第四宮殿~鵬魔の継承!
僕っ娘の彩鵬の登場。
そして語られる鵬魔の歴史
私は法子
梁渠が語るのは、過去。
かつて鵬魔王と名乗っていたのは雷鳥魔王の方だったの。天空を雷を撒き散らす巨大な力を持った天空の王。それが雷鳥魔王だった。
その雷鳥魔王の前に現れたのが、不死王と名乗る炎を纏う鳥神の魔王。
話の流れから孫悟空達と死闘を繰り広げた鵬魔王[麗鵬]と、今戦ってる彩鵬ちゃんのお兄さんだとわかる。
不死王は幼いながらも天才的な力を持っていたの。
その力は父親の鵬獄魔王を遥かに上回り、怖れられるほどに。そんな兄を持つ麗鵬と彩鵬にとっては憧れの兄でもあったの。
不死王は力を求めては強い者と戦っては自分自身を磨いていた。時には自分自身で才能ある者を見付けては力を与えて育て、自分自身に挑ませて倒すといった事までして。
その不死王は天空の王を名乗る当時の鵬魔王である雷鳥魔王に目を付けたの。
炎鳥と雷鳥の天空対決。
勝敗は不死王の圧勝だった。
勝った不死王は新たに天空の王の称号だった「鵬魔」を受け継いだの。
「つまり負けた腹いせね?」
「見も蓋もない言いうにゃね?」
そんな私達の会話を離れた闘技場で聞いていた彩鵬ちゃんが口を開く。
「その話には続きがあるよ」
えっ?
鵬魔王の称号を手に入れた不死王だったけれど直ぐに飽きて父親に譲ったの。
天空の王になって大いに喜ぶ鵬獄魔王だったけれど、やはり息子である不死王は父親にとって畏怖する存在であった。
その後、鵬魔の一族は栄華を築いたの。
でも、つかの間!
「王子が狂われたぞー!!」
不死王は同族殺しを始めたの。
鵬魔の一族が次々と殺される中で、残された鵬獄魔王と麗鵬に彩鵬の双子のみとなる。
兄の惨殺行為に父親と彩鵬は恐怖し、麗鵬はその姿に見惚れていたの。
「父さん?それにお前達?覚悟良いかい?俺は天才であるがゆえに物足りないんだ。血が渇くんだ!同じ同族なら俺を殺してみろよ?同じ血が流れているなら出来るかもしれないぞ?来いよ!出来なきゃ今死ぬだけ。簡単だろ?」
「いずれこうなると思っていた。だからお前をここへおびき寄せたのだ」
その時、父親である鵬獄魔王は用意していた魔法陣を発動させたの。突如床が光出して、不死王を光の壁の中へ閉じ込めたの。
「父上、これは?」
冷静な不死王に対して実の父上である鵬獄魔王は告げたの。
「俺はお前が恐ろしかった。だから永き時間をかけて用意していた。お前にも教えていなかった我が一族の口伝のみ伝えられる秘蔵結界をな!」
その直後、急激に部屋全体が熱くなっていく?
いえ、城全体が焼けるような暑さになる。
炎に強い鵬魔一族でも耐えられずに消滅するほどに!
「黒炎牢獄!」
不死王の足下から漆黒の炎が噴き出して不死王の身体に巻き付き縛りあげる。
「父上?これは禁忌の炎、地獄の炎かい?」
「そうだ!不死のお前を殺すには地獄の炎でなくてはならない!その炎は肉体だけでなく魂をも喰らう炎だからな!」
「考えたね?まさか地獄の炎を目の当たりに出来るなんて感激だよ、父上!」
何処までも余裕で、この状況を楽しんでさえいる不死王に鵬獄魔王はより恐怖する。
「父上お止めください!兄上が本当に死んでしまいます!」
止めるは幼い麗鵬だった。
「馬鹿者!お前の兄は乱心、いや狂心しておる!いずれお前が鵬魔の王になるさいに、生きていてはならぬ存在なのだ!」
鵬獄魔王は邪魔する麗鵬の首に当身をして気絶させると、倒れる兄を彩鵬が支える。
「彩鵬よ?お前はそのように兄を支え続けよ!良いな?」
「父上・・・」
幼い彩鵬ちゃんには何も出来なかったの。
「さぁ!消えよ、不死王よー!」
結界より黒炎が不死王を飲み込むと、抵抗する事なく不死王は言ったの。
「地獄も面白そうだな」
それを最期に不死王は消滅したの。
「それが雷鳥魔王。お前を倒した兄、不死王の最期だよ」
「その話は本当か?まさかあの不死王が現世におらんとは・・・」
雷鳥魔王は甦り、不死王と再び合間見る事だけを目的にしていたため、絶望の縁に落ちる。
「俺は何のために今まで・・・」
すると彩鵬ちゃんが叫んだの?
「お前の無念は僕が受け止めてやる」
「お前がだと?」
「鵬魔一族最後の生き残りの僕が兄上の代わりにお前に本当の敗北を与えてやる!」
二人は対峙すると、巨大な怪鳥へと姿を変えたの。
私達は見上げた状態で二人の戦いを観戦する。
雷と炎が上空で激しくせめぎ合う中で、
「これで成仏してくれるかい?」
「満足出来た。ありがとう」
ま、眩しい!!
上空で雷鳥が拡散するように爆発して消滅したの。
か、勝ったの?
そして勝者の彩鵬ちゃんは上空からゆっくりと人の姿になって降りて来ると、倒れている紅孩児君の前に着地する。
「全く、この王子様は気持ち良く寝てるよ。けど、もっと強くならなきゃ駄目だよ?君はもっと強くなれるから。早く僕の力を百パーセント使えるようになってよ」
そのまま彩鵬ちゃんは紅孩児君の身体の中へと炎の魂となって消えていく。
終わったのね?これで?
「梁渠!私達の勝ちよね?」
私が叫ぶと梁渠は渋々と答える。
「お前達の勝ちニャ!大番狂わせにゃ。何なんニャ!お前達は?まったく!」
すると掌の残った駒をかき混ぜながら次の対戦相手の準備す・・・
「するなー!!」
「にゃ?」
「にゃ?じゃないわ!勝手に先に進ませないでよ!紅孩児君は交代よ!交代させなさい!今すぐ!」
「本人が言わなきゃ無効にゃ!」
そこに鉄扇ちゃんが割って入る。
「梁渠?あんた、牛角帝の後の狙如の時に細工したわよね?そんなアンタに審判は任せられないわ?アンタを審判から外すか?それとも干支神将の反則負けにするか今決めなさい!」
「なんと!!」
「ど・う・す・る?」
「そんなことは・・・」
「往生際悪いわね?だったら三択にさせてあげるわ!」
「どうするつもりニャ?」
「アンタが細工した一回分を私達も使わせて貰うの。そうね?次は私が出るわ!」
「んにゃ!?」
暫し考える梁渠。
「ふふふ。生意気な小娘はさっさと始末されるが良いニャ。好都合ニャ」
ほくそ笑む梁渠は了承したの。
すると掌の中の鉄扇ちゃんの駒を一つルーレットに放り投げると、紅孩児君が闘技場から消えて鉄扇ちゃんが代わりに一人立っていたの。
あれ?
そういえば私、鉄扇ちゃんの実力をあんまり知らないわよね?
妖気の量は確かに凄いとは思うけど、今まで相手して来た化け物達がずば抜けてたから。
続けて梁渠は残った相手側の駒を全部投げると、ルーレットの中でカラカラ音を立てながら一つ飛び出して来たの。
「運の良い小娘ニャ。干支十二神将の中で一番弱い神将が相手とはツイてるにゃ?」
あら?そうなの?
相手の駒が巨大化すると、そこから新たな干支十二神将が姿を見せたの。
見た目は確かにどうなのかなって感じね?
牛角帝みたいに大柄でもないし、虎武黒みたいな野性味があるわけでもないし、雷鳥魔王みたいな凄味がないし、けど狙如みたいに見かけによらないで凄い術を使うかもしれないから油断は出来ないわ?
「あの者の名は蹄鉄馬王にゃよ。特に伝説もないのに馬王宮殿を守護に選ばれたにゃよ」
「ふ〜ん。そうなんだ?」
私が、見る限り妖気の量は鉄扇ちゃんの方が恐らく二倍?もっと差があると思うの。
もしかして楽勝?
「あんたが私の相手なの?この女妖怪のボスである私には役不足よ!」
蹄鉄魔王は鉄扇ちゃんの挑発に乗る事なく無言でいたの。
何か不気味ね?
「とりあえず次の戦いを始めるにゃ!」
するとまた私達のいる空間が歪んで新たな宮殿へとワープしたの。そこは二体の馬の彫刻が闘技場を囲むように並び立っていたの。
「早く済ませるニャよ?」
何かやる気ないわね〜
梁渠は片手をあげると、一気に振り下ろす!
「第五闘技開始にゃ!」
えっ?
梁渠が開始を叫んだその直後、鉄扇ちゃんが吹き飛ばされて壁に直撃した??
その場にいた全員が目を丸くする。
闘技場の真ん中には鉄扇ちゃんのいた場所に蹄鉄馬王が片足を上げた状態で止まっていたの。
今、蹴り飛ばされたの?
当の本人も何があったか分からないで鉄扇ちゃんが起き上がる。
どうやら無事のようね?
「寸前でガードしたのか?」
「とんだペテン師ね?あんた強いわよ!」
決して油断はしてなかった。
開始と同時に踏み込んだ蹄鉄馬王は一瞬で鉄扇ちゃんの間合いに入り、強烈な蹴りを食らわしていたの。鉄扇ちゃんの反応が僅かに遅れていたら、今ので勝負はついていた。
「あんたの武器は妖力の強さでは計り知れないほどの格闘技ね?」
「それも蹴り技に特化したな」
「こんな可愛い女の子を蹴り倒すなんて良い趣味よね?絶対に許さない!」
蹴り技最強の魔王なの?
すると鉄扇ちゃんは両手に妖気を籠めると腕の袖から出た札から、大型の鉄の扇を出現させて掴むと構えたの。
「この私がお仕置きしてあげるわ!」
今から鉄扇ちゃんの本気が見られるのね!
興味深々だわ!
そんなこんな
次回予告
第五の宮殿の番人の蹄鉄馬王に鉄扇ちゃんの実力がみれる!




