妖恐再び!怒れる骨覇魅神と女心の白骨乙女さん?
まさかの強さを持っていた羊羹大帝
白骨乙女の危機に、ついに現れたのは?
私は法子
白骨乙女さんの危機に出現したのは守護霊の錬体魔王のもう一つの姿!太古の化け物。
妖恐ティラノサウルスだったの。
覇気が全身を纏い錬体魔王の頭脳と妖恐ティラノサウルスの計り知れない力を手に入れた守護霊、それこそ白骨乙女さんの切り札!
「骨覇魅神」
羊羹大帝はまだ余裕を見せていたの。
「驚きましたね〜?貴女にはとんだ化け物が棲んでいたようですね?めぇ〜」
例え化け物のような妖恐を前にしても羊羹大帝の使役する傀儡の魔神もまた強固な鎧に纏われた化け物。そして操られるがまま襲い掛かる。
「ウゴゴゴゴゴゴゴ!」
振り払う恐竜の尾が羊羹大帝の魔神を次々とふっ飛ばす!その破壊力は覇気の鎧を纏った魔神を一撃で粉砕したの。あれを見て私と鉄扇ちゃんは背筋が寒くなったの。
「あんなの相手にしていたのね?私達」
「今が敵じゃなくて味方で本当に良かったわ」
その状況と激しさは再び敵には回したくない程。
これは白骨乙女さん曰く愛の力なのね?
あはは、私には無縁だわ。
その凶暴な戦いぶりに羊羹大帝も焦りを感じていた。
「こんな化け物が現世にはおるのか?千年前にも見た事のない破壊ぶる者よ」
羊羹大帝は骨覇魅神の力に圧倒されつつ、それでも弱点を冷静に探っていたの。
「それでも三手で仕留められそうですね。めぇ〜」
羊羹大帝は確信したの。
三手で仕留められるですって?
どうやって??
羊羹大帝は先ず両手に覇気を籠めて掌を合わせると更に妖気が異常に高まり闘技場が揺れる。すると床から盛り上がるように新たな羊操魔神が二体出現したの!それは今までの魔神よりも数倍に大きく骨覇魅神を見下ろして潰しにかかる。
「ウゴゴゴゴ!」
骨覇魅神となった錬体魔王さんは狂気のように見定めた敵を倒すだけの本能の化け物。でもそれは知能が無いわけでも獣並みってわけでもなく、敵を倒すための分析をし、己の力を存分に発揮する。
潰しにかかる魔神の攻撃を躱して足元に攻撃を仕掛け、崩れ落ちる所を口を開き覇気を籠めた破壊砲を放ったの!その威力は目の前の巨大な羊操魔神を一瞬で粉砕したの。
更にもう一体にも破壊砲を放つ。
「あんな破壊砲があるのも知らずに迂闊に攻撃を仕掛けていればいちころでした。うむ。一手は相手の隠し技を見定めるため。ニ手は逃げ場を無くしましょうかね〜」
すると足下から無数の糸が伸びて来たの。
その糸に絡まれば力を吸収される事は先の攻撃で知っていたため骨覇魅神は白骨乙女さんを肩に乗せて糸を避けながら距離を取る。
闘技場の中心に骨覇魅神が誘き寄せられると、
「これで三手です」
糸が伸びて骨覇魅神を摺り抜けて白骨乙女さんに絡み付いたの!?
「きゃあああ!」
「!!」
骨覇魅神の動揺が走る。
「はい!これで摘みですよ〜めぇ〜」
すると羊羹大帝の掌から伸びる糸が槍のようになって白骨乙女さんに狙いを付ける。
「簡単な事。その娘さえ消せば、その化け物も消えてしまうのでしょう?これで終わりですよ〜」
糸を凝縮した槍が白骨乙女さん目掛けて投げられたの!
まさに絶対絶命の危機。
「やはりそうなりましたか」
その結末を予測していたかのように羊羹大帝は勝利を確信したの。そう。羊羹大帝の視線先には白骨乙女さんを庇って身を呈して飛び出した骨覇魅神の背中を貫いていたの。
「さて、どんどんいきますよ〜」
「めぇ〜!!」
次々と突き刺さる槍から妖気(恐気)が吸い出されて力を失っていく骨覇魅神の姿が錬体魔王さんの姿へと戻っていく。
「あ、あなた・・・」
「君が無事で良か・・・た」
力を削られ錬体魔王さんの姿が薄く消えかけていく。その身体を抱きしめて受け止める白骨乙女さんは涙を流していたの。
もう終わりなの?
このままじゃ、白骨乙女さんも錬体魔王さんも殺されてしまうわ!
どうしたら良いの?
二人の姿を見て羊羹大帝は勝利を確信していた。
「さて、終わらせますかぁ〜」
更に糸の槍が鋭く妖しく光る。
そして二人目掛けて投げられたの!
死の覚悟を決める二人は僅かな時を語らう。
「私達終わりのようですね」
「短い時間だったが、貴女と共に過ごせて楽しかった。出来るなら、もう一度来世で・・・」
「必ずご一緒致しましょう!」
すると錬体魔王が寂しい顔をする。
「どうなさったのですか?」
「私の過去の因縁で貴女を巻き沿いにしてしまった事を後悔しております。本当ならこの戦いが終えた後に・・・」
「終えた後?」
その時、脳裏に私達に会う前に約束をしていた事を思い出していたの。それは二人だけの約束。叶えたかった約束。楽しみにしていた約束?
「そうだったわ〜!!」
白骨乙女さんは思い出した途端に立ち上がり活気が満ちてきて気力が溢れて来たの!
な、何が起きたの?
「危なく忘れるところだったわ!」
えっ?何を忘れてたと言うの?
白骨乙女さんは拳を握り締め叫んだの!
「この面倒事が終わったら彼と二人きりでラブラブ旅行行くのよぉ〜!!」
その妄想と悶々パワーが呆気にとられている錬体魔王さんに力が注ぎ込まれると、その身体が覇気に覆われて再び骸骨恐竜の姿、つまり骨覇魅神へと復活して立ち上がったの!
「えっ?えっ?嘘っ??」
突然の状況に立ち竦む羊羹大帝を骨覇魅神が獲物を狙う目で睨み付けると、突進して来たの!
「防ぐのです〜魔神達よ〜」
現れる羊操魔神達だけど骨覇魅神の突進力を止める事も出来なく接近を許すと、
「あわわ〜めぇ〜」
一噛みで羊羹大帝を消滅させたの。
あ、あら?
それは一瞬の出来事で、私達は本当に呆気にとられて理解するのに硬直したまま目が点になってたの。
つまりラブラブ旅行への欲望的願望で火事場のクソ力を発揮して大逆転したのよね?あはは。
「勝者〜白骨乙女にゃよ〜!」
今、白骨乙女さんの勝利が梁渠によって発表され私達は喜び合ったの。
「白骨乙女!」
そんな中で錬体魔王さんが叫ぶ?
白骨乙女さんが力を出し尽くして倒れたの?
えっ?大丈夫なの??
暫くして白骨乙女さんは続行不可能と判断して引き返させたの。
「ごめんなさい」
「うんうん。白骨乙女さんは良くやってくれたわ?それに残りは一体だけだしね」
「けど、残った奴って確か干支十二神将で一番強い奴じゃなかったらか?」
八戒に言われて確かにそうだったと思い出す。
梁渠が早々と残った最後の駒を投げるとルーレットの中でカラカラと転がり始める。
対して私達は今戦い終えた白骨乙女さんはもちろん紅がい児君も鉄扇ちゃんも、私に八戒も体力が尽きている状態なの。無理して戦ったとしても、最強を誇る相手に勝てるのかしら?
それに干支神将は全員半端ないって〜
すると駒が闘技場に落ちて新たな戦士が現れる。
その戦士が闘技場に現れた時、離れた場所にいる私達はその桁違いの覇気に押し潰されそうになったの。それは今迄の神将とは比べ物にならない強さが伝わってくるのが分かる。
「かつて私を倒した蛇の神将と同等か?それ以上の力を感じる」
錬体魔王さんが全身を震わせて告げる。
けど私は前向きに答えたの。
「あんなのが二人いないだけでも運が良いって話よ?私達はツイてるわ!」
「前向きね?あいつ化け物よ?勝てる見込みあるの?法子?」
「私には無理よ?鉄扇ちゃんはどう?」
「そうね?体力が全回復して・・・うん。そうね?恐らく今は無理かな〜」
「今は無理って、つまりそれだけ強い相手なのね」
鉄扇ちゃんでも勝てない相手に私や八戒は問題外よ?白骨乙女さんと骨覇魅神の力でナンバー1を倒す計画だったのに羊羹大帝がまさかの強敵で計画が狂ったわ。紅孩児君はまだ眠ったまま起きないし。
「骨覇魅神の力で勝てるかどうか。まさかあれ程とは・・・それに白骨乙女も戦える状態じゃない」
「そうね・・・」
悩む私達に梁渠が会話に入る。
「この龍の神将さえいればお前達の快進撃も終わりのようにゃよ?全員全滅にゃ〜。それに勘違いしてにゃいらか?次の対戦相手はルーレットで決めるにゃよ〜!」
あ、そうだったわ!
「ルーレットで選ばれた順に地獄行きにゃよ〜」
「いちいち煩いわね!」
梁渠は私達の駒を全部放り込むと中でカラカラと回転している。そういえばこの場にいないメンバーの名前とか記入したけど、もし選ばれたらどうなるのかしら?孫悟空や阿修羅が出たら戦える状態じゃないし。沙悟浄が出たら・・・ごめんなさい沙悟浄。
そして駒が一つルーレットから飛び出して闘技場に落下したの
。だ、誰が選ばれたの??
しかし闘技場には誰も現れなかったの。
「にゃはは!これはやってしまったにゃね?」
「どういう事よ?」
「この場にいない者の名前が記されているにゃ」
「つまりそれって?」
「今からテンカウントする迄に闘技場に現れなかったら、その者は遠く離れた場所にいたとしても宮殿の呪いで苦しみ死ぬにゃよ〜」
「何ですって!酷いわ!」
けど私を見る他の皆は私を冷たい視線で見る。
その原因が私だから?
「まさか河童ちゃんじゃないでしょうね?だったら私が出るわ!」
「それはルール違反にゃ!」
鉄扇ちゃんの訴えを却下すると、鉄扇ちゃんは私に一言恐い事を言うのよ。
「もし河童ちゃんだったら法子を殺して私も死ぬわ」
「えっ?私も?」
「当たり前よ。もし勝手に名前書かれて意味も分からずに死ぬって、私だったら末代まで怨むわよ」
「あはは。そ、そうよね?やっぱ?」
笑って済ませられないわね。
そこに既に闘技場に現れている戦士が口を開いたの。
その戦士は漆黒の鎧を纏った龍の戦士。
龍神族よね?やっぱ?しかも肌の色から見て恐らく魔神国の龍神の戦士よね。
「この俺の相手はまだか?それとも臆したか?」
その言葉から発する威圧に私達は怯む。
それほどの力を感じるから。
「残念にゃが、対戦相手はこの場にいないのにゃ〜つまり不戦敗になるにゃ!そして対戦相手は遠く離れていても直ぐに呪い殺されるにゃよ〜」
「恐いな〜」
えっ?
そこに私達とは違う女性の声が闘技場から聞こえたの?
誰かしら?
「呪い殺されるなんてまっぴらだから来て見れば面白い事をしてるね?まぁ、私に本当に呪いがかけられたとしても呪詛を返す自信もあるがな」
その声の主は突然闘技場に姿を現したの。
正確には次元の扉を特殊な能力を使って離れた場所から空間移動して来たのが正解かな?
その者の姿が闘技場に現れた時、
「まさか法子はん?とんでもない奴を呼んだんらな〜」
青褪めながら八戒が震えながら歓喜に拳を握る。
そして鉄扇ちゃんも驚いていた。
「アイツ見た事があるわ!確かに昔、義姉さんと戦った事がある。当然義姉さんが勝ったけれど、暫くした後に私に言ったの・・・」
羅刹女さんは笑みを見せて言った。
「アレはまだ本気じゃなかったわ。この私を本気にさせられる奴がこの世界にもいるとは捨てたもんじゃないね。しかも女の戦士でさ?」
「そんなに強いの?あの女?」
「そうだねぇ〜私を本気にさせられるかもね」
「嘘よ!」
「いずれ分かるわ。この世界はまだまだ私の血を騒がせる連中がいるのだから!」
「義姉さん?」
過去を振り返る鉄扇ちゃんは、闘技場の彼女を見て唾を飲み込んだの。
「何処から現れたのにゃ?この闘技場に途中から出る事は勿論、外から侵入なんて出来ないはずニャ??」
「彼女なら何をやっても不思議じゃないわ?」
「何者にゃ?」
「彼女?」
私は自信をもって伝えたの。
「彼女は現世において最強の大魔王の一人、私の知る限り最強の女性!」
闘技場の彼女は笑みを見せる。
「覆海大聖・蛟魔王!」
突然の助っ人に私は間にあった事に肩を撫で下ろす。
そんなこんな。
次回予告
あの蛟魔王の登場に闘技場は荒れ狂う!
干支十二神将最強との一騎打ち!
この戦いは因縁?




