新たな幕開けは突然に?
法子一行
三蔵法子、孫悟空に八戒と沙悟浄。
そして阿修羅と玉龍が揃い踏みした。
新たな冒険と戦いが幕を開く!
私は法子。
私達は干支十二宮殿で用事を済ませて、とりあえず嶺黄風国へと戻っているの。
まだ半人半妖の彼等のいざこざを解決してなかったしね?
「何か迷惑かけたな?ありがとうよ?お前ら!」
孫悟空も回復して八戒も沙悟浄も心無しかテンションが上がってるような?
それに阿修羅も元に戻って良かったわ。
「法子様?」
「何?玉龍君?」
私は乗馬している白馬に返事をしたの。
えっ?この白馬って?
実は干支宮殿から戻る際に私が駄々こねたの。
「も〜う疲れた〜!一休みするの〜もう一歩も動けないから!むしろ動かないわ!絶対に!」
「また我儘かよ?」
「孫悟空はずっと寝てたから良いけど、私は頑張ってたのよ?ここは休ませるべきよ!私を!今から歩いて帰るなんて嫌よ!」
そんな私に玉龍君が割って入る。
「あの〜?僕が法子さんを背負いますよ〜」
「何言ってるの?玉龍君が私に気を使う必要ないわ?気を使うのは孫悟空達の役割だから」
「チョイチョイ!」
突っ込む三人。
すると玉龍君が印を結ぶと光り輝いたの?
「あっ!!」
私達の目の前で玉龍君の姿が立派な白馬へと姿を変えたの。
「玉龍君、なの?」
「はい!僕の背にどうぞお乗りください」
「えっ?」
私は恐る恐る白馬の背に乗っかる。
何か美少年に跨がるなんて、少し罪悪感。
ん〜背徳感かな?
「大丈夫なの?重かったら言ってね?」
「全然平気です!お役に立てて嬉しいです!」
「ありがとう。助かるわ!」
そんなわけで私は楽に移動出来るのよ。
さて、少し話を戻そうかしら?
干支宮殿で私達は他の皆とお別れしたのよ。
「さ〜て帰るわね?河童ちゃんまたね?」
「私も彼と旅行に行かないといけないので失礼しますわ。使命感!」
鉄扇ちゃんと白骨乙女さんが先に出て行こうとすると、二人の襟元が掴まれて止められたの。
「えっ?」
二人は強い力で引っ張られると、
「ちょっ?な、何よ?何すんのよ?」
「お前達は私の所に来い?嫌とは言わせんぞ?この私がお前達を一から鍛え直してやろう」
蛟魔王さんが二人を強引に連れて行く。
「待ってよ〜私は彼と〜あっ、いやぁああ!」
鉄扇ちゃんは強くなれるならそれでも良いかと諦めている様子だけど、白骨乙女さんは拒否しているにも関わらず連れて行かれたの。
あはは
頑張ってね?二人とも・・・
因みに百獣王さんは戦う相手がもういないと説明すると、即効旅立って行ったわ。
で?
「俺様も此処でお別れだ!」
「紅孩児君も旅立つの?」
「考えてみたら俺様はお買い物の途中だったのだ。孫悟空も元気になったし俺様はお買い物に戻る事にするぞ!」
そう言えば、愛音さんのお買い物途中で消息不明だったと聞いていたわ。
愛音さんも心配していたから帰った方が良いわね?
「迷惑かけたな?この仮りは必ず返すぞ!」
「俺様達は友達だろ?それに俺様は父上の所に戻り、一から強くなれるように修行し直すのだ!」
「そうか、頑張れよ!俺様も負けないぞ!」
孫悟空と紅孩児君は強く握手したの。
旅立つ紅孩児君を見送った後、私達も黄袍怪さんと一緒に嶺黄風国へと戻る事にしたってわけよ。
「戻ったら瑠美ちゃんを安心させないとね?」
瑠美ちゃんとは嶺黄風国に住む女の子。
半人半妖にされる前に逃げ出した所を私達が保護をしたの。
今では主君であった黄風が私達に倒された事で平和になった嶺黄風国で安心して住んでるの。
平和と言っても問題は多積みだけどね?
嶺黄風国に残った半人半妖の国民に兵士達は勢力が二つに分かれたまま。
二度と人間に戻れないなら半妖として生き、国の自衛のために生きる事を決めた者達。
そして黄風の意志を継ぎ、過去に妖怪に親兄弟や大切な者を殺された事で復讐を誓い国を出て行った者達。更に決め兼ねている者達。
放って置いたら新たな火種となって半妖同士の戦争になりかねないわ。
「一難去ってまた災難よね」
それに・・・
私は干支宮殿で扉の中で見て聞いた事を孫悟空達に話したの。
私一人じゃ事が重大だし、皆の力を借りないわけにはいかないからね?
「覇王ですか?私も天界の古い歴史の書物で読んだ事があります」
沙悟浄が知ってる事を教えてくれた。
覇王とは蛇神族の王の事。
覇王は必ず蛇神の中より現れる。
だから蛇神はこの世界で忌み嫌われていたの。
それに蛇神族は龍神族と並ぶ戦闘種族で並外れた力を持つらしく天界からも魔王からも最重要討伐対象になっていたの。
「蛇と覇王か・・・」
場所は変わる事、私達と別れた紅孩児君は崖上で降りると途中で腹ごしらえをしていたの。
「ふぃ〜お腹いっぱいだ〜」
再び立ち上がる紅孩児君の背後から呼び止める声が?
「お前から発する妖気は討伐対象だ。名簿にも記されれていない以上、見過ごせん」
「!!」
紅孩児君は油断はしていなかった。
けれどその者は気配なく現れてそこにいたの。
しかも身震いする程の力を感じ、紅孩児君は感じた事のないような緊張が走る。
「お前は何者だ?俺様とやり合うつもりか?」
その者は金色の髪の紅孩児君と同い年くらいの若者だった。
けれど妖気は感じない?その者から感じるのは神気?冷たく静かであるけれど、その内から感じる潜在能力は底が知れなかったの。
「俺の名はナタク。お前を討伐する!」
紅孩児君の前に現れたのは天界の武神?
再び場面は変わる。
私達も嶺黄風国へと辿り着こうとしていた。
「帰ったら美味しい物をご馳走して貰って、ゆっくり旅の疲れを取り休みましょ!それに瑠美ちゃんも心配してると思うし」
「そうですね〜。私や孫悟空兄貴に阿修羅さんが目の前から突然消えてしまったから~」
沙悟浄達は蛟魔王さんの転移の術で突然消えた事になってるの。
「オラはとにかく飯ら〜」
「なら俺様と勝負だ!ずっと寝てたから背中と腹がくっつきそうだぜ!」
八戒と孫悟空は顔を見合わせて涎を垂らす。
「法子、本当にありがとう。この仮は必ず返すから。だから僕が君を守り抜く!」
「阿修羅ありがと?けど阿修羅はまだ完全回復してないらしいのよ?暫くは安静にして?これは命令よ!良いわね?」
「でも・・・」
「良いわね?」
「しかし・・・」
「絶交するわよ?」
「うん。安静にするよ」
「宜しい!」
私は阿修羅を上手く手懐けたの。
そして嶺黄風国が視界に入るほど近付いた時、
「法子様!誰かこちらに来ますよ」
前方を歩いていた黄袍怪さんが私達に報告する。
「あら?誰かしら?もしかしてお出迎えかしら?」
けれど私達は事の重大さに気付いたの。
「・・・うそ?」
それは黄袍怪さんの配下だった。
しかも片腕を失い、腹部を抉られたように風穴が空いて大量の出血を流していた。
見るからに致命傷である事は見て分かる。
それでも私達に何かを伝えるために、ここまで来たと言うの。
私達は駆け寄り、
「沙悟浄!治癒」
「は、はい!」
けれど首を振り私達に訴える。
「直ぐに逃げてください・・・もう嶺黄風国はもうありません。誰も・・・残ってはいませんから・・・」
「えっ??」
それってどう言う事なの?
嶺黄風国がもうないですって?
一体、何が起きたって言うの?
「うっ!」
そこで黄袍怪さんの配下は命尽きたの。
私達に伝えるためだけにここまで?
私は嶺黄風国を振り向く。
その視線の先で何が起きたって言うの?
私達が向かう先に新たな戦いが始まろうとしていたの。
そんなこんな。
次回予告
嶺黄風国に何が起きたというのか?
新たな戦いが幕を捲る?
チラ見せ?




