西の脅威?真蛇王マダムの要塞への侵入!
太公望に頼まれ、目覚めたばかりのナタクが向かった先は?
そこに待ち構えるは新たな脅威だった。
私は法子。
私はナタクの動向を覇王の蛇神城の地下牢獄から千里眼の水晶を通して見ていたの。
太公望さんとナタクの会話から察するに、現在西の地に新たに現れた蛇神城へ偵察に送った者の消息が途絶えたとか。しかもその偵察に向かった者ってのがナタクの実兄で沙悟浄の師匠でもあった恵岸行者さんだったの。
「あの兄上に限って心配ないと思うが、良かろう」
ナタクは言葉とは裏腹に西の地に現れた蛇神城に向かって準備もせずに飛び立ったの。
やっぱり心配なんだわ。
場所は西の大地。
そこは既に蛇神の襲撃に殆どの国や村が滅ぼされていたの。
そして西の地で生活していた人間や妖怪達は囚われ、蛇神城へと連れ去られる。
何キロにも続く行列。
それこそ蛇のような長者の列。
手首を鎖で繋がれ、裸足で歩かされているの。
向かう先は西の蛇神城の貯蔵庫。
そこで待っているのは望みなき餌として運命。
「早くマダムに運べ!」
貯蔵倉庫には埋め尽くす程の人間や妖怪達が関係なく入っている。そこに押し込まれるように捕らわれた者達が詰められる度に、その先にある飛び降り台のような一本道に押し出され、落下して行くの。
悲鳴が響き渡る闇の底。
その底には巨大な口を広げた雌蛇が待ち構え落下して来た者達を飲み干していく。
「うみゃいうみゃい。むしゃむしゃ」
その大柄な蛇神こそ北の地を支配している真蛇王マダム。
マダムは喰らった後、その膨れ上がった尻から次々と卵を産み出したの。
卵はひび割れ、その中から狂気のような眼が見え隠れし殻を破り新たな蛇神が誕生していく。
そうマダムは蛇神を産み出す女帝だったの。
さらに側近には海蛇王トグロと九蛇王コブラ、さらに並の蛇神よりも強力な兵力が数万と揃う。
そして恐ろしくは蛇神城を囲むように百メートル級の大蛇が十体、柱のように護っていたの。
中央の地の覇王の蛇神城をも超える難攻不落の要塞と化していたの。
海蛇王トグロがマダムの部屋に入り伝える。
「マダム、覇王様の伝令の者が参っています」
「覇王からかい?食事中にヤボだねぇ〜」
仕方なくマダムは大きく吸い込み落下して来る人間達を一気に飲み込み腹に貯めたの。
マダムが王の間の椅子に座すると、目の前に覇王の伝令の蛇神が入って来たの。
「俺の名は蛇皮。新たに六尾を任命された。そこで、真蛇王マダムよ!覇王様より中央の蛇神城へと急ぎ出向せよとの命令だ」
「はて?何故、妾が覇王の命令を聞かねばならぬのだ?」
「はっ?お前、何を?覇王様の命令だぞ?当然ではないか!即刻、覇王様のもとに向かい忠義を示せ!良いな?」
するとマダムは欠伸をつくと、
「妾は真蛇の血統じゃ。確かに覇王殿には血を頂戴し覚醒もしたわ。けれど覇王の下僕に成り下がったつもりはないぞ?」
「マダム!お前、覇王様に反旗を翻すか?」
すると蛇皮は両手に剣を抜く。
「!!」
が、それより先に海蛇王トグロが背後に現れて蛇皮を掴まえようとする。
「マダムに刃を向けたな?」
「おのれ!」
蛇皮の剣は蛇気を凝縮させトグロの身体を斬り裂く。
が、しかし剣はトグロの強固な身体を前に粉砕してしまったの。
さらに気付く。
「ぐわぁああああ!」
自分の腕が切り落とされ足下に落下したの。
「おいおい?それでも六尾かよ?」
斬ったのはコブラだった。
「い、いつの間に?」
しかし全身に悪寒を感じた。
身体が金縛りに合ったように動けない?
「妾は食事中だったのに邪魔されご立腹でお腹空いてしまったのよ〜だから責任取りなさ〜い」
「えっ?あ、う、いやぁああああ!」
その後、蛇皮はマダムに生きたまま丸飲みにされて噛み砕かれてしまう。
今、この地点で覇王とは別の新たな勢力が現れたの。
それは当然、私達にとっては味方になるはずない脅威として。
分かる事は、この真蛇王マダムは覇王に匹敵する力を持った真の女帝だったの。
さらに恐ろしき計画がある。
地下牢に繋がれし白き衣の若き男。
全身傷だらけで弱っていた。
それでもその身に宿る力は凄まじく抜け出そうとするけれど、蛇神の強固な結界に閉じ込められていた。
この者はマダムの配下を総動員して捕らえさせた。
それほど重要な者だったから。
「白澤」
白澤を捕らえる事は難しく、今も特殊な結界で力を抑えられていた。その結界もまた偶然にして手に入れた神仙の能力を強引に引き出させ白澤を閉じ込める結界のためだけに生かされているの。
その生かされている神仙こそ太公望さんに頼まれ情報収集のため潜入して消息不明だった恵岸行者さんだったの。
まさか捕らわれていたなんて!!
そして白澤をマダムが必要としているには意味があったの。
この白澤は特殊な聖獣。
王を選定し、見分ける能力。
そしてもう一つ。
白澤をマダムが食する事で百メートル級を数百から数千以上、若しくは千メートル級の蛇神軍を産み出す事が出来ると言うの。
しかし今はまだ食せない。
白澤の防衛本能が許さなかったから。
だからこそ今は徐々に弱らせ、防衛能力を失わせた後、じっくり食すための準備時間なの。
もしそれが叶われてしまったなら、間違いなく手を付けられないわ。
そこに今、ナタクは到着した。
ナタクは太公望さんに白澤の事、そして兄である恵岸行者さんの事を聞かされていた。
「任務は二人の救出。そして蛇神討伐」
恐らくは救出が与えられた任務。
討伐は個人的な追加なのかな?
マダムの蛇神城は円状に広範囲に広がり、七重の壁に閉ざされ、唯一扉のある門が存在する。その中心には離れた場所からでも見て取れる十体の巨大な蛇神が守護しているの。更には城を守る蛇神兵も並の蛇神よりも優れた力を持っていた。まさにキングダム(王国)。
それも随時覇王へ送り出していた蛇神兵は全て失敗作で、マダムは優れた蛇神は全て手元に置いていたから。数で言えば覇王の軍よりも難攻不落。
ナタクは気配を消して城塞に入り込む。
「臭うよ〜臭う〜」
「!!」
ナタクの存在に気付いた蛇神が忍び寄り襲いかかって来たの。
「俺の気配に気付くとは」
ナタクは攻撃を躱して剣を抜く。
「斬!」
しかし蛇神はナタクの剣を躱して口から牙を飛ばしたの。眼前に迫る牙を紙一重で躱したナタクは更に動きを加速して間合いに入ると、蛇神の身体を下方から上方に向けて斬り裂く。
「うぎゃあ!」
さらにナタクは剣に雷気を籠めて網状に振り払うと粉々に切断されて消滅する蛇神。
「下級でコレか。多少厄介だ」
城塞へ向かうには先ずは七重の壁に閉ざされた門を通らないといけないの。
その門番は七蛇将と呼ばれ、マダムの直属の最高傑作だと言うの。
「太公望の情報通りだな」
ナタクが蛇神中央に向かうには通らなければならない障害。壁には次の道に繋がる門の中に空間があり、そこに七蛇将の一人が陣取る。
瞬光の移動足。
ナタクは見張りの蛇神兵に気付かれない移動で門内へと忍び込む。
そして門を抜けようとしたの。
「どうやら楽には済まないようだな」
ナタクの前に強力な蛇気を発する者が道を塞いでいたの。
七蛇将の一の門。
「七蛇将・蛇足」
上半身は人型で下半身が蛇の尾を持つ蛇神。
その尾を鞭のようにしてナタクに攻撃して来たの。
ナタクは素早い動きで躱すも徐々に傷を負う。
それでも間合いに入り抜刀したの。
「!!」
しかしナタクの剣は蛇足の鱗の前に止まる。
「どうやら剣は効果ないようだな?」
ナタクの剣が衝撃で砕け散ったの。
「愚かな侵入者よ?この俺の強固な鱗と、俺の尾鞭はお前をミンチにするだろう」
ナタクはその尾に弾き飛ばされ壁際に衝突する。
「多少腕が立つようだがお前は俺に触れる事も叶わぬ。そしてミンチにした後、マダムに美味しく食して貰うとしよう」
鞭のようにしなる尾の追撃がナタクに直撃したの。
そしてナタクに尾を絡ませ宙吊りにする。
「素速く動ける程度の虫ケラは掴まえてしまえば脆く容易く、壊れ安い」
締め付ける強固な尾がナタクを苦しめる。
「ウォオオオオ!」
ナタクが放電し雷が打ち続けるもビクともしなかった。
蛇足の身体に雷は通用しない絶縁体なの。
それでもナタクは雷撃を倍速で打ち続ける。
「無駄よ!無駄無駄!俺の身体に雷撃は通用せん」
「無駄だと?なら味わうが良い」
ナタクの魂が神気を高め雷と同調する。
「神雷気光」
その雷は締め付ける蛇足の身体を内部から放電し内部破裂させたの!
それは絶縁体の容量を超えた雷撃。
どのような絶縁体であろうと許容範囲を超えた時、
絶縁破壊が起こるの。
ナタクは地に足を付くと、蛇足を見る。
「お、おのぇええええ!」
全身血まみれの焼き焦げた状態にも関わらず、蛇足は起き上がって来たの。
「しつこい蛇は嫌われるぞ?」
すると更に雷が止む事なく蛇足に振り続け、その身体を完全に消滅させた。
これが闘神ナタクの実力だったの。
そんなこんな。
次回予告
ナタクの要塞侵入に恐ろしき能力を持つ蛇神が待ち構える。
単独のナタクは兄、恵岸行者と白澤を救出出来るのか?




