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隔世異伝・転生記~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
女子高生蛇神討伐編~黄金の瞳編~
338/713

牙流覇蛇進軍!太白金星の防衛戦!!

牛帝覇蛇に翻弄された法子達。


しかし蛇神の脅威はこの地でも行われていた。


物語は遡る。

そこは辺境の地。

その中心に巨大な結界宝貝が置かれていた。

それは太白金星仙人の持つ宝貝。

しん

空間を歪ませ現在我が物顔で跋扈する蛇神から居場所を隠すための結界に覆われていた。

現在、その中には太白金星の他に二人。

孫悟空と阿修羅がいた。


太白金星は覇王の最初の襲撃から二人を連れ去り、この中に閉じ込めた。

理由は二人の強化!

つまり特別な修行をさせるため。

そこで最初に阿修羅を「宝貝・時鏡」の中へ送り出す。

時の鏡は過去の世界と繋がっていて、そこで新たな力を手に入れるようにと。


そして現在、この宝貝結界を中心に蛇神の軍隊が群がるように囲まれていた。

その数は数百万。

その軍を指揮していたのは新たに覇蛇の血を貰い受けた牙流六尾が進化した牙流覇蛇。

そしてこれだけの軍を引き連れて来た理由は、この結界にいるのが覇王に唯一この地上で対抗出来る可能性があると思われる阿修羅の存在。

白蛇の巫女は蛇神軍の三割を集めて牙流覇蛇に与え、必ず阿修羅を始末するように命じた。


しかし今、阿修羅は太白金星によって引き離された状態。そして孫悟空の才能の開花に気付き、孫悟空の成長を促す修行をさせるべく孫悟空も阿修羅とは別の「宝貝・時鏡」に押し込み飛ばしたのだ。

そして一人残った太白金星は結界を囲む蛇神の軍隊を相手に、単独挑むつもりだった。


しかしそれは無謀ではないか?


確かに天界では名のある高仙ではあるが、手塩にかけ育てた子猿が天上界地上界を騒がせ支配しようとした大魔王になってしまった事から天界を追われ、それ以降は隠居の身だった。


「久しく身体を動かす事がなかったからのぉ〜。身体が保つか心配じゃが可愛い弟子のためじゃ!人肌脱ごうとするかのぉ〜」


蜃を囲む蛇神軍を率いていた牙流覇蛇は蛇神兵に結界を破壊するように命じる。

数百体の五十メートル級の大蛇が結界に近寄り破壊を試みる。

結界が揺れ、亀裂が入っていく。

「もう少しで御対面だな?ようやく」

牙流覇蛇が笑みを見せたその時、配下の者達が慌てて空を見るように促した。

既に見上げている蛇神兵達はその状況に茫然とするしか出来なかった。

「そんな馬鹿な!?何だ?あれは?」

この一帯上空の異変?

燃え盛る何かが向かって来ていた。

あれは?い、隕石?

しかも一つ二つではなく数えきれない程の。


「仙星術・爆滅流星群!」


それは太白金星の秘奥義。

強力な磁場のあるこの地、そして重力操作。

無数の星を宇宙から移動させるほどの空間転移術。

その最高難易度の術を同時に発動させる事で可能にする最高峰の禁術。

陥没する隕石後、まだ燃え盛る大地。


あれだけいた蛇神軍の全滅?

しかしその中心に牙流覇蛇は残っていた。

「やってくれる。とんだ伏兵がいたものだ」

牙流覇蛇の視線の先には白き仙衣を纏った老人がいた。

「流石に一度で全滅させるには簡単ではなかったかのぉ〜ふおっふおっふおっ」

すると地面が盛り上がり今の攻撃から生き残った蛇神兵が姿を見せ始める。

それでも七割以上は削られたのも事実。


「後は儂の底力を見せてやろう」


太白金星に襲いかかる蛇神兵!

流石に生き残った蛇神兵は並々ならぬ力量を持っていた。

手にした武器に蛇気を籠めて目の前の老人を一刀で斬り裂いた。

「!!」

しかしそれは残像?

そして分身が数百体と現れる。

「これで数では互角かのぉ?どうじゃ?手を引いてはくれまいか?さもなくば総力戦となるぞぃ?この儂の軍とお主ら蛇神の軍。生き残るのはどっちかのぉ〜」

余裕しゃくしゃくの太白金星に対して牙流覇蛇は笑みを見せて答える。

「この俺が獲物を目の前にして引き下がると思うのか?あの魔神族の男の前座には丁度良い」

その直後、蛇神の軍が襲い掛かる。

「蛇だけが脅威だと思わないことじゃ!」

太白金星は両手を組みながら印を結ぶと、


「仙術・変幻百獣乱舞じゃ!」


太白金星の分身達が様々な獣へと変化して蛇神兵との混戦へと突入した。獅子から虎、豹に象。鰐や猛牛、鷲や鷹等。その特性を持ち太白金星の意思で蛇神兵を翻弄する。さらに数匹の蛙が飛び出すと、本能的に飲み込んだ大蛇に対して太白金星は印に力を籠めると同時に蛙は大蛇の体内で爆発した。

当の本人は霧の中に潜み策を施す。

まさにこれぞ仙術!

「気配を完全に消している。殺気一つ感じさせないとは驚くばかりだ。しかし俺には通じん」

牙流覇蛇は指を向けると、蛇気弾を撃つ。

「ぬぅ!?」

太白金星の位置を正確に見極めていた。

「何故じゃ?」

疑問と謎?

「どれだけ逃げても無駄だ。お前は記憶しているぞ?覇王様に盾突いた者達を連れ去った者だな?お前にはあの時、消える間際に俺の血を振りかけ染み付かせていた。洗い流そうが消えはしないぞ?」

それはマーキング。

自らの血を付けた者は例えどれだけ逃げて離れようが必ず追い掛けて殺す呪いの儀式。

それは阿修羅やあの場にいた全ての者に付けられていたのである。

そして突如現れた太白金星にも。

「いつの間に?」

その血の臭いを嗅ぎ付け、この結界の場所まで軍を引き連れやって来れたのだ。

「あの魔神族が出て来ぬなら、お前を八つ裂きにして嫌でも姿を現させてやる」

それは自信だった。

覇蛇として認められ、その力は覇蛇の候補であった六尾の時よりも格段と跳ね上がっていた。


「まだ俺は俺の限界を知らない。俺は俺の血を騒がす者と戦い、更なる力を得る!」


牙流覇蛇は太白金星の居場所を正確に捉え、そして拳を突きつける。

「ホぉイット!」

太白金星は手に杖を持ち拳の軌道を変える。

そして掌を向ける。


「体技・光速金星!」


それは光の速さの拳の連撃。

無数の拳が牙流覇蛇を直撃し襲う。

老人とは思えぬ体術。

磨き上げた拳は牙流覇蛇の鎧を砕く。

「クッ!うぐぉおおおお!」

しかし牙流覇蛇は痛みと怒りに狂気していく。

「俺は激しく強くなる!」

牙流覇蛇の身体が蛇気に覆われ蛇神の鎧が出現する。

その蛇鎧は五体の蛇頭を持つ五蛇魔鎧。


「この力を持って俺は真の覇蛇として証明となす」


牙流覇蛇は光速の拳の中に飛び込み、そしてその中心の太白金星を捉えてその拳で貫く。

「ゴホッ!?」

吐血し串刺しになった太白金星の姿が滅びるように消滅していく。

けれど牙流覇蛇は振り向かずに背後に向かって言葉をかける。

「それがお前の真の姿なのだな?」

真の姿?

それは何を言って?

しかしその場には確かに白き衣を纏った神々しい若者がいた。

太白金星が着ていた仙衣と似た?


「『神老神封変化唯我独尊』

※シンロウシンプヘンゲユイガドクソン


その姿、老いた太白金星は仮初めの姿であり、

この姿こそ真の姿であった。


「私を本気にさせた以上、タダではすまんよ」


今、太白金星の真価が!

次話に語られる。


次回予告


太白金星の真の力が牙流覇蛇に!


孫悟空と阿修羅を守り切れるのか?

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