滅・封神せよ!新たな真蛇王デルピュネ!
新たな真蛇王デルピュネに挑むは偉神太公望。
しかしその脅威を前に不安しかなかった。
私は法子。
今、エキドナが放った卵より誕生した新たな真蛇王デルピュネ。
その脅威にに太公望さんが単独で挑む。
と、言っても一人で戦える相手じゃないわ!
何せエキドナ相手にナタクや金禅子一行が総がかりでやっと倒せたのだから。
「このデルピュネは生きとし生ける者全てを食します。そして世界は蛇が制します」
デルピュネの身体から凄まじい障気が噴き出して大地が腐り、空気が淀む。
「ホぉ〜。儂も嘗ては神殺しの神才。無敗無双の太公望様と自身で世の中の者達に広めていたのじゃ。噂は噂を呼び、今では天界地上全土で儂の名を知らぬ者はいないと自負しておる。お前も儂の名を覚えて滅・封神せよ!」
太公望さんは打神鞭を手に覇気する。
その神圧は攻撃的な雷と化して大地を抉りながらデルピュネに向かって直撃する。
「打神鞭・衝撃!」
太公望さんの手に握られた打神鞭は枝分かれして豪雨のような雷を降り落とす。
雷は貫く槍の如くデルピュネを串刺していくの。
「あん。アハハハ!刺激的なアプローチね?けれど私の玉のような肌には全て弾かれる」
降り注ぐ雷は全てデルピュネに触れる前に軌道が変わり弾かれていってるの。
「厄介よなぁ。特殊な力が儂の雷を曲げておると言うのか?」
デルピュネは知っていたの。
母エキドナの敗因。
それは自身の力を活用出来なかった事。
その有り余る力を使い上手く特殊能力に振り分けさえすれば敗北する事など無かった。エキドナの死から学んだデルピュネは己の力を操作し、自身の身体に凝縮した薄い膜?防御壁を張っているの。その壁が空間を歪ませ太公望さんの雷撃の軌道を曲げていた。
「誠に厄介で、そして儂がここで倒さんといかんようじゃな。立場的にも偉神の誇りにかけても」
しかしデルピュネに致命的な攻撃が与えられなければ倒す事なんて無理だわ。
「お前は私の餌第一号よ!」
デルピュネが指先を向けると五本の指が伸びて蛇と化して伸びて来たの。
そして鋭くも素速い動きで不規則に太公望さんを襲う。
「クッ!」
対する太公望さんの頭上の空間が歪み、そこから一匹の聖獣が出現する。
「隠れていろと命じていたのにバレてしもうたではないか?」
ソレは太公望さんの愛騎聖獣四不象。
麒麟の一種で有り、王の器たる者に従う。
「それでも共に戦うと?」
四不象は頷くと、
「なら、共に暴れてやろうぞ!
聖獣変化唯我独尊・四不象」
太公望さんの身に四不象の鎧が纏われる。
同時に桁違いの神気を解放させたの。
「どうやらお前は特上の美食のようね?それにその聖獣、白澤と同じ匂いがする。ウフフ」
四不象も白澤と同じく王選定の聖獣。
そして蛇神にとって王を産み出す餌なの。
「どちらも手に入れるわ」
しかし太公望さんも異常な力を発する。
これが英雄と呼ばれし偉神。
「お前の防御を撃ち抜く雷をお見前してやろう」
太公望さんの身体から黒い雷が放電し始めたの。
黒い雷?それって?まさか?
「地獄の黒雷!」
その名の如く地獄の世界の雷。
それは漆黒の雷。
魂をも焼き尽くす滅魂の雷撃!
私はその黒い雷を以前見た事がある。
それは龍神族四海龍王の黒龍王さんの黒雷!
ソレは地獄界より持ち帰ったらしいの。
黒龍王さんは幼き頃に父親と共に入り込み、その魂に地獄の精が融合した事で現世でも地獄界の雷を使用する禁忌の雷撃。その力はこの世界の常識から外れた異能力のため蛇神に通じる可能性があるの。
それを太公望さんも?
「理は思考の方程式にて解読し活用してこそ業となす」
太公望さんの片手に黒雷が集中する。
その力にデルピュネも警戒心を抱いたの。
「私は母エキドナのように油断はしない。全力をもって狩らせてもらいます」
デルピュネもまた蛇気を高めると、産まれる前の記憶を蘇らせていたの。
「うふふ。私は嘗て同じくデルピュネとして生きていた。そう、私には産まれる前の記憶があるの。嘗ての死した私はあの者の身体の一部を我が身に封じ込めていた。そして得たのです!この力を!」
デルピュレの内部より湧き上がる力は蛇気とは異質の神聖な気を発したの。
それは太公望さん達が纏う神気?とも違う異種な力を持った別の神気。
「ま、まさか?その力は超神の気だと言うのか?」
超神?
そもそも神と呼ばれる最高位の神族は数存在する。
その中でも太公望さんの発する神気は仙気と呼ばれ、その力は神格化して仏気と呼ばれる力なの。
今、天界を統べる神々は全て同種と言えるわ。
私が知り得る中には魔神と呼ばれる者達は漆黒の魔神闘気と呼ばれたりするのもあるわ。
阿修羅とか八怪がそうよ?他にも紅孩児君のお母さんの羅刹女さんとか干支十二宮殿の守護者達もそうだったわね?で、本題に戻るけれど。
今、目の前のデルピュネの身体から感じる力は超神と呼ばれるこの世界とは別の世界の最高神の気。
最高神ゼウス率いるオリンポス十二神、その神族をこの世界では「超神」と呼ばれるようなの。
「この儂も初めて目にする。驚いた」
しかし超神とは太公望さん仏神の種族から見たら太古の伝説の神々の名称だったから。
「しかし、何故じゃ?何故、蛇神から超神の気を感じるのだ?ん?デルピュネだと?」
すると太公望さんは天界の伝承を調べていた時に読んだ超神の歴史書を思い出す。
そこにはオリンポス十二神の戦いの歴史が記されていたの。
そこで超神を知ったのだけど。
その中にデルピュネの名前だけでなくエキドナの名も記されていた事を思い出したの。
「まさか真蛇とは失われしオリンポス史の魔物の転生だったと言うのか?」
太公望さんの知る太古の神話。
そこにあったデルピュネの記述。
かつてオリンポス最高神のゼウスは真蛇の王と激闘の最中、致命傷に近い攻撃を受けたの。
そこでゼウスの手足の腱を抉り出して、その力を急激に奪う事に成功した真蛇の王は娘のデルピュネにゼウスの手足の腱を奪われないように神託所にて守らせたの。
「まさに逸話通りと言うわけか?旧神こそ蛇神の始祖とはのぉ〜」
太公望さんは凝縮した漆黒の雷を掌にて構える。
「儂に出来る最高の一撃を与えよう。そして必ず滅っしてやる!この手でなぁ!」
太公望さんはデルピュネに向かって突っ込むと、その手から発する黒雷が打神鞭と融合する。
「我が最高の一撃!
打神鞭・神音」
その一撃は音速を超えた漆黒の雷撃。
直撃したデルピュネの身体に触れた場所から一気に蒸発しながら溶解して全身を消滅していく。
「如何なる防御も無意味。消えよ蛇神よ!」
黒雷からの奥義神音!
大嵐六尾が恐れた力。
神音からの黒雷がデルピュネの身体を鞭打ち跡形も無く消えた。
はずだった。
それでも太公望さんは印を結び警戒を解かない。
何故なら知っていたから。
蛇神の、真蛇の生命力、不死の厄介さを!
「肉片一つ足らず残してはならん」
そして微かに感じる蛇気を察知し、
「ふん!」
打神鞭に黒雷を纏わせ打ち出すと、そこに僅かに転がるデルピュネの肉片を消滅させる。
「!!」
しかし驚く事が目の前に存在していた。
それは太公望さんにとって信じられない状況。
それは宙に浮かぶ肉片だった。
直ぐ様、打神鞭を打ち込むけれど、
「なんじゃこりゃ〜??」
黒雷を帯びた打神鞭鞭打ちが逆に弾かれたの。
それでも諦めずに打ちこむけれど、肉片を覆う黄金の気が全く受け付けずに弾かれる。
「これは、まさか?」
その宙に浮かぶ異質な肉片から感じる力はデルピュネの蛇気とは異なるモノだった。
けれど感じる力は太公望さんを脅かしたの。
そして伝承からソレの正体を察する。
そこにデルピュネの魂の声が太公望さんに伝わって来たの。
「私は生前、超神ゼウスの身体の一部を与えられ番人となった。その際、前世のデルピュネはゼウスの手足の腱を体内に封じ込めて力を取り込んだのよ」
つまり宙に浮いた肉片は超神ゼウスの身体の一部だと言うの。
ゼウスとは全知全能の力を持った超神の王。
その肉片にも力の加護が備わっていたと言うの。
そしてその力は地獄の雷撃すら弾き返し破壊出来ないだけでなく、その肉片からデルピュネの身体が見る見ると再生していく。
「・・・なるほど。伝説の超神の王の力を手にした古の蛇神を相手にするとは、まさに歴史上の神戦の再来かの〜」
太公望さんはそこで両腕を垂らす?
見ると太公望さんの両腕が黒焦げ、腕を上げる事も出来ないような酷い状態だったの。
目の前には復活したデルピュネが太公望さんを見下ろす。
もう腕を上げる事すら困難だった。
そんな状況でも太公望さんは強がり笑む?
この状況で何で笑えるの?
すると太公望さんは小さく呟いたの。
「この儂が時間稼ぎしか出来ぬとは情けないのぉ。しかし後は若い者達に任せて退かせて貰おうか」
エッ?ソレって?
デルピュネが太公望さん目掛けて両手を蛇に変えて丸飲みしようと襲いかかる。
「!!」
その時、太公望さんの姿が消えたの?
「何処に消えおったー!逃げるなら構わないわ。この先の餌を全て平らげるまでよ」
デルピュネが離れた人間達の要塞に目をやった時、
目の前に新たな戦士が姿を現していたの。
「太公望殿、後は俺達に任せてください」
「うむ。情けないが後は頼むぞ?」
「任せて下さい」
その戦士は青い甲冑を纏った天界の武神。
「また美味そうな獲物が自ら迷い込んできたのね」
デルピュネは口から涎を流すと、
「オラも悪食らが、お前みたいに見境なくないら」
「!!」
さらに上空に灰色の雲に乗った別の戦士が叫ぶ。
その者は褐色の肌の少年だった。
そして中央からもう一人?
その戦士が近付くに連れて辺りの温度が上がる。
歩く度に残る足跡が燃えている?
炎を纏うその赤髪の少年。
「どうやら間に合ったようじゃな。スーパーアムリタの効果が目に見えるほど分かるぞ」
それは今の今まで、スーパーアムリタの効果で目覚めなかった顕聖二郎真君さん、八怪、紅孩君だったの。もしかして本当に紅孩スーパーアムリタでパワーアップしたの?
任せて良いのよね?
後は頼むわよ!
そんなこんな。
次回予告
スーパーアムリタの力で二郎真君、八怪、紅孩児はどうパワーアップしたのか?
そしてその力はデルピュネに通用するのか?




