第十宮殿!一番最弱羊の神将?
王兎を倒した白骨乙女。
その勢いで次の神将も倒せるか?
私は法子
白骨乙女さんは魔王玉兎を見事に倒したの。
そして新たな駒がルーレットを転がっている。
そういえばまだ最強の神将が残っていたわよね?
次はもしかしたら?
駒が闘技場に落下すると、新たな宮殿へと私達は移動していたの。
そこは羊宮殿だった。
「うむむ」
梁渠が訝しげに新たに現れた神将を見ていたの。
「確かアイツは羊羹大帝にゃ」
「大帝?強いの?」
「はぁ〜そうあって欲しかったにゃが、干支十二神将最下位のレベルにゃ〜。残念にゃがら早く終わらせて次のナンバー1に相手してもらうにゃよ〜」
「あら?ラッキー!じゃあ勝ったも同然ね?」
「口惜しいにゃ」
羊羹大帝は見るからに二足歩行するモコモコの羊が衣を着てるくらいで、妖気量も大したことなかったの。確かに弱そうね?
梁渠は腕を挙げると開始の合図をしたの。
「第十一戦、開始するにゃ〜!」
合図と同時に白骨乙女さんは構える。
「・・・」
けど、相手は動かない?
様子を見てる?警戒してる?
「・・・」
長いわね〜?
「ぐぅ〜スヤスヤ」
って、寝てるじゃないのさ〜!
「何なの?さっさと終わらせてあげましょう」
白骨乙女さんが羊羹大帝に向かって近付いて行く。
すると羊羹大帝が目を覚ましたの!?
「く、来る気?」
白骨乙女さんが警戒すると羊羹大帝は、
「おや?もう始まりでしたか?出番がお久しぶりだったんで寝過ごしてしまいましたよ〜おやおや?私の相手は彼女のようですね〜」
「何なの?こいつ?やる気ありますの?」
「やる気?やる気は、ありますよ〜」
すると白骨乙女さんを中心に羊羹大帝の分身体が出現したの!
羊が一匹、羊が二匹・・・ん?
あっー!!
突然、白骨乙女さんが崩れ落ちるように倒れたの?
しかも!鼻息立てながらスヤスヤと?
って、もしかして眠ってしまったの??
これは何て戦略的な策なの?
分身を倒すには無意識に数えるしかないわ!
その無意識にかけられた術。
「分身催眠術」
しかも羊の分身を数えていれば眠たくなるのは至極当然だもん。
羊羹大帝はニコニコ笑いながら答える。
「確かに私は強くはありませんよ?しかし殺し合いとなったら話は別です。いざ命の取り合いに関しては私の右に出る者はおりませんよ〜めぇ〜」
羊羹大帝は眠ってしまった白骨乙女さんへトドメを刺すために近付いて行く。
その手には巨大なハンマーを手にしていたの。
「無抵抗で無防備の相手なら一気に潰して粉砕してしまえば決着も早いでしょう。跡形も残さず潰して差し上げましょ〜」
白骨乙女さん!起きて!起きて!
危機的状況に白骨乙女さんは起きないまま。
「さ〜て〜と!」
羊羹大帝が巨大ハンマーを振り上げようとした時、恐るべき殺意を感じて飛び退いたの。
それは眠っている白骨乙女さんから感じたの!
「おや?本能的に危険を察知しました。何だったのでしょうか今の殺気?」
羊羹大帝は倒れている白骨乙女さんから感じる白骨乙女さんとは別の力に警戒したの。
「これはこれは〜」
すると声がする?
「起きなさい。白骨乙女?」
「ムニャムニャ〜」
「朝ですよ?」
「あ〜ん。お目覚めのキスしてくれなきゃ起きれないわ〜」
って、起きてない?白骨乙女さん?
すると白骨乙女さんは一人悶えた後、目を覚まして立ち上がったの。
「せっかく良い夢見てたのに邪魔しましたわね?それに卑怯な手を使って!」
白骨乙女さんは両手を前に出すと、その指が伸びて羊羹大帝の分身を次々と貫く!
「次は本体にいくわよ!」
しかし白骨乙女さんの動きが止まる!?
「な、何?身体が動かないわ?」
白骨乙女さんは気付く。
自分の腕や足、身体中に無数の糸が絡まり身動きを止めている事に。
その糸は全て羊羹大帝の身体から伸びていたの。
「拘束糸縛りです。私の妖気を籠めた糸はそう簡単には切れませんよ?」
「あら?そうなの?」
白骨乙女さんは覇気を掌へ集中させると、
「骨粗鬆掌!」
その手に触れた糸が次々と切れていく。
「私の骨粗鬆掌に触れたら最後、粉々よ?」
「なんと?これは恐ろしいですね〜」
羊羹大帝は全身に糸を絡めて防御する。
「そんな防御で私の骨粗鬆掌を敗れると思わないで!」
骨粗鬆掌
白骨乙女さんの格闘奥義なの。
掌に圧縮した覇気を籠めて触れたモノを粉砕する恐ろしい技なの。
羊羹大帝に向かって襲い掛かると、羊羹大帝は余裕を見せてヤレヤレのポーズを取る。
「言ったですよ?私は強くはないですが殺し合いに対しては用意周到だと〜めぇ〜」
羊羹大帝から妖気を籠められた糸が無数飛び出して白骨乙女さんに向かって行くと、足を止めた白骨乙女さんは即座に構えて蹴りや手刀で糸に対抗する。
全ての攻撃に白骨乙女さんの格闘技で対処しながら羊羹大帝に迫っていく。
「おやおや?やりますね〜まるで肉食獣ですね?」
羊羹大帝はまだ余裕があったの。
接近戦の攻撃を羊羹大帝の眼は捉えていた。
白骨乙女さんの繰り出す全ての攻撃を上手く躱しては糸を使い攻撃する。
「私の眼は四方向の攻撃を捉えられます」
そういえば羊って肉食獣から身を守るために独特な眼を持っているの。写真で見ると分かるけど、羊ってかなり恐い眼をしてるのよ?瞳孔が横長になって、それは肉食獣から襲われる際に視野が広いのが特徴なの。
「あ〜恐い恐い!」
「ナメてますわね!」
白骨乙女さんはそれでも巧みな格闘技で応戦する。
「骨蜘蛛突き!」
すると狙っていたかのように白骨乙女さんの腕が突然六本になって同時に羊羹大帝の眼でも捉えられない六方向からの骨粗鬆掌の突きを放ったの!
隙を付かれて串刺しになる羊羹大帝・・・
けれど白骨乙女さんは自分自身に置かれた危機に気付く。羊羹大帝の身体を貫いたはずの腕が全て抜けなかったから?それは羊羹大帝の身体を纏う糸が急所に当たる前に絡みつき止めていたの。
「さてと〜掴まえましたよ?ではさよなら〜」
羊羹大帝の眼から白骨乙女さん目掛けて怪光線が放たれたの!
「!!」
白骨乙女さんは即座に腕を関節から外して怪光線から身を反らせて躱すと、そのまま転がりながら距離を取ったの。まさに紙一重だった。
「はぁ、はぁ・・・」
白骨乙女さんも目の前の羊羹大帝が曲者であり、
「強い」と判断する。
「ヤレヤレ〜私の事は見くびり油断していて欲しかったのですがねぇ〜そうして貰った方が・・・」
羊羹大帝の眼が妖しく光る。
「・・・楽に殺せるめぇ〜」
羊羹大帝
かつて大陸を支配した大魔王。
その実力は表だった伝説が残っていなかったためにその軍事力のためと思われていた。
けれど本当は違っていた。
羊羹大帝は城から出ずに糸を伸ばして己の軍隊を操り、戦争で傷付き動けなくなった兵士を糸で操り死んでもなお動かし続けて戦わし、邪魔な敵国を滅ぼしていたの。
その用意周到さで暗殺者も刺客も全て羊羹大帝には傷一つ付けられなかった。
そして老衰で生涯を終えたの。
つまり生涯無敗!
「さてさて私は自分の手を血で汚すのが嫌いでしてねぇ〜。貴女には相応しい相手を用意致しましょ〜!いでよ、羊操魔神!」
羊羹大帝の背後に糸が絡まりながら形作り巨大な大魔神が出現したの!
「貴女の相手はこの魔神が相手しましょ〜」
魔神は大柄の割に素早い動きで白骨乙女さんに襲い掛かって来たの。けれど両手を失った状態で攻撃を躱しきれないわ!
「骨密度再生!」
白骨乙女さんの腕が骨から順に再生していく。
そういえば白骨乙女さんの再生力は半端なかったわね?
そして再生した腕で魔神の振り下ろした拳を受け止めたの。
「う、うぁあああ!」
けれど受け止めた腕が粉砕して白骨乙女さんは転がるように闘技場に倒れたの。それでも立ち上がろうとするけど妖気が急激に減少して力が入らない。
「駄目、力が、入らない・・・何故?」
それには意味があったの。
「私の羊操魔神に触れた者は妖気を奪われ、糸を通して私に流れて来るのです。貴女の妖気、とっても美味でしたよ〜芳しいほどに」
「この変態男!」
更に白骨乙女さんの周りには羊羹大帝の分身が何体も現れたの。そして全身に覇気を纏った糸が全身を覆うと羊操魔神と化したの。
「どんだけ分身がいようとも本体さえ倒してしまえば終わりですわ!」
白骨乙女さんは妖気を高めると、玉兎を倒した大技を発動させたの!
「骨密度・密林!」
闘技場を白骨乙女さんの骨が伸びて広がっていき、床を盛り上げて枝分かれし森のように骨が突き上げて来たの。これで全て貫いて終わりよね!
「!!」
けれど枝分かれした骨は羊操魔神に触れると伸びきる前に粉となって消えていく。
「私に触れたら妖気を吸われてしまうといったですよね?力任せに無駄な事をしましたね〜めぇ〜」
「はぁ、はぁ・・・」
白骨乙女さんは破れかぶれの大技が通用しなくて打つ手を無くしていたの。
「これで後は貴女に死んでもらうだけです」
疲労して立ち上がる事も出来ない白骨乙女さんの周りを羊操魔神が数体囲みながらじわじわと迫る。
「白骨乙女さん、立って!」
私が叫んでも白骨乙女さんは立ち上がれないでいたの。既に妖気量は大技と再生を繰り返した事で限りなく少なくなっていた。もう戦える力は残っていないのが分かる。
「さぁ〜私の傀儡羊操魔神達よ!この遊びに決着をお付けくださ〜い!」
羊羹大帝の命令に飛び掛かるように白骨乙女さんに襲い掛かる羊操魔神達。私は両手で顔を塞ぎ、その隙間からその状況を覗き見る。
「あっ!!」
その状況は一転していたの。
羊羹大帝もまた驚きを隠せない。
襲い掛かった羊操魔神達がたった一撃のもとに弾き飛ばされてしまったから!
それは白骨乙女さんを中心に巻き起こった妖気とも思えない異種的な気の爆発?
何が起きたのかは私には分かる。
白骨乙女さんを守る騎士!
座り込んでいる白骨乙女さんの背後に現れたの!
「何なんですか?あの化け物は?千年前にもあんなのは存在しなかったですよ?」
それもそのはず、あの化け物は錬体魔王が太古の支配者であった恐竜から生み出した化け物!
その化け物の核である者が叫ぶ。
「この私を取り込み、かつてこの干支神殿に挑戦したモノとは比べ物にならない力を持った最高傑作。見るが良い!妖恐の力をー!!」
強烈な恐気が白骨乙女さんを守るように噴き出すと骸骨の恐竜・ティラノサウルスの化け物が雄叫びをあげたの!
「フギャアアアア!!」
今、白骨乙女さんの守護霊が戦場に立つ!
そんなこんな
次回予告
ついに秘密兵器妖恐が暴れる!