表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
191/713

第九宮殿!ウサギと骨?

法子の快勝!

勝ち続ける法子一行だけど?


私は法子

何とか天犬精美に勝利した私だったけれど、突然全身の力が抜けて動けなくなったの。

仕方なく交代した私に鉄扇ちゃんが駆け寄る。

「神具は確かに強力な力を与え補助してくれるけど、その持ち手に全く反動がないわけじゃないのよ?それに法子、あんた幾つ道具使ってたのよ?」

「十以上かな?」

「!!」

鉄扇ちゃんは正直驚いていたの。

神具の同時コントロールは勿論、持ち手と武器の相性だってある。それを幾つも同時に最大限に引き出して、更に魔王級を倒せるなんて本当に人間に出来るの?と・・・


鉄扇ちゃんは感じる。

決して天犬精美は弱くなかった。

勝因は私との相性も良かった事もあるけど、やっぱり私の持つ底知れない何かを感じていたの。


「さ〜て、ちゃっちゃと次の対戦始めるにゃよ!」


梁渠はルーレットに残った駒を放り投げる。

けど、こっちは白骨乙女さんがフル活動出来るけど、他は体力が回復してないわ。それにこの場にいないメンバーが選ばれたら、不戦敗で命を無償で渡さないといけないのよ。

だから、この場は白骨乙女さんが選ばれないと私達には不利なの。

駒が飛び出して闘技場に落下すると、その名前が表に出る。

「第九対戦・白骨乙女にゃ〜!」

「よっしゃ〜!!」


私と鉄扇ちゃんは手を繋ぎ合う。

「行ってくるわ」

闘技場に白骨乙女さんが仕方なしと出る。

そして対戦相手の神将も現れたの。

その神将は兎?

頭が兎顔で白い衣を纏う戦士。

二本の刀を両手に持って、闘技場の中央に立っていたの。体型は細型で兎だからスピード重視かな?

そして体付きから神将初の女の子?

「奴は玉兎にゃ!」

「玉兎?」

月より現れた妖怪らしく、また特殊な能力を持って地上界に君臨した魔王。

「奴はどんな能力を持っているか不明にゃ」

「もう少しネタばらししてよ〜」

対する白骨乙女さんは、元人間なの。

今から六年前に蜘蛛の妖怪の呪いで傀儡として操られ、人間の男を呼び寄せ蜘蛛妖怪へ貢ぐ道具として使われていたの。

それが孫悟空達の旅の道中で助けられたのだけど、ちょっと手違いから妖怪化してしまったの。

妖怪歴で言えば新参者よね?

けど、その実力は私達がよく知ってるわ。

彼女は強い!

「こんな所まで着いて来てしまったけど、彼との時間を邪魔されたくないから早々に終わらせて貰うわ」

言い忘れてたけど、白骨乙女さんには守護霊が取り憑いていて、かつて三百年前に孫悟空と争った錬体魔王ってマッドサイエンティストらしいの。

しかも自ら造り出した妖恐ティラノサウルスって化け物と融合してとんでもない強さを手にしてるの。

「お前、小者か?消えなさい!」

玉兎は開始の合図前に二本の剣を手に突進して来たの!

堪らず梁渠が開始の合図をする。

「警戒してない特攻なんてナメられてるわね?」

白骨乙女さんは構えると間合いに入った玉兎の剣を息を切らさず紙一重で躱していく。

白骨乙女さんは体術を極めてるの!

孫悟空や鉄扇ちゃんへの復讐を誓い身につけたらしいの。

「斬り刻む!」

横一刀両断で白骨乙女さんが真っ二つにされた!

上半身と下半身が闘技場に転がる。

その状況を見て梁渠が溜息を付いたの。

「どうやら雑魚が混ざっていたようにゃね?お前ら神将を倒す化け物揃いかと思えば、早い決着だったようにゃね?」

「そう?彼女まだ戦えるわよ?」

「にゃ?」

梁渠が見ると、斬られたはずの白骨乙女さんの下半身が動き出して胴体と重なると立ち上がる。

「びっくりしたわ〜」

梁渠は目を飛び出していたの。

「また不死人にゃか?どんだけ不死人連れて来てるのにゃ〜??」


そうなの。

白骨乙女さんは不死人なの。

かつては蜘蛛妖怪の呪いで不死を得た傀儡だったけど、その後は自らの怨念から不死の化け物に転じたの。しかも!

「骨粗鬆掌!」

突き出した掌から放たれた覇気で襲いかかる玉兎の剣が粉砕したの。あれこそ体術の極み・骨粗鬆掌!

凝縮した覇気を掌に集中させて物体を粉砕する奥義。

「あの奥義と体術を繰り出す白骨乙女さんなら千年前の魔王だって恐くないわ!」


私は勝利を確信したの。

けど、その後の戦いは形勢逆転する。

白骨乙女さんの攻撃が全て躱される。

「あ、当たらないわ?」

「ニャ」

玉兎は苦もせずに攻撃を躱すと剣を斬りつける。

まるで当たらない相手と不死の対決。

「何で当たらないのよ〜??」

白骨乙女さんが距離を取ると、玉兎の動きを見る。

そして次の動きをしようとした時、玉兎は自分よりも先に動き攻撃を繰り出す。

「きゃあ!」

白骨乙女さんの衣が引き裂かれると、その中身は骸骨の身体が露わになる。

そうなの。白骨乙女さんは顔は綺麗な女の子だけど骸骨妖怪なのよ。

「私の躯を見たからには殺すしかないわね」

「ニャ」

「さっきから薄気味悪い笑みを見せて気持ち悪いわね〜」

「骸骨に言われたくないわ」

「口を開いたかと思えば本当にムカつきますわね!」

けど、確かに勝負がつくの?

「なるほど。お前を殺すには呪いの核を潰せば良いのね?」

「!!」

それは白骨乙女さんを殺すための手段なの。

白骨乙女さんの不死は八戒のと違う。

白骨乙女さんの根に持つ呪いが現世に残り核に凝縮して、その核を媒介にして骨が形取り人間の時の姿を作ったのが白骨乙女さんという妖怪なの。

つまりその核を壊されたら?

「それが何処にあるか分からなきゃ意味ないですわよ?」

「鎖骨に核を隠してるね?」

「お前、何故それを?そうか、お前私の心を読んでいるの?だからさっきから私の攻撃が当たらないのですね!」

「ご名答よ。お前の心の声は駄々漏れ」

「あ、そう?でも分かったところで何も変わらないわ!核を狙おうが、不死でなくても心臓潰せば死ぬのと変わらないし」

「前向きね。けどこれからが本番」

「私も本気みせてあげますわ!」

玉兎の周りに宙に浮かぶ光の剣が浮かび上がる。

「操剣乱舞!」

無数の剣を操り白骨乙女さん目掛けて飛ばすと白骨乙女さんは飛び上がり躱し叫ぶ。

「闘技・蜘蛛髑髏!」

白骨乙女さんの背中から骨の腕が四本現れて合計六本となったの。そして覇気を籠めると向かって来る剣を次々と粉砕する。

「現世の妖怪も思ったより手強いわ」

「お褒めにいただいて嬉しいですわ!だったら過去の異物はさっさと消えてちょうだい?」

二人の攻防戦は拮抗していたの。

玉兎の操る剣の攻撃に素早い動き、対して破壊力のある白骨乙女さんの六本の手から放たれる掌打。

互いに闘技場狭しと素早い動きで動き回りぶつかり合っていたの。

けど?

「白骨乙女さんはどうして奥の手出さないのかしら?」

私は白骨乙女さんの守護霊である錬体魔王さんの事を鉄扇ちゃんに聞いてみた。

「分からないの?まだ神将は他に二人残っているのよ?初戦で出したら後の戦いまで体力もたないわよ」

「そ、そうなのね。けど初戦で負けたりしたら元も子もないわよ」


けど白骨乙女さんの意地があったの。

これまで紅垓児君に鉄扇ちゃん、彩鵬ちゃん、それに八戒や私まで苦戦の中で勝ち進んでいる姿を見て胸が熱くなったの。あ、骸骨だけど。

「あんなの見せられたら私もやる気出ちゃいますわ」

けど、白骨乙女さんの繰り出す蹴りや掌打は心を読む玉兎には全て躱されてしまう。

「心を読むなんて反則よ!」

「ふふふ。お前は死ぬの。お前の未来はここで終わり、この私が現世へ蘇るのよ!ふふふ」

「何ですって!」

その直後、玉兎の動きが一瞬止まり白骨乙女さんの攻撃を掠らせ転げ倒れたの?

「あら?当たった?何で?」

自分でも驚く白骨乙女さんに対して玉兎は顔を真っ赤にしていたの?あれ?どうしたの?

「お、お前!今、戦いの最中に何を考えてるのよ!」

赤面する玉兎は白骨乙女さんを指差して怒っているの?

だから何?何が起きてるの?

「命懸けの戦いの最中に、何男とピィーとかピィーとか!ピィーなんて妄想してるのよ!」

「あらま?」

「あらま?じゃないわ!この変態女!」

う〜ん

どうも何となく分かった気がする。

白骨乙女さんは守護霊の錬体魔王さんと大人のナニを妄想して、心を読む玉兎が面食らったのね。

「あんた処女ね?ウブね」

「うるさい!」

玉兎は再び白骨乙女さんの心を読むと、今度はもっと過激で凄いビジョンが見えて鼻血を噴き出す!

「あちょー!」

白骨乙女さんの蹴りが命中すると玉兎はぶっ飛び闘技場に転がりながら倒れたの。

「この破廉恥女ぁああ!」

「破廉恥?違いますわ。愛に満ちたりてるだですわ」

言い切る白骨乙女さんは更に続ける。

「あんた?男もいないなんて可哀想ね?憐れね?惨めね?おほほほほ」

うん。それを聞いて私は少し玉兎を応援したくなったけど、ここはグッと我慢する。

「もう遊びは終わりよ」

玉兎は立ち上がると殺気が込み上がる。 

そして覇気が額へと集中していく。

「これが私の、オレの本気だ!」


えっ?

玉兎の額が開くと、第三の眼が現れたの。

まさか第三の眼を持つの?

私は旅の途中で百眼魔王って奴と戦った事があるの。そこで百眼魔王は第三の眼を開くと驚異的に力が膨れ上がり苦戦したの。そして第三の眼には決まって魔眼が発動するの!

「な、何?玉兎の妖気が膨れ上がって近寄れないわ!」

更に玉兎の身体は女性だったはずなのに男の身体へと変化していたの。

「こうなったオレは見境ないぜ!」

真っ赤に光り輝く第三の眼の魔眼の能力は身体強化と単調だけど、その破壊衝動をも膨れ上がらせた。

「さつり・くぅー!!」

突っ込んで来る玉兎は閃光の速さで刀を振るうと白骨乙女さんの右手が二本斬られて飛んでいく。

「私の腕が!」

その動きは不規則でいて速く、その剣術は白骨乙女さんの体術でも捌ききれなかったの。

「ならば見せてあげますわ!」

白骨乙女さんは自分の残ってる四本の腕から二本抜き、残った腕から覇気を籠める。

「覇骨砕棒!」

それは骸骨製の棍棒。

覇骨砕棒を振り回しながら構える白骨乙女さんは覚悟を決める。

この武器で倒すと!

体術だけでなく棍棒術も体得してるのね?

「私にはまだ仕事が残っていますの。お前にかまってる暇はないですわ!早く終わらせて彼とイチャイチャタイムが待ってるのよ!」

それは欲望といった荒んだ妖気の高まりだったの。

「あ〜なると厄介よ?彼女」

「えっ?」

鉄扇ちゃんは教えてくれた。

幾度と白骨乙女さんに命を狙われて戦って来て、その潜在能力には驚きを抱いていたの。

人間から妖怪になった。

その怨念が力の源?

それだけでは片付けられない強さを感じたの。

錬体魔王さんが教えてくれた事がある。

かつて錬体魔王さんの奥さんだった女性は普通の人間ではなく人間と仙人との混血だったと。

一緒にいる時は見せなかったけれど、その仙力は千里の山をひとっ飛びし、大木を指一つで倒す力を持った特別な能力を持っていたとか。

その転生した姿が四鈴さんって人間の娘で、後に白骨乙女さんへと転生を繰り返したの。

それは異例の特殊能力者。

本人の自覚こそないけど白骨乙女さんは本来有り得ない特別な妖怪なの。

妖怪?違うわね?彼女は産まれながらの特別な出生の妖仙なのよ。

その力は直ぐに開花した。数年ばかり体術を会得した程度の妖仙が最強魔王の孫悟空や鉄扇ちゃんと渡り合えるなんて考えただけでも異例よ?

しかも封印されていた錬体魔王さんを解放して自らの守護霊にしてる地点で無敵じゃん!

「私は勝ってダーリンとイチャイチャして今までの苦しかった時間を取り戻すのよ!」

白骨乙女さんの突き出した覇骨砕棒には白骨乙女さんの奥義・骨粗鬆掌が伝わっている。

つまり触れたモノは全て粉々になるの。

素早い動きと強化した身体で迫る玉兎も迂闊には近付けないでいた。

「さつりくぅー!!」

凄まじい衝突が繰り出される中で白骨乙女さんの身体から仙気が高まっていく。

「骨密度・密林!」

闘技場に向けて突き刺した覇骨砕棒が地表で広がっていき、床から突き出して伸びながら枝分かれしていく。触れれば粉々になる枝は、まさに密林の如く増殖していく中で玉兎の逃げ場を無くしていく。

「何だと?何だ、この馬鹿げた力はぁああ!」

そして全方位塞いだ時、決着は付いたの。

玉兎は串刺しになって消滅する。


何よ?圧倒的じゃないの?

白骨乙女さん!

「どうするニャ?続行かにゃ?」

白骨乙女さんは溜息をついて答える。

「続行すれば良いのでしょ?乗り掛かった船ですわ!」


何か、残り二人もイケるんじゃない?

そんなこんな。

次回予告


白骨乙女さんの戦いは続く。

けど残った相手は?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ