戦う意思!剣聖を撃破せよ!
法子一行に七人の剣聖と三人の守護者が迫る。
バラバラになった一行はどうなる?
私は法子
私達は各場所で半人半妖の剣聖達とあいまみえていたの。
城の門前では孫悟空と紅孩児君が巨大化した鋼の戦士と戦っていたの。
「こいつ頑丈だな〜」
「それに動きも中々!」
巨大な鋼の巨人と化した剣聖は足下を動き回る孫悟空と紅孩児君を踏み潰そうと何度も足蹴りする。
「うおりゃあ!」
「せりゃーあー!」
同時に飛び上がり蹴りと拳を当てるけれど傷一つ付かない。
まるで動く居城のよう。
「ガハハハ!お前達は妖怪城で先兵だった半人半妖の戦士を倒したようだが、俺達は更に進化した選ばれし戦士!お前達が束になっても敵うまい」
自信満々の剣聖に、孫悟空と紅孩児君は笑みを見せる。
目の前の強い相手にワクワクしていたの。
「俺様達を相手に調子こいてると痛い目あうぜ?」
「俺様達は無敵だからな!」
二人の身体が炎に包まれていく。
炎の中から真言が唱えられる。
「聖獣変化唯我独尊・朱雀」
「四霊変化唯我独尊・鳳凰」
炎の中から現れた二人の姿は、朱雀の鎧を纏う孫悟空と鳳凰の神衣を纏う紅孩児君が!
「そんなチョロ火で何が出来ると思うか?二人纏めて踏み潰してやるぞ!」
巨人の剣聖は足を踏み上げると、そのタイミングで孫悟空と紅孩児君は炎気を高める。
「合体火炎奥義・火属炎曼」
※ガッタイカエンオウギ・カゾクエンマン
朱雀と鳳凰の炎が融合し濃縮な炎が光熱となって巨人の身体に向けて放たれる。
「ウゴゴゴ!こんな、チョロ火など!?」
が、二人の炎の勢いは更に増して巨人の身体を高熱の炎で貫いたの!
「うぎゃあああああ!!」
倒れゆく剣聖の身体は灰と化して逝く。
「ふう〜案外厄介だったな?」
「そっか?だったら悟空は先に向かえよ?俺様はもう少し遊んでから行くからよ?」
「そうか?なら、頼むぜ!あんまり遅くなると法子に殴られるからな〜恐い恐い」
そんな二人の前に新たな剣聖の戦士が姿を現していた。
「まさか巨鋼の奴を倒すとはな?奴は己の力に過信したに過ぎない。俺はお前達に油断はしない。全力で始末する!」
剣聖は鋼の大剣を己に突き刺すと、その身体が炎に包まれていく。
そして燃え盛る炎に包まれた鎧を纏う戦士として現れたの。
「お前の相手は俺様だぞ」
「そうはさせん。誰も逃しはせん!」
紅孩児は剣聖が孫悟空の邪魔しようと動くのを覇気を放ち牽制する。
「俺様は先に向かうぜ?」
そのまま孫悟空は空から金斗雲を呼ぶと上空へと飛び上がり城へ向かったの。
「まぁ良い。他の戦士が相手をするだろう」
「そろそろ遊ぼうぜ?」
紅孩児君は新たな剣聖と対峙する。
場所は変わり、門を入った先の民家の中央で金角児が針を飛ばし溶解させるスライム状の化け物となった剣聖と戦っていたの。
「俺の針に触れればお前はひとたまりもない。その身体を溶かして俺の養分にしてやるぞ!」
「ふん。既に人間とは言えんな?僕はお前に構ってやる暇はないんだ」
スライム状の化け物の頭上に剣が何本も出現して回転すると全方面へと飛んでいく。
それは恐怖で隠れていた人間達をも巻き添えにしたの。
「人間がどうなろうと関係ないが虫唾が走るな、お前?」
多少なりとも怒りを感じる金角児の身体は熱くなるのではなく凍気が高まっていく。
「凍結氷結完結」
金角児の足下から絶対零度の氷が地面を凍らせながらスライム状の化け物を覆っていく。
それは飛び散る針をも凍結させて落下させていく。
「何だコリは?か、か、身体がう、ウゴゴゴ、かなるわい」
金角児は背を向けたまま掌を握る。
「凍結狼牙」
すると凍の氷柱が狼の牙のように頭上と足下からスライム状の化け物を噛み砕く。
その瞬間噛み砕かれた剣聖は氷が粉砕するように消滅していたの。
「ふん。今、行くからな銀角児!」
金角児は戦士を撃破して城へと向かう。
この金角児、味方の間は良いけど敵に回したら恐いわね〜
そして城内では阿修羅を足止めしていた戦士が驚愕していたの。
その剣で斬られた者は自らの流す血が呪いとなって数倍の重さで押し潰され動けなくなる。
にも関わらす阿修羅はゆっくりゆっくり一歩一歩前進する。
「馬鹿な??」
その場には玉龍君が震えて見ていたの。
「凄い・・・阿修羅様」
呪縛で重さをさ操る剣聖もまた驚愕していた。
「早く始末しないと、本当に王様の所まで行きそうだ!」
その時、玉龍君は気付く。
「あの血を洗い流せば良いのかも」
玉龍君は掌に気を集中させる。
それは水気だった。
水玉が掌に集まると、阿修羅の血を流そうと飛び出したの。
「小僧、そうはさせるか!」
玉龍君の行動に気付いた剣聖が道を塞ぐ。
「危ない危ない。雑魚だと思って放置していたらとんでもない事をしようとしていたな?」
剣聖は大剣を玉龍君へと向ける。
震えながら玉龍君は考えていたの。
恐らく自分は死ぬかもしれない。
けれど阿修羅なら法子さんを救えるはず!
だったら自分の成すべき事は、
「僕も戦います」
玉龍君は不用意に駆け出したの。
「斬り刻み、カエルの干物のようにしてやる!」
振り下ろす剣が玉龍君に迫った時、玉龍君は掌に集中させた玉を投げ付けたの。
それは水玉ではなく火の玉だった?
火の玉は油断していた戦士の顔面に直撃して爆発する。
怯んだ所に、新たな玉が掌に用意されていたの。
それは気流の集まった玉。
それを自分自身の足下に投げ付けると風圧軽で軽い玉龍の身体を阿修羅の近くへと吹き飛ばしたの。
「このまま阿修羅様のもとへ!」
けれど、その足を剣聖に掴まれて地面に叩きつけられる。
「小細工しやがって!」
怒り任せて振り下ろす剣が玉龍君の背中を貫こうとした時、新たな玉が既に戦士の頭上に投げられていた。それは落下しながら戦士の眼前にタイミング良く閃光を放ったの??
あれは雷の玉??
玉龍君は威力こそないけど火・水・風・雷の術を使えるみたい。
さすが子供と言えど龍神族よね?
そして水術の玉で阿修羅の身体の血を流そうとした時、その身体が突然重くのしかかり動けなくなった?いつの間にか玉龍君の腕は剣聖の刀で僅かな傷があったの。
「小癪な妖怪のガキめ!だがもうお遊びは終わりだ。見動き出来ないまま押し潰れろ」
けれど玉龍君は笑みを見せたの。
「?」
気味が悪いと思う戦士だったけれど気付く。
玉龍君の手にしていた水玉が潰れて無くなっている事に。
そして流れていく水は沈ませて陥没した阿修羅にまで流れていたの。
「君、ありがとう」
阿修羅は自分の片腕のみだが血が薄まり重さが消えている事に感謝する。
そして振り上げた拳に漆黒の気を集中させる。
「くっ!ここで逃しては王に面目が立たぬ!」
まだ全身が動かぬ阿修羅に向かって斬り掛かる剣聖であったけれど、既に阿修羅は拳を放っていた。
漆黒の気が剣聖の身体に直撃すると、その身体は焼かれるように消滅していったの。
場所は変わり、私の状況なんですけど・・・
「つ、強いわ!」
私は戦士の中でも守護者と呼ばれる夜霧って女性戦士と戦っていた。
剣術は達人並で受けるだけで精一杯!
防戦一方なのよ〜
「やるわね?この私をここまで追い詰めたのは貴女が数十人目よ?でも私は、その全てを乗り越えて来たから貴女にも負けないわ!」
剣術にまともに戦っては分が悪いわ。
だったら術で対抗するのみ!
けれど術を行う隙がない。
印を結ぶ余裕もないし、札も出す暇もない。
こんな時はどうしたら良いの?
あ、そう言えば!
私は手首に嵌めたブレスレットに仕舞い込んだ術札を思い出す。
因みにこのブレスレットは龍神産の品物で道具を仕舞うことができるの。
つまり旅には便利な収納道具とかしか思っていなかったけど、もしかして?
このブレスレットの中には基本、龍神界から貰った道具を入れてるわけで、今手にしてる龍神の錫杖もブレスレットから出したでしょ?入ってる道具をブレスレットに念じれば出て来るのよ!
そして龍の術札、これは一度自分で作った術札を好きなだけ?実際には自分自身の霊力を消費するらしいのだけど瞬時に作り出せるのよ。
本来ならブレスレットから札袋を出して使うのかと思い込んでいたけど、もしかしたら?
私はブレスレットに欲しい札を念じる。
するとブレスレットから念じた札が飛び出したの。
やっぱり!
私は札を手に取り向かって来る女戦士に投げると爆発して怯ませた。
このブレスレットの中にある龍の術札を作る袋とのコンボよ、これ?
つまり袋を出して札を探さなくてもブレスレットから欲しい札が飛び出して出てくるわけね?
何て効率的!何て便利!何て近未来、ではないか?
「とにかく戦う引き出しが増えたわけね」
私の戦う様を見て沙悟浄は助太刀する隙を見計らっていたの。
そこに雷を操る剣聖が背後に立つ。
「余計な真似すんなよ?俺さ?半人半妖の奴を手にかけたくないんだわ?だけどお前が邪魔するなら手加減しないぜ?」
大剣を背後から沙悟浄の首もとに当てると、沙悟浄は鳥肌を立てる。
けれど、背後の剣聖に向かって話しかけたの。
「貴方、悪い人じゃないんですね?正直、私も戦いたくないです。本当です。むしろ逃げたくてたまらないくらい恐いです。けど、やっぱり私は逃げられないみたいなんです」
「お前、何を言ってる?歯向かうのか?」
その直後、金属音が響く!
「降妖宝杖!」
それは沙悟浄が龍神界で手に入れた新たな武器だったの。
元々持っていた水仙鞭杖を龍の血で進化させた龍具なんだけど、使い方は私もまだ知らないの。
「私は戦う武器を手に入れました。正直、戦う事は嫌いです!けど、私は自分自身の意思で手にしました!それは戦うためじゃなく守るために!」
「そっか、だったら容赦しないよ」
「すみません」
沙悟浄は降妖宝杖を両手で持って妖気を籠めて攻撃をするけれど、簡単に弾かれてしまう。
「そんな華奢な力で相手になるのか?」
「確かに華奢です。妖怪なのに大した力はありません。だから私なりの戦い方をします!」
「何を?」
すると妖気を吸った降妖宝杖が水流を巻きながら霧を作り上げると、沙悟浄が沢山現れたの。
これは霧分身?
更に四方八方から降妖宝杖の尖端の刃が鎖鎌のように飛んできて雷の剣聖を襲う。
「小細工が手段か?だが相手が悪かったな?お前の霧は俺の力には相性悪いぜ?」
「あっ・・・」
雷のの大剣から雷が霧を通して沙悟浄を感電させたの。
沙悟浄は黒焦げになって倒れる。
「呆気ない。けどお前の勇気は褒めてやるよ?せめて俺の中で養分になれよ?」
雷の剣聖は自らに剣を突き刺すと身体が炸裂して雷玉の化け物になったの。
それは触れただけで麻痺し、骨の芯まで感電する。
決して触れられない化け物だったの。
それを見て沙悟浄は涙を流していた。
「今更後悔しても遅いぞ?泣き寝入りしても許さない!」
沙悟浄は首を振ると、その涙は大量の塩分を含ませていた。
「私は貴方と戦う事は本意じゃなかったです。きっと場所が違えば友達になれたかもしれない。けどお互い譲れない宿命なら私はまだ死ねません」
すると沙悟浄は降妖宝杖を床に突き刺して叫んだの!
「河童の川流れ〜!!」
沙悟浄が降妖宝杖を突き刺した場所から水が噴き出して濁流と化したの!
濁流は雷の化け物と化した戦士を飲み込む。
「くっ、な、何を!?」
その時、自らの身体が分裂していく事に気付く。
この濁流は先に流した沙悟浄の涙で塩分を含んでいたの。
まるで海水の如き濁流は雷の剣聖を洗い流すかのように削り出していく。
電気分解??
塩分を含んだ水は電気を分解させる。
沙悟浄はそれを知っていたの?
何て恐ろしい子!?
「まさか、こんな手で俺を倒すな・・・」
濁流が収まった時、雷の剣聖はその場から消えて無くなったの。
「ふう〜ごめんなさい。私にも戦う理由があるから・・・」
沙悟浄が雷の剣聖を倒したと同時に守護者が沙悟浄に剣を向ける。
その守護者の名は玲音。
かつて大妖怪を討伐した最強の戦士だって!
「お前、俺の仲間を許さん!」
玲音は五年前の幼く頼りなかった面影はなく、この剣聖の戦士を統べる戦士長になっていたの。
「うわぁああ!」
踏み出したと同時に沙悟浄の間合いに入り大剣を振り下ろす。
沙悟浄は抵抗出来ずに斬られたかと思われたの。
けれど、その大剣は飛び出して来た何者かに止められる。
「だ、誰?」
その者は額に金色の角と金色の髪の恐らく妖怪?
私はまだ知らないけど、孫悟空達と一緒に潜入した金角児だったの。
「お前が銀角児を連れ去った半人半妖か?直ぐに僕の前に連れて来ないと殺す!怪我をさせていたら殺す!何があっても殺す!だから僕の前に連れて来い!」
結局殺すのね?
でも口だけじゃないわ!
殺気が私にまでビンビン伝わって来るもん。
「油断していて良いの?」
「えっ?」
女戦士夜霧さんが私に斬り掛かる。
私は錫杖で受け止め力勝負する。
「しつこいわね!」
もう、孫悟空と阿修羅はまだ?
早く助けに来なさい!
場所は変わり頼みの綱の孫悟空は新たなさん剣聖を相手に苦戦していたの。
「我が剣を避けるな!」
連続攻撃で斬り掛かる剣聖に孫悟空はキレる!
「避けるわ!」
その剣聖の能力は石化だったの。
その剣に斬られた箇所から石化し、やがて動けなくなった所で粉々にされるの。
だから触れただけでも命取りだった。
孫悟空もまた相手の能力を知らずに本能的に危険だと察知し全ての攻撃を躱している。
「何かヤバそうだぞ?一体、どんな能力だ?」
するとその疑問に剣聖は答えたの。
「我が大剣は石化の能力。お前は見動き出来ぬまま命を落とすだろう」
「な、何ぃ〜??」
孫悟空はマジに驚いた。
その隙を付かれ剣聖は間合いに入る。
「馬鹿目、隙きだらけだ!」
その石化の剣は孫悟空を斬ると、見る見る孫悟空は石化していく。
そして動かなくなったのを見届けた剣聖は呟く。
「他愛もない。次の輩も我が手で始末し王に捧げよう」
その直後、真後ろから後頭部に衝撃が走る。
「馬鹿目!隙きだらけだぁー!」
それは石化から解かれた孫悟空だったの。
「な、何故??」
剣聖は頭から血を流して倒れる。
孫悟空は勝利して答えたの。
「石猿は石化なんて通常運転。俺様を相手にしたのが運のつきだぜ!」
あ、そっか!
これはラッキーだったわね?
てか、早く合流しなさいよ孫悟空!
そんなこんな。
次回予告
激しい戦いはまだまだ続く!
剣聖も残り半数。
しかし油断は出来ない。




