恐るべし虎先鋒の奥義虎穴!
城の最上階では孫悟空達が虎先鋒と!
そして城の地下では法子達が!
己の戦いをしていた。
私は法子
私は半人半妖を産み出す現況である泉を浄化するために「浄化法」を行っていたの。
この泉の穢れは尋常じゃない。
浄化の法とは、つまりお祓い。
この泉から漂う穢れを全て祓う事になるのだけど、
人間と妖怪の魂が混合している。
穢れを浄化させるには、その全ての魂一体一体に語りかけ、極楽浄土へと導く作業。
けど、この魂から発する怒りや悲しみ、苦しみ藻掻く中で、私が魂に語りかける事を妨害し抗ってくる。下手をしたら私自身が飲み込まれて戻れないリスクが伴うの。
命がけね!
でももう引き返せないわ。
全ての荒魂と戦い、勝って、宥めて、分かって貰う。
それを恐らく千体?いえ数万単位で行うのよ!
「骨折れるわね〜」
けど沙悟浄が隣で私をサポートしてくれてる。
うん。沙悟浄は良い働きだわ?
私の補助を口頭で説明しなくても、欲しい時に必要な手助けを先に先にと助手してくれる。
かなり助かるわ!
けどやはり数が半端ないわね。
とにかくこれが私の戦い。
私がやらなきゃいけないの!
私が戦っている中で、孫悟空も虎先鋒と戦っていたの。
しかし孫悟空の体力は先の玲音との戦いで消耗し、負った傷が開いていく。
それでも孫悟空は攻撃の手を止めない。
「過去の亡霊は俺様の手で決着をつける!」
虎先鋒との拳が交差し交える中で、虎先鋒は呟いたの。
「過去の亡霊と抜かすか?己の罪を棚に置き、お前自身の過去をなかった事にすると言うのか!」
「何を!」
「お前は世界のためにその全てを捧げていた我が主、黄風魔王様を己の野望のために手にかけた!それだけでも万死に値する!」
「黄風魔王・・・」
黄風魔王とは過去で美猴王だった時代に戦った大魔王だったの。
かつて美猴王を追い詰め、一度は敗北を与えた大魔王。
けれど再戦の際に通風魔王は戦死した。
その際、確かに幾つもの妨害はあったけれど、結末は悲惨な幕締めだった。
「だが戦乱の世で恨み辛みは仕方ねぇ。俺様が言うのもなんだが、お互い譲れない夢の為に戦ったんだ!俺様はそこに恥も後悔もない!」
「そうか?ならば・・・」
「!!」
その言葉を聞いた時、孫悟空の動きは止まった。
その僅かな隙を虎先鋒は見逃さず、奥義を放ったの!
その掌に圧縮した妖気と風気が凝縮し、拳を放つと同時に孫悟空の腹部を貫いたの!
「虎穴!」
虎穴とは一撃必殺の物理攻撃。
掌に真空の筒をつくりあげると、相手は一瞬身体を吸い寄せられてしまい、
そこを強烈な一撃でカウンターの真空の筒状の突きを放つの。
その技の前に貫けないものはないとか?
孫悟空は血を吐きながら倒れていく。
「どうやら僅かにでも麗華様の死に多少なりとも懺悔の念があったようだな?お前さえ来なければ死なずに済んだ。その生涯を全う出来たのだ!」
孫悟空は答えずに倒れたままだった。
「答えずとも良い。お前は死して懺悔するが良い。地獄でな!」
虎先鋒は孫悟空の後頭部目掛けて虎穴を放とうと腕を上げた時、
「そうはさせねぇー!」
炎が孫悟空を覆い、その場から消したの!?
「お前の相手は俺様だ!」
そこには紅孩児君と黄袍怪率いる暗殺部隊。
それに、
「オラも猿は殺されたくないらよ」
隠れていた八戒も姿を現したの。
「ふふふ。どうも昔から仲間には恵まれているのだな?ならば、お前の目の前でその仲間の屍を見せつけてやろう」
ちょっと余裕じゃない?
けど私達の仲間を舐めないでよね?
場所は再び変わり私達の方。
私の額から頬にかけて汗が流れ落ちる。
かなり消耗してるわ。
けど、もう引き返せない!
私はこの泉に自分自身の霊体を飛ばしていたの。
この泉には必ず核となる媒体があるはずなの。
その核を中心に、まるで彷徨える怨霊と化した魂を渦を巻きながら引き込み、この地から離れさせないようにしているの。たから私の仕事はその核を何とかする事よね?
「法子さん。もっと奥みたいです。まるで地獄へと続いているみたいに深く深く、気がおかしくなりそうですよ〜」
「うん。でも私達がやらなきゃ!」
すると私の霊体が泉の底で何かを見つけたの?
それは人柱?
泉の奥底に人柱があって、それが核になってるようなの。私は核に近付こうと試みたその時、私の身体に邪悪な怨霊が絡み付いて核から引き離し、更に奥へと引きずり始めたの。霊体の私には抗う力もなく更に奥へと引きずり込まれる。
「あ、きゃあああああ!」
その直後、私の本体が糸が切れたかのように倒れたの。
その異変に阿修羅、沙悟浄が気付く。
「このままだと法子さんが肉体に戻って来れなくなる!何とかしないと!」
すると沙悟浄は倒れた私の手首に嵌めたブレスレットに気を送り込むと、光が私の身体を覆う。
それは引きずられていく私の霊体へと繋がり私の霊体が光り輝いたの。私を掴む怨霊が弾き飛ばされて、私には輝く羽衣が巻かれていたの。
「これ龍の羽衣よね?」
私の霊体は浮いたかのように泉の奥から外へ飛び出して、間一髪引き戻された。
同時に私は目を覚ます。
「はぁはぁ、危なかったわ」
私を囲むように阿修羅と沙悟浄、玉龍君と瑠美ちゃんが私を覗いていた。
そして離れた場所に無風さんが私に言ったの。
「それで分かったろ?無理な事に努力をしようが、結局何もうまれない」
絶望を突き付ける無風さんに私は平然と答える。
「何言ってるの?」
不思議そうな顔をする無風さんに私は言葉を続ける。
「まだ一回しか失敗してないじゃない?そしたらまた挑戦すれば良いのよ?そこで失敗たら成功するまで何度でもね?それに成果はゼロじゃなかったわ?この泉の奥に人柱があったのよ!その人柱を何とかすれば何とかなるかもよ?何とかね?」
「君はまだやるつもりなのかい?」
「私は前向きに物事考えるのよ!」
すると私達に向かって誰かが話に割り込んで来て質問して来たの。
「おい、女!今、人柱と言ったな?それはどんなだった?詳しく僕に答えろ!」
「えっ?誰?」
その彼は私と同い年くらいかな?
金色の髪に、額に一本角がある少年。
妖怪なのは分かるけど、かなり強い妖気を感じる。
きっと手練ね?
「早く答えろ!」
そんな横暴な彼に阿修羅が無言で威圧する。
「ちょっと、喧嘩は無しよ?あんた名前は?先ずは名前教えてくれてら私も情報教えてあげるわ?」
「ふん。生意気な人間の女だ!」
彼は私に金角児と名前を告げると、孫悟空達と一緒に潜入して来た事を教えてくれた。
「オッケーオッケー!つまり昨日の敵は今日の友ね?良いわ。この泉の奥で見た事を教えてあげるわよ」
私が見たのは泉の奥底で見た人柱の話。
恐らく力の強い妖怪だと思うけど、その妖怪を人柱にして呪術の核にしてるみたい。
「核?その妖怪の特長を言え、女!」
「私は法子よ!そうね?あら?良く見たら貴方にそっくりよ?ただ薄ぼんやりだったから正確とは言えないけど、けど髪の色は銀色だったかな?」
「銀角児!!」
金角児は嬉しそうな顔で笑みを見せる。
「この中にいるんだな?僕が今、助けてやるからな!銀角児ぃー!!」
すると金角児は泉に足を踏み込んだの。
「くぅ!?」
けれど泉に入れた右足が猛毒で火傷し、呪われるかのように変色していく。
それでも金角児は泉にもう片足を踏み込み入れて潜ろうとする。
「ちょっと待ったぁ〜!!」
私は慌てて霊気を縄にして振り回し、輪投げのように金角児の首に引っ掛けて釣り上げたの!
「ウゲッ!!」
真っ青な顔で泉から飛び出た金角児は咳き込みながら私に怒鳴る。
「女ぁ!何をしやがる!」
「何って、あんたこそ何してんのよ!そんな真似したら死んじゃうじゃない!」
「いや、お前に殺されそうになったぞ?」
「・・・」
私は気を取り直して説明する。
「この泉に肉体で入ったら今のあんたみたいに肉体が腐り、奥底まで辿り着く前に溶けて消えてしまうわよ?」
沙悟浄が慌てて金角児の足の治癒を始める。
「ふん。関係ない!それでも僕は銀角児を助ける。邪魔をするな!」
「邪魔はしないわ?けど私達の目的は同じだから協力しようって言ってるのよ!」
「協力だと?お前らと?」
「そう。私達とよ!」
とりあえず無茶な真似は止めさせたけど、どうしようかしら?実際。
直接泉に足を踏み込めば肉体が侵され、霊体を飛ばしても私みたいに力尽きて魂を引っ張られちゃう。
こんな時、どうしたら?
「僕がやるよ」
「えっ?」
それは阿修羅だった。
「法子。僕なら泉に入っても問題ない」
「えっ?」
阿修羅は泉に向かって近寄ると膝をおろして泉の水をすくってみせたの。
「どうして?何で?阿修羅凄いわ!」
「僕はもう呪われてるから・・・」
「えっ?」
「何でもない。僕は何をすれば良いんだい?法子?僕は君のためにこの力を使う」
私は一通り説明すると阿修羅は頷き
迷う事なく泉へと飛び込んだの。
そして潜っていき見えなくなる。
「おい、女!僕は何をすれば良い?本当に銀角児を取り戻してくれたなら手を貸してやる。けど、失敗したら僕はお前を殺す!良いな?」
「脅かさないでよ?大丈夫大丈夫。阿修羅に任せなさいよ〜。ねっ?金ちゃん?」
「ふん!」
人間のくせに大妖怪の金角児に馴れ馴れしい態度に戸惑いを感じたけれど、今はぐっと我慢していた。
その様子を沙悟浄と玉龍君は冷や汗流しながら聞いていたみたい。
そして阿修羅は泉の奥底へと潜って行く。
その間、様々な呪いの声や惑わし、地獄への誘いが阿修羅へ囁かれる。
少しでも気を取られれば意識を持っていかれ、そのまま地獄へ直行。
けれど阿修羅はどんな惑わしにも耳を傾けなかったの。
けど私は気付いてはいなかったの。
阿修羅がまさか私に嘘をついていたなんて!
阿修羅の身体は泉の毒と呪いで限界を超えていたの。
毒も呪いも効かない?そんな都合良い話なんてなかったの。
阿修羅は、ただ我慢していたに過ぎないの。
深い暗闇の中で、意識が朦朧とする中で阿修羅の思考は一点のみだった。
「法子、君を守るから」
その思いだけが阿修羅を突き動かしていたの。
そしてついに、
「あそこか」
阿修羅は暗闇の中で唯一光さす場所を見つける。
それは人柱の祭壇に張り付けにされた銀角児だったの。
意識はなく生きているか分からない。
それでも阿修羅は力を振り絞り祭壇を破壊して銀角児を片腕で掴んで、再び外に向かって泳ぎ始めたの。
その中で阿修羅は身体を泉の奥底へと引っ張られる。
この泉は入るのはあながち楽なのだけど、出る事はかなわない。
「僕はもう二度と法子と離れない!もう二度と失ってたまるか!」
それはどう言う?
そもそも私は阿修羅とは龍神界で始めましてよね?
えっ?もしかして以前何処かで会った事・・・ないわよね?
どういう事なの?
すると阿修羅の身体から漆黒の気が覇気となって解放し、しがみつく邪悪な魂が弾かれていく。
「うぉおおおおお!」
銀角児を片腕に抱き締め泉の中から飛び出して来た時は、私は涙を流していたの。
だって、そこで初めて身体に侵食した猛毒と呪いに穢された身体を見て、阿修羅が無理をしていた事に気付いたから・・・
そして陸に着地すると、そのまま倒れたの。
「阿修羅ぁー!」
私は阿修羅を抱き起こすと、私の手も穢れて火傷する。
そんな私に阿修羅は言った。
「駄目だよ、離れて、法子」
「馬鹿馬鹿馬鹿!」
私は直ぐに阿修羅に、気を送り込み治癒を施す。
同時に連れ戻した銀角児には金角児が涙を流しながら治癒を始める。
「この札を使ってください」
沙悟浄は金角児にも治癒の札を手渡す。
「ふん。礼は後で返す」
そして私達は倒れた阿修羅と銀角児の治癒をし終えると、再び泉の前に立つ。
「法子様!地震がぁ!」
玉龍君は立っていられず座り込む。
それだけの揺れが起きたの。
「分かってるわ。この地震は核を失った泉の暴走。きっと、この一帯は呪われた廃墟となるわよね?」
「そ、そんな」
「安心して?このまま放って置くほど私は無責任じゃないわ!だから皆、力を貸してね?」
私の前で沙悟浄と玉龍君が頷く。
「恩は身体で返す」
えっ?
それは金角児。
「ちょっと言葉のチョイスが、あはは」
私は金の錫杖を数本突き刺すと、泉に向かって浄化の術法を始めたの。
さっきまでは銀角児が核となっていたから私達の浄化の法術は届かずに消されていたの。
あのままだと私達の浄化法はいくらやっていても全て無駄になってしまったのだれど、今は核を失って抑えられていた力が暴走を始めてるだけで、勢いこそ凄いけど私達の浄化の法術は一応届くわけなの。
こうなれば後は力づくよ!
「気合い入れるわよ!」
私の掛け声で浄化の法を始めると、呪いの渦は私達に近づけずに散漫して消えていく。
上手くいってるわ!
けど、この泉を全て浄化するだけの体力が持つかしら?
けど泣き言は言えないわ!
私は印を結んで九字の印を結ぶ。
「臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前」
言霊に念を籠めて繰り返し泉に飛ばす。
荒れ狂う泉の渦は濁流となって私達に押し寄せる。
「負けないわ!」
その時、私の左右のブレスレットが光り輝く。
更に首にかけたリングが私の力に共鳴して揺れ始め、光りは更に強くなる。
それは龍の波動となって波紋の如く広がり泉の濁流を押し止める。
私だけの力じゃない!
皆の力が私に注ぎ込まれての団結力!
金角児の妖気に玉龍君は霊気を送り、沙悟浄が全ての気を変換して私に注いでくれる。
私はその全ての気を浄化に変換して放つ。
「うぉおおおおお!」
私達が頑張っている時、この上の城の最上階では紅孩児君と八戒、黄袍怪率いる暗殺部隊が虎先鋒相手に苦戦していたの。
「左右転回上下同時攻撃、更に後方部隊は援護射撃!」
黄袍怪の指示に暗殺部隊は素早い動きで虎先鋒に襲い掛かる。この暗殺部隊は鍛え抜かれた青鬼族の猛者集団。連携取れた動きで短刀を手に攻撃を仕掛けるも、虎先鋒は全て躱しては「虎穴」と呼ばれる気砲の奥義を放つ。暗殺部隊は攻撃を躱されるなりカウンター的に身体を貫かれて風穴が開く。
一撃必殺の虎穴に次々と暗殺部隊は消滅する。
「よくも仲間を!ならば俺が直接!」
黄袍怪はリーダーとして虎先鋒に攻撃仕掛けるがやはり全て躱される。その動きは洗練され、凄腕の暗殺訓練を受けた黄袍怪が歯が立たない。
そして虎穴が貫いたの!
「ぐはぁ!」
寸前で致命傷は躱したけれど、横っ腹に受けて悶絶しながら引き下がる。
「黄袍怪、ひくら!」
八戒は釘鈀を振り回して攻撃し、紅孩児君も火尖槍で炎を放つ。
二人の攻撃は虎先鋒には当たらない。
全て見切られているの。
「こんな化け物がいたなんて、ハァハァ・・・」
紅孩児君は最近、本当に強者と戦う機会に恵まれた。同じ火炎の力で拮抗した力を持つ赤龍王、そして歯が立たなかった青龍王。龍神界には強い者が沢山いるもんだと思っていたけれど、まさか地上界にもこんな強者がいたなんて。
青龍王のような潜在的に持つ圧倒的な力こそ感じないけれど、この虎先鋒からは歴戦の中で磨かれた技術が桁違いなんだと気付く。
それは経験値の差!
「世の中広いな〜」
紅孩児君は虎先鋒を相手に自分自身の力を試したくなったの。
「全力で行くぞ!」
繰り出される紅孩児君の連続攻撃。
「お前程度の実力。かつての戦場では生きておられんな?」
「何だとー!!」
それは挑発。紅孩児君の強さへの焦りを察しとった虎先鋒は紅孩児君を挑発し、冷静な判断をさせないようにしたの。これもまた戦略!
「慌てるなやー!」
八戒はそれに気付き、紅孩児君の助っ人に入り込もうとするが、全然入り込めない。
「未熟な、腕で俺の前に現れた事を後悔するが良い。そして、あの世で修行を積むが良い」
虎先鋒は掌に力を籠めると、
「虎穴!」
その奥義は一撃必殺!
二人とも真空が発生する時に生ずる真空の吸引力に引っ張られる。
その攻撃を受ければ即死もあり得るの。
虎穴とは近付いてはいけない例えにあるように、この技の恐ろしさは至近距離からの一撃必殺の突き技。シンプルだけど破壊力と殺傷能力は計り知れないの。狙われたのは紅孩児君だった。
「!!」
「へへへ」
紅孩児君は虎穴を受け止めるのではなく、軌道を変えて外させたの。虎先鋒の放ち伸ばした腕をかいくぐり、受け身に全ての力を集中して軌道を変える事に成功させた。
「上手くいったぞ!」
「まさかこの短時間で見切ったと言うのか?驚いた!だが、詰めが甘かったな?」
「なぁ?」
それは蹴り上げた足からの「虎穴」だったの。
まさか足技の虎穴もあるなんて?
鋭い攻撃は一直線上に油断していた紅孩児君の顔面に直撃するかに思えたけれど、寸前で膝が崩れて偶然的に避けられたの。額から血を流しながら距離を取って膝をつく。
「運の良い奴だ。だが、次はないぞ!」
虎先鋒は多少なりとも一撃必殺の虎穴を見切られた事にプライドを傷付けられていた。
「次はお前を必ず死に追いやる。お前には俺の奥義を見せるに値する」
「何でも来いよ!俺様は負けない!」
虎先鋒から凄まじい覇気が放たれると、その手に渦が巻く?
それは「虎穴」とは違う奥義?
「砲撃操系虎穴!」
それは飛ばされる虎穴!
紅孩児君は寸前で躱すと壁に風穴が開く。
「まだ終わってはおらんぞ?」
虎先鋒は操るように飛ばされた虎穴を操作して紅孩児を追跡させる。
「こうなれば!」
紅孩児はこのままでは躱し斬れないと印を結び唱える。
「四霊変化唯我独尊・鳳凰」
紅孩児君は鳳凰の神衣を纏うと部屋中を飛び回り迫る砲撃虎穴を躱し続けながら叫んだの。
「多・火・羅・紅・字」
鳳凰の炎が紅孩児を纏うと、
「紅我紅戦禁百炎!」
百匹の燃え盛る火の鳥が飛び散り、虎先鋒に向かって襲い掛かる。
「炎術か?変化をしたようたが戦力差は埋まらんぞ?」
虎先鋒は腰に提げていた剣を二本抜くと、自らの身体へと突き刺したの。
それは戦士達の半人半妖の覚醒変化じゃないの?
虎先鋒の身体が鋼で纏われ、新たに四本の腕が現れる。
そして六本の腕から虎穴を放ち、全ての火の鳥を消し去った。
「もう人間とは言えないな?それに・・・」
六本の腕から飛ばされた虎穴は虎先鋒に操られ、四方から紅孩児君の身体を貫いたの。
致命傷は免れたけれど、見動きが取れない紅孩児君に虎先鋒が迫る。
「終わりだ。無謀なる者よ!」
紅孩児君に虎穴が至近距離で放たれた時、それは直前で弾かれたの??
「まさか虎穴が曲げられただと!?」
驚く虎先鋒の前に紅孩児君を守るように八戒が釘鈀を構えていたの。
「その怪しげな武器が儂の虎穴を弾いたのか?」
「オラの釘鈀は固いらよ〜」
倒れる紅孩児君に八戒が背中越しに呟く。
「奴はヤバイら。後はオラが時間を稼ぐら!お前は猿を連れて逃げるんら!」
「お、お前は何を?まさか死ぬ気か?」
「馬鹿こくな?オラは死なないらよ!」
「だったら一緒に奴と戦おうぜ!」
紅孩児君は傷だらけで立ち上がると仕方なく八戒は頷き一緒に構えたの。
二人にはまだ勝機があった。
二人の後ろには孫悟空が倒れていた。
孫悟空が蘇れば勝機は必ずあると!
私の戦いと、孫悟空達の戦い。
まだまだ終わらないわ!
そんなこんな。
次回予告
最上階と地下での戦いの決着は?
孫悟空は復活出来るのか?
そして法子達は呪毒の泉を浄化出来るのか?




