金禅子と恵岸行者の因縁!?
エキドナ相手に自爆を止めたのは?
私は法子。
真蛇王エキドナを相手に絶望的状況の時、ナタクの自爆を止めたのは六人の討伐対象の妖怪達。
そして遅れて現れたのは金禅子。
その存在感にエキドナは不穏な空気を察し、自分の目的を阻む可能性がある目の前の敵に殺意を抱いたの。けれどけれど、それより先に殺意を持って襲い掛かったのは恵岸行者さんだったの??
「こんぜーん!」
抜刀と同時に飛び込み、その剣が金禅子の首元に迫るが、その太刀は割って入った者に止められる。
しかもその者は?
「何故、私の邪魔をするのですか?金吒!」
止めたのは兄である金吒さんだったの。
まさかの兄弟喧嘩?
「コイツには世話になっているのでな。今は殺させるわけにはいかないのだ。俺の顔を立てて剣をおさめてはくれまいか?」
「兄上の頼みでもそれは聞けませぬ。その者が天界で何をしたか御存知なのでしょう?」
「・・・」
それは天界で起きた事件。
かつて漆黒の破壊神が天界を攻め込んで来たどさくさに起きた天界の国家を揺るがし政権が変わる程の大事件。最高仏神・釈迦様の暗殺!!
その実行犯こそ、釈迦の弟子であった金禅子。
そしてその現場を目の当たりにした証人こそ恵岸行者さんだったの。
この事件後、恵岸行者さんは地上界へと逃げた金禅子を追い天界を降りて地上界に移り、単独金禅子討伐に出向した。そして目撃情報を得ながら今日まで生きて来たの。
「決して許さんぞぉー!」
金禅子登場に恵岸行者の邪魔が入り、エキドナを足止めするのは手下の七体の妖怪達だった。
しかもナタクとの三つ巴。
「妾はあの邪魔者を始末するゆえ、邪魔をする事は許さぬ!」
強烈な覇気がナタク含め、七体の手下妖怪達を押し潰す。
本来ならこれで終わっていた。
けれどナタクは力付くで弾き返す。
が、同時に七体の妖怪達も弾き返したの!
「妾の圧力を返しおったの?」
同時に九頭駙馬と混世魔王が飛び込み攻撃を仕掛ける。
「馬鹿な!無謀だ!」
けれどエキドナの放った爪を残像の如き動きで躱して、間合いに入り込み同時に妖気を籠めた攻撃を放つ。エキドナは素早き動きで移動すると、後方に移った三人に斬撃を繰り出す。
しかしそれも残像と化して消えて本体は離れた場所に移動して間合いを取る。
「妾の動きを見抜いておるのか?ありえん」
するとナタクは気付く。
離れた位置から異種的な妖気を感じ取る。
百眼魔王、霊感大王、黄眉大王。
この三人の妖怪は後方支援なのね!
しかも特殊な「防御陣形合術」を発動していた。
三人は妖気を同調させると百眼魔王の魔眼が開き部屋全体に百の眼が散らばっていく。
さらに仲間達の身体にも眼は貼り付き同調する。
百眼魔王の瞳は全方向からエキドナの攻撃を見ているの。
そして百眼魔王のみならず仲間達にもその動きの全てが「見て」取れたの。
更に同調する霊感大王は百眼魔王の能力を強化し動態視力を増して、同調する仲間達にも霊力が注ぎ込まれて体力、回復、肉体全てが向上する。
最後に黄眉大王の幻術がエキドナの攻撃全てを幻惑で当たらないようにしていた。
そこに戦闘連中が四方から攻撃しているの。
「小蝿がブンブンと鬱陶しい」
その連携された戦いぶりを見ているナタクは正直驚いていた。
この妖怪達を束ねているのが金禅子。
かつて天界の闘技場で親善試合として兄の恵岸行者さんが戦っているのを一度見た事がある。
噂でも聞いていた。
釈迦如来が特別に弟子にしたと聞いている。
その実力は謎に包まれていたけれど兄である恵岸行者さんとの一騎討ちでは底知れぬと感じた。
けれどそれ以上に策士だと。
天界戦場盤(戦争シュミレーションゲームみたいな物)では過去に太公望さんが打ち上げた連戦記録を超えた唯一の策士だとか。直ぐに太公望さんが記録を塗り返したけれど、金禅子はその後記録更新をしなかったために真の勝敗は分からずじまい。
ナタクも幼き日に戦場盤を触ってみたけれど、二人の記録には及ばず第三位に留まったままとか。
そこで気付いたのは太公望さんが軍策を巧みに使うのに対して、
金禅子は軍を育て成長させ最強の駒として指揮する事に長けていた事だったの。
「あの妖怪達をゲームの駒のように育て上げたと言うのか」
その金禅子は今、因縁ある恵岸行者さんとトラブっていたの。
恵岸行者さんがムキになる理由がもう一つ。
恵岸行者さんの師であった聖観音さんが何者かに洗脳されていた事実。そして漆黒の破壊神と呼ばれた恵岸行者さんの弟弟子だった遮那[今の八怪]と相討ち、命を落としたの。
全てが謎と陰謀に包まれたこの一件の全ての真実を知るのは金禅子。
そして今、ついに目の前に現れた金禅子に対し恵岸行者さんは感情を露わにしていた。
「普段冷静なお前が、金禅子の事になると激情に駆られるのな。なら俺の屍を越えていけ!」
「そこまでか?金吒!」
二人の空気が重く変わる。
けどけど今ここで二人が争ってる場合じゃないわ!
そこに金禅子が言葉を入れる。
「やれやれ。やはり抉れたか。だから顔を出すの嫌だったんだよ俺は。お前(恵岸行者)がいるの分かっていたからな?」
「キサマ!」
「お前に提案しよう。その蛇を片付けたら俺は逃げも隠れもしない。そしてお前が知りたがっている事を全て教えてやろう。これはお前にとって一石二鳥だろ?もし拒否して感情のまま俺と争えば、蛇はのさばりお前は俺に殺される。何も良い事ないぞ?」
「何だと!」
も〜う!
正論なんだけど言い方にトゲ有りすぎよ!
喧嘩売ってるみたいになってるじゃないの?
「ならもう一つ与えよう」
金禅子が差し出し手に握るのは水晶玉。
「何だ?ソレは?」
金禅子は水晶玉を放り投げると恵岸行者は手に取り、それが何なのか気付く。
「コレはまさか?」
すると金禅子は恵岸行者の隣を素通りして告げたの。
「ソレを信じるかどうかはお前次第だ。ただ今は目の前の共通の敵を倒す。込み入った話しはそれからだ」
恵岸行者さんは全ては納得出来ずにいたけれど、渡された水晶を手に握りしめ答えたの。
「良かろう。決して逃げるなよ!」
「へいへい」
金禅子の背を睨みつける恵岸行者さんの隣いた金吒さんは真面目な顔付きで告げる。
「奴は口下手だから誤解されやすいが、心底腐ってはおらん。釈迦様の教えを学んだ兄弟子の俺が一番知っている。だから今は堪えてくれ」
「クッ」
そして金禅子は現在戦っている手下の妖怪達を見て溜息をつく。
「やはりあの蛇神を相手に鵬魔王と黄風魔王が抜けたのは無理があったか?」
そう言えば鵬魔王と黄風魔王は何処?
二人は今、この蛇神要塞の外に黄眉大王の幻術で惑わされ入って来れなかった蛇神兵数十万の軍勢を相手に二人だけで戦っていた。大蛇王級はもういなくとも、五十メートル級の蛇神兵や特殊な能力、腕の立つ蛇神兵は数えきれないほど残っていたの。
もしエキドナを倒せたとしても、満身創痍の状態でこの蛇神要塞から無事に帰還するためには雑魚でも倒して置かないと無事でいられないから。帰り際に襲われたら意味ないもんね?
で、喧嘩した二人にその始末をやらせたようなの。
猛毒の障気が疾風の竜巻を起こし、燃え盛る業火が蛇神兵を寄せ付けないでいた。
「お前らぁ!気合い入れなければ分かってるな?」
金禅子の叱咤に手下の妖怪達は青褪める。
けれどエキドナにもまた変化が?
「ウフフ。う、産まれそうだわ」
えっ?えっ?えっ?
何が産まれるですって?
そんなこんな。
次回予告
金禅子と手下の妖怪達参戦でエキドナに勝てる見込みは?
そしてエキドナに起きているのは?
金禅子と恵岸行者の因縁はこちらで語られています。
唯我蓮華~破壊神と呼ばれた少年~
https://ncode.syosetu.com/n1872dg/




