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嶺黄風国の英雄伝説!

嶺黄風国の六人の戦士達は半人半妖の力で

氷原の王を討伐出来るのか?


それは半人半妖の戦士達の物語。


氷山の城にいる大妖怪を討伐に出た六人の若き少年少女達は、数ある罠と襲いかかる妖怪達、それに死者と化して操られた仲間の戦士をも撃破した。


「残るは大妖怪だけか?」

「油断大敵だ。この先には未だに辿り着けてはいない。更なる強敵がいてもおかしくない!」


先程まで半人半妖の覚醒をした凛音と仔馬は、その感覚が研ぎ澄まされている自分自身の変化に気付く。


「二人とも大丈夫なの?」


流華は恐れを感じていた。

人の姿となった凛音と仔馬から感じられるソレは見た目こそ人間であるが、流華と同じ半人半妖のソレとも妖怪とも違う違和感があった。身震いするほどの超生物が誕生したのだ。


その直後、


「何かが接近しているぞ?気を抜くな!」


凛音の言葉に全員身を引き締める。

地面が盛り上がり、巨大な氷の化け物が現れたのだ。凛音と仔馬が飛び出そうとしたが、足に力が入らずに膝をつく?二人は人間の姿に戻る事に大量の体力を消耗していた。


「だったら私達が戦うわ!」


流華と夜霧、無風と玲音が飛び出して剣を突き刺すが、化け物は虫を払うように四人をふっ飛ばす。

壁に衝突しながら倒れ込む四人に、凛音と仔馬が覚醒の力を解放させようとする。


「待ちな!次は私だよ?」


流華は立ち上がると、凛音と仔馬を止めて剣を構える。

そして自分自身が今から別のナニかに変わる事に覚悟を決めたのだ。

流華は後ろにいる三人を見ると決心する。彼女にとっての恐怖とは他の三人が人間である事を捨てる事だった。凛音と仔馬は既に手遅れ、ならば次は自分の番。それで全ての敵を始末さえ出来れば他の三人は覚醒をする必要はないのだから。


「この茨の魔女・流華様が相手になってやるわ!生きた心地しないわよ!」


流華は剣を自分の胸に突き刺す。激痛が走る前に麻痺が全身を廻る。

不思議と脳ははっきりしていた。

これが大事だった。しかし身体中無数の虫が蠢くような鳥肌が立つ感覚の中で肉体は人間のモノとは別のモノになった事を理解した。脳だけが唯一人間である最後の砦。

それで良い。戦うために命はとうに捨て、女である事も人間である事も捨てた。

覚悟は出来ていた!涙が一粒落ちる中で流華の姿は異形の戦士に変わっていた。

魔女のような帽子を被った全身真っ赤な茨の絡まった化け物。


「イギギギ」


流華が両手をあげると、剣でも傷を負わせられなかった化け物に茨が伸びて化け物の身体を貫く。

粉々になる化け物の身体が蒸発していき、その本体が露になる。


「お前は人間か?妖怪か?それとも?」


答えを聞く前に化け物は全身を茨の鞭で引き裂かれて消滅したのだ。


「私は、に・・・!?」


その時、流華の様子がおかしくなる?

身体が小刻みに震え、全身を抱き締めながら妖気が暴走する。


「ウギャアアア!」


それは覚醒の暴走。

流華は涙を流しながら仲間達に願ったのだ。


「私を、こ、殺して、化け物に、なりたく、ないわ・・お、お願い」


その状況の中で夜霧と玲音の心配する中で凛音と仔馬は無言で流華に近付いて行く。

仲間である自分達に茨が襲い掛かる中、二人は常人離れした動きで間合いに入り流華を抱き締めた。


「落ち着け。俺達にも出来た。戻って来い!」

「俺達が教えてやるよ。流華!」


二人は妖気を流華に流し込み精神を同調させると、その意識に手を差し伸ばした。


「流華ぁああああ!」


二人は流華の精神を引っ張り出すと、茨の化け物の姿は粉々になって流華が人間の姿で抜け出たのだ。


「ハァハァ」

流華は二人に抱き着くと、

「有り難う。二人とも」

そして六人の戦士は大妖怪のいる城の中枢へと入り込んだのだ。

そこに現れし守護者達もまた強力な力を持っていたが、凛音、仔馬、流華の狂戦士の力で対抗した。


「チョロい雑魚だー!」


仔馬の動きは守護者の動きを凌駕し、一瞬で間合いに入り四本の剣で斬り裂いた!

流華も同時に茨の鞭が地面から飛び出して化け物の身体を拘束し、締め付けながら引き裂く。

最後に凛音もまた化け物を凌駕していた。

化け物の攻撃を全身に浴びながらも無傷!

鋼の身体に、動く凶器の塊である凛音には傷一つ付かず、そして一刀両断で化け物を消滅させた。

完全に敵無し!

この六人の戦士には、この地を支配する大妖怪さえ敵ではないと感じるほどに。


「あらかた片付けたな?残りは」

「氷原の王のみ!」

「けど、そんな凄いのかしら?私達の力があれば意外と簡単じゃないかしら?」


そう思えるのは油断ではなく自信から来る確信。

三人の超越した力。しかし残る三人は力に差があったため、前衛に超越した三人が、後衛にまだ変化していない若い三人の仕事となる。神経を研ぎ澄まし、どの方向から襲われても対応出来た。

この扉を開ければ大妖怪が姿を現し、最後の戦いが始まる。彼等の任務は捕獲。

場合によっては亡骸を持ち帰る事だった。


「行くぞ!」


凛音の掛け声に六人は扉の中へと飛び込む。

中に入った時、全員不可解な感じがした?

中から感じる気は妖気とは異質な清浄な気であったから?

けれど同時に殺意が全員を凍らせる。

何処から襲って来る?


「あっ・・・」


その時、寒気がした?

冷たい風が突風の如く通り過ぎると、流華が口から血を垂らす。

そして首が静かに落下して転がったのだ。

瞬殺!?

その状況に残った五人は怒りと恐怖が込み上げ、その敵の気配を察知する。

玲音と夜霧が倒れて動かない流華の身体が冷たくなっている事に悲鳴をあげ、怒りに狂う凛音と仔馬が呪憎剣を自分自身に突き刺し、再び凶戦士と化して氷原の王へと斬り掛かったのだ。

二体の凶戦士相手に大妖怪は互角の戦いをしていた。


「よくも流華を!!許せねぇ!」

「生け捕りは止めだ!殺す!」


二人の攻撃の猛襲に圧される氷原の王。

この戦いは数時間繰り広げられた。

やがて凛音お仔馬は人間に戻る力を残さずに戦った末に、限界が肉体に来た。

力の均衡が崩れた時、二人もまた大妖怪に串刺しにされ絶命した。

残ったのは夜霧、無風、玲音だった。


「あぁあああ」


友や実の兄を目の前殺された玲音は狂うように

己に剣を突き刺すと、


「殺してやるぞー!!」


その姿は剣が全身を覆う髑髏の戦士。

兄、凛音に似た姿ではあるが、その潜在能力は兄を超えていた。

兄を目の前で殺された憎悪が覚醒させてしまったのだ!完全体を!

暴れ狂う凶戦士の剣は氷原の王を追い詰め、そして三日間の戦いの中で大妖怪を手にした剣で串刺しにしたのだった。


これが五年前に起きた妖怪と人間達との戦いの結末だった。


それが、三年の月日が経ち再び現れたのだ。

氷原の王が!

再び新世代の半人半妖の戦士達が討伐に向かうが歯が立たず、

更に三年の月日の後、そこに法子一行が立ち寄ったのだ。



現在


山頂から城を眺めるのは?


「やっと着いたぜ?」

「絶景だな〜孫悟空!」


孫悟空と紅孩児、それに遅れて?


「う〜寒いら〜」


八戒が遅れてやって来ていた。

八戒は二人に追い付くと、山頂から見える大妖怪の城を見て一言。


「嫌な予感しかしないら・・・」


この三人が挑む!!

次回予告


孫悟空と紅孩児、八戒が氷原の王に挑む!


しかし・・・

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