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隔世異伝・転生記~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
女子高生救世主編!
30/711

天下の野望、豊臣秀吉の強さ?


三蔵 法子の弟、三蔵 勇斗の相手は?


あの天下人!


豊臣秀吉であった。


俺は三蔵 勇斗!


俺が今戦っているのは、あの歴史的に有名な豊臣秀吉なのだと言う。


織田信長に次ぐ有名な戦国時代の天下人だ。


それが俺の相手なのか?


農民出身の木下藤吉郎が織田信長の後を継ぎ、天下統一を果たしたと言う。


しかし、それは秀吉には強き野心があり、そのための努力を欠かさない男。


貫き通す信念の果てに天下を手にしたのだ。



俺は既に秀吉の策に嵌まっていた。この秀吉の戦法はまさに兵法。秀吉を中心に血が大地に根のように伸びている。それは城塞を守る結界の如く俺を近寄せてくれなかった。


足場は既に奴の術中。


なら上空は?見上げるけれど、血が網のように張り巡らされドームのように覆っていた。もう袋の中の鼠?逃げ場がない状態だった。


しかも俺の霊力がじわじわと減っていくのが解る。この中で干からびるように力を失っていくようだな?


秀吉は迂闊に手を出しては来なかった?


俺の霊力が完全に失ってからのつもりなのか?


まさに…


兵糧攻めか…



「どうじゃ?この秀吉の力の前では無力であろう?」


「この後は、なぶり殺されるのか?」


「どちらでも構わん。望みなら首を跳ねて、その頭蓋骨を儂の茶碗にしても構わんぞ?」


「断る!茶碗になってたまるか!」


だが、俺の霊力は既に尽きかけていた。良くて最後に一発、奴の顔面に殴り付ける霊力くらいか?これをカミシニの弱点である太陽神の加護を籠めた術札を使って叩き込む。


つまり残り一発か?


秀吉もそれに感付いてか?俺に声をかけて様子を見ているのか?カマをかけているんだな?


「なら、やるだけやるか!」


俺は張り巡らされた罠のある一帯に足を踏み出し、秀吉に向かって一直線に駆け出した。


足下から無数の血の矛が串刺しにせんと俺を襲う。俺は傷付きながら躱して、秀吉の真っ正面にまでたどり着いた時!


「お主の限界は儂のいる天下には一歩足りなかったようじゃのう?」


「ぐうう・・・」


「安易じゃのう?儂に近付けばより多くの霊力が失われるのじゃ!もう指先一つ動かせまい?」



俺の身体から霊力が完全に尽きて、指を動かす事も出来ない状態だった。


確かに…


俺は手にした太陽神の加護が籠められた術札を握ったまま、秀吉の前で動けなくなっていた。


「ホレ?」


秀吉は俺の手にしていた術札に向けて血を振り掛けると、術札は腐るようにボロボロと朽ち果てた。


「俺、万事休すか?」


「中々面白い余興じゃったぞ?楽しめたわい。しかし天下人を相手にするには数百年は早かったようじゃのう?」


「天下人ねぇ?天下人だった奴が今は再び信長の下についたのか?」


「………」


「所詮は二番煎じの天下人が偉そうな事をぬかしてるんじゃねぇーよ!」


「本にそう思うか?小僧よ?儂が本に信長様に劣っておると?」


「何を言ってやがる?」


「なら、教えてやろう?どうして儂が老いた肉体で甦ったと思う?」


確かに果心居士により甦った他の者達は若い肉体を与えられた。カミシニの器が他になかったと言うなら、過去の偉業で言うなら秀吉にこそ若い肉体を与えられてもおかしくないはず?なのに何故?


「果心居士だけでなく、信長様も儂を恐れておるのじゃ!儂の野心にのぉ?確かに信長様はカリスマ性に秀でておるが、儂は覆す力を持つ…如何なる逆境も覆し、我が手中におさめる才に秀でておるのじゃ!それが信長様の儂を恐れるべき理由。それが儂をこのような老いた肉体に留めた理由じゃ!」


「………」


「じゃが、儂はこのような器でも…再び天下を取るつもりじゃ!ホホホホ!」



だから秀吉は果心居士カの誘いに乗った。このカミシニの肉体を与えられる時に絶対服従の契約をするのだ。信長にだけでなく果心居士に絶対服従の契約をする。他の門番もまた魂が縛られ、逆らったり謀叛を起こそうとすれば魂のみ消滅するのだと言う。


秀吉もまた魂が縛られているにも関わらず、謀叛を考えて無事でいられるのは、魂が拘束された後に魂の拘束のカラクリに気付いたからであった。


「儂は自らの身体を調べあげたのじゃ!肉体を分解し、血の能力を見極め、果心居士が儂らに施した拘束の術に少々手を加えさせてもろうたのじゃ」


「成る程、今は信長達に動かせて置いて、時を見て反逆をするつもりなんだな?そういうの何て言うか知ってるか?」


「何じゃ?」


「ハイエナ…いや?小判鮫と言うのか?あはは!」


「…さぁ、もう良いかの?その首を貰うぞ?」



秀吉が指先を俺に向けると、指先から血が鋭い針のように伸びて来て俺の額を貫いた!


「!!」


…ように思われた。


「どうなっておる?」


秀吉の血は俺の額に届く寸前で軌道を変えた?


「まるで儂の血がお前に触れるのを拒否したかのようじゃ?」


すると俺は残された霊力を口の中に入れていた術札に籠めると、札が光って霊力が回復する。


「太陽の加護の札は消されたが、保険に口の中に含ませていた札はバレずに助かったようだな?」


「じゃが、攻撃の手段はなかろう?」


「どうかな?」


瞬間、何かが左右から迫り油断していた秀吉の身体を傷付けた。


「ぐぅおおお??」



秀吉はそこで気付く。俺から今までと違う異様な力が発せられている事に?


その何かが俺を貫く血の槍を逸らさせたのだと。


「何じゃ?お前は?」


俺を中心に何かが音を立てて回転している。


「あんまりこの力には頼りたくはなかったが…この力もまた俺の力…」


「?」


「俺の血もまた忌まわしき魔力を持っていてな?神を喰らう魔性の血なんだってよ?しかもこの俺の血はお前達のカミシニの血とは反発するようだぜ?」


俺は指先を噛むと血が流れる。その血はまるで蛇のような動きを見せる?


「俺の血は神を喰らう蛇神の血!」


『蛇血鞭』


俺の指から流れる血は二匹の赤い蛇となって、俺はそれを鞭のように扱う。


「どれ?試してみるかのう?」


秀吉を中心に地面から血の槍が突き出し、俺を襲う。俺は蛇血鞭を振り回し、向かって来た血の槍を打つと蒸発させ消滅させる。


更に地面が盛り上がって目の前に秀吉の血で出来た門のような壁が幾つも出現する。気付けば迷宮のようになっていた。


「どれだけの血有量なんだよ?」


俺は完全に閉じ込められた。秀吉の奴は俺の出した蛇血鞭を見て警戒しているのだろう。先ずは近付けさせずに観察する。何処までも用心深く、策略家だ?


「だけど、俺は遊園地なんかの迷宮脱出は得意なんだぜ?」


俺は壁の右側に手を置きダッシュする。


こういう迷宮は手を壁につけ、離れないようにしながら歩いていく。そうすると、どんな迷路でも必ず出口にたどり着くってもんさ!


が…


「あれ?」


壁が新たに追加されて迷宮がどんどん変わっていく?


「反則だろ!」


秀吉は俺のジタンダに大笑いしていた。


「かっかかか!猿知恵じゃのう?その壁も飛び出す槍も儂の血より作り出された物じゃ!追加出来て当然じゃろ?」


「真っ向勝負しないで高見の見物かよ?全くやりずらいぜ!」


「それが勝つために学んだ儂の兵法じゃ。そう最後に生き残った者が勝者であり、一度でも負ければそこで終わりじゃ!」


「………」


「小僧?生き残るために必要な物が三つあるとしたら何と答える?」


「迷宮の次は謎なぞか?」


「安心せい?隙をみさせて不意討ちはせん。ちょっとした世間話じゃ」



俺は秀吉の雑談に乗って話を聞いてみる。


生き残るために必要なモノ?三つ?


「力と仲間と勇気か?」


「若いのぉ?なら自分より強い相手と戦う場合はどうじゃ?今のように単独で戦う場合はどうじゃ?勇気なんてもんは一時的に輝く蝋燭の灯りみたいなもんじゃ」


「じゃあ、何だって言うんだよ?」


「急かすな?先ずは『知る事』!己を知り状況を知れば今出来る事と出来ぬ事を見極める事が出来る。それに如何なる状況でも選択を誤らぬ判断が身に付く。そしてどのような窮地でも決して諦めぬ『野望』じゃ!」



「全く意味が解らないな?」



「ふふふ。どれ?かつての後輩に一つ昔話をしてやろうかのぉ?」


「後輩?俺が?」


意味が解らなかった。俺が秀吉の後輩って何の事だ?


すると秀吉の口より衝撃的な言葉が俺に告げられた。


「儂は小僧と同じ元総本山側の闇部隊じゃよ!」


「!!」


総本山の闇部隊とは?


現役では坂上田村麻呂さんが指揮を取る暗殺刺客部隊で、名前の通り少し言葉に出来ない裏の仕事を受け持っていた。


秀吉はその昔、木下藤吉郎と名乗っていた頃に、その末端として働き、その任務で信長暗殺に送り込まれた刺客だったのだ。しかし…


信長の人を惹き付けるカリスマ性に心を掴まれ、自分の任務も忘れて付き従うようになる。


「否、ここで儂は判断したのじゃ。己にとって何がしたいのか?闇に潜み暗殺をする人生を送りたいのか?それとも…表舞台に出たいかを!」


だが、総本山の暗殺刺客であった木下藤吉郎には力も無ければ何もない。そこで信長に従い、一つ一つ権力を手に入れていく。そして表舞台に秀吉の名が広まったのだ。


当然、総本山の裏切者として自らに刺客が向けられたが、秀吉もまた己を知っていた。影で自分を守らす

忍を組織し、自らも怠らず修行を積み、総本山の刺客を返り討ちにしたのだ。


野心が自らを成長させ、見極める目が判断力を養う。


「一度頂点に上り詰めた奴の言葉は説得力があるな?で?最後の一つは何だよ?」


秀吉は笑みを見せて答えた。


「運じゃよ?」


う…運?


「最後の最後に抽象的だな?一気に冷めたぜ!」


「わからぬか?運とは自らを成長させ、諦めずに足掻いた末に手に入れられる褒美なんじゃよ!切り開いた棘の道が困難かつ多ければ多いほど、その先に必ず目に見えてくるもんじゃ!」


「あはは…やっぱり解らねぇな?」


「今より死ぬ小僧にはどうでも良い話か?悪かったのぅ?儂は話が好きでのぉ?昔話も尽きた事だし…死なせてやろうか?」


「!!」


突如、俺の足下が崩れ、更に見上げる程の壁が俺目掛けて倒れて来たのだ。


「うわぁああああ!」


生き埋めになった俺を見届けた秀吉は、



「つい語りたくなってしもうたのは、儂がまだ人の道を完全に捨てきれてなかったせいかのぅ?ホホホ」



が、その時?


「んっ!?」


秀吉の血の瓦礫が蒸気を発して気化していく。そして中より血の蛇を振り回して秀吉の罠を消し去る俺が立ち上がる姿が?


「先人の有難い言葉は受け止めさせて貰った。だけど俺達の勝敗とは別だぜ?まさかもう勝ったつもりじゃないだろうな?秀吉さんよ!」


「まだ儂を楽しませてくれるか?小僧。なら、もう少し足掻いて見せよ?儂の血を騒がして見せよ?その…強き瞳で儂を貫いて見せよ!」



俺と秀吉の戦いはまだまだ終わらねぇよ!




次回予告


強敵、戦国時代を生き残るベテラン豊臣秀吉に若い勇斗に勝ち目はあるのか?



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