千年前の魔王?願いを叶えるために干支十二宮殿へ!
法子と沙悟浄は孫悟空と阿修羅を救える唯一の人物
錬体魔王を連れ戻った。
錬体魔王は二人を救えるのか?
私は法子
私と沙悟浄は呪毒に侵されて、
瀕死状態の孫悟空と阿修羅を救える錬体魔王を連れて来れたの。
あ、オマケに鉄扇ちゃんと白骨乙女さん付きで・・・
私達が見守る中で錬体魔王が二人の診察をしている。
実際、身体は幽体だから助手に沙悟浄が付いてるのだけど。
「やはりな・・・」
錬体魔王は二人の診察を終えた後に状況を理解した上で出てくる。
「何かわかったの?二人は治るんでしょ?何か必要な物があれば用意するわ!ねぇ?どうなのよ!」
急かす私に錬体魔王は告げたの。
「話を聞いて予測はしていた。並大抵の呪毒なら二人の回復力があれば問題なかろう。妖怪を殺せる程の猛毒でも、そこの沙悟浄君なら治癒薬を作れるだろう。呪いなら法子君程の力があれば払えるだろう。しかしそうではなく、かつて私が仕えていた黄風魔王の黄砂強風の拳の呪毒は使い手である者を殺せば回復する。しかしこの呪毒は厄介だ」
「つまり何なの?助からないの?」
「結論を言えば、限りなく不可能なほどゼロに近い」
「あ〜だから!単刀直入に言ってよ!」
錬体魔王は溜息をついた後に答えたの。
「治す手段はある。しかし・・・」
説明を聞くに、この呪毒は黄風さんの力ではなく別の何者かの呪毒を使ったと言うの。
その者から血清やら祓う術を手に入れないといけないのだと。
「あ〜また振り出しに戻ったわ!また人探ししないといけないの?」
けど、錬体魔王は救いの手を差し伸べてくれたの。
「この呪毒の持ち主には心当たりがある。私が手に入れて来よう」
「えっ?そうなの?なら頼むわ?何だ〜簡単に終わ・・・!?」
けど私は気付いてしまったの。
錬体魔王が僅かに青褪め震えている事に?
それにさっき厄介とか?
「良いわ!私達も一緒に行くわ?それだけ簡単な仕事じゃないのよね?」
錬体魔王さんは頷く。
「そもそもこの呪毒を虎先鋒に教えたのは私だった。だから責任を取るつまりだったが・・・」
錬体魔王の視線の先には白骨乙女さんがいる。
白骨乙女さんの守護霊となった錬体魔王さんが向かうにも、白骨乙女さんまで危険に巻き込む事を恐れていたの。
そして目的地を皆に説明する。
そこには私と八戒に沙悟浄、紅孩児君に玉龍君。まだ居残ってくれてる黄袍怪さん。
それに鉄扇ちゃんと白骨乙女さん。
錬体魔王さんは白紙の巻物を広げると念を籠める。
すると地図が浮かび上がってきたの。
これって記憶の念写みたいなもんかしら?
地図は見る見る完成していくと、ここから七日程離れた場所に地図が浮かび上がらない空間が出来たの。
「地上とあの世へと繋がった狭間がある。そこには過去に死んだ魔王級の化け物の魂が祀られ封じられているのだ。そこにある塔の守護者の中に二人を救える猛毒の持ち主がいる」
「魔王墓場ってわけね?」
すると鉄扇ちゃんが何か思い出して突然叫んだの。
「ここって干支十二宮殿じゃないの?ちょっと分かってるの?あんた達!」
「有名な観光地みたいね?」
「法子、あんたは土地勘ない上に常識ないから知ったかぶりしない」
「何か酷い言い方・・・」
少し落ち込む私に沙悟浄が変わって説明してくれたの。
干支十二宮殿
そこは過去に死んだ魔物級の魂が封じられているとの事だけど、その守護者ってのが厄介らしいの。
それもそのはず!
守護者ってのが千年前に死んだ伝説の十二人の魔王らしいの。
「一千年前の魔王?」
「そうよ。干支十二魔神将と呼ばれてるわ」
「干支十二魔神将?」
干支十二魔神将
それは千年前に地上を支配し荒らした伝説級の魔王の総称。
その魔王達は死した後もその力を持て余し荒ぶる魂となったの。
それは自然界や地上界、天界にも厄災を撒き散らすとして、困り果てた天界の神々によって仮初めの肉体を与えられて干支十二宮殿の守護者として今も存在しているんだって!
当然、仮染めの肉体ではこの宮殿からは出られないから宮殿の外への厄災はもう出来ないの。
けど力の余る伝説の魔王の力を発散させるために百年に一度、新世代の魔王や腕に自慢のある者達が挑んでいるの。けど千年間誰も攻略不可能なの。
「けど昔の魔王なら何とかなるんじゃない?こっちにだって魔王級の皆がいるじゃん?紅孩児君なんて龍神界で強さは龍王級だし、白骨乙女さんだって錬体魔王さんとのコンビネーションは孫悟空だって手を焼くわよ?それに鉄扇ちゃんだって女妖怪の大ボスでしょ?」
「それはそうだけど・・・」
「何よ?鉄扇、怖気づいたなら来なくて良いわよ?」
「誰が怖気づいたのよ!」
チャチャを入れる白骨乙女さんに鉄扇ちゃんは参加してくれる流れになったの。
「白骨乙女よ、それに皆も聞いてくれ!これから向かう干支十二宮殿の危険さを知って欲しい」
錬体魔王さんは私達に干支十二宮殿について語り始めたの。
「かつて私は干支十二宮殿を襲撃した事があるのだ」
「!!」
かつて、三百年前に黄風魔王の配下だった錬体魔王はマッドサイエンティストだったらしいの。
人間の人体実験や合成獣、人道から外れた研究の末に、太古の遺産を手に入れたの。
それは恐竜と呼ばれる旧支配者の化石。
錬体魔王はその化石を使って現代に妖恐と呼ばれる化け物を誕生させた。
恐竜と妖怪の合成妖怪、妖恐の誕生!
この力があれば世界を手に入れる事も容易いと有頂天になっていたの。
そして目を付けたのが十二干支宮殿。
この宮殿には何でも願いが叶う秘宝があると噂されていたの。
その秘宝を手に入れる事もそうだけど、自分が生み出した妖恐の実験に都合が良いとたかをくくる。
所詮は千年前の魔王如き、妖恐の相手ではないと。
そして干支宮殿へ十一体の妖恐を引き連れた錬体魔王が目にしたのは、最初の宮殿に現れた千年前の魔王たった一人に自慢の妖恐が全滅させられた現実。
恐怖慄く錬体魔王は二度と干支宮殿へ近寄る事はなかったらしいの。
「今でも恐怖で身震いが止まらぬ。しかも私の妖恐を倒したのは干支宮殿の魔王一人だけだった。少なくとも他に十一体の化け物がいると考えればこの戦力でも歩が悪いかもな・・・」
その話を聞いた私は、
「でも他に手段ないのよね?その何でも願いが叶う秘宝を手に入れれば良いのよね?目的は一つよ!」
「ブレないらな?」
「そ・れ・に・よ?その願いが叶う秘宝を手に入れれば上手く行けば願いを幾つも増やせるようにして貰って、それで孫悟空と阿修羅を回復して貰って、私の旅の目的地を教えて貰うなんてコンボが出来るかもしれないわよ?あ、元の世界に戻して貰えるかも!それに世界征服なんか出来ちゃうかも!うん。これ良いかも!」
「正義の女子高生が世界征服らか?そんな上手くいくらかな?」
「何よ?心配性ね?」
私の案に誰も乗り気じゃないので私は更に皆にも聞いてみたの。
「鉄扇ちゃんだって願いの一つくらいあるでしょ?」
「それは、あるわよ」
「白骨乙女さんだって人間に戻れるかもしれないし、錬体魔王さんだって生身の肉体手に入るかもよ?」
「そ、それ本当に?」
「八戒は欲望は抑えた内容で私が許可した願いは叶えて良いわ?」
「なんらよ?それは〜?」
「紅孩児君は・・・」
「俺様は強い奴と戦ってもっと強くなるだけだ!そんな話聞いたら、孫悟空の件がなくても挑戦するぞ!」
「あら?心強いわ!」
ここで全員の思いは一致した。
「決まりね?なら、この私達が十二干支宮殿をクリアーして世界をとるわよ〜!」
と、何故か目的が脱線しつつも私達は干支十二宮殿へと向かう事にしたの。
そんなこんな
次回予告
法子達は干支十二宮殿へと向かった。
孫悟空と阿修羅がいない状況で何とかなるのか?




