進化が止まらない!?百獣王の覚醒!!
黄龍王の問題は片付いた。
しかしまだテューポーンは残っているぞ!
俺様は孫悟空。
俺様と玉龍は俺様の精神世界で黄龍王の魂に触れて、心を通わせ全てが上手く解決したのだった。
これにて一件落着〜と、話しは終わらない。
まだリアル世界ではテューポーンと百獣王が壮絶なバトルが行われている最中なのだ。
しかし百獣王の奴、本当に馬鹿げた力だ。
百獣王は俺様、蛟龍王に牛角魔王、鵬魔王に阿修羅とは義兄弟の契を交わしている。
しかし阿修羅は異国の魔神族として別格の強さを持っていたのは当然ながら、百獣王は俺様達と同じ世界の出生で妖怪に属するのだが、その強さは別格。
唯一弱点は知能指数が低い馬鹿なだけで、奴がガチに暴れたとしたら俺様では勿論、全員で取り押さえる事が不可能な底無し野郎なのだ。
そしてそれは百獣王が自分以上の相手と戦っている姿を見ていると特に実感する。
戦いながら徐々に学習しつつ数段とパワーアップしている姿を見ると寒気すらするくらいだ。
「ウゴォオオオオ!ガァアア!」
百獣王の攻撃は更に鋭く素速く破壊力を増してテューポーンに襲いかかる。
テューポーンもまた手数を増やして次第に手加減出来なくなっている事に気付く。
「なぁ?何なのだぁ?この妖怪は!!」
確かに戦い始めは力の差は確実にあった。
にも関わらず今は互角に戦っていた。
「長期戦はコイツを更に調子づかせる。一気に叩き付ける!」
二人は拳を連打しながら上昇して行くと、天が轟音を鳴らしていた。
恐らくは二人の衝突の音だろう。
俺様は見上げながら呟く。
「百獣王の奴、また強くなってねぇか?」
「そうだな。奴は昔から規格外だが、正直私でも奴の成長の限界は読めん。本当に敵でなくて良かったと思っているよ」
「そうだな・・・」
俺様は昔、初めて獅駝王(百獣王)を見付けて義兄弟にしようと思い付いたのも、奴を絶対に敵に回したくなんてなかったからであった。
「で、勝てそうか?」
「現在で七対三で負けるな」
「やっぱりか。俺様が加勢したら?」
「足手まといだろうな」
「マジにショック受けるわ!」
けれどそれは俺様も実感していた。
ある程度均衡の取れた仲間同士でないと連携も加勢も邪魔になるし、足を引っ張るのは至極当然。
「だが、いつでも戦闘に入れるよう準備はしとけ」
「はい!」
俺様の言葉に玉龍が頷く。
そして蛟龍王と万聖龍王もそのつもりでいた。
いつ百獣王が倒され、俺様達にテューポーンが襲い掛かって来ても不思議じゃなかったから。
「決着を付けさせてもらおう!」
テューポーンの掌に障気が溜まり、大蛇のオーラが爆発的に噴き出して百獣王に向かって襲いかかる。
「崩蛇の百喰!」
その攻撃は蝕む蛇の障気。
無数の攻撃を受け止める腕が火傷のように熱くなって腐り、身を纏う鎧が粉砕していく。
そして雪崩のように向かって来た蛇の気は百獣王の身体を貫きながら上昇した後、今度は大地に向かって物凄い速度で落下させたのだ。
「そのまま蝕まれながら粉々に散るが良い!」
その時、凄まじい勢いで落下する百獣王に向かって突っ込む者達がいた。
「金剛華王石拳!」
「風龍の斬撃!」
「蛟龍の抜爪!」
「再生負荷の大槍!」
俺様、玉龍、蛟魔王、万聖龍王の四人だ。
俺様達の斬撃は百獣王を貫く障気の蛇を四方向から同時に砕き消滅させた。
そして自由になった百獣王の身体を万聖龍王が抱きかかえて救出した。
「十分休ませて貰ったぜ?今度は俺様達が相手だ!」
しかし見下ろすテューポーンは溜息をつく。
「雑魚が集まった所で私との力の差はどうしようもならんぞ?その獅子の男が死んだ事でお前達の敗北は揺るぎ無い。諦めてその命を私に捧げよ!」
テューポーンから放たれた蛇が鋭い槍のようになって俺様達に降ってかかる。
「ぐぅうううう!」
俺様は玄武の盾で、蛟魔王は応龍の盾で万聖龍王と玉龍を庇いながら守る。
もしこの最強の盾が無ければ確実に俺様達は串刺しになってお陀仏だった。
しかし守っているだけではテューポーンは倒せん!どうしたら?
「やるしかねぇな!」
俺様は降り注ぐ攻撃の中に飛び出す覚悟をする。
しかしその時、俺様の肩は掴まれたのだ?
「お、お前!!」
俺様の肩を掴み振り向いた先にいたのは倒されたはずの百獣王の姿だった。
「アイツ、お、俺俺の獲物だぞ。手を出すんじゃねぇぞ。孫悟空の兄貴よ?俺俺まだやれる!俺俺は絶対に負けないからよ」
そしてフラフラしながら前に出た百獣王はテューポーンの噴き出す蛇のオーラに向かって両掌を差し出してありったけの妖気を放出させた。
ぶつかり合う蛇気と妖気の衝突に俺様達は百獣王の変化に気付く。
あの血走った目を!
「あ〜なったあの馬鹿には誰も止められやしねぇ」
百獣王は所々防御壁を貫いて来た蛇気に身体を傷付けられながらも一歩一歩前進して行く。
「何なんだぁー!この化け物がぁ!何故倒れん?何故死なない?何故抗える?黄龍王ならまだしも、何故こんな下級妖怪が私を追い詰めるのだぁ!」
テューポーンもまた百獣王のしつこさに怯み始める。
「こうなれば出し惜しみはせん。覇王を始末するために残していた奥の手を見せてやる」
テューポーンの蛇気が全て口に集約し始める。
「この私にこの力を使わせた事は褒めてやろう。しかしもう終わりだぁー!」
体内で凝縮した破壊の蛇気。
「覇滅の帝吸吐気管」
※ハメツノテストキカン
吐き出した蛇気を両腕を交差させて受け止める百獣王。
しかしその威力は想像の度を越していた。
「ウゴぉおおおおお!」
受け止めた両腕が侵食され変色し、腐るように飛び散り、そして胸を貫通したのだ!
その一撃に百獣王は転げ落ちるように倒れた。
えっ?嘘だろ?
百獣王から気配が消えていた?
魂の力が感じ取れないだと?
ソレってつまり?
「まさか獅駝の奴が死んだだと・・・」
蛟魔王もその衝撃に自分が発した言葉すら信じられないでいた。
「く、クソぉー!」
俺様は拳を握り振り返ろうとした直後、
「孫悟空さーん!」
「グホぉ!」
テューポーンは俺様の間合いに入って溝に打撃を打ち込んでいた。
更に警戒する間を与えずに蛟魔王、万聖龍王が崩れるように膝を付き倒れる。
俺様達とテューポーンは圧倒的な力の差があった。
「ぼ、僕が!!」
それでも玉龍は負けずに両掌から磁場を起こして重力でテューポーンの動きを止めようとする。
「この程度で止められると思っているのか?同じ始祖を持つ龍神の小童よ?しかしこの程度では一族全て根絶やしにされても仕方あるまいな」
「何ぉおおお!」
玉龍は勝てないと分かっていても諦めなかった。
例え倒されても死ぬまで挑み続けるだろう。
本当に強くなったよ?
「僕は!龍神族の兄さん達の分まで生きる!生きて強くなるんだ!そして僕の分まで今まで戦っていた黄龍のためにも僕は強くなって報いるんだぁー!」
その魂の叫びに俺様達の魂が揺さぶられる。
けれど、同時に足下を伝い震動を感じたのだ。
ドクン!ドクン!ドクン!
徐々に伝わる鼓動は心音?
大地を揺らす程の馬鹿げた心音なんて?
一体、何処から?
けれど俺様達に思い当たる節は一人だけだった。
その場にいた全員が振り向く。
そこには死んだはずの百獣王が痙攣しながら激しく噴き出す気によって宙に浮かび上がる。
まさか心臓が吹っ飛ばされて生きてるのか?
八怪並みの再生力だな。
自分自身の気が凝縮しつつ固形物となって失った臓器を構成していく。
次第に風穴の開いた身体が再生し塞がりつつあったのだ。
しかし何だ?この違和感?
百獣王の身体から発する気からは妖気を感じねぇ?
まるで!
あの神々しい気は神気なのか?
しかも俺様達が知る天界の神連中とは質が違う?
その力を肌身で感じて畏怖していたのはテューポーンだった。
「馬鹿な!?あの獅子の妖怪から発する力は何だ?否、何故だ??何故奴から感じるのだ!あの超神と同じ金色の力を!!ありえぬ!」
すると百獣王の眼差しが眼光強くテューポーンを睨む。
同時に全身から金色のオーラが爆発したのだ!
ま、まさか?まさか!
「あの瞳は金色の魔眼か!?」
蛟魔王に言われて俺様も唾を飲み込む。
幾度か突然現れる金色の魔眼。
それが百獣王にも?
どうなってんだよ〜!
そしてテューポーンもその魔眼に畏怖する。
「き、救世の魔眼だと!?この私の出現にこの世界が救世の使者を送り出して来たと言うのか?」
蛇神と救世主は戦う宿命。
どちらかが生き残るまで戦うための因縁。
「覇王生誕祭にも人間の救世主が出現した。なるほど。つまりお前を始末さえすれば全て終わると言うのか?良いだろう。この私には何の問題もあらん」
テューポーンは全身を百匹の蛇が絡まるような白銀の鎧を纏うと、それが出し惜しみない真の力が解放された。対して百獣王も魔眼から全身に対して金色のオーラが全身を覆っていた。
既にこの場にいる中であの二人の中に入れる者はいなかった。
後は託すしかない!
「俺俺、最強!最強最強ぉおおお!」
自らを奮い立たせる言葉。
今の百獣王は正に無敵状態だった。
「その馬鹿の一つ覚えの騒々しい口を二度と開けなくなるようにしてやろう!」
テューポーンと百獣王は同時に動いた。
脱力するような音もないユラッ〜とした状態から視界から姿が消えたかと思うと二人は中心で衝突していた。遅れて衝突波が俺様達を襲う。
お互いの拳は一撃必殺の刃!
相手の防御も再生能力も意味を持たない。
つまり当たったもん勝ち。
「跡形も残らず消えよ!覇滅の帝吸吐気管」
※ハメツノテストキカン
再び放たれるテューポーンの奥義。
そして百獣王もまた拳に金色のオーラを凝縮して本能任せの必殺技を繰り出したのだ。
「ウグルルル!漲るろぉおおお!」
金色のオーラが形を成していく。
上段から振り下ろす拳はまるで棍棒に見えた。
拳は弧を描きながら口から破壊破を放つより先にテューポーンの額を削るように撲打すると金色の弧の軌跡は弓のように残り、そのまま身を回転して再び殴る型を取ると拳から弧に向かって金の糸が張る。
「金色棍棒弓の拳!」
同時に金色の拳が矢のように射られた。
百獣王の拳はテューポーンの胸元を直撃した。
金色の光が分散しながらテューポーンの身体を崩壊していく。
「うッ、うぎゃああああああ!」
テューポーンは全身の崩壊に断末魔をあげる。
「ばっ、馬鹿な!?この私がお前如きに・・・」
が、その時テューポーンは百獣王の姿に他の別の神の姿を被らせたのだ。
「ま、まさか?オマエは?お前は!!」
それは誰を意味しているのか?
けれど全身の崩壊が止まらないままテューポーンの身体は徐々に塵となっていく。
「ぐぅは!」
しかし百獣王の方も自分自身の力の反動に吹き飛ばされていた。
「大丈夫か!おい!」
俺様は吹き飛ばされた百獣王をガッチリと受け止めたのだ。
俺様は直ぐに蛟魔王と玉龍を呼び寄せる。
二人なら治癒術が得意だったから。
「本当によくやってくれたよ」
珍しく労るように百獣王に治癒を始める。
正直、色々と驚かされはしたが百獣王のおかげでテューポーンを倒す事が出来たのだから。
「へん!本当なら俺様がカッコ良くぶっ倒してやったのによ!チョロいぜ!」
この場にいる全員が安堵した。
安堵したその時、俺様達は突如悪寒が走ったのだ。
えっ!?
振り返ると粉々になったはずのテューポーンの身体が一点に集まって来て再生し始めたのだ。
「そんな馬鹿な!?」
見る見る再生し復活を遂げたテューポーンは息を切らせながら自分の復活に驚きを感じていたのだ。
「ぐぅわははは!とんでもない誤算だ!まさかデルピュネスが下等種如きに倒されるとはな!これは私にとってとんでもない好都合としか言え無いぞ!」
それは別の地の戦場で決着が付いたタイミングだったのだ。
テューポーンは死者の魂を取り込みエネルギーに変える能力を持っていた。だから既にエキドナの魂を取り込み自らの力としていた。しかし百獣王との戦いで瀕死状態になり死を覚悟したその時、新たに自分の魂へと流れ込んで来たのは別の戦場で今この時に死んだばかりのデルピュネの魂だった。
テューポーンはデルピュネの魂を再生のエネルギーに使い復活を遂げたのだ!
「ふふふ。形勢逆転だな?これでお前達は終わりだ!一匹も残さん!」
百獣王は今、全ての力を使い果たし目覚めないでいた。
だったら今戦えるのはもう・・・
「俺様がやるしかねぇだろ?」
俺様は拳を鳴らして戦う準備を始める。
勝てるかって?
正直、勝てるかどうかじゃない。
百獣王の戦いを見て胸が騒ぐんだ!
俺様は今何をしてるんだってな?
昔、魔王として義兄弟達と共に様々な強敵相手と戦って来て、桁違いの相手を目の前にした時には百獣王が代わりに戦い勝ち越して来た。その時、もし俺様が戦っていたら恐らく生きてなかったかもしれない。
最強って言葉を百獣王がよく口にするが、最強目指してるのは俺様も同じだ!
「此処から先は俺様が相手だ!覚悟しやがれぇー!」
本当の決着は俺様が付ける!
次回予告
圧倒的な力の差のあるテューポーンを相手に孫悟空はどう戦うのか?




