偽物?真蛇王デルピュネースを脅かす金色の太陽!?
不死の真蛇王デルピュネースに対抗する手立ては?
私は法子。
真蛇王デルピュネースを相手に二郎真君さん、八怪、紅孩児君が挑み、三只眼の覚醒で互角以上の力を見せていたの。それでも、デルピュネースの体内にある超神ゼウスの肉片を破壊出来なければ幾度となく再生し更に強力な力を手に入れ復活してくるの。まさに最強の不死の化け物のデルピュネースに対して三人の戦いを見ていた太公望さんは憶測を立てたの。
「もしや」
太公望さんは過去に読んだオリンポスの神話からデルピュネースの記述から推測を立て始めたの。
「ナタク達が倒したエキドナも儂らの目の前にいるデルピュネースも歴史上の化け物本体ではないだろう。恐らくはオリジナルの記憶を持った転生者の蛇神」
理由は記述にはエキドナもデルピュネースも討伐されたとなっていたから。
もしかしたら不死の力で甦ったと考えるのも可能性は無くはなかった。
それでも転生者だと確信するのはエキドナが戦いの最中語っていたから。
ナタクが戦ったエキドナはオリンポスに現れたエキドナが死に際に産み落とした卵より記憶と能力を引き継ぎ残したまま誕生した分身のような者。そのエキドナが産み落としたデルピュネースは、恐らく過去のデルピュネースの複製に違いない。
今のデルピュネースはオリジナルデルピュネースの記憶や能力だけでなく生前に体内に残っていたゼウスの肉片をも複製したと思われるの。
「何故ならオリジナルのゼウス神の肉片は既に失っていたはずだからじゃ!」
オリンポス神話の中ではゼウス神は肉片を奪われ力を失い、その肉片はデルピュネースが手に入れ番人となった。しかしゼウス神の血族である最高神二人によって取り返され、ゼウス神は力を取り戻したとなっていたからなの。
なら今のデルピュネースの対内にあるゼウス神の肉片は僅かに残った遺伝子が、デルピュネースの複製とともに培養されオリジナルに近い力を残しつつ再生されたモノだと言うの。
しかし、それはつまり。
「つまり偽物じゃ!しかしそう容易く破壊は出来ないのも事実。唯一手段があるとすれば・・・」
その唯一の手段も神話に残されていたの。
「かつてゼウスの血族はデルピュネースからゼウスの肉片を取り戻せたのなら、その手段と同じ策をすれば良い」
しかし正確な手段までは記されてはいなかった。
「なら教えて貰おうかのぉ〜直接奴にな!」
太公望さんは上がらない腕を垂らしたまま神気を高める。
そして三人の戦いを凝視したの。
「うらぁああ!」
八怪の蹴りからの釘鈀の一撃を片腕で受け止め、二郎真君さんの三尖両刃刀の繰り出す連撃を紙一重で躱される。さらに紅孩児君の口から吹き出す火炎放射を同じく口から吐き出した障気で相殺した。
「ウラぁ!うらぁ!うらぁ!」
背後から八怪の接近に気付いたデルピュネースが裏拳を振るうが八怪は上体を下げて躱して懐に入り、渾身の拳を数度と繰り出し殴り付ける。
「私の外皮にはもうお前の攻撃は通用しやしないぞ?」
八怪の拳はデルピュネースの身体に傷一つ付けられてはいなかった。
デルピュネースは目の前の八怪の顔面を殴り、倒れかかった所を後頭部を殴りつけ、さらに両手を挟むように叩いて八怪を押し潰す。
全身から血を噴き出しながら八怪は倒れそうになるけれど踏みとどまり堪えたの。
確実に力が桁違いに跳ね上がったデルピュネース。
その強大かつ絶望的な敵に対して、八怪は過去の体験を思い出す。それは前世で遮那と呼ばれていた時、幼き武神訓練生の少年達を連れて妖怪討伐の実習の責任者として出向いた場所で遮那の前に現れたのは規格外の強さを持つ蛇神だった。蛇神の前に遮那は敗北し、そして連れてきた訓練生から仲間達全てを蛇神によって惨殺されてしまった。
震える身体で力を振り絞る。
力の無さで失うなんて、まっぴらだ。
力が足りないなら、補えば良い。
後先の事なんか関係ない。
例えそれで自分が壊れたとしても、大切な者を失った絶望感で心引き裂かれる傷みに比べたら。
些細な事だと知っているから。
「なんぴたりともオラを止める事は出来ねぇら!」
その傷みは二郎真君さんも紅孩児君も知っている。
知っているからこそ手に届き目に見える悲しみは救って見せると誓った。
「俺が生きる意味。それは武神として戦い続ける事で一人でも救える命を守るため。だからお前のような無慈悲な死を与える者は許さん!」
「俺様は二度と負けない。俺様が負ける事で誰かが涙するなんてまっぴらだ!俺様と同じ傷みは必要ない!俺様が終わらせてやるんだ!」
三人の闘志は消えてない。
「驚いたな。まだ力を増すのか?しかし分かるぞ?お前達の力も底無しってわけではないだろう。直に力尽き、そして弱者となり抗えなくなるだろう。その時がお前達の最期だ。私はそれまで遊んでやっていれば良いだけ」
そして今も城壁の先ではデルピュネースの障気で命尽きた者達の魂がデルピュネースの中へと吸収されているの。時間はかけられない。
すると三人の意識に念話が入って来たの。
その主は太公望さんから。
三人は話の内容に頷くと、三人は覇気を高める。
次の一撃にかけるつもりなのね?
「うぉおおおおお!」
八怪の周りを黒い闘気が竜巻のように渦巻く。
その激しくも攻撃的な気はまるで嵐!
飲み込む全てを破壊する。
そして二郎真君さんも神気を解放する。
いえ?発する激しい力を一点に集中させ刃に籠める。
籠めた気は水気と浄化術の融合。
水浄気!
悪しき力や障気を消し去る。
さらに紅孩児君も拳を天に向けて炎を渦巻かせせながら高熱を籠める。
それは真っ赤に染まる熔岩灼熱の拳!
「何度来ようが無駄な事!」
そこに八怪が殴りかかるとデルピュネースは片腕で弾き蹴りを繰り出す。
衝撃が揺るがしながら二人は殴り合いを続けたの。
手数はデルピュネースの方が多かった。
見る見る八怪の身体を裂いていく。
それでも急所を避けつつ八怪は狙っていたの。
拳が漆黒に染まっていく。
「破壊の黒拳!」
その一撃は受け止めたデルピュネースの鉄壁の鱗を粉砕した。
「クッ!チョコザイな!」
デルピュネースから蛇気の手刀が槍のように突出すと至近距離から八怪を貫いたの。
「!?」
しかしデルピュネースの身動きが出来なくなる?
八怪が自分を貫いたデルピュネースの腕を掴み押さえて離そうとしなかったから。
「捕まえたらよ?覚悟するらな!」
「!?」
そこに頭上から二郎真君さんが飛び降りて来て三尖両刃刀を振り降ろし八怪を貫いているデルピュネースの腕を切断したの。
「うぐぅう!!」
堪らず後退して失った腕を再生しようとするけれど、二郎真君さんの追撃が失った腕を集中攻撃をして再生を許さない。
「邪魔だぁー!」
二郎真君さんの攻撃が自分の失った腕に集中している事には気付いていたから、腕を囮にして二郎真君さんの突き出した三尖両刃刀を片腕で受け止め、もう片方の腕で二郎真君さんの背後から首を跳ねようと左手刀を振り下ろしたの。
「アガッ!?」
しかしそれより先に二郎真君さんは逆手で腰の剣を抜き落とすと同時に落下させた剣を蹴り上げながらデルピュネースの顎に突き刺して、踏み込みと同時に三尖両刃刀でデルピュネースのもう片方の腕を斬り落とした。
「うぎゃあああ!」
幾ら不死と言えど痛みはある。
そして余裕はあっても怒りは感じる。
デルピュネースは蛇気を纏いながら下半身が大蛇へと変貌して振り回すと攻撃して来る八怪と二郎真君さんを弾き飛ばしたの。二人は転げながら起き上がると、ニヤリと笑いながら質問する。
「それで何か分かりましたか?」
二郎真君さんの問いに離れた場所から太公望さんが答える。
しかもその手には今さっき二郎真君さんが斬り落としたばかりのデルピュネースの腕を前にして何かの術を試みていたの。
「でかしたぞ。この生の腕から残留思念を読み解いてみせよう!」
デルピュネースの斬り落とされた腕に残る記憶の残視。
太公望さんは意識を腕に同調させてデルピュネースの前世の記憶を探ろうと試みていたの。しかしその記憶は今のデルピュネースのオリジナルではないため、明瞭には見えない。
雑音と乱れる記憶の映像を手探りしながら覗き見ていたの。
そして途切れ途切れの中で見えたのは過去の死に際に見た記憶の残像。
運よく残っていたのは強い念が残っていたから。
怒りと後悔。
それよりも自分を殺した恐怖の念。
「見えたぞ!」
太公望さんは覗き見た記憶から過去のデルピュネースが殺された状況を知る。
そこはコーリュキオン(英語版)と呼ばれた宮殿。
その宮殿にゼウスの肉片を封じ込め、番人をしていたのがデルピュネースだったの。
そこにゼウスの復活を目的にゼウスの血族が二人現れデルピュネースを相手に死闘を繰り広げた。
その末にデルピュネースを倒せた理由がそこにはあったの。
その鍵が紅孩児君に??
「俺様は限界を超えてやるぞぉー!」
紅孩児君は眩しいくらいに閃光し拳だけでなく全身に高熱を帯びる。
その輝きはまるで、そう!
「太陽!!」
紅孩児君の輝きを目の当たりにした時、デルピュネースは一瞬顔が強張る?
そして僅かに後退したの。
「お前は俺様がぶっ倒してやる!」
紅孩児君が駆け出すと、デルピュネースは怯んでいた。
身体が?本能が無意識で嫌悪したの。
かつて自分を殺したあの眩しい光に!
紅孩児君の接近にデルピュネースは本気の力で妨害する。
蛇気の蛇のオーラが何体も出現し襲い掛かるけれど、紅孩児君を守るように八怪と二郎真君さんが蛇のオーラを斬り裂き紅孩児君を守り先を行かせたの。
「ガツンとキメるらよ?」
「君に任せる。頼むぞ!」
二人の後押しに紅孩児君は頷く。
そして飛び上がると上空の本当の太陽と被り眩しさでデルピュネースは見失ったの。
しかし同時にデルピュネースは我に返る。
「フフフ。私とした事が狼狽えるとは情けない。所詮は偽り!偽物では私は倒せんぞ!」
デルピュネースの身体が盛り上がり巨大な大蛇の姿へと変貌し、その頭上にデルピュネースの上半身が姿を現す。そして大蛇の口が開かれると、途轍もない破壊波が放たれ上空の紅孩児君を飲み込んだの。
「跡形もなく塵と消え喰らう楽しみが無くなったのは惜しい事はしたが邪魔者が一匹は消えたな」
しかし見上げる上空には眩い光がデルピュネースを照らしていたの。
それは太陽?が、二つある?
その太陽はデルピュネースに向かって急降下して来ていたの。
「うぉおおおおおお!」
それは間違いなく紅孩児君!
しかもその姿は赤牛帝の鎧から不死の鳳凰の神衣にと変衣していたの。
確かに先の破壊の波に飲み込まれて全身を消滅しそうになった。
けれどその瞬間、紅孩児君の魂の中に眠っていた鳳凰の声が聞こえて来て、
四霊変化を唱えチェンジしていたの。
不死の力を持つ鳳凰の神衣は傷付いた紅孩児君の身体を再生しつつ、生き延びさせた。
そして今、決死の覚悟でデルピュネースに向かって突進していたの。
全身を太陽のように輝かせながら!
「カァアア!馬鹿目!所詮は偽!熱の耐性があったおかげで消滅しなかったようだが、この私の猛毒で溶解してくれるわ!」
デルピュネースは口を開き猛毒が吐かれて突進して来る紅孩児君を覆い、そのまま丸飲みされてしまう。
「喰らってやったわ!私の中の胃液はまさに魂をも溶かす猛毒。決して助かるまい!さて、次はどちらを平らげるとしようかねぇ?」
デルピュネースは勝ち誇り二郎真君さんと八怪を見下ろしたの。
すると二人は顔を見合わせ首を左右に振る?
「俺達の番は」
「ないようらな!」
するとデルピュネースは悪寒を感じた。
そして感じたの。
自分自身の体内で何かが蠢いている事に。
「まさか私の体内で生きていると言うのか?そんなわけねぇー!あってたまるかぁ!!」
しかし紅孩児君は生存してデルピュネースの体内を動き回っていたの。
紅孩児君にはあった。
炎族妖怪であるために高熱だけでなく、猛毒に対しての耐性も。
それは猛毒の権化だった熔毒覇蛇との戦いで知らず知らずのうちに耐性が出来ていたの。
さらに熔毒覇蛇との戦いの中で見せた奇跡の力が紅孩児君のシナプスを駆け廻り、再び覚醒していたの。金色に光り輝く魔眼が!!
「太陽の魔眼!」
その気配にデルピュネースは全身が震える。
そして自分の体内にいる紅孩児君の前に人型の分身体をよこしたの。
「ば、馬鹿な?そんなありえん!お前に何故あの者の気配を感じるのだ?お前は何者なのだ!」
デルピュネースは紅孩児君の魔眼から発する光の中に別の存在を感じて震え上がる。
それは過去の自分を殺した超神。
遺伝子レベルで感じるトラウマの恐怖。
「お前は何者だぁーー!!」
発狂して襲い掛かるデルピュネースに紅孩児君は冷静に掌を翳したの。
「今一度オレの手にかかるか?デルピュネースよ!」
その声は紅孩児君であって別の者の口調と気配が威厳を醸し出していたの。
「お、おのれぇー!」
掴み掛かるように襲いかかるデルピュネースに対して雰囲気の違う紅孩児君は掌を自分の眼前で止める。
すると炎が閃光を放ったの!
その炎は金色に燃え輝く!
「た、太陽の化身!」
その金色の炎を直接見たデルピュネースの両目が燃えて潰れる。
さらに全身の皮膚が水膨れを噴き出した。
「ヒィぎゃああああ!」
「太陽を直接見れるわけないだろ?」
悲鳴をあげようが逃げられるはずなかった。
何せこの場所はデルピュネース自身の体内なのだから。
紅孩児君を中心に太陽と化した球体が膨らみながら広がり、体内からデルピュネースの身体が太陽に飲み込まれるように吸収されて消滅していく。
「何故?何故オリンポスの神であるお前がそんな者の中にい、いぎゃああ!あ、アポロォオオオ!」
デルピュネースは断末魔をあげて完全に消えたの。
そしてその中心に紅孩児君が力尽き膝を付いて気を失っていた。
その勝利に二郎真君さんと八怪が駆け寄る。
こ、これで真蛇は倒したのよね?
その戦いの結末に太公望さんは何かを思っていた。
「金禅子、それに紅孩児。これから後の戦いの鍵になるのはやはり金色の魔眼か・・・しかしそれはこの世界の終焉が迫っている証」
そしてエキドナとの戦場を終えた地でも白澤は一人離れた場所で風を感じていたの。
その手には天秤が置かれている。
「王の天秤が揺らいでいる。現れるか?真の王が?この世界を統べる絶対無比の神王が!」
しかし天秤の上には光る珠が一つ?二つ?
王選定の天秤。
三つの珠が互いを弾くようにぶつかり合っていた。
「王たる者の出現。しかも三人も?恐らくは天界を統べる現支配者である神々の頂点である帝釈天。そして現在地上を支配している蛇神を統べる覇王は間違いなかろう。そしてもう一つは?」
白澤は最後の珠を手に何者かと探ろうとした時、そこには?
「ま、まさかぁ!?」
そこにはまだ形すらない四つ目の珠が存在していたの。
そして四つの珠は共に弾け消えた。
この現象を白澤は畏怖していた。
「この先、この地に四人の王が降臨すると言うのか?その末に待つのは・・・」
そんなこんな。
あれ?終わらないの?まだ?
ふぅ〜。
私は千里眼の水晶石を通しながら安堵する。
「取り敢えずデルピュネースは倒せたようね。本当によく頑張ってくれたわ」
けれど私が今一番心配なのは金吒さん!
金吒さんは突如現れた軍駝覇蛇の手にかかり、その命を奪われてしまったの。
「許せないわ!軍駝覇蛇!」
私が怒りを露わにした時、
「俺がどうかしたのか?」
「どうもこうもないわよ!」
ん?えっ?何?
私は恐る恐る牢屋の檻の外を見ると、そこには私を見ている軍駝覇蛇が立っていたの。
「きゃあああ!嫌!変態!馬鹿ぁ!」
私は驚きと混乱で喚く。
すると蛇気が私に向かって放たれ、私が持っていた水晶が弾けて砕け散った。
「あ〜!なんて事を!」
「十分状況は見れただろ?」
「エッ?」
それは私が隠し持っていたアイテムを牢屋に連れて来られる時に奪われなかった事を意味していたの。
「もしかしてわざと?」
「どうでも良い。それより俺に付いて来い」
「どうでも良くないわ!あんた金吒さんを殺したわよね?そんな奴の命令なんか聞きたくないわ」
「そうか、あの天界神と知り合いだったか?だが、奴の死は俺には必要だった。謝罪するつもりも弁明もする気はない」
「何ですって〜!」
頭に来ている私を無視するかのように、私を閉じ込めていた檻が軍駝覇蛇の蛇気によってひしゃげる。
「!!」
そして私の腕を掴み引っ張ったの。
「騒ぐなよ?俺がお前を外に逃してやる。だから黙って言う事を聞け!それにモタモタしていたら覇王の手下に感付かれるからな」
「えっ?」
何?私を逃がす?
まさか騙すつもり?でも何故?なんのために?
殺すつもりなら、こんな回りくどい事しなくても良いはず。
「黙ってるし逃げないから腕を離して!痛いわ」
軍駝覇蛇は私の言うとおりに手を離す。
「俺に付いて来い!万が一捕まれば次は必ず殺されるぞ?その時は俺もだがな」
「うん」
私は軍駝覇蛇の言葉を信じる事にしたの。
何故だろう?
この軍駝覇蛇って誰かに雰囲気似てる気する?
そして私と軍駝覇蛇との覇王城からの脱出が始まる。
そんなこんな。
次回予告
物語は伏線を残したまま新たな展開へ?
そこは凍てつく塔に蔓延る蛇神の襲撃から。




