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嶺黄風国[れいこうふうこく]と氷原の王!

龍神編が謎を残しつつ終幕し、

新たな旅が始まる!


嶺黄風国[れいこうふうこく]編


私は法子よ?

私達は旅の途中なの。

そう、何処に向かえば良いの〜??

龍神界から戻った後、蛟魔王に目的地を占う約束が残っていたので会いに行ったのだけど

もぬけの殻だったの。

仕方なく目的地へのあてもなく旅をしていたのだけど。


「う〜ん」


何か私達の一行騒がしくなったわね?

新しく私達の一行に玉龍君が入ったの。


「あ〜えっと、えっと」


まだ私達との旅に慣れないみたいね?

最初は地上界の新しい土地の知らない場所や出来事に興味津々だったのよ?

そんな玉龍君のアドバイザーに沙悟浄に任せたの。何せ物知りだからね。


「えっと、えっと、この、花は何て言うのですか?沙悟浄様?」

「様はいらないですよ〜。私の事は・・・何て呼んで貰いましょうか?うむむ。そう言えば私が一番立場的に下っ端だったから」

「先生とか師匠とか?それとも?」

「そんな大層な河童じゃないです〜。そうですね?私なんかは孫悟空兄貴とか八戒兄貴って呼んでますから、兄貴分って事で良いと思いますよ〜」

「それでは沙悟浄兄貴?」


鳥肌が立つ沙悟浄は何回も呼ばせてたの。

弟弟子が出来て嬉しいのはわかるけどね



それからね〜


「おい?孫悟空?これから何処に向かうんだよ?俺様がいるから怖いもんはないぞ!」

「紅、相変わらず元気だな?その辺、負けるよ。マジに!」

「ふふふ。俺様の勝ちだな!」


紅孩児君が龍神界の後から私達と一緒にいるわけなのよ。

孫悟空と仲が良いし、めちゃくちゃ強いから頼もしいけど、何かド天然なのよね。

それに・・・


私は隣を歩く彼を見る。

孫悟空に瓜二つの銀髪褐色の彼。


「そう言えば何て呼べば良いかな?流石に銀髪とか呼んだらイジメよね?」

「法子の好きなように」


そこに孫悟空が割って入る。


「ソイツは偶獣王ってんだ!牛角魔王や蛟魔王と同じく俺様の義兄弟だよ!」

「そうなの?」


返答しない彼に孫悟空が言い寄る。


「だよな?俺様が名付けたんだから間違いないもんな〜?」

「・・・」


あれ?


「何か気に入ってないみたいよ?」

「そんなはずあるかよ!そう言えば昔はあんまり喋らないし無口だったけど、法子の前だと喋れるのか?はて?何でだ?法子に言ってやれよ!自分の名前は偶獣王だとよ!」


しかし彼は熱く語る孫悟空を無視し私に顔を向けて言ったの。


「法子に決めて欲しい」

「えっ?私?」


真っ直ぐに私を見る眼差しに照れながらも私はちょっと真面目に考えてみる。

名前って言ってもね〜

そんな時、私は彼の戦いを思い出して見たの。

黒い炎を使い、戦えば戦う程強くなる。

似てるから孫悟空には言えないけど綺麗な顔をしてるわね?

それに丁寧な言葉使い。孫悟空とは全然違うわ。本当!

あれ?それにしても今頃気付いたわ!


「あのさ?私に昔会った事があった?名前も知ってたみたいだけど?それに、どうして私を守ってくれるの?ねぇ?」

「僕はただ、法子を守りたい」

「えっ?あ、有り難う」


何て恥ずかしい事を恥ずかしげもなく!

まぁ〜いずれ聞き出すとして今は名前よね?


そんな時、私は脳裏に過ったの。

幼少時代に寺が火事にあって、その時に寺にあった本尊が二体私に向かって倒れて来たの。

私はそこで気を失ったけれど、その時に倒れた本尊が私を囲んで燃え盛る炎から守ってくれたんだと救出してくれたお父さんから聞いたの。

その時の本尊が不動明王。

そして、少年の姿をした神像。


「これは何て神様なの?」


お父さんは優しく答えてくれた。


「不動明王か。縁であろうな。この神はお前を見守る神だよ。それにこっちは?もしかしたら、この神様もお前を見守る神なのかもしれんな」

「この神様が?」


そして私は彼に名前を付けたの。


「貴方は阿修羅よ?良いわね?」

「あ、阿修羅。分かった」


はい!彼の名前は阿修羅と決まったところで〜


「ちょっと待て待て待て!ソイツの名前は偶獣王だって言ってるだろ?」

「僕は阿修羅だよ。孫悟空」

「そんなバカな!?」

「もしかして昔、あんまり喋らなかった理由って名前が嫌だったからじゃないの?」

「ち、違うよな?違うと言ってくれ!」

「僕は阿修羅」


それが全てだったの。

孫悟空は絶望にも似た表情で膝を付く。


そんな訳で私達はこのメンバーで旅をしてます。

そして私達の向かう先には、またまた事件が起きているみたいなの。



ここはとても寒い地方。

雪の積もる山が私達の足を遅らせる。


「この龍の衣は本当に機能抜群よね?全然寒くないんだもん!阿修羅は大丈夫なの?半袖よね?」

「大丈夫。僕は法子と一緒にいられるだけで身体が熱いから」

「んなっ??」


私まで顔を赤らめる。

マジに言ってるの?

それって告白?天然?どっちなの?


「あの、あそこに誰か倒れてます!」

「えっ?」


私達が駆け寄ると、そこに倒れていたのはまだ幼い少女だったの。

しかも全身傷付いて?


「沙悟浄!」

「は、はい!」


沙悟浄が治癒を行う。その姿を見て玉龍君は沙悟浄の治癒の洗練さに驚く。


「龍神界でも、こんな凄腕の治癒師はいませんよ」

「玉龍君。私はただ助けたいだけですよ」

「尊敬致します!沙悟浄兄貴!」


少し照れながらも沙悟浄は治癒を行う。


「うっ」


少女は目覚めると、私達に覗かれている事に驚き悲鳴をあげたけど私が抱き締めて落ち着かせる。


「心配しないで?私達は味方よ?」

「うぅぅ」

 

少女は暫く泣いた後、私達に自分自身に起きた事を教えてくれたの。 

 

「実は・・・」


この地では人間と妖怪が戦争を起こしているらしいの。

妖怪は人間を襲い、そして人間もまた?


「一方的になるじゃないらか?人間が妖怪に敵うはずないらよ」


しかし人間達は妖怪に抗う力を手に入れていたの。

それは、三百年も昔に救世主が人間の村に現れた事から始まるって言うの。

救世主??

救世主は人間関係に妖怪と抗う力を与えた。

そして人間達は・・・


「話はそこまでにしようぜ?」

「囲まれたな?」


孫悟空と紅孩児君の言葉で私達は警戒する。

沙悟浄と玉龍君は怯え、八戒は土に潜って隠れている。

あんたって!!

私には阿修羅が庇うように守っている。


「私も戦えるわ!」


けど、恐らくどんな敵も私には指一本触れられないと思うわ。

それだけ阿修羅には隙がなかったの。


「どうやら俺様達に臆する事なく向かって来たようだぜ!」


私達を囲んでいた何者達かが飛び出して来て、上空ら十人の影が突進して来たの!


「正面から、いや後ろからもだぞ!」


紅孩児君の言う通り、私達の歩いて来た方と向かう道からも五人連隊が突っ込んで来る。

連携の取れた動きだわ。

その者達は背負った大型の剣を抜くと私達に斬り掛かる。

孫悟空は咄嗟に如意棒を抜く。


「如意棒ぉー!!」


孫悟空が伸ばした如意棒を剣で受け止めた者は弾き飛ばされ、飛び上がり躱した者は剣を振り降ろす。


「しょうがないらな」

 

八戒が溜息をつくと、落とし穴が襲って来た連中を穴に落としたの。

更に上空からの敵には紅孩児君が飛び上がり火尖槍で受け止めて、一人一人弾き飛ばしたの。

その中でも私にまで接近して来た者達は突然足が重くなり身動きを止める。


「術札!影縛り!」


咄嗟に足下に結界を張ったのは沙悟浄だった。


「沙悟浄兄貴、僕と一緒に震えていたはずなのに実践になった途端に頼もしいです。それに皆さんも凄すぎます!尊敬致します!」


すると刺客達は剣を構えると力を籠める。

ん?霊気?妖気?どっち?

刺客から感じる気はどっちとも言えない気を感じる。

強いて言えば両方?

すると剣から気功弾が放たれて私達を襲う。


「俺様に任せろ!」


降りて来た孫悟空が如意棒を回転させて気功弾を全て受け止める。

その中からかいくぐり私に剣を突き付けて来る者がいたの。

 

「!!」


しかし刺客の剣は阿修羅が手掴みで止める。

剣は黒い炎で溶け始め慌てて武器を手放した瞬間、私が飛び出して手首を掴み合気でひっくり返したの。


「終わりにしましょ?」


私は皆に指示をして敵を殺さないようにさせる。

えっ?何故かって?

だって、彼ら人間なんだもん!

私に倒されたのはリーダーらしく他の刺客も警戒しながら攻撃を止める。


「お前、どういうつもりだ?殺すなら殺せ!」

「嫌よ!襲われた理由も分からないのに殺せないわよ?それよりアンタ達は何者なの?」

「お前は人間なのか?」

「正真正銘の人間よ!」


私は掴んだ手を離すと相手を自由にさせる。


「妖怪を連れた人間?まさかお前が妖怪を使役しているのか?それとも妖怪に操られてるのか?」

「彼らは私の下僕よ?」


皆が「ぶぅぶぅ〜」言うから言い直す。


「私達は旅をしているの。彼らは妖怪だけど私を守ってくれるお供よ?」

 

すると剣を収めたリーダーは立ち上がると私に向かって答えたの。


「どうやら氷原の王の罠ではなさそうだな」

「氷原の王?」


彼らは特殊に武装した人間達の戦士らしいの。

それで氷原の王って何者?

彼ら曰く、この地を支配する大妖怪なんだって。

氷の術を操り、この地の妖怪全てを支配してるとか。

で、人間達の村を襲わせては幾度と抗戦しているみたいなの。

彼らは妖怪を相手に人間を守る警備隊のメンバーで、捜索中の少女を探していた時に私達の中に妖怪がいたから攻撃を仕掛けて来たとか。

私は一人だった女の子を彼等に任せると、ちょっとお邪魔させて貰う事になったの。

そこは『嶺黄風国[れいこうふうこく]』と呼ばれる山中に隠された国だった。

中に入ると、そこは思っていたよりも盛り上がっていたの。妖怪に襲われる国って聞いてたから寂れた場所かな?なんて思ったけど、全然!下手な国よりも活気に満ちていたの。


「此処には食料も水もある。それに民もな」


私達は案内される中で、村の人達が私達、違うわね?

孫悟空達に対しての殺意に似た視線を向けられたの。どうも妖怪に対しての嫌悪感が半端ないわね?

聞くに、この村に集まった人々は妖怪に襲われ大切な人を失い、徒労の中で行き着いたんだって。

無理もないけど、うん。私は妖怪にも悪くない連中と関わって来たから複雑だわ。


「どうする?居心地悪いなら出る?」


紅孩児君が苦しそうな顔をしてたの。


「紅、大丈夫か?またトラウマか?」

「大丈夫だ!へへ、妖怪にも人間にも良い奴はいるし悪い奴もいる。俺様はそれを知ってるからな!」       

紅孩児君も昔、人間に酷い目にあった経験があったんだけど、あの愛音さんと合ってから克服し立ち直れたんだって。

私達は村の奥にある城に招かれる。


「お城?王様でもいるの?」

「はい。ここには、かつて私達を救ってくれた救世主様がいらっしゃいます。その方こそ、この地を統治する我らの王なのです!」

「救世主の王様?」


その王は妖怪の盗賊に襲撃されていた所に二人連れで現れ、いとも簡単に撃退したらしいの。

その後は村の民に歓迎され居座った。その後、力の無かった人間達に戦う手段を与えたらしいの。

それがあの力なの?

私達を襲った戦士は人間とは別の力を持って私達に、攻撃を仕掛けて来た。

霊気と妖気?

それが気になって私はこの村にまで足を運ぶ事にしたのよ。


「戦う手段って何かな?」


私の問いに戦士達は剣を見せる。


「!!」


その剣からは妖気が感じられたの。

まさか?


「妖怪の骨を錬金して造った武器のようですね」

「玉龍君?」


それは玉龍の呟き。


「あ、すみません。えっと、僕達龍神族も戦士した仲間の骨や鱗を使い武器を作り、残された一族へと継承させるのです。これは同じような技術で妖怪の身体を素材にしているみたいです」

「そうなの!?」


戦士達は頷く。


「どうりで村のそこら中から妖気を感じるのね?」

「私達は倒した妖怪の骸を素材にしている。正解です。毒は毒を持って制す!それが私達の戦う手段なのですから!」


私達は複雑な心境で聞いていたの。

そして案内された場所で、私達は王様と謁見を許されたの。

中から現れた王様は話に聞いてたような凄い方には見えなかった。

あの人が王様?


「私がこの地の王。噂で聞く妖怪退治をして回る妖怪を連れた高僧の一行とはお前達のことか?」

「噂にはなっていて顔がひろいわね〜私達!」

「そこで物は頼みなのだが、聞いたと思うが氷の地にいる大妖怪をお前達に退治してもらいたいと思ってな?出来るか?」

「あの〜王様だからって初めて会った私達にそんな頼み方があるわけ?」

「謝礼の品はたんまり用意しよう」

「任せてください。王様!」


皆が私に向けて冷たい視線を送るけど無視して話を進めようかしら。

私達は一晩休ませて貰い、その後に旅立つ事になったの。

そこで全員で行くのも有りなんだけどメンバーを分ける。

氷原の王って妖怪退治は孫悟空と紅孩児君、それに八戒。

残り私と阿修羅、沙悟浄に玉龍君はこの国を探る事にしたの。


「どうしてら?全員で戦えば楽らよ?」

「気付かなかった?この国、何か臭うわ」

「すまなかったら。さっき聞こえないように空かしてみたらがバレたらか」

「屁じゃねぇーよ!」


私はこの国からとてつもなく嫌な感じがしていた。


「直ぐに氷原の王って奴を倒して合流するから無茶すんなよ?」

「心配しないで?阿修羅もいるし平気よ」


とにかく、そんなこんな。


次回予告


それは人間達の記録


六人の戦士の物語


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