金蝉子の八妖!
真蛇王マダムの要塞での戦い
そこに金蝉子の手下達が迎えうつ。
私は法子。
真蛇王マダムの要塞で起きている戦い。
どこもかしこも激しさを増す。
大蛇王三体に対して妖怪である九頭駙馬、霊感大王、混世魔王が混戦状態のバトルを繰り広げる。
「マジ強いよ?コイツら〜慎重な俺にもう少し時間欲しかったマジに!」
「泣き言ですか?九頭駙馬さん」
霊感大王は掌を合わせて妖気を放つ!
「いやいや、うちの旦那(金蝉子)の方が恐いから、これ本気」
「それは否定出来ませんね」
そこに混世魔王が二人に向かって怒鳴る。
「お喋りしてる暇あるなら手伝え!」
棍棒を振り払いサガラ、カンペリ、ネクロコの大蛇王達を寄せ付けない。
何だかんだで強いわ!
この三妖怪連中。
そして通路を出た先の場所では大蛇姿だった大蛇王ダンが人型となって足を付く。
「象か?お前?ウスノロ妖怪のくせに何て馬鹿力だ!信じられん」
「俺、象違う。マンモスだ」
妖恐・黄牙白象は大蛇王・ダンと力比べをする。
太古の化け物と百メートル級の大蛇。
どちらもヘビー級よ!
蛇だけに?
そして城内城先を単独で向かった大蛇王ボルグ相手に百眼魔王が戦う。
凄まじい攻撃の連続攻撃を受け流し躱す百眼魔王。
「この俺の百の眼にお前の攻撃は全てお見通しだ」
何か敵だった時は厄介だったけれど、今は頼もしいかぎりね?けど、味方とも言えないのかな?
そして地下で戦うのは三体の大蛇王に対してナタク、金吒さん、恵岸行者さんの天界三兄弟。
最後にお茶を飲む金蝉子さんにお代わりを入れる黄眉大王が言葉をかける。
「また厄介な蛇が近付いて来てますよ」
「気付いている。お前が相手するか?」
「無理ですよ〜私、戦闘向きじゃないので〜御勘弁してください金蝉子様」
「チッ」
すると金蝉子の前に二体の蛇神が姿を現したの。
「ママの家に虫が湧いて出てるじゃんかよ〜?大蛇の連中は何してるわけ?」
「よく見ろ?贄に使うには上級品だ。大蛇の連中は力こそあるが力のコントロールが下手だからな。持って来た餌は全てミンチ状態だからマダムには噛み応えがなくて困る」
「確かに!やはり生きたまま健を切って動けない所を腕から順に噛み砕くのがグルメだと同感よ!」
その二体の蛇神は九蛇王コブラと、海蛇王トグロ。
マダムの側近。
その実力は大蛇王を上回る力を持ち、残虐さは非情だったの。
「ヒィえええ〜」
脅える黄眉大王にお茶をすすり落ち着く金蝉子は二人の実力を踏まえた上で、
「他の連中では相手にならんか」
と、実力差を分析して溜息をつく。
そのような金蝉子の態度にコブラが近付き眼をたれてきたの。
「なら親玉のお前が相手してくれるんだろうな?良いぜ?お前みたいな口だけ大将はよ〜く知ってるんだ。俺はよ〜アッ?」
それって魔導覇蛇の事よね?
すると近付きながら腕が変色していく。
「先ずはお前の喉元切り裂き、泣きべそかかせてやるからよ!」
それは蛇神の毒手。
しかも九蛇王コブラは魔導覇蛇の下にスパイとして潜り込み、その覇王の血を奪うとともに知識も手に入れていたの。コブラが手に入れた能力は熔毒覇蛇の猛毒。
微かにでも触れたら最後、猛毒に侵され毒死する手刀。
「覇蛇の毒手!」
突き出された毒手が金蝉子の眼前に迫る。
微動だにしない金蝉子は呟いたの。
「止めるなら奴の臭い息がしない場所で止めやがれ!」
コブラの毒手は何者かに腕を掴まれ止められたの。
「俺の毒手に触れたな?お前、タダでは済まんぞ?ぎゃはハハハ!」
しかし腕を掴んだ者はコブラの腕を捻じ曲げ、もう片方の腕で腹部を突き、嗚咽させる。
「て、てめぇ〜!」
その者はコブラを見下ろし答えたの。
「お前の毒がどうしたって?」
すると気付く。
その者からも猛毒の障気が立ち込め、その腕はコブラと同じく毒手である事に。
あれ?あれ?あれ?
その人、いや?妖怪を私は知っていた。
「黄風魔王!」
まさか彼まで金蝉子の所にいたなんて。
黄風魔王もまた私達が旅の途中で戦い苦戦した妖怪だったの。
因縁から孫悟空を倒し、阿修羅と激闘の末倒した大妖怪。
けれど鈎蛇王との戦いの時には加勢してくれて、そのまま行方はわからなかったのだけど。
「おい?コブラ?何を遊んでいる。そのような雑魚は早急に片付けろ!」
海蛇王トグロが見兼ねて近付こうとした時、その行く手を阻むのはまた新たな妖怪だったの。
「お前の相手は俺がしてやるぜ?」
ん?獅子の頭をした妖怪?
百獣王さん?
ち、違うわ?
同じ獅子頭だけど違うみたいね。
その妖怪の事は私、し、知らないわ!
けれどその妖気は半端なかったの。
「九霊元聖!お前も働けよ?せっかく金蝉子様が干支十二宮殿より命を与えてやったのだからな〜」
九霊元聖?
黄眉大王が先輩面して命令するけど、獅子の妖怪に睨まれて萎縮し金蝉子の後ろに隠れる。
干支十二宮殿って私達の知ってる?
これは追加情報なのだけど、金蝉子は私達が制覇した干支十二宮殿の残骸から再構築させ、そこの番人だった九霊元聖を自分の配下として手に入れていたの。
「ふん!俺は暴れられれば良い!」
まさに目的の一致での関係。
それは黄風魔王さんも同じなのかしら?
「これで俺の八妖が揃ったわけだ」
八妖とは、
黄風魔王
九霊元聖
百眼魔王
黄牙白象
九頭駙馬
霊感大王
混世魔王
黄眉大王
それにしても金蝉子。
こんな強力な妖怪まで手懐けるなんて、一体何が目的だと言うの?
本当に世界を壊すつもり?
それなら私はいずれ戦う運命なのかしら。
そんなこんな。
えっ?
まだ終わらないの?
場所は変わる事、異空間宝貝である虹貝の中の空間。
その空間には僅か三人のみ。
孫悟空、阿修羅と太白金星仙人。
この場所で太白金星仙人の下で孫悟空は再修行していたの。
けれど阿修羅は時の鏡の中に消えてしまい、孫悟空は阿修羅の帰りを待ちながら鍛え直していたの。
あの日戦った覇王には手も足も出なかった。
必ず再び合間見えるに違いない。
その時、必ず勝つために!
仲間達を守るために!
強くならないといけなかった。
阿修羅だけに任せていてはいけない。
自分も強くならないと!
しかし手段は?
「孫悟空。お主は既に成長期を超えておる。恐らくスーパーアムリタを飲もうと潜在能力開花は見込めんじゃろう」
太白金星仙人は孫悟空の力の限界を伝えたの。
「関係ねぇよ!俺様は強くなる。意地と根性と努力、そしてガッツだぜ!」
孫悟空はガッツポーズを見せる。
「愚か者!だからお主も一緒にこの虹貝の中に閉じ込めたのじゃ!予言しよう。お主は必ずこの戦いで生き残れん」
太白金星仙人は星見の予言を何度も何度も試して見ては孫悟空の生存の可能性を探ったの。
それでも全て指し示す。
孫悟空の絶対的な死を!
「儂はお主を死なせたくはないのじゃ」
太白金星仙人は孫悟空の肩に手を置き、その目には涙を浮かべて訴える。
その想いを胸に孫悟空は答えたの。
「俺様は死なねぇ。いや、俺様はダチを生かすためならこの俺様の命をかけられる!」
「!!」
太白金星仙人は驚く。
まさか孫悟空の口から自分以外の者のために命をかけて戦うなんて言葉が戻って来るなんて、夢にも見なかったから。
「お主、そこまで。本気のようじゃな?」
「最初からそう言ってるだろ?」
太白金星仙人は涙ぐむ。
孫悟空の成長。
それは全て「あの者」との出逢いがあったから。
「なら賭けるとしよう」
「賭けだと?」
太白金星仙人は新たな宝貝を出現させたの。
「こ、これは??」
それは阿修羅を時へと送った鏡に似ていた。
「俺様も阿修羅のいる場所に行くのか?」
「ちゃうわい。お主にはもっと相応しい場所がある」
「はて?」
すると鏡は孫悟空を吸い込み始めたの。
「ちょっと待てぇ〜?ちゃんと説明しやがれぇ〜」
孫悟空は鏡の枠に掴むも、
「行って学んで来るのじゃ」
すると孫悟空の指先を鏡の枠から開かせ、鏡の中へと落としてしまったの。
「うっわぁあああ!」
まるで水洗便所に流されるように孫悟空は鏡の中へと消えて行ったの。
「さてと可愛い弟子を送り出すのは胸熱じゃのぉ。寂しくもあり、期待に胸膨らむ。きっと儂の予測する未来を壊す力を手に入れ戻って来ると信じておるわい」
そして太白金星仙人は虹貝の外の景色を見て呟く。
「彼奴らが戻るまでの時間は、この儂が稼いでやろう。戻る場所が無ければ寂しいだろうしのぉ〜」
今、この虹貝の結界の外には蛇神の軍隊が囲んでいたの。
しかもその数は数万の軍。
そして指揮していたのは新たに覇蛇となった、修蛇覇蛇だったの。
「例え隠れていようが無駄な事だぜ!白蛇の巫女の言うとおり見つけた。奴らがいるはずだ!この俺の血を騒がせた奴らがなぁ!」
今、新たな地で別の戦いが始まろうとしていたの。
そんなこんな。
次回予告
敵か味方か?
金蝉子の八妖達の戦いは更に激しくなる。




