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隔世異伝・転生記~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
女子高生蛇神討伐編~黄金の瞳編~
321/713

エキドナの卵!

真蛇王エキドナは倒した。


しかしエキドナは自分の卵を既に飛ばしていた。


私は法子。

真蛇王エキドナは倒された。

しかし、その最期に最後の力を振り絞り真蛇の血を絶やさぬように玉子を何処かに向かって飛ばしたの。既に激闘の中で消耗していたナタク達は飛んで行く卵を見逃してしまった。

しかしそれは産まれてしまえばエキドナ級の真蛇が誕生してしまう。

飛ばされた真蛇の卵は物凄い勢いで向かっていく。

しかしその飛んで行く目的地は分かっているの。

産まれた蛇神は腹を空かす。

だから餌が大量にある方向へと飛ばされた。

そして今、餌(人間・妖怪・神族等)が大量にいる場所は限られていたの。


北の地、そこには今蛇神襲撃から逃れた地上に生きる全ての生存する者が集った聖域があるの。

巨大な結界を張った要塞を造り、蛇神に対抗するレジスタンス的な組織があったの。

卵の接近に気付いている者がいた。

「こちらに向かって来ておる。かなり速いな。もう間もなく到着するだろうな」

しかも落下地点は結界の中の要塞の中央。

そんな所にエキドナ級の化け物が出現してしまえば確実に恐ろしい事が起きてしまう。

予想出来る被害は尋常じゃない。

「ならば軌道を変えるのみよ!」

その者は生存者全てを総指揮していた太公望さん。

エキドナとの戦いを離れたこの地より千里眼で事の次第を全て把握していたの。


この私みたいにね?

ちなみに私は覇王の城の地下牢獄で一人、遠視の水晶を通して見ているのよ?


太公望さんは指を交差させて大地に陣形を創り出すと、強力な地属性の防御壁を大地から山のように盛り上がらせながら出現させたの。

「防御結界・鉄壁鉱山」

すると上空から燃え滾る隕石のような、間違いなくエキドナが飛ばしたであろう真蛇の卵が物凄い勢いで落下して来る。

そして太公望さんの出現させた山のように巨大な防御結界に衝突する。

「うぐぅううう!」

もし結界が破られてしまえば被害は計り知れない。

さらに卵から誕生してしまえば、もうなすすべが無くなってしまう。

決して破られれてはならない。

「重ね重ね足すとするかのぉー」

太公望さんは片手で受け止め、もう片方の指で陣を描くと魔法陣が地表に出現して新たな結界の山が盛り上り玉子の落下を食い止める。

「こぉんのぉー!」

そして両手を組み換えして投げたの。

すると卵は軌道を逸して安全な場所に落下し、轟音とともに爆風が襲う。

「まだ落ち着ける状況ではないぞ」

太公望さんの偉業を見ていた影の一族達が飛び出して真蛇の卵が落下して場所に駆け付けると数十人がかりで印を結び封印を始める。

「まだ外に出る前なら!」

影一族は封印術には長けていた。

だから長のカナルさんの合図で幾重にも厳重な封印を施す。

それは石化封印だったの。

かつて影一族にも三体の伝説級の蛇神を封じていた結界があり、千年近く閉じ込める事に成功していたの。一度封じて身動き出来なくしてしまえば、後は存在を消滅させる手段を時間をかけてでも行えば良いのだから。

「ぬっ?ま、まさか!?」

しかし卵から発する強烈な覇気は産まれ出てもいなくとも激しく動き暴れだす。

そもそも中に存在する蛇神は千メートル級の超化け物。

かつて封じていた蛇神よりも遥かに高異種。

「くっ、堪えろ!結界が破壊してしまえば終わりだぞ!」

太公望さんが叫び影一族の皆も更に力を籠める。

と、その時!

仲間達から叫び声が聞こえ、見ると卵に亀裂が入り、その隙間から蛇気が漏れ出して封印を施している影一族の呪術者達を殺気だけで存在を消し去っていたの。その禍々しい力は亀裂が大きくなるほど肌身に悪寒とともに感じる。

「む、無理なのか?我々では?」

同時に卵が炸裂して爆風とともに封印を施していた者達が障気に当てられ肉は溶け、骨が塵と化していく。このままでは全滅?

「お主ら!退けぇー」

それは太公望さんの指示。

先程の卵の軌道を変える程の結界で体力を使い直ぐに立て直せなかった太公望さんが駆けつけ、仲間達の生存を第一に優先する。

「どうやら最悪の展開じゃな」

太公望さんは直ぐに腰の宝貝を握ると神気を籠めて上空に向けて振り回すと空が曇り出して雷が太公望さんに向かって集まり始める。


「神雷・打神鞭!」


振り下ろされた無数の雷が亀裂の入った真蛇の卵に向けて打ち下ろされたの。

「!!」

しかし雷は割れた卵の中より出現した蛇神より放たれた覇気に打ち消される。

そして遂に最悪の状況、新たな真蛇が誕生してしまったの。


「産まれたばかりだと言うのに全て分かる。母エキドナより承った知識が吸収されて来るようだ。蛇神としての本能、生きるために必要な事。自分自身が何者なのか?そうか、私こそ真の王。覇王に成り代わる大地母神真蛇王デルピュネの再来だと!」


デルピュネ?

その姿は上半身が雌の姿で下半身が龍のような大蛇の姿をした化け物だった。


「エキドナが私をこの地に送り届けたのは、この狩り場にて栄養を摂取し、力を蓄えろと言う事。あの城から弱々しいが多数の餌の匂いがする。先ずは食事の時間としよう」


すると生き残ったレジスタンスの要塞に向かって歩き出す。

ズズズー。ズズズー。と、引き摺るようなその一歩一歩が死へのカウントのように聞こえる。

「とんでもない化け物が現れおったのぉ〜。全く儂も誤算だったよ。これほどとはのぉ〜」

太公望さんは正直、逃げ出したかった。

デルピュネから感じる殺気は歴戦の偉神と名高い太公望さんでも萎縮するほどだったから。

「それでも儂が退けば守れる命も助からないのなら、やるだけやるしかなかろうな」

その手に握る宝貝・打神鞭に雷気が纏われる。

「ほぉ?威勢の良い餌が自分から食べられに来るとは見上げた奉仕だ。先ずはソレから喰らうとするとしよう」

「!!」

すると太公望さんの眼前にデルピュネはいた。

今の一瞬で間合いに入られたの?

「瞬雷足」

太公望さんは一瞬出遅れたけれど直ぐに気を取り直して後方へと瞬間移動する。

「がはっ!」

しかし太公望さんの仙衣が散るように破れ、皮膚が裂けて血が噴き出したの。

まさか、今の一瞬で何かされたの?

「あ、危なかったわ」

太公望さんは自らの身体の点検をする。

血は流れたけれど致命的な傷はなかった。

「ほぉ?かなり濃縮で美味な味だ。もう少しいただくとするか」

デルピュネは指に付いた太公望さんの血を舐めて獲物(太公望)を見る。

「クッ!?」

するとまた間合いに入られたの。

今度は油断せず太公望さんは躱して打神鞭を打ち出す。

雷がデルピュネの周りを覆い、同時に雷撃が四方向から放たれ直撃したの。

「こんなんで私をどうにか出来るなんて滑稽」

デルピュネを中心に覇気が全方向に解放されると、その濁流のような蛇気が離れた場所から囲んで状況を見ていた影一族の皆を吹き飛ばしたの。

「う、うわ?うわあああ!」

身体を蛇気の瘴気に侵蝕された者はそのまま塵と消えて、その魂は全てデルピュネに吸い込まれていく。

「お主らは退け!このままでは蛇に力を与えてしまうだけじゃ!城壁にまで戻り、強固な結界を張るのだ!」

太公望さんの指示に影一族の戦士達は頷くと、足下の影に沈むように消えて戦場から離脱する。

「さてと、どうすっかな〜」

太公望さんは勝つ手段が見えなかった。

封印も破られ、攻撃も効かない。

足止めしようと時間が来れば自分を倒して城が襲われてしまう。


どうしたら?



その頃、エキドナの卵を飛ばされたのを許してしまった金禅子達にも急展開が起きようとしていたの。

「あのエキドナの卵は放っては置けんな。仕方ない。処分しに向かうぞ!」

金禅子の指示に八妖達が従う。

しかし恵岸行者さんが止める。

「待て!金禅子!私との約束を忘れたとは言わせんぞ?」

「オイオイ?空気読めよ?真面目君。世界の敵になる俺の方がマトモじゃねぇか?」

「うるさい!」

「仕方ねぇ〜な。よく聞けよ?」

と、その時だったの。

突如、金禅子に向かって突進して来た者が剣を突き刺して来たの!

「!!」

誰もその者の気配に気付かず反応出来なかったの。

突き出された剣は確実に心臓を貫いていた。


「がはっ!」


胸から大量の出血に吐血し倒れる

えっ?何事よ??

侵入者の正体は、まさかの!


軍蛇覇蛇!

その者の突き出した剣は、金禅子ではなく金吒さんの心臓を貫き、そして振り抜いたの。大量の血を流し膝を付き倒れる金吒さんを、青褪めた恵岸行者さんが抱きとめる、

同時に金禅子が命じたの。

「そいつを生きて帰すな!」

軍蛇覇蛇を囲む八妖達。

でもどうしてこの地に軍蛇覇蛇がいるの?

「俺の用事は済んだ。お前達に用はない」

軍蛇覇蛇の目的は金吒さんを殺す事だったの。

「お前?何のつもりだ?ソイツは俺の客人。無事に帰らすと思うか?」

金禅子の目は怒りが籠められていた。

金禅子と金吒さんは兄弟弟子の間柄だった。

すると軍蛇覇蛇は呟いたの。

「こいつが俺の反面世界の半身での間違いないようだな」

「!!」

反面世界の半身?

その言葉を聞いた金禅子はその意味を知っていて狼狽していたの。

そう言えば白蛇王も女帝九蛇をそう呼んでいたような?

どういう意味があるのかしら?

「お前、それを何処で知った?誰から聞いた?」

「お前に答える義理はない」

金禅子を相手にせずに立ち去ろうとした軍蛇覇蛇の道を塞いだのはナタクだった。

「お前は俺が斬る」

兄である金吒さんを斬られ、完全にキレたナタクが軍蛇覇蛇に斬り掛かっていた。

しかし軍蛇覇蛇は剣でナタクの剣を弾き逸らすと、そのままナタクの顔面に突き出す!!

「クッ!?」

しかし軍蛇覇蛇の剣は止められたの。

それは本人の意思とは関係なく軍蛇覇蛇自身に?

その時、ナタクは軍蛇覇蛇の姿から有り得ない姿を見たの。


「そ、そんな馬鹿な!?」


その隙にナタクは軍蛇覇蛇に胸元を蹴られて仰け反り、その間に軍蛇覇蛇は上空へと飛び上がると空間が歪んでその中へと飛び込み姿も気配も消えてしまったの。


同時に金吒さんの魂も消え、恵岸行者さんの叫ぶ声が響き渡った。


そんなこんな。


そんなこんなじゃないわよ~!!

次回予告


デルピュネを相手に太公望が単身挑む!


しかし真蛇を相手に太刀打ちするすべはあるのか?



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