真の覚醒!打倒!真蛇王デルピュネ
真蛇王デルピュネの前に太公望はなすすべがなかった。
しかしその戦場に現れたのは?
私は法子
真蛇王デルピュネ
その生命力と不死の秘密に太公望さんの奥の手は通用しないで終わったの。
けれど太公望さんの真の目的はデルピュネを倒す事ではなかった。
待っていたのよ!
彼等を!
二郎真君さん、八怪、紅孩児君。
彼等は覇王との戦いの後、太公望さんの与えた天界の霊薬アムリタを超えた潜在能力を引き出すスーパーアムリタを飲み、今の今まで深い眠りの中で強引に覚醒を促していたの。
そして今、彼等は目覚めた!
「目覚めて早々、厄介な相手ですね」
二郎真君さんはデルピュネから感じる凄まじい力に警戒する。
「力だけではないぞ?奴の厄介な所は、その不死性じゃぞ?油断するでない」
太公望さんの忠告に二郎真君さんは一歩前に出てから背中越しに答えたの。
「しかし倒せないとは思えない。これは油断でも驕りでもありませんよ?それに俺だけでなく、彼等もいるのだから」
その背に感じるのは自信と確信。
「オラはやる事が沢山あるんら。お前如きに時間を取ってる暇ないんら」
八怪は拳を鳴らして気合いを入れる。
「俺様は起きたばかりでイライラ爆発してるんだぞ!よく聞け?お前は邪魔だ!」
紅孩児君も戦闘モードに入ったの。
「やれやれ。どれから食べようかしら?御馳走並べられて私は嬉しくて仕方ないわ」
デルピュネの身体から蛇のオーラが生き物のように飛び出して来て四人を襲う。
「!!」
しかし飛び出した蛇のオーラを紅孩児君は掌から発する業火で燃やし尽くし、八怪も漆黒の気を纏った拳で消し去ったの。そして二郎真君さんと太公望さんに向かって来た二つの蛇のオーラを、
「太公望殿は退いてください」
二郎真君さんは三尖両刃刀を振り回すと一刀でデルピュラの二匹の蛇のオーラを斬り裂き消滅させた。
すると三人は同時に攻撃を仕掛ける。
素速く、激しく、力強い!
まるで猫が虎になったかのよう。
自転車がオートバイになったよう。
水鉄砲が拳銃に・・・
その動きは過去の三人とは格段と違っていた。
一撃の粉砕力がデルピュラの身体を滅ぼしたの。
しかしそれは一時的なもの。
ゼウスの肉片は傷一つ付かずに残り再生が始まる。
そして再びデルピュラが蘇っ・・・アレ?
何か姿形が違うわ??
「そう何度も自分の身体を粉々にされるのは不愉快なんでな?戦闘向きにさせて貰ったぞ?」
口調が何か違う?声も太くなった?
その姿は上半身は人型で下半身も蛇の姿から二本足へと変わっていた。
そして何よりも女性から男性の姿へと性別までも変わっていたの。
「この姿の私の事はデルピュネースと呼んで欲しいな。私の名を教える事、それがお前たちへの餞別だ」
両性類?
デルピュネースから発する蛇気は今までよりも研ぎ澄まされ、その殺気と殺意は三人の魂を凍て付かせるほど激しく襲いかかる。
「ナメるなや?誰もオラを止める事は出来ないらよ!」
「俺様は最強になる俺様だ!」
「お前達、油断するなよ?奴は危険だ!同時に行くぞぉー!」
八怪と紅孩児君に二郎真君さんが合図する。
三人は同時に攻撃を仕掛け飛び出していた。
八怪の拳に紅孩児君の炎の蹴り、二郎真君さんの三尖両刃刀が突き出される。その連携と連続攻撃がデルピュネースを休ませる事なく繰り出されているの。
それでも三人相手にデルピュネースは全ての攻撃を受け流し、躱しながら防御する。まるで確かめているかのように?それは三人の強さ?違うわね、自分自身の力量を三人の攻撃から探っているようだった。
「私は産まれたてなのでな?加減も分からなければ、限界も分からない。だからお前達を簡単に始末してしまったら、自分の成長に繋がらないのさ」
余裕だった。
「簡単に死ぬなよ?死んでも構わないが、直ぐに食べてしまうぞ?ふははは!」
全身がまるで針ネズミのように蛇が飛び出して接近していた三人を攻撃し吹き飛ばす。
「ぐわぁあああ!」
更に掌に蛇気が集中すると蛇のオーラが飛び出して噛み付くように迫る。
「うおっと!」
寸前で足を上げて避けた紅孩児君の足下が抉られるように穴があく。そして八怪もその威力を目の当たりにして受け止めるのではなく、飛び上がって躱したの。そして二郎真君さんはデルピュネースに向かって三尖両刃刀を構えると覇気を籠めた一撃で打ち消したの。
「とんでもないな?今まで戦って来た蛇神とは桁違いだ。そう、あの覇王と同格か?なら一層此処で倒さなければねるまいな!」
二郎真君さんの左右に八怪と紅孩児君が集まると、構えたの。
「で?どうするらか?」
「どうするも何も俺様が倒してやるよ!」
「二人共俺と力を合わせて貰うぞ?一気に畳み掛けるぞ!」
二郎真君さんは印を結ぶと哮天犬が出現し聖獣変化の鎧を纏う。
同時に紅孩児君も全身が発火しながら牛角帝の鎧を纏ったの。
「二人共ズッコイらな?」
そして八怪はその手に釘鈀を握る。
デルピュネースの身体から鋭利な蛇矛が飛び出して接近を妨げる。激しい攻撃の中を三人は飛び出し互いに交差しフェイントをしながらデルピュネースに向かって接近していく。
「火炎掌弾!」
紅孩児君が火炎弾を連続的に放ちデルピュネースの蛇矛を相殺していく。その中を八怪が潜り抜けながら釘鈀を振り回しデルピュネースに斬り掛かる。その鋭い斬撃を躱すデルピュネースに紅孩児君が逆方向から炎の拳を繰り出した。左右からの同時攻撃をデルピュネースは容易く両手で二人の腕を受け止めたその時、
「その隙を待っていたよ!」
「グッ!!」
二人の隙間を縫うように二郎真君さんが三尖両刃刀を突き付けデルピュネースの心臓を貫いたの。
「今だぁー!!」
二郎真君さんの合図で八怪と紅孩児君が踏み込むと同時に漆黒の闘気と妖気の業火がデルピュネースの全身を破壊していく。そして内部から二郎真君さんが強烈な神気を放ったの!
閃光がデルピュネースの内部と外部で炸裂した。
塵と消えていくデルピュネース。
しかし終わらない事は理解していたの。
再びゼウスの肉片が金色に光り輝きデルピュネースの身体を再生を促している。
「復活する前にデルピュネースの核を砕くのだぁー!」
太公望さんの助言に、
「なんら?砕けねぇら!」
「めちゃくちゃ硬いぞ?これ?」
「それでも破壊するんだ!」
三人は有りったけの攻撃をゼウスの肉片に仕掛けるけれど、傷一つ付かない。三人を寄せ付けない力のせいで見る見る三人の目の前でデルピュネースの復活を許してしまう。
「この私を殺す事は不可能。現在、覇王を名乗る者も私の前では非力なものだろう」
デルピュネースは真蛇の気を異常に高めていく。
それは大地と天を揺らし始める。
「お前達のお陰でようやく身体が温まって来たよ。身体が軽い。数度再生して身体が馴染んで来た。お前達のおかげだ。この有り余る溢れる力が思い通りに扱えるよ」
するとデルピュネースの指先から閃光が放たれたの。
「アッ!?」
光は二郎真君さんの肩を貫き、八怪の腿を貫き、紅孩児君の左腕を貫いた。
三人は躱す事出来ずに血が噴き出し膝をつく。
「私の母エキドナは狩る者に対して余裕から油断し、逆に狩られてしまった。だから私は油断はしないつもりだよ。今の一撃はいつでもお前達を殺せると言う証拠。殺せるからこそ最後に見せてくれないか?お前達の絶望の顔を!」
すると身動き出来ずにいる三人を無視し、後方の要塞城に向かって何か力を放ったの。
何をしたの?
その時、生存者全てが住まう要塞の地下から蛇気の障気が地表に亀裂を作り噴き出して来たの。
即効の毒気は無かった。
しかし次々と倒れていく。
デルピュネースはじわじわと生存者を嬲り殺し、命尽きた者の魂は吸い込まれるようにデルピュネースへと吸い込まれていく。妖怪や仙人、神族なら毒への耐性は辛うじてあるけれど人間達はそうはいかない。更に病や老いた者、幼い子供達から死んでいく。
「ふふふ。徐々に死者を増やし、最後は全て餌になるだろう。これが何を意味しているか分かるか?お前達は何も救えない!自分以外の個体を救うと言う概念が意味無く徒労に終わる。さぁ?絶望に平伏すが良い!」
デルピュネースの言葉に三人は顔を伏せたままだった。
本当に絶望してしまったの?
このまま何も出来ないの?
このまま誰一人助からずに全滅してしまうの?
「誰も、諦めないさ!諦められない。もう二度と失わないために!」
それは二郎真君さん、八怪、紅孩児君が同時に叫んだの。
その想いは失った大切な者への誓い!
後悔と無念、そして償い。
三人の内部からチャクラが全身を高速に廻る。
そして膨れ上がる力が集中したの。
三人の額に!
「あの力こそスーパーアムリタの覚醒!」
太公望さんは頷く。
今、真の覚醒した三人の本領発揮!
そんなこんな。
次回予告
スーパーアムリタの真の覚醒?
その力で真蛇王デルピュネースを倒せるのか?




