天界三兄弟と猛毒の拳!
真蛇王マダムのいる場所に向かうためには、
大蛇王を全て倒さないといけない。
しかし中にいる竜吉公主と白澤の身に危険が?
私は法子
真蛇王マダムの要塞城での激闘。
金禅子の手下が大蛇王を撃破している中、地下でもナタク、金吒さん、恵岸行者さんも戦っていたの。
「金吒兄上?どうして貴方が?」
「木吒、久しいな。俺の可愛い弟達がピンチの時に、顔出し禁止を破って助けに来たのだよ」
「この戦いが終わった後、詳しく話を聞かせて貰いますよ?」
金吒さんの恵岸行者さん(木吒)の会話に割り込むようにナタクが注意を促す。
「兄上方、話しは後だ!」
「そうだな。俺達兄弟が揃った今、負ける気がしない」
「行きますよ!」
三神は神気を同調させながら高め始める。
「天界の連中は八つ裂きにする」
「マダムに捧げよ!」
「俺が喰らう!」
大蛇王モルツ、大蛇王ガウ、大蛇王スビエ。
三体の大蛇王が同時に襲いかかって来たの。
「カッ!!」
三兄弟は同時に踏み込み大蛇王達の攻撃を左腕で受け流し、右手刀から身を翻し顔面に回し蹴り、そして着地と同時に掌打で弾き飛ばす。
まるで鏡で写したかのような三人に動き。
「樹縛」
恵岸行者さんが印を結ぶと足下から植物の蔓が伸びて大蛇王達に絡みつき動きを止める。
「光の百神弓」
金吒さんの後光が百本の弓と変わり三体の大蛇王を狙いを定め、金弓を射ると同時に、百本の神気の矢が放たれたの。
無数の光が大蛇王達を貫く!
「お、おのれぇー!」
光の矢が全身に刺さった三体の大蛇王達は正確に視神経を貫かれ激痛に悶える。
「ナタク、決めよ!」
金吒さんと恵岸行者さんがナタクの背に神気を籠めると、ナタクの構える剣が光り輝く。
恵岸行者さんは風気、ナタクの炎気と雷気。
そして金吒さんの光の気は二人の攻撃力をより濃縮に強化させていく。
「合気術・加属強大剣渦!」
※カゾクキョウダイケンカ
同時にナタクは抜刀していた。
爆発的な力の渦が三体の大蛇王の逃げ場を塞ぎ、その斬撃が大蛇王の再生力を上回る威力で圧倒していき全身を超高速で削り取っていく。
「うぎゃあいああああ!」
神気の濁流が大蛇王三体をまるごと消滅させ、地下の壁を貫きトンネルをも作った。
本当に何て威力なの!?
ナタク達三兄弟は見事な連携で三体の大蛇王を撃破した。
「や、やったようだな」
同時に天井が崩れ始める。
「とにかく今はこの場から脱出だな」
金吒さんの言葉に二人は頷く。
けれどまだマダムの部屋の扉は開かない。
そういえばまだ姿を現していない大蛇王が一体残っているはず?
あれ?もしかして?
金禅子はまだ戦っている二つの戦いを見ながら思っている事は?
「あの二体のどちらかが最後の鍵なのか?」
その戦いとは九蛇王コブラと黄風魔王。
そして海蛇王トグロと九霊元聖。
「まさか大蛇王達が次々と倒されてると言うのか?こんな雑魚の連中を相手に?そんな馬鹿な事あるかよー!」
コブラは怒り叫ぶ。
「大蛇王達はまだ稚魚のようなモノ、まだ経験も力量も未熟。俺とお前のように成熟してなかったからな?敵もまた多少やるようだ。油断するな?」
トグロは冷静に分析し答える。
大蛇王達はその強力な力はあるがマダムより産まれ日が浅かったの。
それに比べコブラとトグロは初期に誕生した百メートル級の大蛇王。
コブラのように魔導覇蛇の下に身を潜めその正体を隠しながら先に経験を積み、学ぶ事で他の大蛇王よりも一回り強力な力を持っていたの。
「とりあえずその二体を何とかしろ?時間がない。先に向かわせた竜吉公主では、この奥の親玉相手に長くは保たないだろうからな」
気楽に命じる金禅子に黄風魔王は溜息をつく。
「まったく、面倒な奴に飼われたもんだ」
黄風魔王は思い出す。
それは私達との激闘の後、生死不明のまま生きていた黄風魔王はこの世界を滅ぼすか否かを見定めるために一人旅に出たの。
その前に現れたのが金禅子一行。
金禅子は黄風魔王の前に出ると、言いつける。
「お前、その腕を俺の手下として使え」
流石に黄風魔王も呆気にとられる。
「お前が何者か知らないが僕は何者ともつるむつもりはない。消えてくれ」
「我が儘だな?」
とっ?とっ?とっ?
我が儘はどっちって話よ!
そして再び道を塞いだの。
「去らぬなら命がないと思え。僕は手加減が出来ないし、それに」
黄風魔王の身体から猛毒の障気が立ち込める。
その障気に近づくだけで生命が枯れていくほどの猛毒なの。
それでも黄風魔王の前から退かぬ金禅子に、
「どうやら早死にしたいようだな」
黄風魔王の一帯が真空状態になる。
黄風魔王は強力な風術と毒術の使い手なの。
この中では何者も生きてはいられない。
けれど金禅子は平然としながら口パクする。
ん?
あっ!真空状態だから聞こえないのね?
けれどその口の動きはこう伝えたの。
「神の前に跪け!」
「!?」
直後、黄風魔王は膝を付き動けなくなる。
それは神圧による押し潰す力に強引に膝を付かされたの。
しかもその神圧はとても強力。
あの阿修羅と互角にやり合った黄風魔王を嘘でしょ?
でも黄風魔王は本気を引き出し立ち上がると風を巻き起こして本気で攻撃を仕掛けたの。
「良いだろう。力の差を示した上で、扱き使う」
その後、金禅子の前に黄風魔王は倒れたの。
「お前の目的はこの世界を壊すかどうか見定めているらしいな?だったら俺と目的は同じ。利害一致しているなら俺達に動向しながら見定めるのも良いだろ?お前なら多少は特別待遇にしてやるぞ?」
「もし僕が世界を守ると言ったら?」
「反旗を翻すのも構わん」
「・・・」
そして黄風魔王は金禅子の手下になったの。
「世界を壊すか否か、僕が見定める前にお前達蛇の者に先に壊されるわけにはいかない」
黄風魔王の全身から疾風が吹き荒れ、九蛇王コブラを寄せ付けないでいたの。
「何なんだ?コイツは!?」
コブラは恐るべき強さを持つ黄風魔王に苦戦している自分が許せなかった。
「このぉおお!毒手・惨殺手指」
繰り出す手刀は鋭く激しい連打。
黄風魔王は無表情に受け流しつつ攻撃を返して来る。
しかも同じ毒手使い。
互いの毒手刀が激しく交差する。
九蛇王コブラは早くして魔導覇蛇の下に潜り込ませられた大蛇王だったの。
コブラは本来いた配下の九蛇を喰らいその姿を手に入れ、そこで反逆の意思があった魔導覇蛇の監視と研究の全てを盗んでいたの。魔導覇蛇の研究とは他の蛇神の能力を複製して配下に与える事。
そしてコブラが与えられたのは覇蛇の中でも上位種だった熔毒覇蛇の猛毒性だった。
この能力はコブラは好んでいた。
本来なら接近も許さず、触れたら最後、猛毒で悶え苦しみ死んでいく敵の姿を見るのが快楽だった。
本来なら対熔毒覇蛇を想定して与えられた能力。
にも関わらず自分の猛毒に触れても平気な相手が他にも存在するなんて信じられなかった。
「蛇神変化唯我独尊!」
コブラは蛇気を凝縮させ蛇神の鎧へと変える。
その鎧はコブラの形作った凶悪な姿をしていた。
「毒手が効かないのであれば力付くで始末し、その後は肉片一つ残さず喰らいあげ、俺の栄養にしてやろう。うへへへ!」
さらに力の差が開く相手に黄風魔王は何も感じなかった。
なにせ、
「かつて僕が戦った者はお前より遥かに強く、そして勝てる気がしなかった。それは彼の持つ意思の強さに僕は負けた」
それって阿修羅の事?
「それに今、僕を所有している金禅子は・・・」
黄風魔王は首を振り、それ以上言葉を止める。
すると黄風魔王の頭上に十本の呪憎剣が出現して宙に浮かぶ。
十本の呪憎剣が一度に降り注ぎ黄風の身体を貫くと、その脈動が激しく脈打つ。
「呪憎変化唯我独尊」
その姿が鋼色の魔神と化す。
コブラは黄風魔王の変化に全力で立ち向かわねば危険だと判断する。
お互いの全力の気が衝突し合う。
「お前を狙い撃つぜ!」
蛇の獲物を狙った時、その速度はゼロ距離からの超速度の接近からの殺傷力。
気付いた時には命が狩られて胃の中に収まり消えていく。
「シャアああああ!」
コブラが先に動いていた。
黄風魔王は微動だにせず、その攻撃に対して腕を上げて差し出したの。
「アガっ!?」
コブラの手は蛇の頭のように変わり黄風魔王の腕に噛み付いていた。
「馬鹿め?それで受け止めたつもりか?このままお前の腕を噛み砕いてやろう」
しかし黄風魔王は平静に答えたの。
「掴まえた」
「へっ??」
掴まえたのはコブラの方。
けれどこの場合、動きを止められた事に気付く。
噛み砕く牙が黄風魔王の腕から抜けなかったの。
それは二人を覆う気流。
「ゾクッ」
一瞬、冷や汗が全身を襲った。
黄風魔王の逆手に気流が真空を作り出していたの。
その気流は吸い込むようにコブラを逃さず、
「真・黄砂強風の拳」
その奥義が炸裂した。
かつて黄風魔王を育てた虎先鋒の奥義で真空を生み出し相手を引き寄せてからの突きが敵を貫き滅ぼす。その技に孫悟空ですら手を焼いたの。
黄風魔王の拳は掴んだコブラの腕を通して内部から炸裂させていく。
「ヒイッ!いやぁあああ!」
九蛇王コブラは内部を貫く真空の拳に貫かれ、そして内部から塵と化して崩壊したの。
けれど、マダムの部屋の扉は開かれてない。
マダムの部屋の扉を開けるには十体の大蛇王を倒さないとならなかったんだけど、九蛇王コブラはその鍵じゃなかったのね?
そうなると最後の蛇神は、海蛇王トグロのみ。
その海蛇王トグロを相手にしているのは、私達が過去に遭遇していない妖怪だったの。
九霊元聖
その妖怪の実力とは?
そんなこんな。
次回予告
九霊元聖、その実力と過去が語られる。




