女子高生観戦?激突!?晴明と田村麻呂!
坂上田村麻呂の前に法子は善戦するも力尽きる。
そこに現れたのは晴明!
今、歴史上最強の転生者の戦いが繰り広げられようとしている。
私は法子!
私は覚醒した金色の魔眼の力で、坂上田村麻呂との一騎討ちの最中に力尽く…
そこに現れたのは私の師の安倍晴明師匠!
私は涙を流しながら晴明師匠に伝えるの。
「宮ちゃんが…宮ちゃんが…」
「後は任せなさい?」
その言葉に私は救われる。
晴明師匠は絶対に負けない!だって、私は晴明師匠より強い人を知らないから!
「えらい自信だな?」
坂上田村麻呂は黒漆大刀を手に斬りかかると、晴明師匠が鬼神返神の剣で受け止める。
互いの剣撃の衝撃派が震撼する。私はビリビリと二人の強さに圧迫されそうになるが気合いで堪える。
この戦いを絶対に見逃しては駄目だ!
晴明師匠と坂上田村麻呂の剣撃が幾度とぶつかり合い、その力は拮抗していた。だけど、次第に晴明師匠が圧されつつあり、剣を弾かれた瞬間!坂上田村麻呂は剣を鞘にしまい、弓を構成して射る!
「さて?お嬢ちゃんのように躱せるかな?」
晴明師匠は剣を正面眼前に携えると、霊気を高める。
「喝!」
晴明師匠は向かって来た無数の矢を一閃!
剣圧のみで全て消滅させたの。
「おぅ?おぅ?やるね~流石!流石!だけど、俺もこのままじゃ退けないぜ?」
坂上田村麻呂の霊気が更に高まる?私と戦っていた時の力は本気じゃなかったって言うの?
『鬼神変化・唯我独尊!』
坂上田村麻呂が叫ぶと、私によって倒されたはずの三体の鬼神が立ち上がり、その身体が坂上田村麻呂へと吸収されていく。
「へへへ…これが俺の取って置きだぜ?」
坂上田村麻呂は三体の鬼神の鎧を纏い、異常に膨れ上がる力が天井を貫きぶち破ったの!
晴明師匠は印を結ぶと周りから魔法陣が出現し、そこから十二体の鬼神が召喚される!
十二体の鬼神は坂上田村麻呂に向かって襲い掛かる。
「安倍晴明の使役する十二体の鬼神か?だが、俺は鬼を狩る者!坂上田村麻呂だ!」
坂上田村麻呂は両手に弓を持つと、背中から新たに鬼の腕が出現して矢を構える。
『鬼神四腕・退魔弓!』
放たれた矢は四体の鬼を斬り伏せると消えていく。
更に、坂上田村麻呂の四本の腕には新たに剣が構えられていたの。
ソハヤの四本剣!
坂上田村麻呂は荒々しく晴明師匠の召喚した鬼神を斬り伏せていく。
こんな化け物を相手に晴明師匠はどうやって?
すると晴明師匠は笑みを見せたの?
その直後、霊気が変わる?
変わるって、何か質が変わるって言うか?
何か全く今までと違う気を感じるの?まるで、これは?
妖気?
でも、禍々しい妖気でもなくて、神聖な力を感じるの?こ
れって何?
「見せてあげましょう。私の真の力を!」
晴明師匠の真の力?その時、晴明師匠が印を結び唱えたの!
『獣神変化唯我独尊!』
その時、晴明師匠の背後に巨大かつ凄まじい霊気が塊となって、何か獣の姿へと変わっていく?その獣とは狐?しかも…
『九尾の狐!?』
九尾の狐は再び晴明師匠の身体へと吸収されていき、その直後!晴明師匠の姿が神々しく変わったの!?
九尾の狐の聖衣を纏い、鬼神変神の剣を構えた精悍なる姿へと!!
「さぁ、私にひれ伏しなさない!」
晴明師匠の圧力に、坂上田村麻呂は額に汗を流す。
それでも、この状況を楽しむかのように、
「あはははは!面白い!そうでなくては意味がないぞ!晴明!」
二人の覇気がぶつかり合い、互いの剣が衝突する。もう私には届かない戦いで、別次元の戦いだったの。
だけど…?
少し前の私なら無力さに落ち込むだけだったのだけど、無意識に呟いたの。
「あの境地に…」
それは私の目標であり、目指す力だったの。
その私の眼差しの先で、晴明師匠は瞼を綴じる?
えっ?
晴明師匠の喉元に坂上田村麻呂の剣先が止まっていたの!しかも坂上田村麻呂の心臓の出前で晴明師匠の剣も止まって?互いに寸止め??
そして二人は剣を引くと鞘に納めたの?
えっ?
何?どういう事?
私は金の錫杖を本来の杖代わりとして、晴明師匠に近付く。その目先には坂上田村麻呂が悠然と立っている。私は警戒しながら晴明師匠に訴える。
「どうしたのですか?私も加勢します!一緒に宮ちゃんの仇を取りましょう!」
だけど、晴明師匠は首を振ったの?
どうして?
「もう良いのです。法子?戦いは終わりです」
「何を?まだ目の前に宮ちゃんの仇が立っているじゃないですか?晴明師匠がやらないなら、私が!」
私は錫杖を構えると、晴明師匠が私の錫杖に手を置き念を籠めたら錫杖が拡散するように消えたの?
そんな私達に坂上田村麻呂が拍手をしながら言って来たの?
「ハイハイ!終わり、終わり!晴明さん、どうやら今回は決着つかなかったようだな?だけど、次は必ず倒してみせるぜ?」
「楽しみにしています」
えっ?何を?えっ?何かこれって?お知り合いみたいに聞こえない?
「ちょっと!晴明師匠?こいつは宮ちゃんの仇なのよ!何を呑気に?」
「私を勝手に殺さないでください」
「そうよ!勝手に殺さないで欲しいわよ……えっ?」
私が振り向くと、鈴鹿御前の後ろから死んだはず?
かと思っていた宮ちゃんが姿を現したの??どういう事?
「生きてたの?宮ちゃん?それとも化けて出た?」
「そんなわけないでしょ?私は正真正銘の私!」
私は涙を流して宮ちゃんに抱き付いたの。
でも、これって何なの?
つ・ま・り?
この任務全てが晴明師匠が実戦での私の力を見極めるために企てたお芝居だったて事なの。
「まさか宮ちゃんも知ってたの?」
「私も貴女が去った後に知らされたのよ」
流石に宮ちゃんも納得出来ないとムスッとしてた。
プンスカしている女子高生二人に坂上田村麻呂が声をかける。
「そう怒るなよ?お前達にとっても勉強になったろ?俺も手を抜かずに悪役演じてやったんだぜ?なかなかの演技力だったろ!あはははは!」
って、この人も何なの?誰なの?エラソーに?
「法子?彼にはお前も何度か会っているはずだよ?」
「えっ?」
坂上田村麻呂さん…
実は晴明師匠と同じく座主様を守護する五重塔の番人であり、四天王の一角!
「えっ~?」
確かに、そういえば五重塔の番人の中で、普段から顔を隠していて私が直接顔を見た事がない二人がいたの!その中の一人?
「俺は基本的に裏の仕事をしているからな?滅多に顔を見せないんだ!今日は本舗初公開だぜ?」
「あ…はい」
何かテンション高い自信家って感じです。
「今回は晴明さんとガチにヤれるで、下剋上気分で承諾したんだ!だけど、チッ!まだまだか~」
「でも君の成長は著しい。期待していますよ?」
「いずれ抜きますよ?」
「法子君への感想は?」
そこで話が私に向けられたの。視線が集まる。
「ダメダメっすね?」
へっ?
「力の振り幅が極端過ぎる。確かに覚醒した力は俺に冷や汗かかせたが…その前がダメダメ!俺くらいの力の強い奴と戦ったら、下手こいたら力を出す前にやられちまうな?」
図星だった。
「先ずは、その力を己のモノとしよ?それが俺からの忠告だ!死にたくなかったらな?あははは!」
死にたくなかったらか…
解ってるわよ!
キツイ言葉だったけど、私には時間がなかったの。
自分の運命を変えるために守られるだけでなく、私自身が強くならないといけないんだから!
そこで晴明師匠がもう一つの問題を坂上田村麻呂さんに尋ねる。
「例の穴は?」
穴?
穴って確か、この地に開いた穴で、異界の連中が入って来ているって話?
あ…この話は本当だったのね?
危なくスルーする所だったわ。
あっ!私達より先に穴の調査に出て戻って来なかった隊って、坂上田村麻呂さんの隊だったのね?
私達はその日は身体を休めるために一泊したの。
村にあった温泉で身体を休め、至る場所怪我した場所を治癒したの。
「よ…夜這い…」
「宮ちゃん?落ち着いて?今の宮ちゃん…獲物を狙う狼みたいにギラついてるわよ?」
「ふふふ…」
宮ちゃんは夜になると、少しヤバくなる事が解った。
そして早朝、私達は準備をして坂上田村麻呂さんの案内する洞窟へと入って行く。既に中には坂上田村麻呂さんの側近の鈴鹿御前さんがいたの。
「こちらになります」
鈴鹿御前さんは強力な結界を張り穴を塞いでいたの。他にも見た事がない坂上田村麻呂さんの使役する鬼神達が穴を塞ぐ結界の補助の手伝いをしていた。
私達の目の前には見た事のないような禍々しい穴が開いていたの。
「何、これ?」
「私も見た事がないわ…」
驚く私達に、坂上田村麻呂さんが答える。
「只の空間の歪みで出来た穴ではないようだぜ?試しに式神を送ってみたが戻っては来やしない?この穴の先は何があるんだろうな?」
そこに晴明師匠が、
「これは時限の穴に間違いないでしょう」
時限の穴とは?
先ず空間の穴から説明するとね?離れた場所と場所を繋ぐ穴。つまりABC地点があって、B地点を通らずにAからC地点に繋ぐの。
で、時限の穴とは似て非なる穴なんだけど、離れた場所とを繋ぐのは同じなんだけど、その先は…
時の違う場所!
解っている事は、一度抜けたら二度と戻れない穴って言われてるの。
「早急に閉ざさねばならない」
晴明師匠と坂上田村麻呂さん、鈴鹿御前さんが三方向から結界封じの印を結ぶ。そして私と宮ちゃんは共同で一方向から印を結び結界封じの印を結ぶ。四方向からの強制結界封じの印!
穴は少しずつ小さくなって、消滅したの。
「ふぅ~やれやれだぜ?俺達だけじゃ穴は塞げなくて困ってたんだ。で、何か解った?晴明さん?」
「あぁ…この穴を造り抜けて来た者に心当たりがある」
そう言うと晴明師匠は立ち上がり、
「早急に総本山に戻る!恐らくだが、間もなく大きな戦いが始まる!」
大きな戦い?
何が待ち構えているの?
私も他人事じゃないわよね?
そんなこんな。
次回予告
新たな事件が起きる?
謎の穴を開けた者の正体とは?