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第四宮殿~炎鳥と雷鳥!

意識のない紅孩児を救ったのは?


僕っ娘?


私は法子


「ま、まさか・・・」


驚愕する私。

だって!

「まさか僕っ娘が現れるなんて!!」

「そこ違うらろ?」

すかさずツッコミを入れる八戒に私は不満げな顔をする。

「紅孩児のペットが女の子になった事の方が驚きらろ?そこは!」

「それもそうね?」

私は改めて見る。

「確かに美少女ね?」

「そこらか!?」

「でも何者なのかしら?紅孩児君のペットが人型になったわけ?確か鳳凰の聖獣だったよね?」

「オラも詳しくは知らないらよ〜」

「あの娘は彩鵬だわ。確か」

「えっ?」


鉄扇ちゃんが僕っ娘の事を知ってるみたいなの。

「知り合い?」

「知り合いってわけじゃないけど、確か彼女は死んだはずよ」

「えっ?じゃあ、幽霊なの?」

「う〜ん。転生したと言った方が良いわね。何せ不死の一族らしいから」

「不死?」

「そうよ。あの鵬魔王の双子の妹だからね」

「え〜!?」

「何らと〜!?」

私と八戒は顔を青褪める。

けど、あれ?

「驚いてみたけど鵬魔王って誰?」

全員がズッコケル。

「鵬魔王ってのはらな〜」

八戒が私に簡単に説明してくれたの。


鵬魔王

かつて孫悟空の転生前だった美猴王の義兄弟の一人。

ん?義兄弟って確か紅孩児君のお父さんと、旅であった蛟魔王さんと百獣王[獅駄王]さん、

それに阿修羅と一緒よね?


聞くに、その鵬魔王は転生した孫悟空達と死闘を演じたの。

そこには八戒や沙悟浄に鉄扇ちゃんもいた。

戦いは勝利したけれど、そこで私の前任だった三蔵法師様が亡くなられたんだって。

「とても冷酷で無茶苦茶強い奴らったらよ!その鵬魔王にあんな可愛い妹がいたらか?初耳ら〜」

「そこからは私が説明してあげる」

鉄扇ちゃんが知ってる事を教えてくれたの。


それは鉄扇ちゃんがこの地に来た頃の話。

今から二百年くらい前の事。

鉄扇ちゃんが義姉の紅孩児君のお母さんと異界の魔神国から、この地を侵略しに来た頃の話・・・


「ちょっと待ったぁ〜!」

「何よ?せっかく私が話してる最中に?」

「ツッコミ所が多過ぎて頭が付いてきてないわ!えっ?鉄扇ちゃんの義姉が紅孩児君のお母さんで?それで魔神の国?そこからこの世界を侵略?ちょっと!ちょっと!」

「法子煩いから少し黙って?話さなくて良いの?止めるわよ?私?」

「ごめんなさい。続けて・・・」

「変な子ね?」


そういえば鉄扇ちゃんも妖怪だから二百年前にどうこうって年齢の話は置いて置こう。


「話すわよ?」

鉄扇ちゃんの義姉の羅刹女さんは女妖怪を統べる魔神だったの。

そしてこの地を侵略に来たみたいなのよ。

先ずは手始めに、この地を統べる四人の魔王を倒す事だったの。

けれどその魔王とは蛟魔王さんや百獣王さんに牛角魔王さん、そして鵬魔王だったの。

羅刹女さんはあの蛟魔王さん、百獣王さんをも撃破していく。

そして鵬魔王の城へも殴り込んだの。

「くぅぅ、おのれ!」

羅刹女さんの前に鵬魔王が膝を付いて倒れたまま力尽き見動き出来ないでいた。

その場には鉄扇ちゃんと側近の蝎子精って女将軍が仕えていた。

「流石義姉様は無敵だわ〜ねぇ?蝎子精」

「まだ目的は果たしてないよ?油断は大敵よ鉄扇」 

「そんなの分かってるわよ!」

「義姉さんの目的は」

羅刹女さんが柱に倒れて横たわる鵬魔王に話し掛ける。

既に勝敗はついていたの。

「あんたが鵬魔の現当主かい?」

「だったら何だ!この私にこんな真似をして許されると思うなぁ!女ぁあ!」

「口だけは達者のようね?けど私の目的はお前じゃないよ?」

「何だと?」

「お前の兄の不死王はどうした?ここにはいないのか?」

「!!」


ここに来て不死王って誰よ?

鵬魔王のお兄さん?


「兄はこの地にはいないぞ。奴は地獄ヘ堕ちた。この鵬魔の城は私が主だ!」

「不死王の奴が地獄にだと?あの馬鹿、また放浪癖の挙げ句に地獄に行ったのか!」

すると羅刹女さんは鵬魔王を見下ろして言った。

「ならばお前が代わりに私の聖獣となれ?そうすれば命だけは取らずにいてやろう」

「私がお前の聖獣だと?ふざけるな!死んでもお前の聖獣にくだるつもりはない!」


鵬魔の一族は本来聖獣なの。

聖獣の特性は他の種族を主と認めて魂の契約をする事で、主に己の特性と膨大な力を与えられるの。

その中でも鵬魔の一族は潔癖かつ誇り高き一族の為に主を持つ事はないと言われるくらい。

その中でもまさか鵬魔一族の魔王を聖獣として扱うなんて誇りが許さないに決まっている。

「この私をコケにして、ただで済むと思うなぁ!」

「お前達の鳳凰の炎属性と私の炎とは相性が合うのだ。お前の意思は関係ない!私に仕えよ?それとも今、ここで死ぬか?いくら不死の一族でも殺せないわけではないのだぞ?私には容易い事だ!」

「死んでもお前のような奴には使えん!」

再び全身から炎を噴き出させて闘志を見せる。

「言い切ったな?ならば力づくでも言うことを聞かせるのみ!」


しかし足掻き抗う鵬魔王は羅刹女の前で倒れる。


「さて、強制的に契約を結ばせて貰うぞ?」

しかし

契約が破棄され、羅刹女さんは気付く。

「お前・・・既に主君を持ってるのか?」

鵬魔王は既に主君を持っている為に契約が結ばれないの。

再契約の為には現在の主君を殺すか鵬魔王が心から主君と認めなければならないの。

「ふふふ。私の主君は既に心に決めている。それはお前ではない!」

「そうか?ならば死ぬか!」

羅刹女さんが殺意を見せたその時、奥から何者かが飛び出したの!

そして羅刹女さんが突き出した手刀から鵬魔王を守るべく身を呈した者がいたの?

「お前?」

羅刹女さんの手刀はその者の胸を貫いていた。

「僕の命に免じて兄上をお救いください!その代わり僕が貴女の聖獣となりますから!」

「お前、勝手な事を・・・」

庇われた鵬魔王は力尽き意識を失ったの。

「その言葉に二言はないな?」

「はい・・・僕の名は彩鵬、貴女様にこの身を捧げます」

「良かろう。お前の覚悟に免じて兄の命は見逃そう。私に付いて来い!彩鵬」

「はい」

すると彩鵬の身体は炎上しながら小さくなって、羅刹女さんの掌に収まる卵になったの。


場所は再び闘技場に変わる。

「それが私が知る彩鵬よ」

「鉄扇ちゃんの目撃談から彩鵬ちゃんで間違いないと思うけど、じゃあ?彼女は幽霊?」

「違うわね」

今の彩鵬さんは羅刹女さんから赤子の時に譲り受けた紅孩児君の聖獣として転生した姿らしいの。

「その証拠に私が昔見た姿より若いしね?確か鵬魔王の双子の妹らしいけど、今の彼女は人間歳で見ても十四歳くらいかしら?」

「なるほど〜」


で、その聖獣に転生した彩鵬さんが紅孩児君のピンチに姿を現したって事ね?

闘技場には彩鵬さんの前に浮いて翼から雷を空向けて巻き起こす雷鳥魔王。

その雷鳥魔王は雷を纏いながら闘技場へと降りて来ると、その姿は人型へと変わっていく。

「この俺の前に鵬魔の血縁が姿を現すとはな?そのガキが危機に陥る度に強烈な殺気を向けていた正体は憎き鵬魔の一族で間違いなかったわ!」

「お前は雷鳥魔王だな?話には聞いていたぞ!我が鵬魔一族により天の制空権を奪われて地に落ちた魔王だったな?」

「鵬魔一族とは言え小娘の分際でこの俺を挑発か?良かろう。お前の首を我が復活のための生贄にしてやろう!」

「やれるものならやってみな?僕は簡単には倒せないからさ!」


私達の目の前で雷が雨のように雷鳥魔王から放たれ、対する彩鵬ちゃんからは幾つもの火炎放射が噴き出して雷の雨と衝突して壁をつくる。

互角!?

「あの鵬魔王と双子ってらしいから、只者でないとは思っていたけどやるわね?」

「鉄扇ちゃん嬉しそうね?」

「そう?」

鉄扇ちゃんは目の前で絶対絶命のピンチだった紅孩児君が実は羅刹女さんの忘れ形見であり、今の今まで死んでいたと思っていたのに生きていた事の驚き。そして義姉である羅刹女さんが紅孩児君の為に残した彩鵬が、目の前で紅孩児君を救ってくれた事に強い縁を感じていたの。


「僕は羅刹女孩様に頼まれたから紅孩児君を守るわけじゃない。僕の魂が彼を認めたんだ!真の王になるべく器だと!その紅孩児君は僕の命に変えてでも必ず守る!」

彩鵬ちゃんは両手を鳥の羽をゆっくり羽ばたくように構えると、その身体が炎に飲み込まれる。

「四霊変化唯我独尊・凰!」

すると炎の中から鳳凰の神衣を纏った彩鵬ちゃんが姿を現したの。

同時に神気が異常に高まる。

「小娘が、やりおる。だが俺の力はこんなもんではないぞ?」

上空から雷が降ってきて直撃すると轟音の中から

「聖獣変化唯我独尊・雷鳥!」

雷鳥の魔鎧を纏っていたの。

「さぁ?鵬魔の小娘よ、今より処刑を行う。覚悟するが良い?俺は手加減はしないからな!」

雷鳥魔王は両手を掲げると頭上に電気を帯びた翼が舞い散り、その翼が無数の雷槍へと変わる。

「雷槍・エブクル」

そして彩鵬ちゃん目掛けて全ての雷槍が同時に放たれたの。

「炎上防壁!」

火柱が地面から噴き出して防壁となり向かって来る雷槍から身を守る。

「!!」

けれど、雷槍は炎の防壁を貫いて彩鵬ちゃんに襲い掛かる。

「あははは!俺の雷槍エブクルは相手の力を喰らい尽くすのだ!お前に逃げ場はないぞ!」

彩鵬ちゃんは身を翻しながら雷槍エブクルを躱していく。

まるで舞を見ているような動きだった。

すると炎が足下から噴き出して数体の彩鵬ちゃんの分身が現れたの。

「小賢しい、全て貫いてやろう!」

分身体が雷槍で貫かれて消えていく中で本体の彩鵬ちゃんは身を翻しながら躱して両手を翼のように扇ぐと、炎の羽衣が現れて羽織ったの。

「万裏鳳翼 ・返却」

※バンリホウヨク・ヘンキャク

そして燃え盛る炎の羽衣を翻すと、飛んで来た雷槍を包み込みながら軌道を変えて飛ばしたの。

「!!」

雷槍は雷鳥魔王の頬を掠って飛んでいく。

「次は外さないよ?恐くなければまた飛ばしてごらん?」

「この小娘が調子に乗るなぁー!」

恐れずに飛ばした数発の雷槍は再び炎の羽衣に包み込まれながら軌道を変え、逆に放った雷鳥魔王の身体を貫いたの。

「ぐはぁ!」

「言ったろ?僕は手加減しないし、紅孩児君を早く治癒してあげたいからお前なんかに時間を取ってあげるつもりはないんだよ」


つ、強いわ!

圧倒的に!

彩鵬ちゃん!!


「小娘であっても鵬魔の一族か・・・だが、お前を倒して真の鵬魔を名乗るのは、この俺だぁー!」

その様子を見て梁渠が呟く。

「まだ根に持ってるとは執念深い奴にゃ」

「梁渠?何か知ってるの?あの雷鳥魔王と鵬魔一族との因縁について?ちょっと根深いわよね?」

「教えてやっても良いニャ」



この続きは次回の話ね?


そんなこんな


次回予告


僕っ娘・彩鵬ちゃんの戦い!


そして鵬魔一族の過去が語られる。



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