七絶山の駝羅の城突入!
七絶山の駝羅の城
嶺黄風国の国民が全て捕らわれ、救出に向かう法子一行。
しかし蛇神城に攻撃を仕掛けていたのは法子一行だけでなかった。
私は法子
私達がまだモタモタしている間にも既に戦いは始まっていたの。
「うぉおおおお!」
五本槍の武神達は一斉に飛び上がると槍を手に同時に大蛇の頭に突き付け神気を発したの!大蛇の内部から神気が盛り上がり身体を裂いて爆発する。
「我等天界の武神に負けはない!」
既に他の大蛇の化け物達も倒されていたの。
「このまま進軍する!」
五本槍の武神の後に天界の武神の軍が従う。
しかし優勢に見える天界の軍も数多くの被害も尋常じゃなかったの。
それでも前へと突き進む。
しかし居城へと近付くに連れて蛇神達の数も強さも増していく。
「敵は城内だ!」
繰り広げられる混戦の中で、
天界の武神達は城内へと潜入に成功したの。
「くっ!俺達だけか・・・」
ここまで来れたのは五本槍の武神だけだったの。
仲間の武神達が五人を送り出すために命がけで道を切り開き、外の蛇神達が追って来ないように城内への扉を閉じて塞いだ。
「お前達の思い、決して無駄にはせんぞ!」
五人は槍を重なり合わせて団結する。
その時、城内から気配を感じたの!?
「そこにいる者!姿を現せ!」
すると柱の影から三人の男が姿を現す。
「!!」
武神達はその者達の正体に気付く。
「まさか龍神族も動いていたとはな?しかし此処は我々天界の者が肩を付ける!身を引け!」
天界の武神の言葉に黒竜王と白竜王が答える。
「蛇神族の前にお前達から片付けても良いんだぜ?」
「ここから先には外にいる蛇達とは比べ物にはならない力を感じます。身を引くのは貴方達の方では?」
互いに敵意を見せる。
例え同じ敵を相手していても、天界族と龍神族は因縁の仇同士なの。
「良いだろう。我々から見れば蛇神も龍神も似たりよったりだからな?この場で討伐してやろう!」
「お前達に出来るのか?」
赤龍王が五本槍のリーダーの挑発に誇りを汚され一触即発になる。
「!!」
その直後、その場にいる全員に向かって攻撃が仕掛けられたの!
「どうやら蛇の御出ましのようだな?お前達の相手は後回しだ!」
「良かろう」
目の前には美男美女の姉弟の蛇神・蛇精が笑みを見せて近付いて来る。天界の武神と龍神族を目の前にして余裕を見せると、掌を向けたの!
「ヤバイ!」
その危険性に気付いた両方は左右へと躱すと、その場が陥没して粉々になったの。もし一瞬でも出遅れば巻き添えになっていただろう。
左右別々の通路へと分かれた五本槍と龍王の三人は城内の最上階へと目指す。
「どうやら追って来てますね?」
白竜王が背後に迫る蛇精姉弟の気配に気付く。
「赤龍王の兄者!俺達に任せてくれないか?」
黒竜王が足を止めると赤龍王は答える。
「蛇に龍王の力を見せつけてやれ!」
「当たり前だ!」
赤龍王は先へ進むと、黒竜王の隣に同じく残った白竜王が並び立つ。
「では私も」
「白竜?俺だけで十分なのによ!」
「私は黒竜のお目付け役だからね?」
「誰がお目付け役だ!」
二人は幼馴染みであり互いに力を競い合う好敵手でもあったの。
「どうやら僕達の相手はあの龍神族のようだよ?姉さん」
「蛇と龍は枝分かれした種族と言えど今では私達とは別の進化を遂げた下等種に過ぎないわ。適当にあしらいましょう?ふふふ」
そして別の道を向かった天界の五本槍達の前にも蛇神族が現れていたの。
「何だ?奴等は!?」
五人の前には、いえ?見上げる上方には四本の羽で飛ぶ七体の鳴蛇が待ち構えていた。
「最近の蛇は空にも飛ぶのか?」
「油断するな!」
「油断?するわけないだろ?」
鳴蛇から発する蛇気は外にいた蛇達とは比べ物にはならない力を感じていたから。
その頃、私達は七絶山の駝羅の城に一番近い村に辿り着いていたの。
「人っ子一人いないらな?」
「恐らく蛇達に襲われたのでしょう」
「廃墟ね・・・」
八戒と沙悟浄は村を散策して生存者がいない事を確かめていたの。私達は宿代わりに住居に入らせて貰い休息を取る。
「法子様?」
「何?玉龍君?」
玉龍君は村の何処かに誰かいる事に気付き伝えてくれたの。
「生存者?」
「分かりませんが、何処かで感じたような?」
「知り合いとか?」
私も気を探るけれど気配は感じ取れない。
龍神族は私達よりも感知能力が長けているようね?
「そこです!」
えっ?
玉龍君が指差した場所は部屋の入口の影だった。
その影が私達の目の前で盛り上がって人型へと変わっていく。
あ、あれ?もしかして?
「夜霧!」
夜霧とは嶺黄風国の半人半妖の女戦士なの。
闇を作り出し影に潜む能力を持つの。
「貴女生きていたのね?私達に何か用かしら?」
確か阿修羅に吹っ飛ばされてから見てなかったのよね?
でも何故彼女がここに?
「私は蛇達から脱出して来た。そこにお前達が現れたのだ!」
彼女は少なくとも私達の味方じゃなかった。
私達を見る目が憎悪の塊で恐いくらい。
「お前達は奴等と戦うつもりか?だったら止しておくのね?奴等は化け物以上の化け物よ!まぁ、共倒れしてくれたら私も嬉しいがな」
「それより嶺黄風国で何があったのか教えて?それに少しでも情報が欲しいの!貴女だって蛇達は憎いでしょ?」
「ふん!」
夜霧は私達に嶺黄風国で起きた事と敵の本拠地で何が起きているかを教えてくれたの。
私達が干支十二宮殿にいた同時刻、蛇等は突然嶺黄風国へと襲撃して来たと言うの。
目的は人間狩り。人間を餌にするか同族へと変えるために。
しかも半人半妖は優れた蛇神を産み出すには素材的に申し分なかったの。
捕らわれた嶺黄風国の半人半妖達は蛇神の城へと連れて行かれると直ぐに実験に使われたの。
人間から半人半妖にされた挙げ句、今度は強制的に蛇神へと変えられるなんて酷すぎる。
そんな中で捕らわれた夜霧の順になった時、何処かの軍勢が蛇神城に襲撃を行ったの。
そのドサクサに紛れて命からがら逃げ延びたらしいの。
「休んでる暇はないようね」
私達は彼女を残して村を去る。
一応、一緒に戦ってくれるか聞いてみたけど断られた。
無理もないわね?恐い思いして逃げて来たのだから。
けれど彼女は私達が去った後に呟く?
「私には役目がある!」
夜霧の姿が再び影へと消えていく。
再び場所は変わる。
空中を四つの羽で変則的に飛び回る鳴蛇に対して天界の五本槍達は苦戦していたの。神気弾を放つも全て躱され、急降下しながら飛ばされる毒針を神気の壁で受け止めるだけでも精一杯なの。
「こんな所で足止めとは!」
同じ時、白龍王さんと黒龍王さんも蛇精姉弟に苦戦していたの。
「か、身体が!?」
白龍王と黒龍王は蛇精姉弟の念力で身動きを止められていた。二人は何とか念力の拘束を破るために竜気を高めるけれど無駄だったの。
「僕達からはもう逃げられないよ?獲物は確実に始末するからさ!さてと〜味見がてらお前達の血を吸い出してやろうかな!」
そして口から鋭い舌を伸ばして来たの!
再び場面は私達へと変わる。
私達は七絶山の駝羅の城の見える所まで来ていたの。
「変よ?」
夜霧さんの話通りだと天界から神軍が討伐に来て戦争が始まってるって事だけど?
「天界の連中が一人もいねぇ」
既に戦場は静まり返っていたの。
本当にここで戦争があったの?
「油断しないでください!」
「えっ?」
玉龍君が叫ぶと、私達に向かって鎧を纏った数人の男達が近付いて来たの?
「あの鎧は天界の武神様の物ですよ!」
「そうなの?沙悟浄?」
「けれど様子が変ですぅ〜」
私達は近付く武神の姿を見て気付いたの。
「!!」
その姿は動く屍だった。
「あの者達に蛇が寄生しているのだろう」
砂塵魔王は既に何度か見た事があったと教えてくれた。
殺した相手に寄生して身体を奪うんだって。
「しかし人間の屍に寄生する者達は見た事があるが天界の武神の屍にも寄生出来るとは驚きだ」
「何か違うの?」
「死者の生前の能力を操れるのだよ!」
「マジなの?それは厄介だわ!」
天界人の屍は神具を手に私達へ襲い掛かって来たの。
しかも神気と蛇気が融合した異様な気を発しながら!
「行くわよ!」
私の合図で孫悟空達が連携を取り私を守るように屍の相手をする。
「おうらぁ〜!」
八戒が釘鈀で殴り付ける。
「!!」
倒れた屍はバタバタ動きながら消滅する。
「どうやら前の蛇と違って脆いらよ?」
確かに前に戦った蛇達は殺しても再生して来て厄介だったわね。
「不死性はないが神気を放って来ますよ!」
私と沙悟浄に玉龍君が印を結んで結界を張る。
因みに私の背後には阿修羅が戦うのを禁じられているため黙って控えている。
「阿修羅が出るまでもねぇぜ!」
孫悟空と砂塵魔王に八戒が操られる屍の相手をしたの。
けれど・・・
私は城までの付近を見回すと地面から這うように屍が幾つも幾つも立ち上がる。
「これはきりがないわ!」
「ならば私が任されよう!」
砂塵魔王が両手に妖気を籠めると竜巻が吹き起こり屍達を巻き上げたの。
あら?思った以上に役に立つわ!
そして城の門へ向かって私達は駆け出す。
「城内へ突入するわよ!」
そして飛び込むように扉を破壊して侵入したの。
「これでどうだ!」
孫悟空が妖気弾を放つと門と扉が崩れて屍達が入って来れないように塞いだ。
「よし!」
私達は城内を見回す。
蛇気が充満して気が遠くなりそうになる。
「皆さん、これを!」
「何?沙悟浄?」
沙悟浄は皆に飴玉を手渡したの?
私は頬張るように口に放り込む。
うん。甘くて美味しいわ〜
「これは何?」
沙悟浄の説明だと霊薬らしいの。
しかも蛇気を祓い毒から身を守るんだって!
「こんな物あったの??早く出してよ!」
「出来たてなんですよ〜」
沙悟浄が言うには孫悟空と阿修羅の血清から作ったんだって。そもそも無風さんから仕込まれた毒、これはそもそも蛇神の毒なの。
既に孫悟空と阿修羅には免疫が出来ていたから、そこから霊薬を作り出したんだって。
本当に凄いわね〜
ん?血清から?
私は孫悟空と阿修羅を見て顔を赤くする。
孫悟空と阿修羅の血清から作ったって?
私の中に二人の血が??
ゴホン!
私は深く考えない事にした。
「とにかく目指すは頂上よ!」
私達は城内を警戒しながら進んで行く。
何処から敵が現れても可笑しくないわ。
その時、私達は目の前に現れた敵に警戒する。
「何?アイツら?」
その者達は間違いなく寄生された屍。
しかもかなり実力のある天界の武神に違いない。
「侵入者、発見、捕獲する」
すると私達に向かって一瞬に間合いに入って来たの!その手に持つ神具の槍を突き付ける!
「しゃらくせー!」
「んなろー!」
「むん!」
孫悟空、八戒、砂塵魔王が飛び出し蹴り飛ばす。
「奴等、やるようだぞ!」
構える三人。
蹴り飛ばされた天界の屍達は身を翻して空中に止まる?その背には四枚の羽を持っていたの。
「アレは恐らく鳴蛇だろう。空中戦を得意とした蛇神で厄介なのだが、天界の武神の肉体を得て更に力を増したようだ」
砂塵魔王もかつて襲撃を受けて、堪らずに退散した事を告げる。
しかし私達は知らなかったけれど、この武神の器は天界軍を率いていた将軍級の力を持った五本槍と呼ばれる程の実力者だったの。彼等は鳴蛇との戦いに敗れ肉体を奪われてしまったのよ。これで天界からの討伐隊は全滅した事になるわけなの。
「俺様と砂塵魔王が二体相手する。八戒は一体任せるぜ?」
「任せるらよ!」
三人は一斉に駆け出すと鳴蛇を相手に攻撃を仕掛けたの。しかし不規則かつ素早い動きで躱され攻撃が全然当たらないでいた。
「ここは三人に任せて私達は先を急ぐわよ!」
「は、はい!」
私の後を沙悟浄と玉龍君、阿修羅が追う。
ここで私達は別行動を取る事になるの。
そんなこんな。
次回予告
ついに蛇神城へ突入した法子一行。
法子達は攫われた嶺黄風国の民を救う事が出来るのか?




