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法子の大ピンチ?ちょっと何をしてるのよ!


嶺黄風国の陰謀の渦中に法子達は

ゆっくりと足を踏み込んでいた。

ゆっくりと・・・


私は法子。

私は阿修羅と沙悟浄に玉龍君と、この国で救いを求めていた瑠美ちゃんを連れて国の内部調査を始めたの。この国の陰謀を!

本当は瑠美ちゃんを遠くへ連れて行くべきだったけど、阿修羅に頼んだら道に迷うし、沙悟浄と玉龍君は襲われた時に心配だし、私だったら他の三人に潜入任せ・・・られないわよね?

一度外に連れて行ってから戻るのも考えたけど、

多分、こんな簡単に城に潜入出来るチャンスはもうないかも。

国全体が敵かもしれない中で瑠美ちゃんを一人には出来ないし。

だったら一緒に連れて行って守る方が効率よく安心なの。


「とにかく半人半妖にする泉ってのが気になるわ。場合によっては」

「壊すなら任せて」

「阿修羅、うん。その時は任せるわ」


私達は妖気の強い方を目指して城の地下へと降りて行く。

まさか最下層の更に下に地下へと続く通路があったの。


「うっ!!」


悪臭と濃厚な妖気で呼吸が息詰まる。

これ以上は免疫力のない瑠美ちゃんが意識障害が起きてしまうわ。


「法子さん、これを!」


沙悟浄が手渡したのは飴玉と札だった。

札は胸に貼り付け、飴玉を口に入れると嘘のように楽になったの。

瑠美ちゃんも大丈夫そうね?


「私達妖怪ならまだしらず人間の方には堪えられませんよね?正直、私ですら気持ち悪いですから」

「ぼ、僕にも良いでしょうか?沙悟浄兄貴」

「玉龍君の分もありますよ、はい」

「ありがとうございます」


私達は警戒しながら先に進む。

その間、何度も剣を持った兵士達が見回りしていたけれど、見つからないように私達は潜り抜ける。


「あっちの部屋の奥から異様な気がします!何か胸が苦しくなる悍ましい気です!」

「分かるわ、飴玉もう少し頂戴?吐きそうだわ」


私達は現況あると思われる部屋に忍び込む。

中には、祭壇があって、地下だと言うのに広く、

何処から流れ落ちて来てるのか分からないけど滝のように流れ、

泉のようになっていたの。


「何?この水?何か変よ?」

「触るのは待ってください。何か強い結界が湖を覆っています!私に任せてください!」


沙悟浄は懐から術札を数枚取り出すと湖の中へと投げたの。

けれど札は一瞬で溶けて消えた。


「これって、絶対ヤバイ奴です!けど仕組みは分かりましたよ〜」

「何が分かったって?」


沙悟浄は手にした紙に文字を書いて解析を始めたの。それはもう私のレベルではちんぷんかんぷんの高レベルな解読力を沙悟浄は楽しむように一心不乱に始めたの。


「出来ました〜」


沙悟浄は床に文字を書いて、随所随所に勾玉を置いて行く。そして再び術札を撒いて印を結び唱える。


「解呪縛浄」


清浄な気が湖から部屋全体へと広がっていくと、私達が見ていた風景が別の空間へと変わっていく?


「この部屋は呪詛を行うための結界の中。私達は結界の中にいるんです!」


部屋は血に塗れ、湖の中は濁った液体に妖怪の骨や残骸が漂っていたの。

悍ましい。

ここは殺された妖怪達を一つに集め、血や肉片が混ざり合う中で特別な呪詛をかけた泉並の桶。


「どれだけの妖怪を殺せば、これだけの大掛かりな呪詛を作れるのでしょうか。私、胸が苦しくなります」


そこには大人の妖怪だけでなく、女子供の妖怪の亡骸まで漂っていたの。

更に呪いの念は全て祭壇へと集められていき、そこには妖怪の骸で造られた大剣へと吸収されていく。

大剣は数十?数百と並べられていたの。そして瑠美ちゃんが突然悲鳴をあげる?


「いゃああああ!」


私は瑠美ちゃんの声で城の者にバレないように口を閉じると、落ち着かせるように彼女を抱きしめる。


瑠美ちゃんは震えながら

「流華姉や他の皆は、この湖に沈められたの。そして」

そして人間でなくなったのね。


ここの王は人間を半人半妖にするために、数えきれない程の妖怪達を襲った。

それは邪悪な妖怪だけでなく、人間に対して無害な妖怪の里も襲っては女子供まで殺戮し、

この湖の原材料にするために。

更に他の村で攫って来た少年少女達を湖に落としては、

半人半妖へと進化して生き残った者を戦士としたの。

この地の王は人間にとっても妖怪にとっても許し難い邪悪な存在よ!


「こんな場所、破壊しましょう!」

「そんな事をしても、また妖怪達を集めて繰り返すだけよね。だったら元凶を叩くわ!」


私は確信したの。


「私達の成すべき事は、この国の王の陰謀を阻止する事!この国の王は人間も妖怪も滅ぼしかねないわ!」


私に答えたのは?


「鼠を泳がせた結果、やはり災いとなるか?ならば早急に手を打つか?」


えっ?

その直後、私達を囲むように大型の剣を持った戦士達が現れたの!

彼等は王に剣聖の称号を与えられた七人の戦士だった。


「皆!油断しないで!」


警戒する中で阿修羅が前に出る。


「法子への災いは僕が断つ!」


阿修羅は気を開放させると、凄まじい爆風が私達含めて敵の戦士を怯ます。

もう、手加減無しね?

七人の剣士は阿修羅に一斉に襲い掛かる。


「カァアア!」


阿修羅は全て剣の攻撃を素手で弾き、一発一発的確に全員殴り付ける。

七人の剣士は吹き飛ばされながら壁に衝突する。

やっぱり阿修羅相手じゃ敵じゃないわね?実力差があるわね。


「法子さん!阿修羅さんの様子が!?」

「えっ?」


阿修羅の動きが鈍い?

阿修羅の手の甲には傷があった。

その手を下ろしたまま動きが鈍いみたいなの?


「俺の剣で斬られた者は、その重さを変える」


戦士は妖気を籠めると阿修羅は手の甲から床に落として動けなくなる。


「俺の剣は重力剣!お前はもう動けないまま俺達に始末され・・・!?」


阿修羅が気を高めて立ち上がっていく。


「馬鹿な!?」


そして殴りかかって来たの!

そこに雷の矢が飛んで来て、阿修羅は寸前で躱す。


「よく躱したな?俺の雷を?」


その戦士は剣を振るうと雷の玉が幾つも宙に浮かび上がる。

まるで遊ぶように雷の玉を操作させると阿修羅目掛けて剣を向ける。

雷の玉は軌道を変えながら阿修羅に迫って来る。

腕の重さを掴みながら雷の玉を躱す阿修羅は、蹴りで雷を蹴り返したの。

しかし着地と同時に足が痺れている事に気付く。


「帯電だよ?麻痺ったよね?次は貫くよ!」


雷は矢になり、阿修羅に向かって射られる。


「黒炎」


阿修羅は呟くと黒い炎が迫る雷の矢を飲み込み打ち消すと、雷の戦士に迫る。


「残念。炎喰らい」


別の戦士が剣を振るうと阿修羅の黒炎が吸収されながら剣に喰われたの。


「俺の剣は炎を喰らう魔剣!そして奪う」


阿修羅から黒炎が出ない?


「使えない?何故?」


戸惑う阿修羅。

まさか炎が奪われたと言うの?

しかもあの剣で斬られると能力を使えなくするの?


「ならば直接、倒す!」


阿修羅が一人の戦士に殴り付けると、その身体がひび割れていく。


「う〜ん。俺の身体が砕けてくぞ?でも大丈夫なんだなぁ〜」


砕けた身体が再生して阿修羅の拳を体内に埋めたまま塞いだの。

未動き取れなくなった状態で床に沈んでいく。


「このまま生き埋めにすんんだなぁ〜」

「させない!」


阿修羅は高速の連打を繰り出すと、その戦士は粉々になって飛び散り、再び再生していく。

この戦士は城塞の能力者と言ってる。

破壊されても再生するって不死身なの?


「ハァハァ・・・」


苦しそうな阿修羅。


「凄いね?君、俺の重力剣で斬られたら動くのはもちろん、戦うなんて有り得ないのにな?とんでもない化け物だよ」


戦士達は七人だった。


「阿修羅!私達も戦うわ!」

「法子はさがって、僕が戦う!」

「無茶は駄目よ!」


けれど沙悟浄と玉龍君に瑠美ちゃん

戦力とは言えないわ。

こうなったら!


「沙悟浄!」

「は〜い!」


沙悟浄は印を結ぶと私の合図で唱えたの。


「閃光河童手裏剣」


沙悟浄の頭上から光り輝く皿が飛び散り、部屋全体に広がると強烈な閃光が覆った。

そして閃光が消えたと同時に私達の姿はそこから消えていたの。


「ちっ!逃げられたか?追うぞ!」

「待て!」

「どうした?」

「外部から国に進入して来た妖怪がいると守護者様から連絡が入った。手分けする!」

「面倒な。恐らく妖怪の王を討伐に行かせた連中が戻って来たんだろうよ。所詮、大妖怪と言えど俺達が出向いていたら速攻決着がついただろうしな」


七人の戦士は二手に分かれて消える。

そう。

この時、この城内に進入して来た者達とは?


「なぁ?紅、やっぱり駄目か?」

「駄目駄目!悟空の口車には乗らん。俺様は絶対に奴を殴る!」 

「殴る?ふん。お前の喉笛掻っ切るぞ?」

「だから喧嘩すんなって!」


紅と金角児が喧嘩するのを孫悟空が止めていた。


「全く煩いらな〜」 


八戒が話題に入ると金角児が黙る。


「ところで銀角児はどうしたら?」

「お前には関係ない!」

「教えてくらないらか?」 

「ビクッ」


金角児は八戒に対して一瞬脅えるように顔を背けると、自分に起きた事を話し始める。

一体、二人に何が起きたの?

まさか弱みとか握られてるとか?


嶺黄風国の半人半妖の戦士達は近辺の妖怪の住処を襲っていたの。

そして逃げ惑う妖怪達を束ねたのが双子の大妖怪金角児と銀角児だった。

嫌々仕方なくリーダーにはなったけれど人間達の横暴に多少なりとも怒りを感じて戦う事を決めたの。

双子の金角児と銀角児の力は半人半妖の戦士達を寄せ付けず、次第に力の無い妖怪達は集っていく。

そして妖怪の居城を、国をつくった。

これで簡単に半人半妖の戦士達も近寄る事は出来ないと思われていたの。

そんな中で金角児と銀角児は私用で北の地へと旅立ち、傷付いて戻って来たの。

どうもそれは旅の僧侶を襲いに行ったとか?裏話らしいけど。

傷付いて戻って来た金角児と銀角児は療養していた。

暫く動かなかった双子だけれども再び半人半妖の戦士達が妖怪狩りを始めたの。

それから離れた地で妖怪の村が襲われていると聞き、金角児は配下を連れて出兵したの。

しかしそれは罠だった。

双子が分かれたのを狙い、妖怪達の国へと半人半妖の戦士が襲撃して来たの。

次々と防壁や守っていた妖怪達を突破し、ついに銀角児の前に現れた。

激戦の行方、銀角児は捕らわれ連れて行かれたの。

戻って来た金角児は怒りに狂うが、城を放置には出来ずに今の今まで動けずにいた。

死者である半人半妖の亡霊が金角児に告げた嶺黄風国の黒幕の陰謀。

その後も繰り返し半妖の戦士が襲撃して来たが、

半人半妖の戦士達は死霊と化して守るかつての戦士には手を出せずに引き返す。


金角児は死霊の戦士に告げる。


「これで城は無事だ。お前達はこの地の使えない連中を守ってやれ?そもそも僕は群れるのは嫌いだった。僕は弟を救いに嶺黄風国へ向かう!」


そこに孫悟空達が現れて全ての計画が狂ったの。


けれど、孫悟空達は戦力になる。

そう考えた金角児は共に嶺黄風国へ同行したの。


「つまり銀角児が捕らわれてるらな?もう二度とオラ達の命を狙わないなら一緒に救ってやるら」 

「黙れ!僕は僕の好きにやる。お前達は都合良く現れたに過ぎない。人間達をうまく引きつければそれで良い。その後は僕が奴らの王を狩るだけ!」

「素直になれよ?犬っころ!」 

「小鬼、お前から始末するか?」

「やってみろよ!」

「紅孩児も金角児も仲良くやるらよ〜」 

「ふん!」


やっぱり金角児が暴れないでいるのは八戒が歯止めになってるみたいだけど?


「とりあえずお前達が喧嘩するなら俺様も喧嘩に混ぜろ!止めるより喧嘩した方が楽だ!」


孫悟空も切れ始める。


「皆さん。騒がしいところ恐縮ですが着きましたよ?ここから先は半人半妖の巣窟です」


そんな四人に割って入るのは腰にさげた鞘の刀に手を置く青い顔をした小太りの青鬼だったの。

彼の名は黄袍怪。過去に旅中で知り合ったのよ?

その時は夫婦で、駆け落ち中だったの。

けれど、黄袍怪の村もまた半人半妖の戦士達の襲撃にあっての報復に来ていたの。


「俺達暗殺組織の村を襲撃した事は絶対に許せない。村を代表して俺達が倍返しにする。けれど孫悟空さん達が手を貸してくれるなら百人力だ」


黄袍怪さんは黒マントで身を包んだ三十人の手練の子分を連れていた。


「とりあえず拳でリーダー決める!」

「へっ?」


孫悟空と紅孩児君と金角児はお互いに殴り合い騒動が始まったの。


もう!何をやってるのよ!


そんなこんな



次回予告


王より称号を授かりし七人の剣聖達の力とは?


法子一行が立ち向かう!

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