蛇神包囲網!
新たに砂塵魔王を仲間にした法子一行。
けれど人見知りの砂塵魔王は頼りになるのか?
私は法子
私達は砂塵魔王の案内で蛇神達のいる居城へと向かっていたの。
私達の目的は捕らわれた人々の救出。
そして干支十二宮殿から野放しになっていた蛇神を倒す事よ!
恐らくその蛇神が世界を闇に陥れる覇王って奴に間違いないわね。その実力は妖恐十二体をたった一人で倒し錬体魔王さんに恐怖を与えた化け物。
「とんでもないわね〜」
けれど私達なら負ける気がしないわ!
孫悟空や阿修羅は勿論、八戒や沙悟浄も成長しているし、玉龍君は私に癒やしをくれるの〜
あっ、砂塵魔王も心強いわね?
砂塵魔王が言うには敵の居城は七絶山の麓にあるらしいの。そこは山々に囲まれ今は人間は勿論、妖怪達ですら近寄らない荒れ地。そして多くの蛇妖怪達が城を囲むように守っているとか。
既に近隣の村や国は滅ぼされ、連れ去られた人間は蛇神転生に使われるか食糧とされると言うの。
蛇神転生には幾つか種類がいるらしく、食糧とされた人間が排泄物となって蛇神の障気を浴びて誕生するのが下級兵士らしいの。
また蛇神の産み出された卵から産まれた者は格上の蛇神として下級兵士を指揮しているとか。
けれど現在蛇神を産み出していた蛇神は雄で、雄から誕生した蛇神よりも雌から誕生した蛇神の方が質が高く特殊な能力を持って産まれるんだって。
だから人間の女性を蛇神に転生させた後に卵を産み出させている。それが蛇神が急激に増殖して理由らしいの。どうしてそんなに詳しいって?これまで砂塵魔王は単独で情報収集していたの。
「お前程の奴が苦戦するのか?」
孫悟空が言うには砂塵魔王はかなりの使い手なんだって。コソコソ歩いて私達と目を合わせられない姿を見ていると、そうは見えないけど?
「そんなにわんさか蛇がいたらオラ達だけでどうにかなるらか?」
「手はある。例え増殖しようが頭さえ倒せば統率が崩れる。それに蛇を産み出す者を始末すればそれ以上増殖はせんだろう」
八戒の不安に砂塵魔王が答える。
「けれど蛇神にされた人間を倒さないといけないなんて心が引けます」
「そうね」
沙悟浄に私も共感する。
「情けは無用だ!蛇と化した地点でもう人間ではない。この世を闇に変える元凶なのだ!先に言っておくぞ?情けをかければ次はお前達が捕らわれ蛇の餌になるか、俺達の敵となるかだ!覚悟しておけ!」
強気に孫悟空の影に隠れて言い放つ砂塵魔王。
調子狂うけど、確かに私も気を引き締めないと!
「法子は僕が守るよ」
「阿修羅は最終兵器よ?だから無理は駄目!本当なら連れて来たくなかったくらいよ?」
「それでも僕は!」
「今から帰る?」
「!!」
捨てられる子犬のような目で私を見ないでよ!
酷いようだけど阿修羅はまだ完全とは言えないの。
命の灯を追加されて取り留めてはいるけど、完全に定着するまでは無理はさせないように言われていたから。
場所は変わる事、七絶山の麓。
そこでは既に戦いが勃発していたの。
天界からの武神の軍隊と蛇との交戦!
「怯むな!」
五本槍の武神が先頭をきり蛇達を薙ぎ倒す。
「数では負けてはおらん!」
しかし蛇達の中からも恐ろしき力を持つ者が現れる。それこそ上級の蛇神の出現!
「天界の虫けらが小賢しい!」
するとその身が見上げる程の巨大な大蛇へと変化して襲い掛かって来たの。
「連携を取れ!」
「あれを見ろ!」
「!!」
すると巨大な大蛇が二体、三体?いえ!五体も出現して見下ろしていたの。
「我ら天界の武神!既に包囲網は整っている!」
すると大蛇に対して天界の武神達が乗る飛行雲が降りて来て総攻撃を仕掛けたの。
場所は変わる事、
天界の軍隊が戦っている場所とは逆方面でも戦っている者が?
「竜巻防御陣!」
「黒雷!」
白竜さんと黒竜さんが大蛇相手に戦っていたの。
そこに新たな大蛇が出現すると、
「!!」
突如、発火して燃え尽きる?
「俺達龍神族を相手にするならもう少しマシな奴をよこすのだな!」
赤龍王さんが猛る。
既に天界と竜神族の戦いが始まっていたの!
そして私達も辿り着いた場所は何もない崖下?
「ねぇ?ここは何処なの?」
砂塵魔王が呟く。
「道を間違えた」
私は孫悟空の後ろに隠れている砂塵魔王の首元を掴み揺さぶる。
「アンタって!アンタって!」
「く、苦しい~うぐっ!」
孫悟空が逆上する私を止める。
「けど、そう離れているわけでもないようだな?」
私達の周りに異様な殺気を感じる。
間違いなく蛇!
「コイツらから直接案内して貰った方が良いようね?」
「そのようだな」
私達を囲む蛇神の兵士達。
「ここは俺の汚名挽回って事で・・・」
「えっ?」
砂塵魔王が単身前に出たの。
「孫悟空?本当に一人で行かせて大丈夫なの?」
「大丈夫じゃね?何せ奴は」
砂塵魔王の前に蛇神の兵が迫る中で、突然砂が巻き起こる?
それは蛇神の兵に絡み付きながら巻き上げたの。
「砂縛」
蛇神達は全身から水分を急激に奪われて干乾びていくと粉のようになって舞って散る。
更に砂塵魔王の手から砂が噴き出して槍へと変形すると、離れた位置で隠れていた蛇神兵に向かって投げつけ貫いたの。
ちょっと?圧倒的じゃない?
「何せ奴は俺様に恐怖を感じさせた奴だからよ!」
「えっ?孫悟空それって?」
「敵としたらヤバイ奴だけど仲間のうちは心強い奴だよ!」
孫悟空にそう言われて砂塵魔王は調子に乗る。
全開で砂嵐を巻き起こして全ての蛇神兵を倒してしまったの。
「あ〜!アジト聞き出すんでしょうが!」
私は再び砂塵魔王の胸ぐら掴んで揺らしたの。
まだまだ前途多難のようね?
そんな道中、場所は変わる。
場所はその蛇神達の住処内部。
そこに私達が戦うべき蛇神の王がいたの。
「外が騒がしいようだが?」
その蛇神の王は二十メートル級の巨大な身体の化け物だったの。蛇神の鎧を纏い、その背には蛇牙歯断の剣と呼ばれる愛刀を背負っていた。更に下半身は蛇の尾を持ちその先端は二つに分かれていたの。
その名を鈎蛇王(ごうしぉ王)
間違いなく干支十二宮殿より蘇りし千年前の化け物だったの。
「どうやら天界の小虫が湧いて出たみたいですわ」
鈎蛇王に従うのは女の蛇神の側近?
名を紅鱗大蟒。
女の蛇神でありながら醸し出す蛇気は殺意の塊だったの。
その隣にはもう一人の側近が待機していた。
人のような2つの赤色(紅色)の頭に、紫色の蛇の身体を持つ化け物。
名前を委蛇。
更に直属の蛇神が仕える。
「ふふふ。僕達が片付けて来るよ」
美男美女の姉弟の蛇神。
名を蛇精
強力な神通力と精気を吸う化け物なの。
「いえ天界の小虫は鳴蛇に任します」
紅鱗大蟒は鳴蛇に命令を与えると天上から羽の音が?
そこには背に四本の羽を持つ蛇神が七体控えていた。
名を鳴蛇と言い空中から襲う蛇神なの。
「僕達にも任せてよ〜」
蛇精姉弟が不満を足らすと、
「貴方達には別の侵入者の相手をして貰います」
「侵入者かい?」
それは侵入した赤龍王さん達の事を意味していたの。
私達が着く前に全面戦争は勃発していた。
ちょっとさ〜?
私達が着く前なのに展開早くないかしら?
そんなこんな。
次回予告
蛇神との戦いに向けて法子一行が向かう先に現れたのは?
あの女性だった。




