第六宮殿!本当に馬鹿ね?
鉄扇ちゃんと蹄鉄馬王との決着!
お互いの過去を乗せて戦う二人の決着は?
私は法子。
私達が観戦する前で復讐を果たすために戦う蹄鉄馬王と、芭蕉扇を手に本気を見せた鉄扇ちゃんが戦いを繰り広げているの。
「一扇ぎで大風を起こし、二扇ぎで乱雲を呼び、三扇ぎで豪雨を降らす!」
鉄扇ちゃんの扇ぐ芭蕉扇から凄まじい爆風が吹き荒れて蹄鉄馬王を寄せ付けないでいたの。
「そのような武器に頼る程度では俺には叶わぬ」
蹄鉄馬王の足から発する馬騎王の足で一歩一歩と竜巻の中を鉄扇ちゃんに向かって迫り来る。
「あんたの足も借り物でしょ?どっこいどっこいよ!それに私の芭蕉扇は私と一心同体なんだからね!」
更に爆風が蹄鉄馬王を寄せ付けないように竜巻が吹き荒れているけど、時間の問題かも。因みに私達は闘技場の周りを囲む結界で守られてるみたい。
「往生際が悪いぞ!」
「往生際が悪くて何が悪いの?」
「ならばせめてもの情けだ。一思いに楽にしてやろう」
蹄鉄馬王は腰を降ろして構えると両足に力を籠めると漆黒の凄まじい覇気が放出する。
「馬力蹴斬!」
蹄鉄馬王は竜巻の中を鉄扇ちゃんに向かって突進すると、間合いに入り首元を狙い渾身の上段蹴りをかましたの!
その一撃は馬騎王の下半身を持つ蹄鉄馬王のシンプルかつ最高の大技であったの。その威力は人蹴りで海を割き、山を両断するとか。
「!!」
けれどその蹴りは止められていたの!?
「そんな馬鹿な??」
蹄鉄馬王の蹴りを止めたのは鉄扇ちゃんの放った蹴りだったの。二人の蹴りは衝突して結界を揺らすほどの衝撃だった。
「私を舐めないでよね?」
鉄扇ちゃんは思い出していたの。
鉄扇ちゃんの持つ芭蕉扇は天を裂くほどの竜巻を起こす力を持つ神具。しかし、その持ち手もまた芭蕉扇の威力を制する力がないと本来の威力を発揮出来ずに自分自身が吹き飛ばされてしまうの。
だから鉄扇ちゃんは芭蕉扇に耐え得る肉体強化を施したの。支える腕もだけど特に足腰は重要なの。
針の山で足の指だけで支えながら重量級の鉄柱を両腕で支える修行。他にも考えられる鍛錬での肉体改造を施したの。
「モリモリ筋肉が付かないようにするの大変なのよ?」
うん。女の子には大事な事だけど、そこがやっぱり重要なのね?
「俺はまだお前を見誤っていたようだ」
「手加減はいらないわ?そうでなきゃ私に負けた後に後悔残るわよ?」
「お前もな!」
二人は衝突した蹴り足に更に力を籠めたの!
互いの覇気が飛び散り闘技場を削り、大地を陥没させるほどに!
「うぉおおおお!」
「はぁあいああ!」
お互いに負けられない思いがあった。
その思いが強い方が勝つ!
そして互いに蹴り足を振り切ったの!
ど、どうなったの?
爆風が吹き止んで、そこに立っていたのは?
「鉄扇ちゃん!」
蹄鉄馬王の利き足は粉々に砕け散っていた。
そして倒れながら片手を天に挙げていたの。
「俺が負けるなんて・・・」
義兄への誓いを果たせないまま蹄鉄馬王は敗れ去ったの。
それもまた憐れよね・・・
「本当に馬鹿ね?復讐なんかで戦うから長生き出来ないのよ?」
「な、何だと?」
それは自身の存在意義だけでなく、人生そのものを否定した言葉だった。
しかし敗者である蹄鉄馬王にはもう言い返す事も虚しかったの。
悔し涙を流す蹄鉄馬王に鉄扇ちゃんは言葉を続ける。
「本当にあんたは昔の私とそっくりで本当に馬鹿よ!」
と、涙を見せたの?
「お、お前?」
鉄扇ちゃんは蹄鉄馬王に語る。
鉄扇ちゃんもまた魔神国出身で、孤児で死にかけていた時に羅刹女さんに拾われ、義姉と慕っていた事。そして羅刹女さんを殺した相手を何百年も探し求めて生きて来た復讐者だった事。
確かに仇との一騎打ちで復讐は果たせた。
けれど失ったものも多く、今の蹄鉄馬王のように自分自身も瀕死の状態の中にいた。復讐を果たせた今、何も残っていなかった鉄扇ちゃんはもう死んでも良いとさえ思ったの。もう悔いもない。もう何も望まないって・・・
けれど鉄扇ちゃんは生かされたの!
その場にいた沙悟浄に!
「復讐の先には虚しさしか残らないわ。確かに復讐を糧に強くはなれるわ。でも、その強さよりももっと強くなれる力を私は知っている。その力の差が今の私とアンタの勝敗を決めたのよ!」
「その、力とは?」
鉄扇ちゃんは答えたの。
「愛よ!」
「!!」
あの~恥ずかしくないの?もし沙悟浄がこの場にいても言えるの?
てか、本当に沙悟浄の事好きなのね!
「つまりそれはね、誰かのために死んでも良いって事より、誰かのために生きるって気持ちの方が強いって事よ!分かった?」
呆気にとられた蹄鉄馬王は、
「は、ははは、はははは」
涙を流しながら笑いだしたの。
そして鉄扇ちゃんに願う。
「俺を倒したお前に願いたい。俺の復讐をお前に叶えて貰えないか?お前なら奴に勝てると信じて頼みたい。俺に勝ったお前にこそ頼みたいのだ」
鉄扇ちゃんは答える。
「嫌よ?」
「そうか、残念だ」
えっ〜酷くない??
「でも私達は誰も死なずに干支十二宮殿を勝ち進むから、結果的にはアンタの願いを叶える事になるかもね?もしかしたら復讐の相手は私が倒すかも」
その言葉を聞いて蹄鉄馬王は涙を流しながら
「有り難い」
そう言い残すと、光に包まれながら消えたの。
もう、素直じゃないわね?鉄扇ちゃんは〜
けど、優しいかも。
ツ・ン・デ・レ!
と、まぁ〜これで?
・
「第五宮殿を撃破よ!そして私は続行するわ」
その勝利に梁渠は、
「にゃら、次の対戦相手を決めるにゃ〜」
「待ちなさい!」
「にゃ?」
「さっきまでの話を聞いてなかった?馬鹿なの?私が相手するのは蹄鉄馬王の宿敵よ?さっさと出しなさい!」
「ま、待つにゃ!ルールはルーレットで決めるにゃ〜」
「不正するアンタが言うな!」
「うっ!!」
鉄扇ちゃん?やっぱり復讐に手を貸すつもりなのね?
やっぱり、ツンデレね。
「でも我輩も蹄鉄馬王の復讐相手が誰か知らないニャ。嘘じゃないにゃ!」
「わかったわ。だったら蹄鉄馬王のいた時代の魔王かつ蹄鉄馬王若しくは馬騎王を倒せる程の実力者よ?残りの神将に何人いるか教えて?」
「同じ時代で同等の神将にゃか?」
梁渠は残った駒を並べると二つ選ぶ。
「そうにゃね〜?この二つの駒が可能性あると思うにゃが、どちらかまでかは分からないニャ」
「結構よ?だったら両方私が倒せば良いわよね?どっちでも良いから闘技場に出しなさい!」
命令口調の鉄扇ちゃんに梁渠は逆らえずに、言われるがまま片方選んでルーレットに投げ込む。
そして飛び出して来た駒は?
「決まったにゃ〜!次は猿の宮殿にゃ〜」
猿の宮殿?
すると鉄扇ちゃんは嫌そうな顔をする。
「猿を相手するのは二度目だわ。はぁ〜」
それって孫悟空の事よね?多分。
聞くに孫悟空に敗北したとかなんとか。
「あの時は手加減してやったのに勝ったつもりでいる猿を思い出して胸糞悪いわ」
あ〜負けず嫌いなのね?
詳しくは聞かないでおこう。うん。
すると再び宮殿が変わると、ニ対の馬の像は消えて今度は大猿の彫刻が刻まれた像の前に、新たな闘技場が姿を現したの。
そして駒が大きくなると、そこから人影が?
「どうやら儂の出番のようじゃが、どれ?ん?何じゃ?儂の相手はオナゴかのう?」
それは黒顔で白毛の猿妖怪だったの。
見た感じは強そうには見えないお爺さん猿のようだけど?
梁渠が言うには実力ナンバー2らしいの?
「そうにゃ!奴の名は白猿皇にゃ。確かに強いにゃよ?けど、馬騎王と蹄鉄馬王の仇かまでは我輩には知らないにゃ〜」
「取り敢えず、この猿を倒せば良いのよね?話が早くて良いわ!」
鉄扇ちゃんは手加減しない様子で構えたの。
「ほぉわ?よく見れば物凄く美しいではないか?この手で殺すには惜しいのぉ〜」
「何?私に勝つつもりなの?」
その直後、鉄扇ちゃんの視界から白猿皇の姿が消えていたの?
ど、何処?
「どれどれ?」
「きゃああああ〜!!」
えっ?突然、鉄扇ちゃんの叫び声が?
何が起きた・・・あっ!!
鉄扇ちゃんは背後に現れた白猿皇に背後から胸を鷲掴みにされていたの!
すかさず蹴りを食らわすけど素早い身のこなしで躱される。
「こ、このエロ爺ぃがぁあ!」
殺気を籠めて怒り形相の鉄扇ちゃん。
無理もないわ。
「うむむ」
白猿皇は険しい顔で鉄扇ちゃんの胸を鷲掴みにした掌を見て唸っていたの?
「まだまだ発展途上じゃな?もみごたえが物足りぬ。然し、この微妙な膨らみこそ価値を見出だせれば需要はあるとみた!よし、もう一度確かめ」
直後、鉄扇ちゃんの投げつけた鉄の扇が顔面にぶつかり顔を抑えながら痛がる。
「殺す!殺す!死なす!」
もう怒り形相で冷静さの欠片もなかった。
「早く始めなさい、梁渠!」
八つ当たり的に梁渠を睨むと、
「にゃ〜、始めにゃ〜」
恐怖しながら始めの合図をしたの。
鉄扇ちゃんと白猿皇の死闘が始まるのね?
「さて、本当に殺すには惜しいオナゴじゃのう?しかし外の世界に出られれば、生身のオナゴがわんさかおるのじゃ〜ここは心を鬼にして挑むしかあるまいの〜」
その直後、
「!!」
闘技場の外にいる私達にも伝わる程の強烈な覇気が白猿皇から発せられたの。
立ち竦む鉄扇ちゃんは本能的に目の前の敵が桁違いだと気付く。
「この私が足を震わすなんてね」
けれど気合いを籠めて震えを止める。
「私には戦わなきゃいけない理由が出来たから!」
鉄扇ちゃん、蹄鉄馬王から託された想いを胸に戦っているのね?なんだかんだ言っても本当は優しい娘なのね?
「河童ちゃんにも触れせた事がなかったのに、これは万死に値するわ!」
・・・。
前言撤回します。
えっと、どこから突っ込むべき?
復讐じゃないんか〜い!
次は、沙悟浄には触らせるんか〜い!
で、あ〜もう後は頑張ってちょうだい。
それにしても白猿皇は女の敵よね?
私も本気で応援するから、そんな奴は早々に成敗してちょうだい!
「何て羨ましい攻撃なんら〜」
あ、隣にも早々に成敗するべき奴がいたわ。
私は八戒をぶん殴っておく。
とにかく、あのエロ猿が私の相手でなくて良かったわ〜
そんなこんな。
次回予告
エロ猿相手に乙女が挑む!
鉄扇ちゃんファイト~!!




