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ド素人阿修羅のセンス?

嶺黄風国の真の王は無風だった。


そして孫悟空が一撃で瀕死の状態。


そして戦うのは?



私は法子

私達の前で話の分かる相手だと思っていた無風さんが、実は嶺黄風国の真の王様で黒幕だったと衝撃的な展開。しかも彼は私の起こした奇跡を見て、世界中から生きとし生ける者を根絶やしにする夢を抱いたのよ?何かおかしくない?


彼の本当の名は黄風。

かつて孫悟空が転生前に因縁があった黄風魔王の忘れ形見。

しかも黄風は孫悟空を一撃で倒したの。


「真・黄砂強風の拳」


その技は呪毒の拳!

その拳に触れただけで呪いの猛毒で致命傷を与える暗殺拳なの。

孫悟空が苦しみもがきながら意識を失うほどの!


「どんどん孫悟空の妖気が弱まってるわ!」


そんな孫悟空にトドメを刺そうとする黄風に対して新たに相手を挑むのは・・・

「あ、阿修羅?」

私の横を通り過ぎ、ゆっくりと黃風に向かって歩いて行くのは阿修羅だったの。


「心配しなくても孫悟空を始末した後には君を始末するから待っていて?その後は、後ろにいる彼女だよ」

その瞬間、阿修羅は視界から消えて無風の顔面に蹴りかけたの!

「残念」

阿修羅の蹴りは無風の片手で受け止められる。

けど、受け止められた事より危惧する事は、

「もう手遅れだよ?君は!」

受け止められた阿修羅の足が猛毒に侵されて徐々に変色していく。

「阿修羅ぁー!」

私の心配する声に阿修羅は答える。


「心配ない」


えっ?

阿修羅はもう片方の足で黄風の顔面を蹴りを繰り出すけれど躱され、その勢いのまま着地と同時に黄風から距離を取る。


「本当に大丈夫なの?もしかして毒に耐性が?」

「我慢する」


へっ?


「阿修羅ぁ!あんた馬鹿言わないで!直ぐに解毒の治癒するのよ!」


本当に阿修羅は顔色一つ変えずに我慢していたの。

しかも私に微笑み我慢って?


「あっ!」

フラフラしてる。

あ、褐色の肌の顔色が青白くなってない?


「阿修羅ぁ!無理は駄目、命取りになるわ!」

「問題ない」

「問題あるわよ!」


すると阿修羅は自分自身の黒炎で呪毒で侵された箇所を焼いたの。

「これで大丈夫」

「大丈夫じゃないわよ!そんな戦い方じゃ身がもたないし、毒に侵される前に命取りだわ!」

「でも彼を放ってはおけない。僕が彼を倒す。そうしないと孫悟空も助からない」

「!!」


確かに黄風を倒さないと私達はこの場から逃げられないし、孫悟空をちゃんと治癒出来ないわ。

孫悟空は黄風の後方にいて私達は近付く事が出来ないでいたから。


「彼を倒せば毒の呪いが消えるかも」


阿修羅は私に希望を与えるけれど、その考えは覆されたの。

「この毒は僕が死んでも消えたりはしない。暗殺のための奥義。残念だけど孫悟空は助からない。でも直ぐに君達も追わせるから」

「問題ない」

「?」

黃風の絶望的な言葉に阿修羅は希望を持って答えたの。

問題ないって?


「法子がまた奇跡を見せてくれるから」

って、おい!

私へのスルーパスかい!

他力本願かい!

無理よ!私に解毒なんて、しかもあんな見たこともないような治癒出来るはずないわ!


あ・・・


「沙悟浄!アンタなら?」

「私ですか?無理ですよ〜!並大抵の猛毒なら治癒出来ても呪いは専門外ですから〜」

「何とかしなさい!」

「そんな〜」


とりあえず沙悟浄に任せるわ。

阿修羅は黃風を相手に対峙したままだった。

阿修羅は両掌に黒い炎を燈す。

あれは地獄の炎よね?

呪毒じゃないけど、あの黒い炎も致命傷を与えるわ!

でもこれって二人の殺し合いになるの?


複雑だった。

もしかしたら黃風は考え直すかも?

けど阿修羅でも手を抜いて倒せるとは思えない。

しかも猛毒に侵されながら・・・

下手に手を抜けば阿修羅が殺されてしまうかも。


私は判断出来ずにいたの。

その時、二人が同時に動く!

阿修羅は黄風の猛毒に触れないように、黄風は阿修羅の黒炎を躱して戦う。

お互いギリギリの攻守攻防に無表情に戦っていた。


そう言えば二人ともキャラ被りしてるわよね?

口数少ないし、考え読みにくいところ。

それに、

何より天然な所!!


けど、格闘技に関しては黄風の方が一枚も二枚も上手だった。

彼は武術家であった虎先鋒に幼少から三百年にも渡り格闘技を叩き込まれていたの。

比べ、阿修羅は戦いながら覚えている感じなの。

戦闘センスのみで戦う阿修羅はどうしても洗練された技術の前ではどうしても出遅れ、攻撃を受けていたの。腕や肩に新たな呪毒が広がっていく。


「よく動けるね?本当に化け物だ」

黄風は無表情で感心する。

「どうやら本当に免疫があったようだ」


えっ?

阿修羅は先に呪毒の原液とも言える泉に飛び込んでいたから。

それだけでも命があっただけでも運が良かったと思っていたのに。

本当に免疫が?


「僕は地獄とは縁があるみたい。この毒も耐えられる、と思う。少しは・・・そう思い込む」

「いやいや思い込みどうこうじゃないわ!」


私達の茶番的な、実際は必死なんだけど、黄風が割って入る。


「だったら君の心臓を貫き体内から直接毒を流し込んでも生きていられるかな?」


黄風は一瞬で視界から消えると、次に現れたのは阿修羅の間合いの中だったの。

「!!」

阿修羅は辛うじて黄風の手刀を寸前で躱す。

「惜しい」

「!!」

けれど阿修羅は胸元から血を噴き出す。

直ぐに血止めと毒の侵食を止めるために黒炎で傷口を焼いて凌ぐ。

「はぁはぁ」

「息が上がった?」


黄風は追撃すると阿修羅も迎え討つ。

攻撃の連打が互いにぶつかり合う中で阿修羅は毒で体力が消耗が激しく、更に黄風の拳闘は阿修羅を上回って防戦一方になっていく。


「このままじゃ阿修羅が・・・」


やはり阿修羅は格闘技に関しては素人。

青龍王との戦いも潜在能力のセンスのみで凌げてはいたけれど、やはり熟練者の相手じゃないの。

どうしたら良いの?

私に出来る事はないの?

その時!


「何をちんたらやってんだ!阿修羅ぁ!お前はそんなもんじゃないだろ?相手の攻撃を見て戦っているから出遅れるんだよ!」


猛毒に侵されながらも阿修羅の危機に居ても立っても居られなかった孫悟空はアドバイスを告げると、力尽きて再び意識を失い倒れる。


えっ?何何?

相手の攻撃を見て戦うのが何がいけないの?

そんなの当たり前じゃ・・・


「あっ!」


そこで私は再び阿修羅と黄風の戦いを見て始めて気付いたの。

正直、阿修羅の身体能力が高すぎて今の今まで全然気付かなかったわ。

寧ろその目、つまり動体視力にも!

阿修羅は敵の攻撃を全て見ながら対応していたの。

それこそ寸前まで。

だからフェイントや死角からの攻撃には滅茶苦茶弱いの。


「あれじゃ駄目だわ・・・」


愕然とする私。

素人と言っても良いわ本当に。

どんなに腕に自信のある素人も格闘技熟練者と戦えば、よほどの事がない限り負けないわ。

例外があったとしても、同条件の才能で考えてよね?

もしその腕に自信のある素人が格闘技を学べば当然より腕っぷし上がるでしょ?

阿修羅は素質はピカイチだけど、格闘技ど素人!

あの黄風は阿修羅に劣らぬ才能あると思うの。

そうなったら格闘技経験値で勝てないわ!


「どうしよう〜」


けれど、もしよ?

もし阿修羅が格闘技学べば最強じゃない?

けど、この状況でどうしろと?

今から教えようにも・・・

そもそもこの状況で格闘技を仕込むなんて不可能よ?

そもそもこの状況で・・・


「できるかな?」


阿修羅に格闘技を簡単に説明して、達人になって貰う!

そして勝ってもらう!

格闘技はつまり拳闘であって、喧嘩!

喧嘩は子供でも出来る。

子供でも出来るなら誰でも出来る!

つまり私の教え方次第よ。


私は立ち上がると、今、この状況で戦い真っ最中の阿修羅に向かって叫んだの。


「阿修羅ぁ!今から貴方にちゃっちゃっと格闘技を伝授するわ!だからよく聞いて?」


私に対して紅孩児君に八戒、沙悟浄から玉龍君まで、何を無茶な〜って顔をする。

そして私の伝授とは?


「相手の真似しなさい!」


全員が硬直した。

全員が硬直した。

うん。全員硬直しないでよ?


「何よ?間違ってないわよ?」


ほら?目の前に滅茶苦茶格闘技出来る相手いるんだし、しかも実戦だし、経験値上がりまくりよね?

大丈夫よ。阿修羅なら?

絶対に多分恐らく!

その場にいた全員が首を振る。

首を振る!

首を振らないでよ〜!


「ありがとう」


えっ?

しかし当事者の阿修羅だけが私を認めてくれた。

その時、阿修羅の動きが本当に変わりだしたの?

黄風の繰り出す攻撃を見事な受け身を使い、そして鋭い拳を繰り出す。

それはまるで熟練者の突き?

阿修羅はその動体視力で黄風の攻撃を目が焼き付くくらいまで全て「見て」いたから、その動きを見様見真似で試し試しで使いこなしていたの。

これこそセンスって言うのかしら?

次第に黄風の攻撃が当たらなくなっていたの。


「凄いよ、君」


黄風は阿修羅への攻撃を止めて距離を取る。


「虎先鋒に三百年かけて叩き込まれた格闘技を簡単に奪われたようだ。こうなればもう打つ手がない。このままでは」


えっ?何を言ってるの?

このままではって?

まだ奥の手があるの?

黄風は両手を広げ妖気を高め始めたの。


「!!」


すると黄風の頭上に十本の大剣が出現して宙に浮かぶ。それは守護者の三本と剣聖達の七本の呪憎剣。

「これは僕の奥の手であり最終奥義だよ」

十本の呪憎剣が一度に降り注ぎ黄風の身体を貫くと、その脈動が激しく脈打つ。


「呪憎変化唯我独尊」


その姿が鋼色に変わり、さらなる覇気が城を震わせ始めたの。

その変化と状況に私達は圧し潰されるように立っていられなくなる。

その状況で阿修羅が私達に言った。


「ここから離れて法子。彼は僕が終わらせる。だから僕を待っていて」


それは私達の身の危険を心配しての事なんだろうけど、正直私達は足手まといなんだわ。


「阿修羅、お願い!待ってるから必ず私達のもとに戻って来るのよ?」

「必ず法子のもとに」


優しい微笑む阿修羅

また恥ずかしげもなく!

私は頷くと、その場にいた全員に叫んだの!


「ここからは阿修羅の戦いよ!私達は撤退!良いわね?戦略的撤退よー!」


私の指示に八戒、沙悟浄、そして黄袍怪さんとその配下が頷き、四方の壁に妖気弾を放って破壊して外へと飛び出したの。その際、孫悟空には紅孩児君が飛び出して救出し抱えながら城の外へと飛び出す。私も玉龍君と瑠美ちゃんを抱えて飛び出したの。


「良かったのかい?孫悟空をみすみす逃して?」

「どうせ助からないさ。あの呪毒ではね」

「どうかな」


私達は落下しながら城に残った阿修羅に後を任せて落ちていく。

あ、ちなみに落下の際に私達は八戒の黒斗雲、紅孩児君の赤斗雲の上に乗せて貰いました。


でも阿修羅、本当に大丈夫なの?


そんなこんな。

次回予告


一人残った阿修羅の戦いが始まる。


その戦いの先には?

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