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隔世異伝・転生記~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
女子高生覇王蛇神編!
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覇王!

覇王の脅威に八怪も二郎真君もナタクも勝ち目がなかった。


そこに現れたのは西の地より牛角魔王と紅孩児が到着し参戦する。


私は法子。

難攻不落の覇王を相手に八怪、二郎真君さん、ナタクに加えて、紅孩児君と、その父親である牛角魔王さんが参戦したの。これって勝機じゃない?

「ウムム」

牛角魔王さんは初めて目の当たりにした覇王に全身鳥肌が立つ。

牛角魔王さんは相手の潜在能力を探る事に長けていて、それを見込まれて天界進軍の際は軍の戦力アップの為に訓練を任されていたとか。相手の弱点や優れた面を即座に見抜く牛角魔王にとって育てる事は転職だったのね。

そして覇王を目にして分かった事があるの。


「全員が束になっても勝てる気がせん」


妖魔王最強と噂される牛角魔王さんにそう思わせるほどの実力差。

それも全員でも勝てないなんて?

「手合わせせんでも分かる。何と身震いするほど恐ろしい力を秘めているのだ?今見える力はその一端、覇王とはこれ程のものなのか?」

覇王の覇気を肌身に感じた牛角魔王さんはその桁違いの力に身動き出来ずにいたの。

それでも唯一闘志を燃え滾らせる者がいた。

「お前がいなければ!お前さえいなければ!愛音は!愛音は!」

紅孩児君!

その怒りの激情に炎は同調し燃え盛る。

って、愛音さんがどうしたって?

私は知らなかった。

私達にあんなに優しくしてくれた愛音さんが蛇神の進軍に巻き込まれて既にこの世にいない事を。


「俺様はお前を許さねぇー!」


両掌から業火を発し覇王に飛び掛かる。

何て無防備な攻撃!?

「お前からも強き魂を感じるぞ」

覇王は攻撃を仕掛けて来た紅孩児君に対して拳を繰り出す。

その拳は威圧的に相手を怯ます圧があった。

本来なら萎縮し攻撃を受けて終了。

けれど紅孩児君は覇王の拳に合わせ炎の拳を衝突させて防ぐと、その踏み込みに力を増す。

「ほぉ?押し返すか?俺の拳を」

「お前は俺様が燃やし焦がす!絶対にだ!」

紅孩児君の身体が炎に覆われると、赤牛帝の鎧を見に包み、さらに踏み込みを増す。

「ウォおおおおお!」

拳から伝わる業火が覇王を覆う。

「カァアア!」

しかし覇王の覇気が全身に纏わりつく炎を打ち消し、目の前の紅孩児君に対して合わせた拳に更に力を込めて押し返し飛ばしたの。

「うわぁあああ!」

そこを八怪が受け止め助けたの。

「大丈夫らか?紅孩児」

「イテテ、有難うよ?ん?お前、誰?」

紅孩児君は自分の名を知る褐色の少年を見て悩む。

「オラは八怪ら!多少見た目は変わったらが、気にするなや?」

いやいやいや!多少じゃないから!

黒豚妖怪の八戒とは何もかも別人に見えるから!

けれど紅孩児君は頷くと、

「そっか?なら気にしないぞ」

って、本当に気にしないのね?

単純なんだか、純粋なのだか。

そこに二郎真君さんが前に出る。


「うぉおおおおお!」


しかし唯一動けないのは牛角魔王さんだった。

「俺の血が奴と戦う事を拒んでいる?何故だ?」

例え力の差が離れ勝てずと分かっていても、戦う事から逃れるなんて有り得なかった。

しかし身体がさん戦う事を拒否しているかのように牛角魔王さんを抑え込む。

「まさか俺が恐怖していると言うのか?本能が戦う事を拒んでいると言うのか?この牛角魔王が!」

牛角魔王参戦を残し、参戦紅孩児君を加えた八怪達が挑む。

その戦いを距離を取り、見ている者達がいた。


「また増えたわね?」

「覇王様は久しく身体を動かす事がなかったからな。あの連中なら簡単には壊れまい。それに我等が手を出せば俺達もタダではすまんぞ?」

「いやぁ〜ねぇ〜。私は傍観者で良いわ」

軍蛇覇蛇と妖輝覇蛇だった。

その時、白蛇の巫女もまた覇王の戦いを他所に見ていたのは私の方だったの。

「あの娘、またか?」

白蛇の巫女は危惧していたの。

それは分からない事があったから。

「確かに魔導覇蛇の奴を逃さぬために私は結界を張っていたはず。にも関わらずあの人間の娘は覇王様の前に現れ邪魔をしたわ。どうやって?確かに後から現れた連中なら私の結界を破壊出来よう。しかしあの人間の娘が現れたのはその前だったわ」

そして私を的にしたの。

「覇王様に楯突くこの場にいる連中で、あの人間の娘が唯一の不確定要素だ!」

そして私に向けて指を向ける。


「死魔通」

それは光線。

誰にも気付かれずに放たれた暗殺。

私も覇王と戦う皆の事に注意がいっていたために完全に死角からの攻撃だった。

それに気付いたのは、

「エッ?嘘?」

光線に向かって飛び出し全身を焼かれる魔導覇蛇の姿を見た時だった。

「うぎゃああああ!」

断末魔をあげながら魔導覇蛇は私を見る。


「あ、はは。身体が勝手に動いちゃった。僕の償いが、こんなんで許されるなんて思わない。けど、法子さんを救う事が世界を救う事に繋がるなら、それは意味があるって信じたい。あはは、僕も君と一緒に、正義の味方になりたか・・・っ」


えっ?

消滅する魔導覇蛇に私は目を見開いたまま動けなかった。

けれど私は光線の飛んで来た先の白蛇の巫女に向かって睨みつける。

その眼力は遠く離れている白蛇の巫女を怯ませたの。


「くっ!裏切り者の魔導覇蛇を葬ったことは良いが、あの娘!この私に向かって威圧だと!」


下等な人間の娘に威圧され怒りが込み上がる白蛇の巫女が新たに攻撃を放とうとした時、その攻撃を止めたのは軍蛇覇蛇だった。

「何のつもりじゃ?」

「今は覇王様の宴の時。そのような時に不粋な真似をする事が気を害すると分からぬではないだろ?」

「くっ!」

白蛇の巫女は覇王様の邪魔は出来ない事を棚にあげられた事で私への殺意を抑えこむ。

けれど私の怒りが収まらないわ!

せっかく助け改心出来たと思ったのに。

けれど今、私が飛び出したとして覇王と戦っている皆の集中力をかけば、それは皆の敗北に繋がる。

もし覇王一人に皆が全員でも手を余しているのに奴等が加わったら勝機は確実に失う。

私は拳を握りしめ堪える。

それは私を助ける為に身を呈して命を落とした魔導覇蛇を無駄死ににしてしまうから。


「絶対に、許さないから」


その為には皆に覇王を倒してもらわないと!

奴らはその後よ!

八怪、二郎真君さん、ナタク、紅孩児君が覇王を囲み呼気を整え、同時に踏み込む。

それは烈火の如き猛攻。

「面白い。血が躍る。良かろう!俺ももう少し覇気を上げさせて貰おうぞ?簡単に壊れるなよ」

直後、弾けたの。

「!!」

まるで空間が重圧に押し潰されるかのように四人へのプレッシャーが押し寄せたの。

「こ、これが覇王の本気なのか?否、奴の本気はまだ底が知れない」

誰よりも潜在能力の感知に長けていた牛角魔王は一人動けないでいたの。

「何人残れるか楽しみだ」

覇王は取り囲む四人の視界から突如消えたの。

「なァ?」

八怪の眼前に覇王が現れ、そして拳が振り下ろされる。

まるで隕石が落下するような迫力に八怪は負けじと拳を繰り出す。

「んがぁああ!?」

八怪は自分の拳の骨が砕けたのが分かった。

それでも負けずに押し込む八怪だったけれど、覇王は八怪の手首を掴み持ち上げ、逆手を突く。

「がはぁ!」

身体を貫く高熱を感じた時、それは激痛となって八怪の意識を飛ばして動かなくさせたの。

「その手を離せぇー!」

そこに二郎真君さんが飛び込むと、覇王の姿は消えて八怪がその場に落下し崩れるように倒れる。

「クッ!」

次に現れたのはナタクの前だった。


「神速抜刀!」


ナタクは反射的に覇王に斬り掛かる。

神速の剣は覇王の指で止められる。

「かつて俺を斬り裂いた闘神の剣技がこの程度のものだったとはな?これほど力の差が開くと恨みを晴らす気も失せ、虚しくも感じるぞ」

「お前、以前俺と?」

ナタクには身に覚えがなかった。

これ程の相手を忘れるはずなかった。

そもそも蛇神を相手にした事なんて・・・


その時、かつて天界で討伐した蛇神の血を持つ下級の武神の男の姿が浮かんだの。

「お、お前はあの時の?」

「思い出したか?ナタクよ?だが、次はお前が俺の前に這いつくばる番だ」

覇王の剣が閃光を放った。

「グッ!」

剣光はナタクの身体を斬り裂き、腕や足が両断され、

そして最後の一突きがナタクの胴と首を両断しようとした時、

「ウォおおおお!ナタクゥー!!」

二郎真君さんが割って入り覇王の剣を受け止める。

「殺らせん!」

「流石は英雄神の二郎真君だな?しかし俺の剣を受け止めるには足りん!」

押し込まれる覇王の剣が二郎真君さんに重圧をかけると全身の傷口から血を噴き出す。

「いい加減にしろぉーー!」

そこに紅孩児君が飛び込み、覇王に向けて飛び蹴りをするるけれど、覇王はその足裏を掴んで止める。

同時に二郎真君さんとナタクが崩れるようにゆっくりと倒れたの。

「お前を倒すのは俺様だぁー!」

「ん?」

すると覇王は紅孩児君の掴んだ足を離し、もう片方の手に握る覇王の剣で突きつける。

「こぉの!」

紅孩児君は咄嗟に炎を纏う逆足で蹴り上げて守る。

「ハァ、ハァ・・・」

一瞬の隙で命を落とす。

集中力を解けない精神力。

紅孩児君は短い間に驚くほど成長を遂げていたの。

そして覇王も己の手を見て興味を持って笑む。

「俺の手を焦がすか?」

覇王は紅孩児君に向けて敬意を見せる。


「良き炎だ。なら、この俺の剣で両断してやろう」


紅孩児君は全身が凍り付く感じがしたの。

まるで死が通り過ぎるような恐怖。

覇王がもう目の前にまで迫り、その剣が避けられない間合いに入られたから。

「あ、ぁあ!?」

振り下ろされた覇王の剣は紅孩児君に触れる事なく止められたの。

その間合いに割り込み剣を抜いて受けられた者によって。

「この俺の剣を見切ったのか?」

「確かにお前は強い。馬鹿げた力だ!しかし受け止められぬほどではない。この俺に限ってだがな」

その者は紅孩児君のお父さん。

牛角魔王さんだったの!


「父上!」

「さがっていろ!紅孩児」

「嫌だ!俺様も父上と一緒に!」

「さがれと言ったはずだ。覇王は俺が止める」

「!!」

その言葉の真意に気付いたのは紅孩児君。

「倒す」ではなく「止める」と言った。

それは勝てないと言う意味。

そして逃げるように伝える合図だったの。

「しかし父上なら・・・」

紅孩児君にとって牛角魔王が負けるなんてイメージすら出来なかった。

それに覇王の剣を止めた牛角魔王はすでに覇王の剣を見切っている。

「お前があの名高い牛角魔王か?」

「だとしたら?」

「手合わせしたいと思っていた」

「それは光栄だ!」

互いに剣を弾き距離を取り見合う。

しかし牛角魔王は焦りを感じていたの。

「先程の衝撃・・・」

腕と踏みとどめた足の骨にヒビが入っていた。

再生力を治癒に集中しつつ、全身に闘気を纏う。

「ウォおおおお!」

突進すると同時に全身が輝き霊亀の鎧を纏い二本の剣を手に覇王に斬りかかる。

最初から全力!いや、全力を出さなければ一瞬で決着がつくと分かっていたから。

覇王と牛角魔王の剣が衝突し交差し合う。

「やっぱ、父上は凄いや!」

目を輝かす紅孩児君にナタクを抱え、目覚めた二郎真君さんが言葉をかける。

「あの聖獣の強固な防御力が無ければ覇王の一振りの衝撃に耐えられずに全身破壊されているはず。それでも耐え忍んでいられるのは強い意思」

「!!」

そうなの。

紅孩児君を命懸けで守ると誓った奥さんとの約束。

それが天地ほど差のある相手だとて、己を縛る血の拘束を振り払い奮い立ち戦っているの。

「この俺と太刀を交わせるとは実に楽しいぞ」

「そうか?なら、そのまま満足しておっ死ね!クソタレが!」

牛角魔王は剣士としての実力は天界でも名が知れ渡っているの。

その経験値は戦場で生き抜くために培ったと言える。死と背中合わせの中で磨かれた剣。

しかし感じてしまったのは、この目の前の破格の強さを持つ覇王もまた、戦場で生き抜くための剣なのだと。そんな相手と戦うのは実にやりづらい。

「くっ!」

踏み込みと同時に蹴られた砂が顔面を襲う。

卑怯とも言える行為が当たり前のように繰り出され、次の動きが読めないのだから。

この戦いは技と技ではなく、命の奪い合い。

一瞬の判断ミスで意識が消される。

「ん?」

すると覇王の手が止まる。


「まだ隠し持っているな?分かるぞ?その力を見せろ!さもなくば次の一撃でお前を斬り裂き、そのままお前のガキも両断するだろう。良いな?」


「何だと!?」


牛角魔王は冷や汗を垂らす。

全て覇王の掌で回らされている。

覇王は実力の半分も出してはいない。

そして牛角魔王の実力を最大限に引き出させた後に殺すつもりなのだと。

そして牛角魔王も禁じ手を持っていたの。

それは自らの力を暴走させて引き出す力。


嘗て数百万の妖怪軍を率いた智将の英雄と名高い牛角魔王。

しかし誰もが知っている。

智将の英雄の字名は破壊の猛牛の字名があっての仮の姿なのだと。


「フッ!良かろう。俺も久しく本気って力を出していなかったな。だが出し惜しみ出来る相手とは思ってはおらぬ。見せてやろう!この牛角魔王の真の力を!」


その時、テレパシーが私達に伝わったの?

《逃げろ!》

それは牛角魔王が私達に送ったメッセージ。

間違いない!

牛角魔王は私達を逃がすために、


「この命、かけてやるぞぉー!」


それは紅孩児君の為に戦う父親の姿だった。

そんなこんな。

次回予告


牛角魔王の真の力の解放。


その力は覇王に通じるのか?

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