表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
隔世異伝・転生記~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
女子高生蛇神討伐編~黄金の瞳編~
328/713

天界の五つの宝具?

妖輝覇蛇の襲撃に逃げる事しか出来ない


金角児と銀角児。


このまま逃げ延びられるのか?


金角児と銀角児に迫る妖輝覇蛇。

妖輝覇蛇は実体を持たない化け物であり、倒す事は不可能と思われた。

しかし金角児と銀角児には策があったのだ。


それは過去に金角と銀角が天界から強奪した宝。

「あの天界の宝物殿に封じられていた最高秘宝なら奴を倒せるはずだ!」

「本当?金角児?そんなんあった?」

「もし駄目ならお陀仏だよ?僕ら」

「なら賭けだね。一か八かの命懸けのね?」

二人は足を止めない。


そして逃走しながら本拠地だった塔から数百里離れた地へと辿り着く。

そこは金角と銀角の住処だった平頂山蓮華洞へいちょうざんれんげどう

しかしまだ背後からは蛇神の兵が見失う事なく追って来ていたのである。

「どうやらあの坊や達の向かう先にある祠がゴールのようね?なら先回りさせましょ」

妖輝覇蛇の手下が命令に従い先に向かう。

その速度は俊足。

先を走る金角児と銀角児に追い付き始める。

「いい加減逃げるのはやめろ?下等種!」

「臆病者には覚悟もないか?ケケケ」

蛇神兵達は追って来て挑発する。

「ムカッ!生意気な!」

「放って置くんだ!今は先を急ぐ事が先決だ」

しかし行く先の前方からも迫って来たのだ。

「氷狼の息吹!」

銀角児の口から吹き出す氷結の息吹が蛇神兵を一瞬で凍らせ、そして金角児が口から魔弾を放ち凍り付いた蛇神兵を粉々にする。

すると二人は身を回転させると姿が人型に変わる。

そして振り向きざまに片手から吹雪を巻き起こして蛇神の追及を塞いだ。

「これ以上近づけさせないよ!」

「凍り付いてしまえ!」

凍り付き固まる蛇神達の追手。

「この先にある隠し通路に、例の秘宝がある。直ぐに取って来ないと」

「でも何があったっけ?」

「かつて金角と銀角が天界の宝庫より強奪させた宝具は全部で五つ。その中の芭蕉扇は羅刹女に奪われた。それに魔法の瓢箪は孫悟空と三蔵法師に、魔法の小瓶は黒豚野郎に破壊された。残った宝具は二つある!」

すると話している二人の前に、

「こんな遠くにまで来て何か企んでいるようね?けれど鬼ごっこはもうお終い?捕まえちゃうわよ」

妖輝覇蛇の接近を許してしまった二人は不意をつかれた。

突風のような妖気が二人を襲う。

「クッ!」

二人は吹き飛ばされないように堪えるが次第に視野が霧で見えなくなる。

「銀角児!大丈夫かぁー?」

「うん!大丈夫だぁ!」

心配する金角児に銀角児は答える。

「ならこのまま先へ向かうぞ!嗅覚で方向は分かるよな?僕も今から向かう!行くぞぉー!」

「分かったよ!」

銀角児は叫ぶと、視界が見えない中で妖気の霧を抜けて外に出る。

「金角児!出たよ!」

しかし辺りを見回しても金角児の姿はない。

振り返り霧を見る銀角児は気付く。

「まさか金角児!?」

すると霧の中から金角児の声がした。

「銀角児!この蛇は僕が止めておく!だから銀角児は先に行って宝具を取って来るんだ!」

「そんな無理だよ!」

「良く聞け?このままだとジリ貧だ!だったら効率を考えるんだ!大丈夫。僕が奴を引きつけているから頼むから先に行って持って来てくれ!銀角児ぃー!」

その言葉に銀角児は霧から背を向ける。

「分かった!だから絶対に!」

「待っている!」

二人の決意は固まった。

そしてこの場を後にする銀角児に、残った金角児は妖輝覇蛇を目の前にしていた。

「うふふ。兄弟を庇ったつもり?」

「うるさい!お前なんか僕一人で十分だ!」

金角児は全身から神妖気を発気させる。


銀角児の方も隠れ家の平頂山蓮華洞へいちょうざんれんげどうへと入り込み、先に向かった銀角児はその背後に迫る蛇神兵の気配を感じる。

「ふん!馬鹿目!」

直後、通路の罠が発動して侵入した蛇神兵を串刺していく。この中は金角と銀角以外の侵入者は全て入り込む事を許さなかった。だからこそ今の今まで何者も入り込む事が出来ない難攻不落の隠れ家だった。この主が再び現れるまで。


銀角児が辿り着いた場所は宝物庫。

かつて金角と銀角が集め回った財宝が置かれているが目もくれずにその奥の隠し扉に手を翳す。

妖気が注ぎ込まれると壁が開き、その奥に結界によって封じ込められた宝具が置かれていた。

「これさえあれば!」

銀角児は急ぎ宝具を手に取ると、駆けるようにもと来た通路を戻って行った。


「金角児!待っていろよ!この宝具で必ずお前を助ける。だから絶対に!」


銀角児は通路を抜けて外に飛び出す。

そして手にした宝具から剣を出現させた。

その場には結界で中に入って来れなかった蛇神兵がうじゃうじゃと群がっている。

「閃光煌めけ!七星の光!」

鞘から抜かれた剣は銀角児の力を倍増させて凄まじい光の雨を降らし、蛇神兵を一瞬で一掃させた。

その威力は星落ちの如く!

「あはは。凄い威力だ!これが天界の最高宝具の中でも至宝と呼ばれた天界の王の剣!」

そして再び抜刀すると残りの蛇神兵を光に飲み込みながら全て消し去る。

「これぞ七星剣の力だ!」

勝ち誇る銀角児。

「あ、あれ?」

すると目眩がしてふらつく?

そして息苦しくなって嘔吐した。

「何だよ?これ?この七星剣は僕の力を根こそぎ吸い取るつもりかよ!」

七星剣は持ち手の力を吸収して増幅し、敵を討つ剣。本来なら天界の王のみ持つ事を許されるのは資格があるかどうかだけではなく、この剣に王の資質がある程の者ではないと力を全て奪われてしまうのだ。


「なるほど、そう言う事か、くそっ!」


銀角児は思い出していた。

それは他の天界より奪った宝具の事。

天界より手に入れた宝具は五種類あった。

その一つは当時地上を支配するために魔神国から現れた羅刹女に喧嘩を売って敗北した金角と銀角が譲渡してしまった神風を巻き起こす芭蕉扇。

そして名前を呼び答えた者を吸い込み酒にして、飲んだ者に力と回復を与える紫金紅葫蘆しきんこうころは孫悟空と三蔵法師によって破壊された。

そして同じく名を呼び瓶の中で飴玉にして同じく体力回復に使う羊脂玉浄瓶ようしぎょくじょうびょうは八戒によって破壊されている。

ここで気付いたのは紫金紅葫蘆も羊脂玉浄瓶も体力回復アイテムだったと言う点。

つまり七星剣の使用の際に起きる体力消耗を補うためのアイテムなのだと理解した。

しかし破壊された宝具はもう戻っては来ない。

そうなればどんなに力のある七星剣を手にしたとしても、それこそ宝の持ち腐れなのだと。

残る宝具は残念ながら武器ではなく使うには・・・


「!!」


その直後、蛇気が銀角児の周りを覆い、より濃縮した場所から気配を感じる。

「あ〜ら?お帰りなさい?銀色のボク?」

それは妖輝覇蛇だった。

それよりも驚き青褪める事があった。

「う、嘘だよ!そんな事あってたまるか」

銀角児は目の前に宙吊りにされ、血だらけ状態の金角児の姿があったから。

そして放り投げられるように自分の足下に転がる。

「ソレ、返すわよ?欲しかったでしょ?」

「!!」

銀角師は倒れて動かない金角児を抱きしめる。

「金角児!金角児!金角児ぃー!」

妖気も魂も薄く今にも命の灯が消えかけていたが金角児は銀角児の頬に触れると、銀角児はその手を握りしめて泣き叫ぶ。

「泣くなよ・・・」

「生きてたんだね?金角児?」

そんな銀角児に金角児は答える。

「ちゃんと宝具は持って来れたんだな?初めてのお使いは無事に終えたんだね?偉いよ?」

「何言ってるの?死なないで!」

「泣くなよ?僕は銀角児と一緒だ。僕達は二人で一つなんだから。だから寂しくなんてないんだ」

すると金角児の手が力無く落ちる。

「死なないでぇー!嫌だ!嫌だ!金角児が死んだら僕は生きていけない!嫌だよぉー!」

同時に金角児の身体が光となって消えたのだ。

「うっ、うっ!うわぁあああ!」

乱れるように泣き叫ぶ銀角児にはもう見境なくなっていた。

力を吸い取る七星剣を握ると立ち上がり神妖気を極限にまで高め始める。

「七星剣よ!僕の力も魂も持っていけぇー!だから金角児を殺した奴を滅ぼす力を貸せぇー!」

銀角児は七星剣を握りしめ妖輝覇蛇に向かって振り下ろす。その斬撃は天地を割るような一撃が妖輝覇蛇を頭上から一刀両断にしたのだ。

「七星の光よ!僕の敵を討ち滅ぼせー!」

「うぎゃああああ!」

七星の光が妖輝覇蛇の身体を貫き飲み込みながら消し去っていく。

銀角児は神と妖怪の融合した特殊な半神半妖。

だからこそ七星剣の力を扱えた。

しかしそれでも七星剣の力は銀角児の力を根こそぎ吸い出していた。

廃人のような状態で生気が抜けた状態でも銀角児は喜ぶ。

何せ兄弟の仇を自ら討ち取る事が出来たのだから。

これで思い残す事は何もない。

そう思った時、


「あ〜ら?お念寝には早いわよ?もう片方の坊やはもう少し粘ったんだからね?」

「!!」


銀角児の前に、無傷の妖輝覇蛇が平然と立っていたのだ。

まさか七星剣でも倒す事が出来ないと言うのか?

この蛇神を倒す手段はもう?


「う、嘘だ!どうして今ので死なないんだよ!」


無気になって七星剣を振ろうとしても、もう力が全く入らなかった。

「どうやらもう鬼ごっこはお終いのようねぇ〜。銀色の坊やも私がヤッテあげる。あっ!心配しないで?直ぐにその肉塊と一緒に私が喰らってあげるわよ〜うふふふ」

妖輝覇蛇は余裕の表情で銀角児に近付いて来た。

「さ〜て!このくらいで良いかしら?」

見ると妖輝覇蛇の頭上に巨大な妖気の渦が集まりながら凝縮していく。

そして練り込まれた妖気を、

「ばいば〜い!」

銀角児に向けて放たれた。

銀角児にはもう逃げる力は残って無かった。

諦めていた。

兄弟を失い、このまま生きていても仕方ない。

半身を奪われた今、虚無しかない。


「ごめんね、金角児・・・」


妖輝覇蛇の放たれた妖気の濁流が銀角児を飲み込み、その中で全身が崩壊していく感覚を覚える。このまま肉体も魂も消えていくだけ、これで金角児と同じ所へ逝けると諦めたその時、

声が聞こえた?

(僕達は再び一つになる)

「!!」

妖輝覇蛇の放たれた妖気の濁流が凄まじい閃光によって打ち消される。

そしてその中心には?


「あ、貴方誰よ?何者よ?」


妖輝覇蛇は突如現れた者の存在に気付く。

その者は静かに答えた。


「お前はもう俺の牙からは逃れられない!」


次話に続く。

次回予告


その者は何者?


過去の物語の伏線が繋がる。


参考物語 1転生記

     2天上天下美猴王物語

     

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ