今こそ跪け!金禅子の実力!?
恵岸業者と金禅子との因縁。
けれど状況はそれどころではなかった。
私は法子。
真蛇王エキドナの口から出た言葉?
「あぁ!う、産まれるわ」
脈打つ心音、湧き上がる高揚感。
それはエキドナの出産。
しかも大蛇王級の出産時よりも駆け廻る強さが違うのが分かる。
これは先程白澤の血を大量に得た事が促進剤となり起きている現象。
「うふふ。もう直だわ!もうすぐで妾が君臨者となるのよ!妾こそ始祖の真蛇なのよ!」
その異様な空気の変化に金禅子は気付く。
「百眼魔王、何が起きている?」
百眼魔王が魔眼でエキドナの身体に起きている状況に気づき身震いしていたの。
「ありゃ、不味い状況だ。あの雌蛇、産む気だぞ?それもとんでもない力を待つ蛇を!」
「そうか。なら早急に決着をつけねばならないな。その前に」
金禅子は指を鳴らすと幻術で姿が消えていた白澤が弱りきった姿で現れる。
「霊感大王、治癒してやれ」
「仕方ありませんねぇ〜。聖獣の気は確か〜ほぅ。こんな感じだったですかねぇ」
霊感大王の身体から妖気が消えて代わりに聖獣の気が覆っていく。そして治癒と一緒に白澤の身体に流し込んだの。見る見る傷口が塞がり消えかけていた魂が蘇っていく。霊感大王はありとあらゆる種類の気を体内で変換して使いこなす事が出来る特殊な能力者なの。
本当にとんでもないメンバー揃えてるわ。
「うぐぅわああ!」
そこに百眼魔王、霊感大王の後援支援を失いエキドナの圧倒的な力を前に弾き飛ばされて金禅子の前に顔面から転げて倒れたの。そして顔を見上げながら、
「やっぱ、強すぎだぜぇ〜旦那~」
泣き言を言う九頭駙馬。
それでも立ち向かう黄牙白象はエキドナに二本の角を伸ばして攻撃するが片手で受け止められ掴まれる。
「我が子の生誕に煩いわ〜」
エキドナは片手で黄牙白象を軽々と持ち上げて床に叩きつける。そして目から放たれた蛇気の矢が前方の混世魔王の腿を貫き動きを止め、背後に迫って爪を立てる九霊元聖の顔面に後頭部をぶつけ、ふっ飛ばしたの。何て出鱈目な強さなのよ!
けれどエキドナは子供を産む前にやって置かなければならないと感じていた。
先程から肌身に感じている金禅子の存在を危惧していたから。
そして彼もまた危惧していたの。
「お前は何をするつもりだ?」
金禅子の前にナタクが塞がり問う。
「フッ、俺はこの世界を滅ぼす者!そしてお前もいずれ俺の成すべき事の為に必要となる。だから今日ここで死なせるわけにはいかないのでな?黙って見ていてくれまいか?」
「ふざけるな!」
「そうか、ならお前にも手伝って貰うぞ?」
「なっ!?」
まさか自分を使うと言い切る金禅子にナタクは呆気にとられる。
と同時に分かったの。
「お前なら、あの化け物を倒せるのか?」
その問いに瞼を一度綴じて答える。
「無論だ!奴は俺の前に跪く」
それは勝利宣言だったの。
「ならお手並み拝見といこう。もしお前が危なければ俺は自由に戦わせて貰う。良いな?」
「構わん」
すると金禅子は霊感大王に命じる。
「霊感大王、ナタクも回復してやれ」
「えっ?この天界神に私が?」
「やれ」
「わ、わかりましたよ〜金禅子様」
嫌々ながら霊感大王は今度は自らの気を神気へと変換させるとナタクに回復の気を注ぎ込む。
「んなぁ??」
その時、霊感大王は信じられない顔でナタクを見たの。
注ぎ込んだ神気の容量が異常だったから。
十分に満タンになる容量を流し込んだはずなのに全開になるどころか、例えるなら枯れた大木をジョウロで濡らした程度しか入らなかったから。
そう。そもそも今まで動いて戦っていた事事態奇跡だったの。
覇王に敗れ、瀕死の状態からスーパーアムリタで回復はした。
したけれど、それはナタクの全回復にまで達していなかったの。
そもそも宝貝の身体にアムリタの効能が効き目悪かったのかもしれない。
しかもその後の蛇神要塞での連戦。
恐らくは今の今まで無理していたに違いないわ。
「とんだ化け物ですよ!けれど全回復させれば金禅子様の助けにはなりそうですねぇ!」
霊感大王は全力でナタク回復に努めたの。
そしてエキドナの前に金禅子が立つ。
「お前は何者ぞ?妾への害物なのは見て取れる。しかしお前から感じるその力は何なのじゃ?」
その問いに金禅子は指さして答える。
「お前らさんの天敵だよ!そしてお前は俺の前に跪くだろう」
「うふふふ。天敵だと?お前のような下等な者がですか?滑稽で笑えますわ!」
「勝手に笑えよ?クソババア!」
「カッ!!」
エキドナは怒りにその身を任せ激情で飛び込むと金禅子の間合いに入り首を跳ねようと手刀を振るう。
誰もその動きを捉えられないと思われたの。
けれど、
「やはり只者ではないな」
それは回復中のナタクだったの。
ナタクは先に超神速の壁を破った事で動体視力が異常に成長していた。
そしてそのエキドナの動きに合わせるかのように金禅子はエキドナの手刀を掴み受け止めていた。
「まさか、そんなまさか!?」
エキドナは驚愕したの。
金禅子から感じる異様な気が自分自身の本能を揺さぶり、そして震わせる事に。
「教えてやろう。これが世界を変える力だ!」
金禅子の金色の前髪が揺れて覗き見えるのは金色に光り輝く、瞳の輝きだったの!
その変化に魔眼のプロフェッショナルである百眼魔王は呟く。
「あれぞ数万とある魔眼の頂点として統べる金色に光り輝く魔眼、救世の魔眼だ・・・」
金色の魔眼?
救世の魔眼??
魔眼が発動した金禅子から発する力はエキドナを怯ませ、そして萎縮させたの。
「やはり、お前は邪魔だぁー!あの、あの男と同じなのかぁー!!その忌々しき眼を持った男と!」
あの男?
その魔眼発動と共に飛躍した金禅子の変化にナタクも驚きを隠せないでいたの。
「伝説の金色の魔眼だと?」
けれどエキドナもまた並の蛇神ではなかった。
真蛇王と呼ばれる始祖の蛇神の末裔。
君臨者の力を持つに相応しい蛇神なのだから。
同時に金禅子とエキドナの力が拮抗するかのように衝突して激しく要塞城が揺れ動く。
信じられないような現状。
今の今まで手も足も出なかったエキドナに対して力負けしていない金禅子の勇姿。
謎に包まれていた金禅子の真の力が遂に見られると言うの?
そんなこんな。
次回予告
金禅子はエキドナを倒す事は出来るのか?
そして蛇神出産を食い止められるのか?




