力を合わせて戦え!最強最悪の鵺!!
十二体の魔王の力を手に入れた鵺に、
既に満身創痍の法子達はどう挑む?
私は法子
私達の連携の取れた攻撃。
全ては手筈通りだったの。
あの鉄壁な鵺を倒すには鉄扇ちゃんの究極奥義の羅刹の極みしかないと思っていたの。
だから鵺の奴に勘付かれないように鉄扇ちゃんには気配を消しながら妖気の充填をしてもらい、私達は派手な攻撃を仕掛けて気を逸らしていたの。
「計算通〜り!やったわ鉄扇ちゃん!」
けれど鉄扇ちゃんは返事しない?
どうしたの?
「チッ!やられたわ」
えっ?
鉄扇ちゃんは突然巻き起こる覇気に弾かれて吹っ飛ばされたの。
「鉄扇ちゃーん!」
「大丈夫よ!それより」
心配して叫ぶ私に鉄扇ちゃんは着地して答える。
見ると鵺の身体は粉々に消えていく?
勝った・・・んじゃないの?
けれど闘技場の床が盛り上がり、鵺が姿を現したの?倒したと思ったのは分身だったの?で、潜って身を潜めていたの?あの鵺の奴!
「ニャハハハ!お前達の姑息な魂胆は見え見えにゃ!この闘技場での数々の戦い方を見ていればお前らが何か考えてると思うにゃよ!」
「う〜思ったより賢いわね!」
「これで打つ手を失ったにゃ?では心置きなく始末するにゃ!」
その直後、鵺の眼前に飛び出し影が?
「ただぶん殴る!」
「ウギャ!」
炎の拳で鵺の顔面を殴ったのは!
「紅孩児君!」
そう言えばギリギリ起きてくれたのね!
「お前は俺様がぶっ倒すと言ったろ?」
紅孩児君は拳を握り鳴らすと見るからにヤル気満々だった。
「初戦の小鬼にゃか?」
鵺は上空に雷が凝縮した球を幾つも作り出す。
「鵺の雷妖弾」
『フミャアアアアア!!』
奇声とともに雷の弾丸が四方八方から紅孩児君を襲う。その攻撃を素早い動きで躱すけれど、雷の弾丸は軌道を変えては追尾して来る。
「あの猫野郎〜」
紅孩児君も炎の弾丸を掌に乗せると雷の弾丸へ衝突させて打ち消す。
「うりゃだだだだ!」
次々と投げ付ける炎の弾丸と雷の弾丸の衝突の中で、鵺は口から雷の咆哮を放ったの!
「ぐわああああ!」
雷の咆哮に飲み込まれる紅孩児君。
「うおおおお!」
それでも立ち上がる頑丈さは流石ね!
それにしても雷系の攻撃って何て厄介なの?
私は先の攻撃で全身麻痺して動けないでいたの。
「正座には自信あったのになぁ・・・」
うん。それとは違うか?
足だけじゃないし。
他の皆も動けないみたいね?
平気なのは紅孩児君と鉄扇ちゃんなのだけど、鉄扇ちゃんは羅刹の極みを使って消耗してるの。
聞くに使用回数は七日で一回くらいらしく、もう二度も使ってるから限界に近かったの。
「あの技でしとめていれば終わったかもしれないのにな?」
蛟魔王さんが呟くのが聞こえた。
ん〜もう!貴女が戦ってくれたら勝機あるのに〜
紅孩児君は鵺との戦いに夢中になってるみたい。
けど私には分かるわ!
紅孩児君無理してる!
神将四人も相手にして体力的にも妖気にしても同じく限界なんだとわかる。
けど精神力だけで戦っているのかも。
「四霊変化唯我独尊・鳳凰!」
紅孩児君の身体に鳳凰が纏われて神衣を纏う。
鳳凰の神衣は体力を回復しつつ攻撃力も防御力も急激にアップさせるの。
「小鬼の戦いは知ってるにゃ。諦めの悪い無鉄砲な戦い。しかし油断すれば他の神将のように痛い目に遭うのにゃ」
鵺は更に激しい攻撃を繰り出す中で紅孩児君は炎の翼を広げて攻撃を払いながら躱す。
「なら直接喰らうにゃ!」
鵺の身体が雷に纏われる。
それは獣神の雷。
纏われた雷は防御だけでなく、
「うわあぁあ!」
紅孩児君の殴りつけた拳が衝撃に耐えられずに弾かれてしまう。そう。触れたモノも寄せ付けないバリヤー[結界]みたいなものなの。
「いってぇ〜」
痛めた拳に息を吹きかけた後、止む無しと神具・火尖槍を抜いたの。
そして尖端に炎気を集中させる。
「俺様の火尖槍で貫いてやる!」
一気に詰め寄り、渾身の一撃で突き出す!
「無駄無駄無駄にゃ〜」
雷の結界が紅孩君の火尖槍の突きを止めるけれど、それでも一歩前に突き進む紅孩児君。
「負けてたまるかぁ〜!」
けれど全身に雷の衝撃が襲い苦しそう。
「俺様は負けないぞぉー!」
更に炎の力が強まり紅孩児君の加速が上がり鵺の結解を粉砕したの!
「やっ、やったわー!」
「待つら!法子はん?なんら?アレは!?」
八戒が指差したのは鵺の・・・
「う、嘘?」
私達が見たのは粉砕した結界の先に、別の結解が何重にも重なっていたの。
「我輩を守るは干支十二神将達の持つ強力な妖気にゃ。そんで我輩は十二枚の結界に身を守られてあるにゃよ?つまり我輩には傷一つ付ける事は叶わないにゃー!ニャハハハ!」
そ、そんな?
一枚でも厄介な結界が十二枚も?
更に粉砕したばかりの結界が妖気を帯びて再生していく。鵺を倒すには強力な一撃で十二枚の結界を一度に破壊しなきゃいけないって事?
「つぇ〜な・・・」
流石に戦闘狂の紅孩児君でも焦りが出ていたの。
鳳凰の能力で体力と怪我は回復出来ても妖気量までは回復出来ないの。これは孫悟空の朱雀も同じよ?
けど、紅孩児君ばかりに頼ってられないわ!
紅孩児君の後ろに私と八戒、黄袍怪さんが参戦する。
正直、まだ麻痺してるけど紅孩児君のおかげで大分回復したわ!それに前方でも白骨乙女さんが意識を取り戻して立ち上がる。
良かった。まだ行けそうね?
「皆、分かってるわね!」
「おぅ!」
私は目配せでタイミングと作戦を伝える。
もう目と目で伝わる関係なんて仲良くなったもんだわ〜って喜んでる場合じゃないわね?
私達の攻撃を一点に集中してぶつければ壁の一枚や二枚・・・十二枚くらい楽勝よ!
そして私達は同時に限界にまで気を高めたの。
「うぉおおおおおおおおお!」
更に高まる気に覇気を融合させる。
覇気とは攻撃的な気を凝縮して瞬発的にぶつけるの。その攻撃力は一点集中の破壊力を持つの。
だから!
この一撃に私達の全てをかけるわ!
「用意は良いわね?」
生憎、鵺の奴は私達を甘く見ているわ。
あの結界によほど自信があるのね?
そこに付け込む!
確かにここにいるメンバーは消耗しているけれど、塵も積もれば効果抜群って言うしね!
私達は同時に動いたの。
私は龍神の錫杖に霊気を籠めて突っ込む!
私を追い越すように釘はを手にした八戒と短刀に妖気を籠めた黄袍怪さんが同時に攻撃を仕掛ける。
「ウラァアアア!」
「暗殺奥義・鬼我剣牙空!」
あっ?ここに来て黄袍怪さんの奥義出たわ!
びっくりだわ!
二人の同時攻撃は鵺の結界をガラスが粉砕するかのように破壊したの。
一枚、二枚!
二人はその反動で弾き飛ばされると、その直後に紅孩児君と鉄扇ちゃんが攻撃を仕掛ける。
「今ある全ての妖気を籠めたわ!拳のみの羅刹の極みよ!」
鉄扇ちゃんの拳は結界を次々と破壊する威力だったの。
そして自分自身の反動で吹き飛ばされると、紅孩児君が続く!
「鳳凰・火尖槍!」
炎に包まれた紅孩児君は結界を破壊しつつ、その先の鵺に叫ぶ!
「こんにゃろー!」
けど、力尽きて吹き飛んだ所に破壊砲を充填していた白骨乙女さんと骨覇魅神。
口を開くと覇気が破壊砲となって放たれたの!
放ったと同時に骨覇魅神は消えて白骨乙女さんの中に消えて倒れたの。
破壊砲は残された結界を一気に粉砕する!
鉄扇ちゃんと紅孩児君が合わせて六枚。
そして七枚、八枚・・・十二枚と破壊したの!
残ったのは私だけ!
「この一撃にかけるわ!」
私の渾身の錫杖が振り下ろされた時、鵺は
「飛んで火に寄る馬鹿な虫にゃ!」
鵺は私目掛けて口から雷を放ったの!
「こなくそー!」
私の錫杖は雷をも両断しながら鵺へと突き進む。
倒れた皆のためにも私が決めなきゃ!
もう皆、力尽きてるし最後のチャンスよ!
「伸びよぉー龍神の錫杖ぉおおと!」
私の霊気を帯びた錫杖が孫悟空の如意棒のように長々と伸びたの!そして鵺の放った雷を抜けて私の数倍もある鵺に向かって殴りつけたの!
「なぁ〜!?」
しかし渾身の一振りは鵺によって止められた。
しかも!
「真剣白羽取りにゃ〜」
奇しくもそれは私が天犬精美に対して使った防御だったの。
何をパクってるかなぁ〜!!
「真正面から来ると分かって止められないわけないにゃよ!先ずは生意気なお前から始末するにゃ!」
「そうは問屋がおろさないわ!」
私は鵺に止められて動かない錫杖を手放したの。
「これで、あんたは両手がふさがったわけよ!」
「し、しまったにゃ〜??」
私は錫杖の上を滑り台のように滑って移動しながら鵺に向かって突っ込むと、私は龍神の籠手から新たな武器を出現させて掴んだの。
「龍神の独鈷杵!(とっこしょ)」
それはよく仏教の神様が使う武器なのよ。私もあんまり使った事がなかったけれど、弟が好んで使っていたから懐かしくなって竜神界の武器庫から拝借して来た武器なの。
「うおぉおおおお!」
私は独鈷杵を鵺の額に突き刺して、ありったけの霊気を放ったの!
内部から爆発する鵺!
閃光が放たれ私は光の中に消える。
どうなったの?
私は閃光があけて視界が戻っていく。
「う、ウソ?」
私の視線の先には内部爆発したはずの鵺の身体が蒸気に覆われながら再生していく姿だったの。
「ざ、残念だったにゃ?我輩の貴重な命を削ってお前達の体力を使い果たしてやったにゃ」
「どういう事??」
「我輩は十二体の神将が得る予定だった命を体内に保管していたにゃ。つまり我輩は十二個の命を持ち再生出来るのにゃー!参ったかにゃ!?」
「そ、そんな?」
私は全体力と霊気を使い果たして崩れ落ちる。
そして皆もまた同じく倒れていく。
鉄扇ちゃんが、白骨乙女さんが、八戒が、紅孩児君が・・・
唯一立っている黄袍怪さんは怯えて竦んでいたの。
こうなったら!
私は振り向いた先の蛟魔王さんに叫ぶ。
「蛟魔王さん!お願い!私達に力を貸してよ!」
蛟魔王さんは壁に寄りかかりながら、
「はぁ〜?何故私が?甘ったれるな!」
「甘えさせてよ!こんな可愛い私が頭下げてるんだから一回くらい良いじゃないのさ!」
「一回だと?ならもう終わったろ?それに甘えさせたら何度と同じように使う気だろ?」
「当然!!」
キッパリと言いのける私に蛟魔王さんは怪訝そうな顔で首を振って断るの。
「ケチ!」
「本当に騒がしい娘だ。それに私が戦う必要はもうないしな?」
「へっ?」
けれど鵺の再生は待ってくれなかったの。
妖気が完全再生すると同時に私達が決死の思いで破壊した奴の結界が全て元通りになっていた。
「万事休すなの?本当に?」
すると蛟魔王さんが私に言ったの。
「気付かないか?」
「何が?・・・んっ!?」
私はこの宮殿に近付いて来ている何者かの気配に気付いたの。
まさか新たな敵なの?
「あの馬鹿は漸くか・・・」
「えっ?それって?」
直後、宮殿の天井が砕けて穴があき、そこから落下して来る影が鵺向かって急降下したの??
「なぁ?何にゃ??」
鵺もまた新たな存在に驚きつつも、自分自身の力には自信もあったの。何せ十二枚の結界に守られているのだから!その結界に乱入者は殴りかかったの!
何て無謀にて馬鹿なの??
「!!」
けれど私達は次の瞬間に自分自身の目を疑ってしまったの。何せあの鵺の結界をもろともせずに全ての結解を一撃の拳で破壊し、鵺を直接ぶん殴ったのだから!
あはは・・・
忘れてたわ・・・
その者は孫悟空や阿修羅、それに蛟魔王さんと同じく現世最強の大魔王の一人!
「強い奴は何処だぁ〜!!俺俺、強い奴倒しに来たぞ〜がぅ!!」
百獣王さんの登場に展開が一変する。
そんなこんな
次回予告
百獣王の参戦にバトルは急展開。
しかし鵺もまだまだ1?




