅と呼ぶが良べよ?」

「そうか、なら思い出させてやろう!那我羅!」


互いの闘気が重くのしかかり、蛇気の障気が蛇神城を揺るがして広がっていく。この荒々しい気を直接受けたものなら蛇神とて窒息し息悶て消滅する。

「あのような者、私の未来予言には一切出ては来なかったはず?何者なの!」

吹き荒れる蛇気の中心にいられるのは白蛇の巫女と、牛角覇蛇くらいであった。

「あの蛇神は魔神国の連中の姿に近いな?」

「しかし奴は軍駝覇蛇だったはず?それが何故あのような異形の姿になる?そもそもあの者は人間が覇王様の血で蛇神化したに過ぎないはず?本当に何者なのだ!」

直後、覇王那我羅と軍茶利明王は互いに渾身の力を込めた剣を振り下ろし衝突した。

衝撃は閃光となり空間が歪み二人は飲み込まれる。

そして視界が戻り那我羅は周りを見回す。

自分の身体は宙に浮いているような感覚。

上下左右の感覚が定かでなかった。


「異空間?応龍と戦った時と同じか?」


すると目の前に見上げる程の魔神が見下ろしていた。

その姿は間違いなく軍茶利明王であった。


「お前は何者だか知らないが、確かにこの俺と似た力を感じるぞ?強さ以外興味は無かったが、お前が何者なのか興味出て来た!この俺に話せ!」


すると那我羅の視界に世界が浮かぶ?

それは業火に燃え盛る都市であった。

しかも自分の知る世界とは異質な建物が聳え立ち。

大地が揺れて地割れの中に崩れ落ちる。

空は真っ赤に燃え上がり、荒れ狂う爆風が幾つもの竜巻をおこす。

まさに世界の終わりであった。


その中心に軍茶利明王はいた。


軍茶利明王は無限の力を暴走させ世界を飲み込み、そして自分諸共世界は無に消えた。

「お、俺は、こんな事をするつもりは・・・なかったのに・・・」

無に存在が消えかける中で軍茶利明王は自我が戻り

涙を流す。

しかしもう全てが手遅れだった。

「!!」

しかし奇跡は起きた。

何も存在しない無の世界に四つの意思が光となって肉体を失った軍茶利明王を囲む。

そして告げたのだ。


「その後悔を力に変えて運命に抗う気はあるか?我らと共に!」

「お、お前達は何者だ?俺にどうしろと?」


光の意思は答える。

自分達も一度は世界を滅ぼした罪神。

その罪を償うために運命に抗うために共に戦う同士を集めていると。

「まだ、やり直せると言うのか?俺は?」

すると軍茶利明王は光の意思となって、他の四つの光と共に無の世界に開く穴の中へ消えた。



時は変わる。

その世界では西暦の2000年。

世界は滅びると予言されし終末の時。

しかし人類は神の転生者と共に抗っていた。

その指揮をしていたのが卑弥呼一族の子孫。

救世主の力を持ち、その地球の魔眼と呼ばれる力で禁忌を犯したのである。

世界は時の空間で世界を封じ込め、世界を滅ぼすために出現した翼神の襲来に対して犯したのは時繋ぎの力だった。失った世界から強力な助っ人を召喚させたのである。

そこに現れたのが五体の明王と呼ばれる光神。


激しい戦いは人類の勝利で終わった。

しかし撃退した事は出来たが、再び世界は滅びの時を迎える。

そのために新たな救世主が現れたのだ。

しかしその者は卑弥呼一族からではなかった。

新たな救世主は明王と呼ばれる光神をその身に宿し、

同じく明王をその身に宿した運命の仲間達と共に世界の救済者となった。


しかし神の力が通用しない魔物の襲来に五人の戦士達は次々と命を落とし、

残された男は死んだ仲間達の宿す明王の魂を全て受け止める。

その中に軍茶利明王の魂も存在していたのだ。


そして真の救世主となった男はある願いを叶えるために時を越えて、この人間世界に妖怪が跋扈し神々が統治する世界へと出現したのである。


そこで新たな世界を滅ぼす覇王が誕生した。

それが那我羅であった。


覇王生誕祭

そこで軍茶利明王の力を宿した救世主と覇王那我羅は相対し死闘を演じていた。

その死闘で那我羅は覇王の力を使い果たし眠りにつく事になった。


「そうか、あの男の中にいた力の権化が貴様か!」


那我羅は武者震いをする。

念願だった猛者との再戦。

しかし救世主の男は既に現世に存在していなかった。

そこで器であり主人であった男を失った明王と呼ばれし五体の光神達は存在が維持出来なくなっていた。魂の存在であった光神達は存在が消える前に決断したのだ。


「我々はこの世界に転生する」


しかし転生には本来変えられないルールがある。

転生とは本来魂と記憶を残せない。

何者になるか、また時間軸も分からない。


それでも明王達はこの世界に散った。

しかし別世界の魂であった彼等の転生は定着が困難な上に同じ時代に生まれ変われるかすら不明だった。それでも軍茶利明王は現世の肉体へと転生を試みた時、何か強い力に魂を引き裂かれたかのようになって意識が消えていった。


そして軍茶利明王の魂は天界の武神の金吒として生まれ変わったのだ。

が、それとは別に遅れて人間界で螺旋と呼ばれる人間の退魔師として生まれ変わっていた。

同じ世界軸に二人の同じ魂を持つ存在が現れたのだ。

残念だが金吒の記憶に前世の記憶は残ってはいなかったが、螺旋の方は人として死んだ後に蛇神として再び蘇った時に軍茶利明王の記憶が一緒に残っていたのである。


軍駝覇蛇となった螺旋は前世の記憶を持ちつつ、瞑想の中で覇王を討つべく唯一の策が自分自身の覚醒、つまり軍茶利明王への転生変化が不可欠だと悟る。


覇王を倒すには覇王で制するのみ。

しかしその為には己の半身である金吒と魂の融合が不可欠である事。もし金吒金が拒めば全てが終わる。

また軍駝覇蛇と金吒の記憶は残ってはいても、軍茶利明王として復活すれば魂の主導権は失い自分達ではない別の存在となる。


「世界がどうこうなろうが俺には関係ない。しかしそれでも俺の命で巫女との約束を果たせられるなら俺が未来を残してやる!」


その思いに金吒も同意した。


「私が釈迦様から与えられた役目は弟達に繋げた。後のことは信頼出来る弟達に託そう。その為にも今あるこの世界が滅びる事だけは避けねばならぬ!」


そして軍駝覇蛇と金吒は一つとなり、軍茶利明王として蘇ったのである。


「ふふふ。その覚悟の末、この俺を楽しませる相手を作り出してくれた事は嬉しく思うぞ!初めてお前を見た時に感じた魂揺さぶられる感覚は、お前の中に眠る俺と同じ覇王の魂が理由だったのだな!」

「お前は強き猛者と戦いたがっていたようだが、真の覇王たる俺の前で後悔させてやろう」


互いの力は拮抗していた。互いに振り払われる剣の衝撃は異空間を幾度となく震わせ亀裂を作り出し、その余波は現実世界に突然の嵐を巻き起こしていた。もし両者が異空間で戦っていなければ、地上での被害は尋常でなく天変地異を起こしていたに違いない。


「胸踊るぞ!血が騒ぐ!この俺をここまで楽しませるかぁー!」


那我羅も全身に受けた斬り傷が増えて血が噴き出しながらも攻撃の手を止めなかった。

しかしそれは軍茶利明王とて同じ。

死力を尽くした殺し合い。

互いの剣には蛇神殺しの能力が流し込まれ傷は再生もままならないでいた。

そしてお互いの剣が両者の胸を貫く!

「がはっ!」

吐血しようとその一撃には互いの意地が籠められる。

我が身滅びようとも今、目の前の敵を倒す事。

勝つ事に籠めた一撃。

起き上がる度に激しさを増す両者。


しかしその手段がお互いの命運を分けた。


「こみ上がる!湧き上がる!胸踊る!」


那我羅はかつて戦った救世主ぶりの戦いに興奮していた。あの応龍ですらこれほどの命の駆け引きは出来なかったと言うのに。

しかしこの状況で軍茶利明王は那我羅を倒すための奥の手を隠し持っていた。しかしそれは世界を滅ぼしかねない危険を持っていたのである。何故なら、この力を使いかつて世界を滅ぼしてしまったのだから。

だからこそ現世の世界での被害を最小限にするために那我羅との戦場を異空間へと呼び込んでいた。

「頃合いだな」

軍茶利明王は突如攻撃の手を止めて後方へと飛び退くと、印を結び気を高める。

「開かれよ!無限のチャクラ」

額の第三の目が輝くと体内の気が全身を廻る。

しかもその廻り方は尋常ではなかった。

激しい磁場が発生しその中心に穴が開いていく。

その穴はまるで?

「俺のなかに小宇宙、銀河を生み出す!」

ブラックホール!

「ウォおおおおおおお!」

軍茶利明王の身体から二匹の赤い蛇が伸びて来て那我羅の身体に絡みつき拘束する。

そして軍茶利明王も那我羅の間合いに入り抱きつく。

「クッ!キサマ!まさか!」

「その通りだ!お前を道連れに出来れば俺の勝ちだ!お前は俺共々永久の無に消えるのだ!」

それはまさかの相討ち狙いだとは。

更に軍茶利明王の力は無限の力の解放で那我羅共々自爆し塵となって消える。

「共に消えよぉー!」

「謀ったなぁー!おのれぇー!」

那我羅の力を持ってしても逃れる事が出来なかった。無の力は球状に膨らみつつ二人の覇王を飲み込み、那我羅の視界が完全に消えて身体が分解するかのように塵と化していく事が分かる。

「俺を終わらすのに、道連れなど決して許さん!俺を倒すなら完膚なきまでに倒してみせよ!俺は!このような勝負は決して認めんぞぉー!」

那我羅にとって死闘の末に敗北して殺されるなら納得は出来る。しかし共倒れの道連れは武として生きて来た者として誇りが許さなかったのである。

その怒りは滅びゆく肉体も構わずに魂の力が覇王覚醒にも似た力を呼び起こしてしまった。


「ぐぉおおおおおおおおおお!」


胸に宿るエデンの力。

真蛇始祖の最高神であり、覇王の力の源。

滅び失われていた肉体が再生していき、開かれた指先が空間を掴み掌握した直後、現世の空間に亀裂が入る。そして指先から腕、頭から徐々に抜け出して来たのだ。

「逃しはせん!」

そんな那我羅を引き戻そうとする軍茶利明王に向かって那我羅は見下ろしていた。

「もうお前には興味はない!」

全身が抜け出ると同時に掌に向かって剣が出現した。

その剣は覇王の剣ではなく、あの龍神界から手に入れていた聖魔の剣と呼ばれる神剣。

「消え失せよぉー!」

その斬撃は空間事、まだ抜け出してない軍茶利明王を斬り裂き、無の世界を内部から破壊したのだ!


覇王・那我羅は一人蛇神城に立ち残っていた。

そこに白蛇の巫女と牛帝覇蛇が姿を現す。

「覇王様。ついに真の覚醒を成し遂げられました」

命懸けで戦った軍茶利明王は無駄死にどころか、覇王・那我羅を更に恐るべき覚醒をさせてしまった。


が、消え逝く軍茶利明王は最期に笑みを見せていた。

この戦いで道連れに出来れば本望。


しかし真の目的はもう一つのこされていた。

それは覇王の・・・


覇王は膝をつき、動かないでいた。

突如、身体が強力な結界で拘束させたのだ。

しかもその結界は蛇神城をも覆うほどの強力な最高結界。

この中には白蛇の巫女や牛帝覇蛇までもが蛇神の力を抑えられ出られなくなったのだ。


それは蛇神城の頭上から見下ろし勝利を確信していた者が笑みを見せていた。

軍駝覇蛇は覇王討伐に共闘している者がいたのである。


その者は唯一の覇蛇の生き残りである・・・


「敢えて漁夫の利を私に譲るとは半信半疑であったが、こうも上手く事が進むとはな」


沙悟浄の身体を手に入れ、その魂の中にいた捲簾大将の姿をした蝕王覇蛇であった。


「この結界は覇王とて脱出は不可能であろう。何故なら今の私の力は天界最高神の力なのだからな。この聖音観音と覇蛇の力を兼ね備えた私の前に蛇神の神とて無力。この私が命尽きるまでこの結界は決して消えやしない。ふはははははは!」


さらに結界から抜け出して来た事で覇王・那我羅も力尽きていたタイミングを狙われたのだ。


軍駝覇蛇の目的それは那我羅の足止め。

そしてこの足止めは意味を持たせる。

まだ集っていない戦士達のための時間に繋げるために。

覇王を倒すべき運命の巫女の末裔である法子の下に、この覇王を倒す仲間達が集まるため。



そして同時刻、法子は八怪と二郎真君と共にもう一つ片付けねばならない問題を解決するために既に動き始めていた。

その目的は、捲簾覇蛇の討伐兼沙悟浄の奪還!


しかしそれは今、封印された覇王を再び世に出す事を意味していた。

次回予告


法子は八怪と二郎真君とともに延命国へと旅立っていた。



※軍荼利明王については、過去作で登場しています。


● 神を導きし救世主 参照  


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