最強の六尾!交える白と黒の龍!
蛇神族の襲撃を受ける龍神界
その数倍の兵力に龍神界の英雄達が戦う!
四海龍王の戦いが始まる。
蛇神と龍神との戦争
太古より龍と蛇は共に忌み嫌われ、その起源の始祖は同じだとも言われていた。
しかし両者ともに枝分かれした文化を持った事から合間見えない関係になっていたのである。
その根本的な違いは世界を滅ぼすか、守るかと言う事であった。
蛇神の進撃に国を守る龍神軍。
その攻防は大将戦が鍵を握っていた。
今戦場には覇蛇に匹敵し六尾最強と言われている大嵐六尾の前に四海を統べる龍神族最強の二人の龍王、白龍王と黒龍王が全身傷付き倒れていた。
倒れている二人を見下ろしていた大嵐六尾は過去を思い出す。
嘗て覇蛇選抜の際、覇蛇になる資格と実力を備えていた者は僅か二人。
皇蛇王と大嵐蛇王であった。
そして覇蛇の霊薬をかけて二人は戦った。
その勝負は永く続き、いつ終わるかもしれない激闘を制したのは、皇蛇王であった。
敗北し、目の前に立つ皇蛇王に対し敬意を払い大嵐蛇王は喜んで死を覚悟した。
だが皇蛇王は大嵐蛇王を殺さずに、自分の下で命ある限り働けと命じたのだ。
大荒蛇王ほどの実力があれば新たな覇蛇となる事も可能であったが、覇蛇候補の六尾として皇蛇覇蛇の側近として仕える道を選んだのだった。
「この俺の敗北は主への忠誠を汚すと同意。お前ら如き蛇堕ちした異端種如きに負けるなど有り得ん」
動けぬ二人に見向きもせずに大嵐六尾は龍王城へと向かおうとする。
その先には?
「例え非戦闘の龍族であろうと皆殺しにする事が主の命令。一瞬で終わらせてやろう!」
大嵐六尾は腕を龍神城へと向けると凄まじい力が凝縮し始める。
放たれる力で龍神城の破壊を試みる。
「!!」
すると背後から高まる龍気を感じたのだ。
「ほぉ?まだ立てたか?」
立ち上がったのは白龍王と黒龍王であった。
「お前を行かせるわけにはいかない」
「何を勝手に通り過ぎてるんだ?こらぁ!」
二人は立ち上がると、その目は闘志に満ちる。
「龍神変化唯我独尊・白龍!」
「龍神変化唯我独尊・黒龍!」
二人は白と黒の龍神の鎧を身に纏い構える。
「どのみち消える命。この場を俺に気付かれずに息を殺し見過ごされるのを待つかと思えば、多少は誇りを持っているのだな?しかし俺には力不足!」
大嵐六尾から放たれる突風が二人を襲う。
「龍神突風!」
白龍王は黒龍王の前に立ち両掌を向けて突風の軌道を二手に裂いて身を守る。
「風を操るは私の役目!先はお前の圧倒的な力の前に遅れを取ったが、次はないと思え!」
白龍王は巻き起こる突風を空中で集めていく。
「暴風龍の散乱」
上空より竜巻が分散しながら龍の姿となって大嵐六尾に襲いかかる。
「蹴散らしてやろう!」
大嵐六尾は両手をあげると上空から降りてくる風の龍を寄せ付けずに消し去っていく。
「ふははははは!所詮、蛇神との力の差は歴然!お前達龍の民は滅び去るのが運命!」
が、その直後風の龍の中から黒い影が飛び出して来て大嵐六尾の間合いに入ったのだ。白龍王の風の龍を防ぐために両手を上げた状態では防御が間に合わない中で、それは仕組まれた策だと気付いた。
目の前に現れたのは黒龍王。
黒龍王は白龍の放つ風の龍の中に身を潜めながら大嵐六尾の間合いに入るタイミングを見ていた。
そして飛び出した今、決定的なチャンスを得る。
「黒龍の重力場!」
それは押し潰す程の重力が一気にのしかかり大嵐六尾の膝を付かせたのだ。
「一気に数十倍の重さを感じた気分はどうだい?そうそう味わえるモノではないだろうぜ?それから忠告してやる。手元がお留守だぜ?」
「!!」
直後、受ける両手の力が抜けて大嵐六尾の上空から白龍王の暴風龍が降り落ちたのだ。
全身をズタボロになった大嵐六尾は膝をついて二人の前に倒れる。
「強敵だった。だが戦いは終わってはいない。直ぐに赤龍王のもとへ向かうぞ?」
「あぁ、さっき青龍王の気が赤龍王の方へ移動したのを感じたぜ?恐らく蛇神の親玉と戦闘中だろうな」
白龍王と黒龍王が向かおうとする。
「グゥウウ!?」
その直後、二人は背後から発する覇気に全身を金縛りにされてしまったのだ。
「何処へ行くつもりだ?多少驚きはしたが俺を倒すには及ばなかったようだな」
それは立ち上がった大嵐六尾であった。
「見括っていた。しかし次はもう無いと思え」
龍王二人を前にして大嵐六尾の蛇気が膨れ上がる。
「蛇神変化唯我独尊!」
その姿は青と緑色が混色した蛇神の鎧を纏い、その手には大斧を手にしていた。
「大嵐の蛇斧」
振り払われた斧から繰り出された竜巻は白龍王と黒龍王を巻き込みながら宙に浮かせ、そのまま地面に向かって叩き付けたのである。
「この俺に敗北は許されぬ。我が主に生涯付き従い、主が世界を手にするまでな!だからお前ら如き小石に躓いている暇などないのだ」
その言葉に白龍王と黒龍王も全身の痛みに耐えつつ立ち上がろうとする。
「私達も負けるわけにはいかない」
白龍王の言葉に黒龍王が答える。
「そうだな」
が、黒龍王は白龍王の肩に手を置くと重力を発して白龍王を地面に押し倒したのだ?
「こ、黒龍王?な、何をする?」
その行為に大嵐六尾も首を傾げる。
「気でも狂ったか?それとも降伏か?」
「何をほざく?お前如き龍王様が二人も必要ないと判断したまでよ!お前はこの俺、黒龍王が地獄に落としてやるぜ!」
「身の程知らずが、良かろう。先ずはお前から始末してやろう」
大嵐六尾が斧を頭上に掲げると、上空に二つの竜巻が発生して凝縮しながら玉状になる。
「爆嵐球!」
斧を振り下ろすとともに二つの爆嵐球が黒龍王へと向かって放たれたのだ。
「ふはははは!その球に触れたら最期、お前の身体を跡形も残さんぞ?」
余裕を見せ勝利を確信した大嵐六尾に対して黒龍王は呟いた。
「この俺に触れられればな」
その直後、向かって来た大嵐六尾の爆嵐球が軌道を変えて大地に落下し陥没させたのだ。
更に大嵐六尾の足場が沈み身動きを止める。
「そうだったな?お前は重力使いだったな?」
重力使い
雷属性の最高難易度の能力。
大地の地場を操り、重さを操る能力。
「この俺の足止めが目的か?しかし俺を止めるには力不足のようだな」
その言葉に黒龍王は呟く。
「足止め出切れば上等だ」
すると全身から凄まじい龍気が発する。
「逆鱗!」
それは龍神族の力の解放の奥義。
同時に大嵐六尾にかかかる重力の付加は数十倍へと膨れ上がり、足下が徐々に沈み始める。
「くぅうう!だが、いつまで保つ?お前の力が尽きれば俺はお前の首をもぎ取ってやるぞ!」
しかしその状況に一番焦りを感じていたのは白龍王であった。
黒龍王は逆鱗の使用を止められていたから。
「黒龍王!止めよ!お前は禁忌を犯すつもりか!」
黒龍王の逆鱗は他の龍王とは異種だったから。
一度解放させた逆鱗は黒龍王の肉体を中から食い破り、その身を塵も残さず消し去るのだ。
それでも黒龍王は止めなかった。
黒龍王は戦場で起きている状況を理解した上での判断だったから。
今、別の場所で戦っている青龍王と赤龍王のもとには大嵐六尾と同格?
それ以上の化け物を相手している。
もし自分達が敗北し大嵐六尾を行かせてしまえば龍神族の敗北は明白。
しかしもし自分が大嵐六尾と相討ちにさえ出来れば、白龍王を行かせさえ出来れば、この戦争は龍神族が勝利出来るのだと。
黒龍王は右手に龍気を集中させると雷が放電する。
しかもその雷の色は黒く異質な力を発する。
「黒雷!」
ソレは特殊な雷だった。
闇に染まった黒き雷。
ソレは地獄の世界の雷であった。
黒き雷撃は無防備な大嵐六尾の全身を貫いた。
「ぐぉおおおお!?何だ?この雷は?再生力が追いつかない??身体の中を焦がすようだ?」
その痛みに膝を付き、黒龍王を睨む。
「その地獄の雷撃を受けて生き延びていた奴は今の今まで一人もいねぇーよ!」
頭の片隅に八戒が過ぎる。
「お前の命運は尽きたぜぇー!」
地獄の雷撃が大嵐六尾を貫く!
「この俺の命くらいで龍神族の未来を守れるなら安いもんだ。この異分子だった俺の命なんかでな」
そして思い出す。
かつて黒龍王が幼少だった時の事を。
次回予告
黒龍王の過去、それは異端から英雄へと続く道のり
禁忌を犯した父・暗黒龍王の罪