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隔世異伝・転生記~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
女子高生蛇神討伐編~黄金の瞳編~
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蛇神の王・テューポーンと龍神の王・黄龍王!

孫悟空の身体が奪われた。


それは龍神の王・黄龍王によってだった。


俺様は孫悟空。

お、俺様はどうなった?

身体の自由が効かないぞ?

俺様の身体を使い、別の強い意思が俺様を魂の中に封じ込めたのだ。

そいつの正体は、龍神界の真の長にして最高神。


黄龍王!


こ、コイツはいつから俺様の中にいた?

すると蛟魔王が中にいる俺様に向かって声に出して説明する。


「孫悟空、悪いな。お前の中には私達の主君である黄魔王が宿っているのだ。全ては私の計略ゆえに」


へっ?はっ?何?

ソレって意味分かんねぇ〜よ!

てか、いつの間に?


それは俺様達が龍神界へと蛟魔王に沙悟浄を人質にされて侵入した時の話だ。

その前に蛟魔王は父親である応龍との間である計画が進行されていた。

龍神界復権のために黄龍王を復活させる。

黄龍王は過去の天界大戦で命を落としたとされている。

けれどそれは肉体の崩壊のため。

自らの力に肉体が耐えられなかったのだ。

そしてやむなく応龍は黄龍王の魂を龍神界に封印し、時が来るのを待った。

時とは、黄龍王の新たな器を見付けるまでの事。


「そして見付けたのがお前、孫悟空の器だ。それでお前達を龍神界に向かわせたのだ」


へっ?ちょっと待てよ〜

勝手にオイ!めちゃオイ!

ふざけんなー!オイ!


俺様には他の連中にない特性があった。

その特性は昔、蛟魔王が気付き俺様に伝えた。

それは俺様は他者の力を魂に納めておける特殊能力者なのだと。

その能力が俺様の魂に本来一体しか契約出来ない聖獣を、しかも最高級の四聖獣を四体も手に入れる事が出来た理由なのだ。さらにもう一つ。

転生した俺様の魂の中に阿修羅の魂が融合していたのも、その能力で阿修羅の魂を残すためだったと。


そこで蛟魔王は目論む。

魂の入れ替え。

空間転移術のエキスパートの蛟魔王は、俺様の魂の中にいた阿修羅の魂を別の肉体に移し、封じられていた黄龍王の魂を俺様の魂の中に封じたのだ。

まさに計略通り。

しかし全て計略通りだったのか?


蛟魔王は今の状況に思い悩んでいた。

「蛟魔王よ、よく我のために尽力を尽くしてくれた。礼を言うぞ?」

「はい。我が主君」

頭を垂れる蛟魔王に黄龍王は冷たい顔をしていた。

「とでも言うと思ったのか?」

「!!」

すると放たれた覇気が蛟魔王を弾き飛ばす。

な、何?何?誰か説明してくれ?

「この我の魂を孫悟空に移し、そのまま目覚めぬように封じたつもりだったようだが甘かったな?」

「クッ!」

そう。蛟魔王は完全に俺様を裏切ってはいなかったのだ。

蛟魔王はこの蛇神族との大戦が始まる事を巫女として予兆していた。

その上で未来の戦いに必要な鍵となり得る者達の姿を知る。

その中には龍神族の戦士ではなく、法子が引き連れた俺様や八怪、沙悟浄。

それに天界の武神の姿。そして阿修羅の姿があった。


「来たる蛇神との大戦に必要なのは竜神の戦士ではなく・・・」


しかし阿修羅は魂の状態で俺様の中にいた。

だからこそ大戦が始まる前に外に出す必要があったのだ。

しかし阿修羅の魂に匹敵する程の魂でなければ均衡は取れずに孫悟空の魂から引き出す事は無理。

そこで畏れ多くも龍神界の神である黄龍王の魂を使ったのだ。

一か八かであったが成功した。

そう思っていたはずなのに?


「この我がお前の魂胆を見抜けぬとでも思っていたのか?応龍の娘よ。お前の計略を知った上で我はこの機会を待っていた。そのために布石を残していたのだ。その半龍の男を使ってな!」

「!!」


それは万聖龍王の事だった。

蛟魔王も出血を流しながら倒れている万聖龍王の姿を見て、その意味を察した。

「ぬ、抜かった。完全に誤算だった・・・」

万聖龍王は人の身で瀕死の状態から龍神の血で助けられた。

しかも並々ならぬ上級の龍神。

黄龍王本人によって。

しかも黄龍王は今日、この日を見越して己の血を浦島と言う人間に預けていたに過ぎない。

その血は再生力に特化し、生き延びさせるため。


「せっかく与えた我の貴重な血を与えたにも関わらず、一度は肉体を失い冷やっとしたが、蛟魔王の腕の中でその気配は感じていた」


そして今、万聖龍王を流れる黄龍王の血に触れた事で俺様の中で眠っていた黄龍王が覚醒したのだ。

この俺様の意識を逆に閉じ込め、器である肉体を奪って!

なんてこったい!?


「蛟魔王よ、お前には後に我を陥れた罪にて罰を与える。覚悟しておくのだな?」


蛟魔王はその場で動けずにいた。

それだけの威圧感があったから。


「だがその前に我が龍神族の民を減らしてくれた蛇神には全て消え去って貰わねば示しがつかんだろう。なぁ?そこの蛇神!」


正直、蛇神だけでなく味方とは言えない新たな強敵が出現してしまった状況だった。

突如現れた黄龍王の存在にテューポーンは驚きを感じていた。


「まさか龍神族にも始祖の血をより濃く持った者が存在していたとはな。面白い。どちみち邪魔な存在。この場にて私が消し去ってやろう」


まさかこんな場所で突然巻き起こる蛇神と龍神の因縁じみた大戦が幕を開こうとしていた。

待て待て!待てぇ〜い!

この俺様はどうなるんだよ?

黄龍王は俺様の身体を使い濃縮な龍気を発して覆われると、その腕を天に向けて指差す。


「龍皇頂上変化唯我独尊!」


全身を覆うオーラが金色に輝く龍へと変わり、黄龍王の身体(実際は俺様の身体だぞ?)に溶け込むと黄金の龍の鎧が纏われたのだ。

直後、この一帯全土が途轍もない重力場になったかのように大地が広範囲に向けて陥没した。

「だ、大丈夫か?玉龍!」

「あ、は、はい!」

蛟魔王は意識のない万聖龍王を庇いつつ玉龍の心配をする。少なくともこの地に今足を踏み入れたりすれば、並大抵の者なら耐えられずに命が消失してもおかしくない。

「息苦しいけれど大丈夫です。それよりあの方が黄龍王様なのですか?僕達が崇拝していた?」

「あぁ、そうだよ」

少なくとも二人にとって黄龍王は味方とは素直に思えなかった。

けれどテューポーンを相手に出来る者は他にいないのも現実でもあった。


黄龍王とテューポーンはお互い無防備にゆっくりと歩み寄り接近していた。どちらも余裕と自信に満ちた行動。息が苦しくなるような緊張感が走る。

そしてお互い防御をしないまま間合いにまで接近したその時、お互いの光速の攻撃が衝突して弾ける度に天地を割くような衝撃が走る。

そしてお互い対峙した所で拳が衝突して止まる!

まるで二人の間に壁があるように、お互いの力が跳ね返り二人の腕を削るようにして弾けた。

血を流す二人は一歩後方に下がると傷付いた腕を見て気を流し込むと、見る見る再生していく。


「我ら蛇神族と枝分かれした種族。枝分かれしたとしても同じ始祖を持つだけの事はある。まさかこの進化した私に手傷を負わせるとはな」

「この我の高潔な血を流させた事は万死にあたいする。覚悟するが良い!」


って、おい?

その高潔な血って俺様の身体だからな?

いつからお前のになったんだよ!

が、俺様がギャーギャー叫んでも何も起きない。

しかも段々と俺様の意識が遠退き始める。

これは蛟魔王が黄龍王を俺様の中に封じ込めるために張った封印が今度は俺様に効いて来ているのか?

もし俺のが意識が消えたら、もう二度と元には戻らないのだ。

って、蛟魔王!お前、恨むからな〜!


黄龍王とテューポーンは互いの覇気をぶつけ合いながら宙へと浮かび上がる。

「この私の力を受けて何処まで耐えられるか見せてみろ。龍神族の王よ!」

テューポーンは掌を向けると蛇気が噴き出し百頭の大蛇が飛び出して来たのだ。

まるで濁流のように黄龍王を覆い隠していく。

「このまま身も心も朽ち果て存在も残さず消えてしまうのだな!」

しかし百頭の大蛇の隙間から金色の光が漏れ出して爆発するかのように百頭の大蛇を蹴散らした。

「この我をどうするって?」

「いつまで思い上がっていられるか楽しみだぞ?受けてみるが良い!私の有り余る力を!」

余裕を見せる黄龍王にテューポーンも両手を組み換え新たに出現させた百頭の大蛇を自在に操作しながら襲い掛からせる。

「百頭蛇殺!」

黄龍王もテューポーンを侮ってはいなかった。

それほどテューポーンの潜在能力が自分の力と拮抗していたから。

「ならば我も見せてやろう」

黄龍王は印を結ぶと背後から魔法陣が出現して金色の剣が抜け出て来る。

「串刺しの蛇にしてやろう」

意志の力が命じると魔法陣から光速の剣が雨のようにテューポーンの百頭の大蛇を串刺していく。

互いに大蛇と光速の剣を無限の如くぶつけ合わす。


このままでは決着がつかねぇぞ?

いつまで俺様の身体を使うんだよ!

徐々に俺様の意識が飛びかける。

このままではマジに俺様は黄龍王に身体を奪われてしまうのではないか?

寝たら駄目だ!眠ったら駄目だ!

居眠りは事故の元だ!

俺様は両眼を見開き、目が真っ赤になる。


しかし時間の問題だ・・・


そんな時、蛟魔王が念波テレパシーで玉龍に話しかけていた。

「聞こえるか?」

「えっ?は、はい!」

「このまま放って置けば孫悟空の魂は黄龍王の中から二度と戻って来れなくなるぞ」

「えっ!?どうしたら良いのでしょうか?僕に出来る事があれば言ってください!」

「正直、全て裏目に出てしまった。私の責任だ。本来なら私がやらねばならないのだが、この浦島(万聖龍王)を放っては置けん。それにあの二人の戦いの中で残される肉体を守らねばならないからな。そこで頼みがある」

「はい!」

蛟魔王が玉龍に頼んだのは、俺様の魂を黄龍王の身体の中から呼び覚ます事。


「私がお前の魂を黄龍王の中へ飛ばす。玉龍、お前は孫悟空を拘束している結界を破壊して孫悟空の魂を解き放って来るのだ。しかし失敗すればお前も二度と外には出られなくなる。それでもやってくれるか?」


本来なら黄龍王がテューポーンを倒した後に決行したかったけれど、このまま時間が経てば魂が定着して俺様の魂が完全に消えてしまうから。


「僕に出来るでしょうか?いえ、僕はやります!そして孫悟空さんを必ず取り戻します!」


しかしこの作戦には今の状況の中で致命的な危険を被る事が分かっていた。

それは黄龍王が精神(魂)世界で邪魔に入る事。

そしてその状況の間、テューポーンの相手をせねばならない事。


「この私の命にかえても義兄弟(孫悟空)は必ず守ってみせるよ」


それは友情を超えた死線を共に乗り越えて来た義兄弟としての絆。

更にはその命すら救われた事もある俺様への恩義。

すると意識を取り戻した万聖龍王が瞼を開き起き上がろうとする。


「この俺も一緒に戦うよ。何せ俺は乙姫さんを守るために読みがえって来たのだからな。へへへ」

「浦島!」


三人は覚悟を決める。

一つ都合良い事は拮抗する黄龍王とテューポーンの戦いに割り込む事。

流石の黄龍王でもテューポーンを相手にしながら蛟魔王の術を避けきれないと言う事だった。

蛟魔王が術を発動したと同時に玉龍は俺様の中へ。

そして蛟魔王と万聖龍王はテューポーンを相手にする。


「行くぞ!移転魂光!」


術が発動して玉龍の魂が俺様の姿の黄龍王の中へと飛び込んで行く。

「クッ!キサマら裏切るつもりか!」

激怒する黄龍王の身体に玉龍の魂が消えた。

「仲間割れか?それとも王の首を捧げて私に詫びて命を請うつもりか?」

同時に黄龍王の身体が微動だにしなくなる。

上手く術が成功して、玉龍は無事に俺様の中に入れたのか?


しかし玉龍の魂は俺様の中で立ち止まっていた。

「この我に逆らってタダで済むと思っているのか?直ぐに消し去って・・・ん?

そうか、まさかお前が来るとは因縁か・・・」

「あわわ!」

そこに現れた黄龍王の姿は俺様の姿ではなく、本来の姿をしていた。

玉龍はその姿を見て言葉を失い動揺していたのだ。

しかそれは黄龍王も無言でいた。


何故なら?


二人の姿は瓜二つであったから。

金色の髪の黄龍王と、銀髪の玉龍。

それは二人の運命と因縁に繋がっていく。


そして外の世界ではテューポーンを相手に蛟龍王と万聖龍王が全身を傷付きながら膝を付いていた。


「ここまでかな?乙姫さん。すまない、やっぱり強かったな?せめて乙姫さんは逃げてくれないか?」

「馬鹿言え!それに私は諦めてはいないぞ。きっと必ず挽回出来ると信じている。少なくとも私の義兄弟は皆諦め悪くてな?こんな悪状況を毎度覆してくれるんだよ。それは必ず諦めない強い意思!だから私は諦めたりはしないよ!」

「乙姫さん。やっぱ俺が惚れた乙姫さんは強くてかっこいいのな」


しかし目の前にはテューポーンが二人を片付けようと掌を向けていた。

掌に蛇気が集中して、放たれ・・・


「ほら?諦めなければ何とかなるだろ?」


蛟魔王は笑みを見せた。

何故なら、この戦場に突如上空から落下して来た者が、轟音を立てて登場したからだ。

ソイツは蛟魔王に尋ねる。


「なぁ〜?コイツは俺俺が喧嘩して良いよな?絶対強いと思うから胸が踊り食いするぞぉ〜」


ソイツは逞しい肉体を持ち、その頭は獅子の顔をした妖怪であった。

しかしソイツの事は俺様も蛟魔王もよく知った奴で、俺様達の義兄弟の大馬鹿最強男!

この状況で恐らく一番頼り甲斐ある馬鹿なのだ!

ソイツの名は獅駝・・・


「邪魔立てするお前は何者だ?いや、何処かで見た顔のようだ?そうか!思い出したぞ。あの覇王生誕祭にて乱入しては騒ぎを起こした妖怪だな?」


その問いにソイツは答えた。


「俺俺は百獣の王!全世界最強無比の百獣王様だぉー!」



今、この戦場が奴の登場で慌ただしくなる。

とりあえず次話はまた盛り上がるぜ!

次回予告


百獣王の出鱈目な強さは真蛇王・テューポーンに通用するのか?


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