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法子は一生懸命なのよ!

阿修羅が黄風さんを倒した事で嶺黄風国での事で戦いは終わったかに思えた


けれど、問題は山積みだった。


私は法子

私達は黄風との戦いの後、まだ嶺黄風国にいたの。

私達にはやる事か山盛りだったから。

それは嶺黄風国で半人半妖になった国の人達への説得。

 

彼等を人間に戻す手段は無かった。

王様を失った事で妖怪殲滅の為に戦争を起こす事はなくなったから自衛のためにその力を使う事になるのだけど、王様に忠義を持つ者や妖怪に大切な者を殺されて恨みを持って半人半妖になった人達は国を出て立ち去り、私達は残った人達にこれからの事を悟し回る。

元は人間でも、リーダーであった王様がいなくなれば統制も無くなり争いが始まったのよ?

嶺黄風国の内部戦争なんて、私達が大変だったの分かるでしょ?


それに私達にとって最優先は孫悟空と阿修羅の容態だった。

孫悟空は黄風の放った呪毒でいまだに目覚めない。

孫悟空は防衛本能なのか全身に毒が廻らないように身体を石化して進行を止めていた。

だから死んではいないけど、このままじゃ二度と目覚めないわ!


そしてもう一人、阿修羅・・・

阿修羅は呪毒の泉に飛び込み、更に黄風との戦いで全身に毒が廻ってる。

しかも孫悟空のように石化出来るわけじゃないから毒の進行は止まらない。

けれど阿修羅は動かない。

全身の猛毒のために近付く事も止められて、治癒も出来なければ生存確認すら出来ない状況だったの。

それでも信じている。


仮死状態である事を・・・

孫悟空みたいに進行を止めるために動かないだけなんだと。


「この状況で私に出来る事はありません。猛毒だけならまだしも、呪毒は本来使い手を倒せば消えるはずなのに・・・本当にすみません」

沙悟浄は涙を流しながら非力な自分自身を責めていたの。

「孫悟空は俺様が絶対に死なせない!」

残ってくれた紅孩児君も親友の孫悟空の状態に何も出来ずにいる自身を責めていたの。そんな紅孩児君の肩に手を置く八戒もかける言葉が見つからないでいた。


そんな時、部屋の中に玉龍君と瑠美ちゃんが慌てて入って来たの。

「駄目よ二人とも?この部屋は障気で満ちてるの。身を守る術を知らない二人には命取りなのよ!」

すると二人は私達に来るように合図する。

「何かしら?」

私達は孫悟空と阿修羅が眠る部屋を出て二人の元に行くと、二人は私に巻物を手渡したの?

「法子様、これをお読みください」

「何?玉龍君?」

私は巻物を手に取り巻物を広げると、

「これは!!」

私に驚愕に皆が注目する。


「私には読めない・・・」


うん。

皆さ〜?コントじゃないから、そんな見事にすっ転ばないでよ?失礼ね?


私は沙悟浄に巻物を渡すと、沙悟浄は目を輝かしながら説明してくれたの。

沙悟浄が言うには、この地にあった半人半妖を作り出す泉は、三百年以上昔にこの巻物を記した者の実験により完成させたの。その巻物の著者の名は?


「錬体魔王?」


その名には心当たりがあったの。

「もしかして、あの?」

「間違いないですよ〜!旅の途中で知り合った四鈴さ、じゃなくて白骨乙女さんの守護霊の名前です!」


以前、旅の途中で私達に怨みを持って襲って来た女妖怪で、その守護霊が確かに練体魔王と呼ばれる白骨恐竜の姿をした守護霊の名前だったの。


「確か猿の奴とも知り合いだったと言ってたらよ?」

「うん。間違いないわ!」

「この呪毒の泉を作り出した練体魔王なら、孫悟空と阿修羅を治す特効薬が作れるはずだわー!」


と、言うわけで

私達は以前に会った白骨乙女さんを探す事にしたの。


「でもどうやって探すの?」

「私に考えがあります〜」

沙悟浄が言うには知り合いの仙人様に千里眼を使える方がいるらしいの。

「分かったわ!案内して?」

「はい!」

白黒乙女さん捜索のために私は沙悟浄と一緒に仙人様のもとへ行く事にする。

他のメンバーはこの嶺黄風国に残って貰う事にしたの。

まだ内戦が勃発しかねない状況だったから。


「頼むぞ?二人共!」


紅孩児君が私達に向かってお願いするから私も親指立てて返事する。


「水斗雲〜」


沙悟浄の呼ぶ空飛ぶ雲に私も乗せて貰って、二人旅立ったの。

沙悟浄に無理言って相当猛スピードで飛んで貰った。

飛行雲も乗り手の気をエネルギーにするもんだから沙悟浄は目的地に着いた時には完全に白目向いてた。


「情けないわね?」

「そんな〜」

「でっ?その仙人様は何処にいるわけ?」


私が見るにはそこは川みたいだけど。


「こんな場所に仙人様って居るの?」

「間違いありません。ここは流砂河と呼ばれていまして、以前、天界へ行くための隠し通路がありまして、その方は番人をやられ・・・ウギャ!」


「えっ?」


突然、沙悟浄が頭を殴られて蹲る。

「貴方は?」

そこにはいつの間に現れたのか?

そうね?見た目人間年齢で三十代くらいの緑髪の仙人様がいたの。

けど何故か窶れてるようにも?


「私がここの番人をやっているのは師として貴方の罪を負い被せられたからじゃないですか?沙悟浄」


沙悟浄は振り向くと、そこには天界でお世話になった仙人様がいて感激する。


「お、お久しぶりで〜す〜!お元気だったでしょうか〜?恵岸行者様ぁ〜」


恵岸行者?

この方が沙悟浄のお師匠様なの?


「全く、いつになっても情けない顔付きのままですね?沙悟浄は」

「あわわ〜」


恵岸行者様は沙悟浄の頭を撫でると沙悟浄は嬉しそうにする。


けど、大切な事を忘れてた!


「久しぶりの再会に水をさしてごめんなさい?私、沙悟浄と一緒に旅をしてる法子って言います。私達、貴方にお願いしたい事があって参りました」


私が割って入ると恵岸行者様は私を見つめてから言葉をかける。

「貴女が法子さんですね?沙悟浄がお世話になっています。私は沙悟浄のお目付役だった恵岸行者と言います」

「えっ?私を知ってるの?」

「えぇ。貴女達の事は仙人界でも噂になっていますからね?地上界の妖怪を退治して旅をしている一行とね?」

「あら?私ってば有名人?」

「ふふふ」


そうそう!自己紹介も大切だけど脱線してられないわ。


「あの、私達は!」

「説明はいりません。私は貴女達の目的も、何を求めてるかも知っています。貴女達の動向は多少なりとも見ていましたから」

「み、見ていた?ストーカー??」

咄嗟に失礼な事を言う私に沙悟浄が口を押さえて止める。

「西の三魔王討伐に黒幕の百眼魔王との戦い。それにこの件での嶺黄風国での戦い。それこそ過酷な戦いを貴女達一行は成し遂げて来ましたね」


話を聞くに、百眼魔王と三魔王、半人半妖の嶺黄風国の黄風の存在は天界でも放って置けない最重要案件だったそうなの。

それを私達が解決したから噂は天界中に広まっているとか。

けど龍神界に行った事までは天界の神様でも知らないみたいね?


「孫悟空と阿修羅を助けたいの!そこで二人を助けるために白骨乙女さんの居場所を知りたいの!わかりますか?」

すると恵岸行者様は全てを知っていたかのように準備していた地図を広げて私達の前に広げる。

「彼女は今、この地にいます」

地図には白骨乙女さんと白骨恐竜の人形がカタカタと動いて地図を歩き出す。

「何、これ?面白い!」

「これは案内人形です〜」

すると白骨乙女さん人形は巻物の地図の上に現れた別の人形と対面してぶつかり合う?

「あら?人形が現れたわ?喧嘩?」


その喧嘩中の人形も女の子みたいだけど?何なの?この状況?

その人形を見て沙悟浄が青褪める。

「どうしたの?沙悟浄?」

「えっ?あ、この人形、もしかしてもしかして、私の考え過ぎでなければもしかしたら・・・」

「何なの?」

「法子さん!急いでこの場所に向かいましょう!こうしてはいられません!」

「何がどうなってんのよ?」


突然真剣な顔の沙悟浄に私は理由も分からずについていく。

沙悟浄が水斗雲呼んで待っている間に恵岸行者様が私を呼び止めたの。


「貴女達はこれからも過酷な局面に遭遇するでしょう。それでも運命に導かれた仲間と共に諦めない事です」

「それって予言ですか?」

「そうですね〜。はい」 

「心配ご無用よ?私達は凄いんだから!だから必ず二人を治してみせるわ」

「頼もしいですね〜」

最後に恵岸行者様は言ったの。

「沙悟浄は本当に変わりました。貴女との旅の中で成長しているんでしょう。あの子を導いてください」

「過保護ですね?大丈夫、沙悟浄は私にとって役に立つ下僕ですよ!」

「下僕ですか・・・」


そう言うと、任せる相手が本当に私で良かったのか?私との旅に先行き不安を感じる恵岸行者様を残して、私は沙悟浄と一緒に飛行雲に乗って流砂河を後にしたの。


私の隣で青褪める沙悟浄?

本当にどうしたの?

それから案内人形を頼りに山を越えて暫く飛んだ後、思ってたより近くて良かったわ。

私達は離れた場所から強力な妖気を感じて向かったの。

この妖気は間違いなく白骨乙女さんだわ?

それにもう一つの妖気も私、知ってるかも。

あはは・・・

沙悟浄が慌てていた謎が分かったわ。

私は上空から白骨乙女さんが戦ってる。

もとい喧嘩している相手を見て確信したの。

その相手は同じく以前に旅の途中で知り合った鉄扇さんだったの。

そう言えば二人には因縁があったわね?

まだ仲直りしてなかったんだ?

まぁ、無理もないけど。


その状況に沙悟浄はいてもたってもいられずに飛行雲から飛び降りると、二人の喧嘩のど真ん中へと飛び込んだの。

「あ、馬鹿!」

それは無謀だわ。

沙悟浄は二人の妖気のぶつかり合いに巻き込まれて、あさっての方へと吹っ飛んでいく。

二人も当然気付いてないみたいね?

あ〜残念な子。

私は意を決すると、上空の飛行雲から飛び降りる。

沙悟浄みたいな失敗はしないわ?

私は掌に霊気を籠めると金の錫杖を構成して、二人の戦っている正面中央へと力いっぱい投げ付ける。

「!!」

二人は寸前で自分達に向かって来た錫杖に気付いて急ブレーキで攻撃の手を止めたの。

錫杖は二人の中心に突き刺さると、初めて二人は私のいる上空へ顔を上げた。


「その喧嘩、私が買ったわ!だから二人とも喧嘩はストップよ!」

「法子??」

二人も私の登場に拳を止める。

どうにかおさまったわね?

私は二人のもとに着地すると、とにかく二人の間に割って入る。


「誰かと思えば貴女は法子よね?」

「お久しぶり鉄扇ちゃん。喧嘩を止めてくれて嬉しいわ」

「そりゃ、あんな殺気を籠めた錫杖を投げられたら、新たな敵だと思うわ!」

「そうでもしなきゃ喧嘩止めてくれないでしょ?白骨乙女さん」


二人は一瞬でも気付くのが遅れたら串刺しになっていたと、ゾッとする。

危なく状態じゃ済まない事になっていたかもと私を睨む。


「で、突然現れて何よ?私はこの鉄扇との因縁に決着付けるために時間が惜しいのよ!」

「いつまでも執念深いわよね?良いじゃん?彼氏出来たんでしょ?そのお陰でさ?逆に礼でも言って欲しいわ!いつまでも追い回してストーカーは止めてよ!」

「あんたの口を今、閉じてやるわ?その口を串刺しにしてね!」

「やれるもんなら、やってみなさい?この女妖怪の女王の鉄扇ちゃんにさ!」


再び歪み合う二人を止める私は、私が来た理由と状況を説明したの。

単刀直入に、かくかく云々とね?


「話は分かったわ?けど私には先にこの女を殺らないといけないの!」

「私は猿男がどうなろうと関係ないわ!それよりも目の前の身の程知らずの骨女を片付けないとね」

「も〜う!二人ともめんどくさ〜い」


またまた二人は歪み合い、喧嘩勃発となろうとした時、

私の嘆きのタイミングに現れたの。


「鉄扇ちゃ〜ん!お願いします〜!孫悟空兄貴を助けてください〜」


鉄扇ちゃんを止めるのは、二人の喧嘩に巻き込まれて何処かに弾き飛ばされていて戻って来た沙悟浄、と?

「その話、この私にも関係ないわけではないようだ。白骨乙女よ?この私の過去の罪滅ぼしをさせてはくれまいか?」


もう片方は白骨乙女さんの守護霊として存在している錬体魔王さんだったの。

二人の言葉に頭に血が登っていた鉄扇ちゃんと白骨乙女さんは嘘のように女の子の口調になって。


「別に貴方に言われたから手伝うわけじゃないんだからね〜」


って、ツンデレかい!

と、とにかく私と沙悟浄は二人の喧嘩を仲裁して、目的を果たすために嶺黄風国へと戻るのでした。


「あれ?鉄扇ちゃんも来るの?」

「いて悪い?」

「そうじゃないけど・・・」

「それよりどうして河童ちゃんと二人でいたの?法子?まさか?」

「何をとんでもない勘違いしてるの!」



はぁ〜なんか、今日は疲れたわ~

でも法子は一生懸命なのよ!


そんなこんな。



次回予告


錬体魔王を連れて来た法子。

孫悟空と阿修羅は助かるのか?


鉄扇と白骨乙女を加えてどうなる?

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