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隔世異伝・転生記~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
女子高生覇王蛇神編!
225/711

救世主外伝その陀~創世記~

それは創世記


世界誕生の神話


そして覇王とは?


それは旧世紀誕生から始まる。


「無」


それは無に生じた奇跡。

ゼロがイチとなった時、世界が誕生した。

そこには正しく神と呼べるモノが存在する。

それは唯一の意識。

しかし、それは今の天界の神とは異なる旧世紀の神。

始祖神(ゼロの神)と呼ばれた。


しかし始祖神は無の世界に漂う意識に過ぎない。


進化のない始祖神にとって世界とは自身の存在を定着させるためだけの箱庭に過ぎない。

変化もなければ無と同じ。

特に意思も無き始祖神は肉体も無く死ぬ事も無ければ思考すら読み取れない光の存在であった。

そんな光の存在に、微力ながら意思が現れる。

新たな世界を創り出すために変化を求めたのだ。


先ず光の意思は形を創り出す。

それは最初の原型であった。

原型に対し光の意思は己の「意識」と「存在」を分散させて定着させ、個を幾つも創り出す。

最初は全てまったく同じ原型であったが、増えるに連れて形に変化が現れる。

めんどくさくなったのか?

その事で同じ光から創り出されたはずなのに、個体事に別の意識の変化が現れたのだ。


「個性」


ソレは世界に変化を齎した。

やがて光の民が世界に存在する。

光の民は次々と新たな世界を創り出していく。

大地を創り、自然を創り出す。

個性事に産み出す世界は千差万別だった。

そして産み出す世界は大地となり星となったのだ。

しかし光の民は分裂を繰り返す度に力を使い果たし、培った記憶と経験が消えていく現象が広がる。


「死」


その現象は死と名付けられた。

無へと帰る意識の消失。

存在の終わり。

記憶が消える現象が死であるなら、生もある。

光の民が分裂を繰り返し、やがて消耗して消えると言う事。

それを死と呼ぶなら、生とは?

記憶と力を失った光は微弱な透明の結晶となって無に戻るのではなく原初の始祖神へと戻り、そこで新たな光となって別の器へと飛び立っていく。

その光こそ魂と呼ばれ、新たに器へ帰る事を「転生」と名付けられた。

始祖神は死を迎え自分の身体へと返って来る魂の記憶を読み取る事で、失われていく自身の光を再生し活発化させられる事に気付く。

それは記憶に残った感情と呼ばれる微力の刺激が持つ力。

再生と転生の「輪廻」が未来を残したのである。

そして無数に増え続ける光によって始祖神は成長と変化を手に入れたのである。

これが創世記と呼ばれる神話だった。



やがて数億年と流れる時の中で、

増え続ける個を与えられた光の存在を神民と呼ぶようになり、世界は広がっていく。

しかし・・・

神民の世界も滅びを迎えたのだ。

何が起きたのか?


それは増え続ける個が互いに争いを生み出し、神民同士で存亡をかけた戦争を始めたのである。

神民は減少し、始祖神もまた力を失っていく。

そんな時、神民の中から新たな世界を創り出す事を考える思考の者が現れたのである。

神民の中には存亡が死ぬ間際に始祖神へと返らずに自らが産み出した世界を星と名付け、想いと魂を定着し、見守る者もいた。

そうなった星は消えずに存在が残り世界に散らばったまま浮いた状態になっている。

そこには新たな光の魂が発生し新種の生が現れたのだ。


思考の者達は、その残された星に新たな存在を創り出そうと考えたのだ。 

新たに創り出された新種の存在は光の民の姿に似せられた。増え続けた神民の中でも選りすぐりの存在力を持つ者の姿を模される事になり、神民達の選考と投票の中で決められた。

そして生み出されたのが・・・


「人」であった。


思考の神民はペットのように創り出された人と名付けた生き物の観察を始めた。

人の成長と進化から神民は自身達が間違わない道を進み自分達の指針を選択するのだ。

つまり神民生存のモルモットのように使われていたと言えば酷い話である。


人の実験は幾度と繰り返し失敗を重ねた。

人は神民と同じく個を増やしては、やがて戦争を起して、酷ければ星をも破壊する事もあった。

幾度と繰り返しながら、やがて二体の人間の優秀な種が現れた。


そして再び一から実験と観察を始める。

これ以上失敗は許されなかった。

予算と経費の問題か?

だからこそ今回は慎重に行われたのだ。


二体の「人」は同時に育てられた。

二人が育てられる星の名は「エデン」と名付けられた。

エデンとは、この二体の人を観察するために使った星に魂を定着した神民の名前であった。

そして神民はその二体の人にも名を与える事にする。

与えられた名は「アダム」と「イヴ」

神民はアダムとイヴに愛情を持って育てる。

今度こそ成功へと導かれるはずだと誰もが思われた。

月日は流れ、エデンには人間の他にも数々の生き物が生み出されていた。

動物や魚に昆虫等、中には神民もエデンに住み始めた。

まさに楽園であった。


しかし、そこに第三者の存在が楽園の方向を変えてしまったのである。

ソレは星と魂を一つにして存在が失われたはずのエデンの魂であった。

エデンの魂は意思を持ちながら自らの身体を複製を作り出しアダムとイヴに近付いたのである。

そして禁忌を侵した。


ソレは、神民がひた隠しにして来た世界の混沌への経緯、神民が持つ邪な反発から戦争が起きて同族殺しが始まり世界は巻き込まれて消滅する。

繰り返される悲劇と破壊、消滅。

そして神民を模されて創り出された人もまた同じ経緯を繰り返す破壊者であると。


滅びの知識を与えられたアダムとイヴは苦しむ。

それまで温室に育てられ、汚いものを知らずに清い魂だったアダムとイヴが、不安と恐怖、それに疑心暗鬼に陥ったのである。次第に潔白な魂に影が翳し始める。その事を知った神民はエデンの行いを許す事は出来なかった。


そして神民とエデンとの戦いが始まってしまったのだ。

しかしエデンは神民の中でも特殊な才能を持ち、始祖神に最も近い存在であったから、創生大戦は長く続いてしまった。そして神民とエデンとの戦いはエデンの魂を無の世界へと追放する事で終えた。その際に両腕と両足を切断され、全身を光の高熱に焼かれながら身動き取れないで消えていくエデンは最後に言い残したのである。


「必ず戻って来よう。忘れるな?我、混沌の闇より光を消し去る覇王とならん!」


その姿は人間の姿からかけ離れ、まるで蛇の姿に酷似していたとか。



これで反逆者エデンの脅威は終わったかに思えた。

しかしエデンは手を打っていたのだ。

星全体に強力な結界を張り巡らせ、外界の神民が手を出せないように覆ったのである。

残されたのは星に取り残された数少ない神民達とアダムとイヴであった。

残された神民達はこの星で奇跡の力を使う度に寿命を縮めて存在が消えていくしかなかった。

このままでは神は消えていくしかない。

再びエデンが蘇り覇王として君臨した際に対抗策がない。


このままでは・・・


そこで残された神民は存在を残すために自らの魂を新たに創り出した人へと移しては増やしていったのだ。それが人神の祖先。

そしてアダムとイヴより発生した人間種との共存世界になったのである。


しかし、まだ問題は終わってはいなかった。

エデンの魂より生み出された星から発生する魂気の歪みが人間種の魂へと融合して新たな異形の生物を産み出してしまったのだ。

それが妖怪の始祖であった。

そう。妖怪とは人間の魂とエデンの分散した魂により誕生したのである。


そして世界は廻り始めていく。

世界には神種と妖怪種、人間種。

更にその両方の魂を宿す新生種の精霊や聖獣が現れる。妖怪種は獣や他の生物との混合した恐ろしい姿の者が特徴であった。その中でも蛇の姿をした妖怪は格上の力を持ち始める。


神種は恐れていた。

いずれエデンが再び蘇るなら蛇神の姿で間違いないと!

それが覇王の生誕であると!

この世を滅ぼす覇王。


神種もまた種族を増やしては地上だけでなく、地上と外界の狭間に天界を創り上げ始祖神の古の掲示より妖怪討伐を行い世界の秩序を保って来たのだ。

そんな中、再び覇王が蘇るとなるとそれは世界の命運をかけた大問題になる事は間違いなかった。 

そして現代、この世界に再び覇王が蘇る。


白蛇王に覇王誕生の秘話を聞かされた鈎蛇王は信じられない顔でいるが本能が嘘でないと納得していた。

だからこそエデンの魂を濃く引き継ぐ蛇神の深層心理には覇王への拘りが強く残り、再び蘇る信号を受け止めたのである。

西の地にある闘技場に強力な力を持った蛇神が集まっている。

その魂に呼びかけた者がいたからだ。


「それは私です」


女の蛇神である白蛇王が告げる。

「白蛇の巫女である私は覇王様が再びこの世界に姿を現す事を予言し、力のある蛇神である貴方達に呼びかけ集めさせて貰いました。その理由は覇王様の魂を呼び覚ます儀式を行うためでもあります」

「呼び覚ます儀式だと?」 

すると白蛇王は覇王復活の真相を告げる。


「かつて古に消えたエデンの魂も器も存在はしません。しかし、エデンは混沌の中でその計り知れない力を膨れ上がらせ、自らの意思を継ぐものに覇王の力を与えるとお告げになられたのです」

「つまり後継者か?それは何者なのだ?この場にいるのか?他の連中全員が納得したのか?」

「はい。顔を合わせるなり全ての者が平伏せ頭を垂れ、覇王様に仕える事を望まれました」


鈎蛇王は信じられない顔で周りを見回す。

少なからず自分と同等、それ以上の連中もいる。

覇王を名乗ったとしても不思議ではない猛者ばかりである。

皇蛇に関してはまさにその器のはず?


「この俺にもお目通りさせて貰っても良いのか?」


鈎蛇王が白蛇王に覇王謁見を申し出ると、


「貴方様にはもっと相応しい仕事があるのです。そのためにお呼び致しました」

「何だと?」


その直後、鈎蛇王の胸に白蛇王が剣を突き刺したのだ!

「なぁ?何を!!」

突然の出来事に鈎蛇王はなすすべ無かった。

だが、違和感を感じる?

自分の身体から溢れんばかりに力が込みあげて来たからだ?

「お前、俺に何をしてのだ!?」

すると白蛇王は答える。


「お前には覇王様に献上する覇王の剣の鞘になってもらうつもりだ」

「な、何?俺が鞘だと??」


覇王には三種の神器が必要だと言われていた。

覇王の卵、覇王の器、そして覇王の剣。

話の流れから察するに、覇王の卵とはエデンの魂であろう。

そして覇王の器とは受け継ぐ存在の事。

そして覇王の剣とは力の源の事。


「覇王の剣を制御する鞘にお前が選ばれたのだよ?光栄に思いなさい!お前の身体が覇王様に捧げられる事に歓びなさい!ホホホホ」

「どう言う事だ?俺が鞘だと?」


すると急激に身体に痛みを感じる。

鈎蛇王の身体は覇王の剣を納める生きた鞘になる。

当然魂は消滅してしまうであろう。

全身が締め付けられ身体の骨が軋む。


「うがぁあああ!」


その激痛に鈎蛇王は意識が飛び倒れたのだ。

「この鞘を宝庫へと仕舞っておきなさい」

白蛇王に命じられ他の蛇神が動かなくなった鈎蛇王の身体を抱えて運んで行ったのだ。

「で、いかがなさいますか?白蛇の巫女よ」

皇蛇が現在闘技場で戦っている俺達の始末について問うと、白蛇王は構わぬと返したのだ。


「既に時は来た。我らの覇王様が今宵再びこの世に現れるのですから」


すると白蛇王の合図で闘技場が揺れ出したのだ。


「今より闘技場に集められた者から血と魂を抜き出し、覇王様を目覚めさせる儀式を発動させます」


今、旧世紀より覇王が蘇ろうとしていた。

次回予告


覇王の出現


そして、男はこの出現にどう関わるのか?

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