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第五宮殿!復讐の馬王!

鉄扇ちゃんが戦いに出る。


相手は馬宮殿の蹄鉄馬王だった。


私は法子よ。

私達が見守る中で鉄扇ちゃんと蹄鉄馬王が戦ってる。意気揚々と名乗りをあげる鉄扇ちゃんとは違い言葉数の少ない蹄鉄馬王。

「第五宮殿闘技、開始にゃー!!」

その直後、先に動いたのは蹄鉄馬王だった。

一瞬で鉄扇ちゃんの目の前まで現れると、身を翻しながら後ろ蹴りを繰り出したの。咄嗟に鉄の大扇でガードしたにもかかわらず、一撃のもとに粉砕したの!?鉄扇ちゃんは冷静に鉄の扇を手放してその場から距離をとり離れる。

「!!」

直ぐ様追撃が来ると鉄扇ちゃんは新しい鉄の扇を出現させて手に取る。今度は短剣なみの大きさの扇を二本?大きな扇だと蹄鉄馬王の動きに反応が間に合わないと判断したのね?

鉄扇ちゃんは両手の鉄の扇を開くと妖気を籠めて舞い出したの。

その動きは華麗で見惚れるほど。

舞いながら振り払う扇から新たな扇が幾つも現れて宙に浮かびながら待機する。

「舞扇」

すると鉄扇ちゃんの舞に合わせて宙に浮かぶ扇が動き出すと向かって来る蹄鉄馬王の行く手を阻む。扇は妖気を纏い鋭利な刃物となって蹄鉄馬王に襲い掛かる。

「蹴撃!」

蹄鉄馬王は向かって来る扇に向かって蹴りを繰り出すと、その衝撃波が向かって来る扇を粉砕したの。

そして再び鉄扇ちゃんの間合いに入り込むと蹴り技の連打を繰り出したの。

「くっ!」

身を伏せ、足捌きで左右に躱し、それでも眼前に迫る蹴りを二本の扇で受け止める。

「やるわね?」

二人は間合いを取ると、鉄扇ちゃんの持っていた扇が木っ端微塵になったの。それでも目もくれず冷静に相手から目を離さない。

やっぱ、鉄扇ちゃん強いわ〜

正直、私だったら今のでノックアウトかも〜

「俺の蹴り技をここまで躱すとは、女よ?かなりの武術の心得があるようだな?」

「当然よ!何せ私は女妖怪最強の大妖怪なんだからね!女妖怪は男よりも強い。つまりそれは最強の証なのよ!」

鉄扇ちゃんの言葉にはハッタリでもなければ自信過剰な恥ずかしい子ってわけでもなく、その言葉を口にする事で自分自身を奮い立たせている。

有言実行!

自分自身の言葉を曲げないための意志の力。

わかるわよ

私もよく口にするもん。

「最強を口にするか?ならば俺もまた足技最強の誇りをかけてお前を女としてではなく、一人の戦士として挑ませて貰う」

「当たり前!負けた言い訳が女相手に手加減したなんて見苦しいからさ」

二人は再び間合いを作りながら相手の動きに合わせる。そして鉄扇ちゃんが妖気を籠めようとした瞬間、蹄鉄馬王は間合いに入っていたの!

「あっ!!」

蹄鉄馬王の蹴りが鉄扇ちゃんの腹部に直撃した。

直ぐに四方に出現させた扇が回転しながらトドメを刺しに来た蹄鉄馬王の前を塞ぎ襲い掛かる。

その間に鉄扇ちゃんは笑みを見せながら頬から一滴の汗を流しつつ恐る恐る腹部の傷に触れる。

「折れたわね、肋骨」

えっ?大丈夫なの?

治癒を施す間を与えずに蹄鉄馬王が襲い掛かる鉄の扇を一つ一つ破壊力ある蹴り技で粉砕しながら鉄扇ちゃんへと迫る。

「まぁ〜こんなんで女妖怪最強は語れないわ!」

鉄扇ちゃんは闘技場で舞いながら準備していた結界陣を発動させたの。

「奥義・鉄扇攻守!」

その直後、足下が紅く発光する!


奥義・鉄扇攻守

鉄扇ちゃんを中心に足下から扇が開かれて結界を作り上げていく。足下から紅い柱が幾つも盛り上がり飛び出し、更に壁が道を塞ぐ。

そして鋭利な鉄の扇が回転しながら無数に出現して対象である敵に襲い掛かるの。

しかも上空から見下ろせば薔薇のように見える所はやっぱり女の子ね?拘りかしら?

まさに攻撃と防御を兼ね備えた鉄壁の結界奥義!


「ありゃ〜あれは猿の奴も苦労したやつら〜」

「そうなの?八戒?」

過去に孫悟空と八戒は鉄扇ちゃんとやりあった事があると聞かされたの。

「厄介らよ〜けど、あの奥義は伏線ら」

「どういう事よ?」

「あの結界は紅い薔薇のように見えるらろ?」 

「やっぱり女の子よね?拘りかしら?」

「そんなもんじゃないらよ〜」

「ん、あっ!?」

私達が見守る中で蹄鉄馬王は鉄扇ちゃんの奥義の防壁を粉砕しながら迫って来ていたの。

「時間稼ぎか?」

目の前に現れる鉄の防壁を蹴り技で粉砕すると、上空から回転した鋭利な奥義と、柱が向かって来る。

「蹴撃!」

その衝撃波が全ての攻撃を粉砕する。

「やばくない?次々壊されてるわよ?このままじゃ時間の問題じゃないの?」

「よく見てるら、紅い薔薇には」

「薔薇には?」

その直後、全ての防壁を破壊した蹄鉄馬王が鉄扇ちゃんに迫り来る。

「終わりだ!」

蹄鉄馬王が最後の蹴り技を鉄扇ちゃんに繰り出す。

鉄扇ちゃんは両手を交差させながら俯きながら見動きを取っていない?まさか折られた肋骨の痛みで見動き出来ないんじゃ?

その直後、先に鉄扇ちゃんに襲い掛かったはずの蹄鉄馬王が胸から血を噴き出して倒れたの!?

えっ、あれ?今のは?

迫り来る瞬間、鉄扇ちゃんは叫ぶ。


「抜衝扇!!」


それは抜刀から繰り出される衝撃波!

しかも両手に持つ二本の扇は交差されて十字に相手の胸元を斬り裂いたの!

何て、えげつない奥義なの!

倒れる蹄鉄馬王は自身に何が起きたか分からないまま意識が遠退く。

これで勝負有りのようね?

「ぐぅおおおおお!」

えっ?

けれど、蹄鉄馬王は雄叫びをあげて立ち上がったの!その姿を見た時、私達は度肝を抜かれたの。

裂かれた蹄鉄馬王の衣からその肉体が露わになる?

けれど違和感が?

上半身は私達と同じ肌色なのに、腿のあたりから褐色の肌色をしていたの?どういう事?

しかも、あの足からは別格の妖気を感じるわ!

「にゃにゃ!?まさかあの妖気は?」

「何か知ってるの?梁渠?」

蹄鉄馬王から発する妖気を感じて突然恐れ始めた梁渠は呟いたの。

「まさかあの魔神・馬騎王にゃのか?」


魔神・馬騎王?

そこに立ち上がった蹄鉄馬王に鉄扇ちゃんが話し掛けたの。

「よく立ち上がれたわね?致命傷は免れたようね?それにあんたのその足は何?それは別の者の持ち物よね?」

「・・・」

無言の蹄鉄馬王

「まぁ〜良いわ?次はそうはいかないわ!」

「俺は負けれぬ。義兄のためにも絶対に!」

「義兄?」


すると蹄鉄馬王は私達に語りだしたの。


かつて蹄鉄馬王は戦災孤児だった。

千年前の戦場で弱者は生存出来ない。

妖怪同士の戦争で村を失い、家族を失い、蹄鉄馬王は運良く生き残れた。

けれど満身創痍で力尽きて意識を失う。

その時、突如上空の時空が裂けて異界より何者かがこの世界へと降りて来たの。

漆黒の肌をした戦士だった。

戦士は倒れている少年の前に立ち止まると、見下ろして言ったの。

「まだ生きたいのなら起き上がれ?」

少年は顔を上げて、生きたいという本能で立ち上がったの。

「立つことが出来ねば放置してやるつもりだったが、よく立ったな?」

少年はそこで意識を失い崩れるように倒れると戦士は抱きかかえたの。

この戦士は魔神界から、この世界へ迷い込んだ異端の者、魔神であったの。

それが魔神・馬騎と蹄鉄馬王との出会い。

それから蹄鉄馬王は魔神・馬騎のもとで生きる為に必要な力を身につけていく。

馬騎から見れば気まぐれだったのだろうが、その気まぐれが幼い蹄鉄馬王を生かしたの。

「義兄!」

蹄鉄馬王は馬騎を義兄と呼んで慕っていたの。

「義兄は何故この世界に来たの?」

「この世界に来た理由か?知りたいのか?」

「気になるよ!」

馬騎のいた魔神国でも争いはあったの。

その世界で馬騎には宿敵がいた。

その相手が同じくこの世界へと逃げ込み、追って来たのだと告げたの。

「俺はソイツを決して許さない!」

それは憎しみ。

それ以上、何があったのかは聞けなかった。

それから二人は旅をしながら宿敵を追ったの。

その間、成長した蹄鉄馬王も立派な戦士になっていた。

「俺の旅は修羅場だぞ?それでも一緒に来るのか?」

「当たり前だ、義兄!俺は少しでも義兄への恩を返したいんだ!」

「恩なんて・・・」

二人の旅は宿敵を倒す事になった。


その相手は数年後見つかったの。

その者はこの世界で王国を作っていた。

数万の凄腕の化け物の兵士達率いる王となった宿敵を相手に、たった二人だけで挑んだの。

でも蹄鉄馬王には荷が重過ぎる。

それでも馬騎王は蹄鉄馬王を庇いつつ、数万の軍を相手に全滅させた。本来、魔神国の戦士はこちらの世界の戦士よりも格上と噂されてはいた。

その実力の一端を目の当たりにした戦争だった。

そして二人は数々の戦場を勝利し、ついに宿敵の前に現れたの。そこは崖下の戦い。

宿敵の築いた城を落とし、軍を引き連れて逃げた王を追い詰めたの。

「ここまでだ!逃げ場はないぞ?」

「・・・」

しかし王は自ら戦場に現れて馬騎王と一騎打ちを申し出る。

それを了承した馬騎王は前に出たの。

「義兄!」

「心配するな、俺は負けぬ」

馬騎王と王は激闘を繰り広げる。

この王もまた魔神国からの来報者。

桁違いの力を持っていたの。

一騎打ちは百年戦争と続いた。

まさに伝説の一騎打ち。

そして永き戦いに決着は付いたの。

「!!」

突然、王は攻撃をずらして覇気の弾丸を放ったの?

それは予想外の攻撃。

その的は馬騎王ではなく蹄鉄馬王だったの。

突然の攻撃に躱す事叶わず蹄鉄馬王は覚悟する。

けれど直撃は当たらなかった。

「義兄?」

蹄鉄馬王への攻撃は馬騎王が身を呈して受け止めたの。

背中が焼きただれ、口から血を流す。

「どうして、俺なんかを・・・」

「ふふふ。俺は二度と弟を失いたくなかった。それだけだ」

「弟?」

馬騎王は魔神国の大陸にある国の王であった。

逆賊により国を奪われ、唯一の肉親であった弟を殺された。

その復讐のために馬騎王は逆賊のリーダーであった者を倒す決意をする。

逆賊だった首領は馬騎王にうってかわり王になっていたの。

そこに今度は逆賊として馬騎王が現れる。

そして永き戦いの末に、この世界へと。

そこで馬騎王は死にかけていた蹄鉄馬王を見て衝撃を受けたの。

肌色こそ違えど、まるで死んだ弟と瓜二つだったから。


「お前は生きろ、俺の未練よりお前を育て、今日まで離れられずにいた。俺の我が儘でお前を死地へと連れて来てしまった・・・すまぬ」

「違う!義兄ぃ!俺は貴方を本当の兄と慕っていた!俺こそ義兄に出会えなかったら、既に生きてこそいない。この場で死んだとて後悔はない!」

そんな二人を王は茶番劇を見るように大笑いする。

「がははは!心配はいらん。お前達は二人纏めて死ぬのだからな!」

王は部下から槍を手に取ると妖気を籠めて投げはなったの。

槍は蹄鉄馬王を守り背を向けている馬騎王の心臓を貫いた!

ゆっくり倒れる馬騎王を目の当たりにした蹄鉄馬王は激情にかられて王に向かって駆け出す。

「この儂を相手にするには役不足」

再び手にした大刀に妖気を籠めると、向かって来る蹄鉄馬王に投げつけたの。

「がはぁ!」

その一刀は蹄鉄馬王の下半身を真っ二つに両断し、転がるように蹄鉄馬王は地面に衝突する。

「愚かなり」

そして左右の崖に向かって妖気を放つと、二人は崩れ落ちる岩石に生き埋めになったの。



これで終わりかに思えたの。

しかし辛うじて生きていた馬騎王は自らの下半身を己の手刀に籠めた妖気で斬り裂くと、自らの足を瀕死の蹄鉄馬王に与え、最期の力で治癒を施したの。

そして義兄の下半身を手にした蹄鉄馬王は奇跡的に生き残れた。そして復讐すべき王を倒すために己を鍛え直す。蹄鉄馬王は義兄の形見で王を倒すべく足技を特化させたの。



それから再び復讐を果たす時が来る。

けれど王は既に別の魔神によって討伐された後だった。

残され復讐を果たせずに蹄鉄馬王は絶望と無念から苦しみもがいて最期は自害したの。

「俺は今度こそ復讐を果たすのだ!」


えっ?今の話だと復讐すべき王は死んでるのよね?

変じゃないかしら?

すると衝撃的な事を告げたの。

「何の因果か俺の復讐すべき王はこの干支宮殿の守護者にいる!」

なんですって??

「俺達干支十二神将は互いに争う事はもちろん顔を合わす事も出来ぬ。しかし奴の存在をこの宮殿で永きの間感じていた。間違いなく奴はいる!」

つまり?

「俺達干支十二宮殿の守護者は宮殿に挑む千人の挑戦者を倒せば再び現世に甦る事が出来るのは知っているだろ?お前達でちょうど千人目。俺はお前を倒して現世に甦るのだ!そして奴も現世に甦るだろう。そこで今度こそ我が手で奴を始末してやるのだ!」

その目は復讐鬼のようだった。

確かに同情もするし、復讐を果たさせてあげたいのだけど私達だって死んであげるわけにいかないもん!

その話を聞いて鉄扇ちゃんは答えたの。

「馬鹿ね?復讐に人生を捧げるなんて本当に馬鹿みたいだわ!」

「何だと?」

蹄鉄馬王は鉄扇ちゃんに殺気を見せる。

己の生きる意味を一言で馬鹿と言い放つのは流石に私でも多分恐らく、言わないと思うわ。

いくら相手が馬王でも!

「少しはお前に悪いと思っていたが、これで手加減なく殺せるだろう」

「最初から手加減なんていらないわよ?」

何処までも強気の鉄扇ちゃん。

「私もこんなに早く奥の手出すとは思わなかったわ」

えっ?

すると鉄扇ちゃんの掲げた掌が光りだすと、そこに神気を放つ扇が出現したの!?


「神具・芭蕉扇!」


芭蕉扇を手にした鉄扇ちゃんから今までとは比べようもない桁違いの力を感じる?


あれが鉄扇ちゃんの本気なの?


そんなこんな。


次回予告


鉄扇ちゃんの芭蕉扇は鬼に金棒!


けど蹄鉄馬王の復讐も侮れない。


勝つのはどっち?

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