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第八宮殿!久しぶりに女子高生頑張る!

八戒が猪牙を倒したけれど?


次は真打ち登場!

私は法子


「さ〜て、出番かな〜」


私は武具を並べて準備する。

梁渠がルーレットを回して出た次の駒は私だったの。

正直、そろそろかな?って思ってたし。

てか、本来なら八戒が二人倒す計算だったのに、猪牙に勝ったのは良いけど立ち上がれないで棄権したのよ。で、次は私なわけ。

因みに相手は既に闘技場の真ん中で私の準備を待っていてくれてるの。私の準備を待ってくれるなんて優しいわね?

梁渠の説明では戌宮殿の干支守護神将の確か名前は?

天犬精美だったかな?

赤い魔鎧を纏い剣を構えてるわ。

剣士のようね?

「さてと〜」

準備を待ってくれるみたいだから私は並べた武器の点検をする。殆どが龍の武具なんだけど?まだ使いこなせてないのよね〜

武器収納の龍の籠手・攻撃特化した龍の錫杖・防御力の高い龍の衣・空中飛行出来る龍の羽衣・力を増幅させる龍のイヤリングにブレスレット、ネックレスとリングといった貴金属。後は龍の術札・龍の数珠かな。私は全て装置すると闘技場に向かってジャンプして着地する。

「さ〜て!真打ち登場よ!」

私を目の前にした天犬精美は溜息をつく。

「数合わせで選ばれた小娘が相手とは私も運がない。すまんが早急に終わらせてやろう」

「私も死にたくないし、勝って病に伏した連中を目覚めさせてあげないといけないのよ〜」

並び立つ私達に梁渠は戦いの開始の合図をしたの。


「第七闘技開始にゃー!!」

開始の合図に鉄扇ちゃんと白骨乙女さんが不安を感じていたの。そこに動けないで寝転がっている八戒が言葉をかける。

「安心するら〜法子はんは強いらよ?」

それでも不安な二人の見守る中で、

「うりゃあああ!」

天犬精美の深紅の剣と私の錫杖が衝突したの!

「ぐぬぬ?」

その衝撃は互いに感じる。

「お見逸れした。娘よ?人間とは思えぬほどの力量だ!」

「私は法子!まだまだ本番はこれからよ!」

私は錫杖を振り払うと受け止めた天犬精美が勢いで後退する。

「それは龍の武具だな?本来龍の武具は持ち手を選び容易く扱えないとは聞いていたが、ただの人間ではなさそうだ」

「物知りね?そうよ?私はただの人間じゃないわ!正義の女子高生なんだからね!」

「正義の何だって?」

「ごめんなさい。説明長くなるから止めとくわ」

私達は構える。

天犬精美は剣を構えると妖気を高め始める。

「何かする気ね」

私も錫杖を前にして対抗出来るように構える。

「難葬八剣電!」

天犬精美の剣から放たれる雷が雨のように降り注ぐ!雷の雨は闘技場の床を貫通しながら私に迫って来る。

「臨兵闘者皆陣烈在前!」

私は九字の印を結んで防御結界を張り、更に錫杖杖を床に突き付けると私を中心に二重の結界が広がる。

「法術か?それも高等!」

雷の雨は全て結界にて守られている。

「ならば直接斬るのみ!」

「接近戦ね?」

私は迎え討つように錫杖を前方で回転させながら上、横と移動させ正面で止める。

「かかって来なさい!」

私の錫杖と天犬精美の剣が衝突する。

「法子ってあんなに強かったのね?」

「あんなもんじゃないらよ!法子はんはオラ達とこれまで死地を潜り抜けて驚く早さで成長しているら」

「豚、アンタよく見てるのね?」

「当たり前ら!守るべき者を理解してなきゃ守れないらからな!けど、こんな闘技場じゃもう助けに入れないらよ・・・」

「ふ〜ん。ちゃんと護衛やってるのね」


鉄扇ちゃんは知っている。

かつて失った師を失った後の八戒、それに孫悟空や沙悟浄の苦しみを。そして彼等が再び立ち上がった事を知る。しかも人間の女の子を守るためにって聞いた時は驚いたくらいなの。

「あいつの後継者が法子なら、間違いなく奇跡を見せてくれるに違いないわね」

「けど相手は魔王級、しかも伝説の大魔王なのよ?」

「気合い入れなよ!法子!」

鉄扇ちゃんと白骨乙女さんが見守る中、私は交戦している。

「龍の武具に頼って得た力か?」

天犬精美は剣を下方に向けると気を高める。

天犬精美を中心に宙に浮かぶは覇気の弾丸。

「剣光針弾!」

私目掛けて無数の覇気の弾丸が放たれたの!

私も龍の籠手から数珠を取り出すと、

「数珠連弾!」

気を籠めた数珠を無数に弾き飛ばして向かって来る覇気の弾丸を衝突させて粉砕する。

更に前以て散らばせた術札が発動したの。

「破魔閃光爆砕!」

天犬精美の足下から術札が大爆発を起こす!

「一気に方をつけるわよ!」

この破魔閃光爆砕は本来なら数百とも言える魔物を一撃で仕留める大技なの!魔王級を倒すにはこれくらいの事をしなくちゃいけないしね。

「!!」

けど私は目を疑う。

「人間にしては大したものだ。俺のいた時代には存在しなかった術だぞ?」

「お褒めにいただきまして嬉しいわ?正直今よりもずっと未来の法術なんだけどね。けど今ので倒せないとなると私も困っちゃうわ?」

「では終わらせよう」

「あら?お祭りは始まったばかりよ?」


強がってみるけど、参ったわ〜

やっぱり直接攻撃で倒すしかないのかしら?

同時に攻撃を仕掛ける。

天犬精美の剣捌きが私に繰り出される。

私は何とか錫杖で受け止めるも、何度か斬られていたの。

けど、そこは龍の神衣の防御力は凄いわ?

致命的な攻撃でなければ防御し受けきれる。

私は龍のネックレスやリングから流れ込む力を自分の気の流れと同調させて爆発的な力を引き出しているの。正直人間の領域を超えてると思う!

けど神や魔王と一騎討ちするのには必要不可欠。

もっと力を引き出さなきゃ!

私は戦いながら力のコントロールを同時に行っていたの。

器用でしょ?

「きゃあ!」

私は天犬精美の振り払う剣に弾き飛ばされる。

「そろそろ決着をつけるぞ!」

飛び込んで来て振り払われた剣に私は錫杖を手放しふっ飛ばされたの。

「覚悟ぉおおお!」

正面から振り下ろす剣に私は、

「!!」

「真剣白羽取りよ!」

両手を挟んで振り下ろされた剣を受け止める。

「だが、このまま一刀両断にしてやる」

けれど、剣はピタリと止まったまま動かない?

「馬鹿な?人間の?女の細腕で?ありえん」

「まだまだ驚くのはこれからよ?」

私は天犬精美の重心を僅かに崩したと同時に流れるかのようにそのままひっくり返したの!

「白羽取り合気!」

突然身体の力が抜けるように流れるように闘技場にひっくり返ったの。

これぞ私の十八番!合気道よ!

「馬鹿な!?」

「驚いた?これが人間の力よ!」

天犬精美は立ち上がると私に剣を向ける。

「お前は何者だ?ただの人間ではあるまい?」

「言ったでしょ?私は正義の女子高生よ!」

「そのジョシコーセなるものが何なのかはまだ理解出来ぬが、只者ではない事は理解した。そして俺の願いを叶えるためにお前は倒さねばならぬ壁だと理解した!俺の本気をもって相手せねば」

「本気出す前に教えてくれない?あんたの叶えたい願いって何よ?」

「俺の願いは・・・」


天犬精美

千年前の将軍だったらしい。

けれど実力は魔王級であったけれど、仕えていた魔王への忠義で、その生涯を戦う剣として守る盾として生きたの。

それは天犬精美の仕えていた魔王は幼い少女だったから。

父親の魔王が戦死し跡を継いだだけの名ばかりの魔王。そんな彼女を守る天犬精美は敵軍だけでなく彼女を王と認めない身内の相続争いの両面で戦い続けたの。それは一時の安息も出来ずに神経を研ぎ澄ませ、刃と化して彼女の敵となる全てを滅したの。

そして戦いの末に残ったのは天犬精美と、魔王である少女だけだった。

敵軍も自軍も誰もいない。

国民ですら戦争に巻き込まれ、

城に取り残された。

「俺は戦い守る」

しかし、それも終わったの。

「ごめんなさい・・・天犬精美」

魔王であった少女はその戦いに開け暮れる生涯を悔やみ、自らの命を断ったの。

守るべき主君を失った天犬精美には何も残ってはいなかった。

戦う意味も生きる意味すらも。

「俺は間違っていたのか・・・?」

そして主君を追うように天犬精美も命を断ったの。

「俺はやり直したい。もう一度主君を生き返らせ、今度は幸なる人生を送って貰いたい」

天犬精美は願いを自らの復活ではなく主君を蘇らせ、今度こそ幸せな生涯を遅らせるための。

「お前の命を主君へと捧げる!」


私は言葉が出なかったの。

天犬精美の身体から魔王級の覇気が膨張して闘技場を覆っていく。見上げると上空に巨大な大犬の頭が口を広げていたの。しかも八体も!

「俺はお前を殺してあの方を幸せにする!」

その言葉に私は彼をただ見つめていた。

「最期に言い残す事はあるか?」

私は寂しそうな顔で天犬精美を見る。

「主君としてでなく愛していたのね」

「!!」

それは天犬精美にとって予想だにしていなかった返答。

それは自分自身気付いてすらいなかった長年モヤモヤしていた感情。

「その娘を愛していたからこそ幸せを願うのね?不器用に戦う事でしか思いを告げられなかった。その結末がより彼女を孤独にして罪悪感を与えて自らの手で殺させてしまった。だからやり直させたいのね?」

「俺が魔王様を?そんな、俺は忠義を・・・」

動揺する天犬精美に私は答える。

「彼女もまた貴方を愛していたのね」

「何を知ったような事を!!」

私の言葉に天犬精美が怒りをこみ上げて襲い掛かって来たの。上空の巨大な犬の頭が口を開いて私を丸飲みにしたの!会場が揺れる中で応援する鉄扇ちゃんと白骨乙女さんが信じられないような顔をする。

「そんな・・・」

彼女達はその状況を見て驚いたの。

「うぉおおおおおお!」

私は雄叫びをあげながら上空に掌を向けると、私を喰らおうと落ちて来た大犬の頭を一瞬で粉砕したのを目の当たりにして!

「あの娘?本当に人間なの?」

「たまに人外の力を感じる時があるわ。けど、あのまま勝って欲しいわ」

私は上空に見える他の大犬の頭目掛けて、

「数珠魔龍弾!」

私の掌から弾かれた数珠は龍の気を纏いながら犬の頭を一撃で粉砕したの!

私だって守られているだけじゃないの。

龍神の世界での体験に今までの経験。

はっきり言って足手まとい!

今は孫悟空も阿修羅もいない。

そんな時こそ私が戦わないと!


駄・目・な・の!


だから私は龍神界から手に入れた武器を何度も何度も試しては最大限に使えるように特訓した。

影でコソコソと!

だって誰かに頑張ってる姿見られたくないじゃん?

当然、カッコいい姿見せた方がチヤホヤされるし!

「私だって千年前の魔王相手に戦える!」

私は数珠を構えると天犬精美に向かって弾く。

「驚いた。が、所詮は人間!」

私の数珠は全て剣で斬り裂かれ、私に向かってゆっくりと近付いて来る。

「覚悟ぉおお!」

剣を手に向かって来る天犬精美に私は呟く。

「!!」

直後、天犬精美は私の前でひっくり返る。

「??」

何が起きた分からない様子の天犬精美。

私は意識を集中させて次の攻撃に備える。

そして再び斬り掛かる天犬精美の剣を躱しては襟や袖を掴むと数度ひっくり返して、最後に無防備の状態で隙を見せた所を錫杖で突き付けてふっ飛ばしたの。その様子を不可思議のように鉄扇ちゃんと白骨乙女さんも見ていたの。

「どういう事?法子の体術のキレが良いとか優ってるってのと違うわよ?あれは?」

「どんなトリックを使ってるの?法子?」

「けれど格上の相手を手玉に取るなんて有り得ないわ。まるで幻術を使ってるよう」

けど、一番驚いているのは天犬精美本人だったの。


私に斬り掛かる寸前、私が呟くと何故か動きが鈍り自分の意思とは違う動きをして隙を見せてしまう現象。それはまるで操られているかのような感覚?

私はただ攻撃される寸前である言葉を言い放つだけなの。

それは?

「お手!お代わり!」

その言葉に抗えずに無意識に身体が反応してしまうの。

これはまさか掴むと魔法?

「お前、言霊使いなのか?しかも魔王級の私を従わせるほどの??」

「言霊使い?何、それ?私は、ただ」

「お手!」

私の指示に天犬精美は無意識に無防備に手を前に差し出すと私は手首を掴んでひっくり返したの。

何が起きてるのかって?

あ〜これは本能なのかしら?

戌だから?

さっき冗談的に呟いたら上手くいったので、これはイケると続けてるの。

「この私が逆らえないなんて・・・」

「ふふふ」

私は胸を張る。


混乱する天犬精美。

「俺はお前を倒して主君を!」

「そんな事をしても彼女は喜ばないわ!」

「だから知ったような口を叩くな!」

覇気を全身に纏い今までよりも強力に私に向かって来たの。

私もまた気合を籠めて叫ぶ!

「伏せぇー!!」

本当に言霊のように天犬精美は闘技場にうつ伏せの状態で倒れ込み、まるで重力に押さえられているかのように立てないでいたの。

「ふぅ〜上手くいったようね」

私は天犬精美に近付いて言葉をかける。

「あんたの王は蘇る事は願っていないわよ?」

「何だと?」

「あんたの王が何故自害したか気付くのよ!」

「お前、何を言ってるのだ?」


私は天犬精美に教えてあげたの。

天犬精美の従えていた王は味方も敵も国すらも失い孤独と責任に耐えられずに自害したと思っていた。

けれど真実は違う!

王はこれ以上、天犬精美に自分のために殺戮をさせる事を一番苦しんでいた。王である彼女は本当は争う事も殺す事は勿論、虫一匹殺す事すら躊躇う天犬精美を知っていたの。王である彼女のために自分の心を捨て、鬼と化して殺戮する彼を見て胸を痛めていた。だからこそ自分がいなければ天犬精美は救われると信じて、自由になれると信じて自害した。

それが真実!


「それでは俺は何のために・・・」

私は天犬精美に言ったの。

「アンタは真っ直ぐ過ぎて見えてなかったの。彼女もまたアンタの事を愛していたのよ」

「王が俺をだと?そんな馬鹿な?」

「今のアンタは自分勝手に彼女を蘇らせようとしているだけ。それは再び彼女を苦しめるだけよ?もう分かるでしょ?アンタはもう王に仕える必要はないのよ?王である前に彼女を守り愛してあげて!」

「う、嘘だ!嘘だ!嘘だぁー!」

「苦しいよね?安心して?私がアンタを楽にしてあげるから!」


私は錫杖を構えると気合いを籠める。

対して身体が自由になった天犬精美も立ち上がって剣を構えたの。

そして私達は同時に互いに向かって斬り掛かる。

「!!」

私は天犬精美の一刀を潜り抜けて錫杖を突き付けると、錫杖は天犬精美の胸を貫いたの!

「これで成仏して」

「礼を言う。俺を最後まで戦士として死なせてくれた事を・・・」

天犬精美は私の目の前で光となって消えていったの。

闘技場には私だけが残る。


「第八闘技場勝者は法子!」

勝利した私の名前が闘技場に響き渡る。



余談

天犬精美は成仏する寸前、私の瞳が金色に光り輝いていた事に気付いたの。

「あの力は言霊でもなければ何でもない。あの娘は伝説の・・・」

魂となった天犬精美の目の前に別の光が降りて来たの?

それは魂だった。

「主よ、こんな私を迎えに来てくださったのですか?」

すると光は人の姿となって天犬精美に抱きつくと頷いたの。


かつてこの王の一族はある伝承を信じていた。

乱世の世の中を導く王が現れ、魔物だけでなく神をも統べ、世界を導くと!

その伝承の王が降臨し時、同時に王を守るべき十二の剣が守護者も現ると。


「我が主はその守護者として仕える事を願っていたが叶わぬ夢だった・・・そうか」


天犬精美は私を見て途中から理解していたの。

自分自身の攻撃を言霊で防がれたと思っていたけど、もし本当に目の前の私が伝承の王ならば・・・


「逆らえるはずがない・・・」


そして二人は成仏して消える。


「ふぅ〜」


何とか勝てたみたいね?

「あれ?」

すると私は緊張の糸が切れたかのように膝から崩れ落ちたの。

もしかして限界なの?

私は此処で交代する事にしたの。


そんなこんな。

次回予告


まだ干支十二神将は残っている。

今度は誰が相手するの?

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