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龍神界からの贈り物?

法子達の前に現れたのは、


龍神界の実質権力者である応龍であった。


私は法子。

私達は今、龍神界の最上界にある神殿の中にいるの。

えっ?テレポートでもしたかって?

違うの!

実は孫悟空と青龍の戦いに決着が寸前だった時に、龍神族の最高権力者の応龍が姿を現したの。


正直、うん。

勝ち目なかったわ〜マジで〜

だって、絶対青龍より強いもん!

それに、こちらはもう戦えるメンバーいないし、

無駄死にするより私は両手をあげて敗北アピールして投降する事を決心したの。


「ここまでよ!私達の負け!」


そこに応龍が近付いて来る。

見る限り老いた老人よね?

けど、あ〜嫌になるくらい力の差があるわ!

桁違い?恐らく全員元気でナイスコンディションだったとしても勝てないわ。

あれ・・・

でも投降したら私達はどうなるのかしら?


「お願い。皆の傷の手当てだけさせてくれないかしら?このままだと皆、死んじゃうわ!」


そこに孫悟空が私に近付いて来てガンをたれる。


「オラァ〜!かかってコイや!」


取り敢えず私は孫悟空を黙らせるために後頭部を殴ると、目を回して気を失う。

一発で気絶するくらい限界状態で啖呵きらない!


「応龍様!この方達は悪い者たちではありません!お願いです!助けてあげてください!」


泣いて私達の許しをこう玉龍君の肩を私は軽く叩くと、首を振る。


「この玉龍君は私に騙されて唆されただけ。だから罪はないわ?だから責めないであげて?」


毅然と言い放つ私に応龍は言ったの。


「先ずは宴じゃな?」


へっ??

えっと、今はどんな状況なのかしら?

私と傷ついた皆は運ばれて宮殿へと招かれて、その後、暫く休養を取る。

しかも龍神温泉の霊薬を貰ったり、治癒の札なんかで孫悟空も紅孩児君も八戒も体力を取り戻したの。

流石に戦えるほどじゃないけど、この並ばれた料理を食べるだけの力はあるみたいね。


「食べて良いのか?これ?」

「待つら!罠ら!毒殺ら!」


怪しむ孫悟空と八戒。


「けど、美味いぞ?これ?」

「何を疑りなく食べてんら!純粋らか?お前は!」


紅孩児君はエビの丸焼きを大口開け美味しそうに食べていたの。


「気付けば、紅!お前がどうしてこんな所にいるんだ??これは夢か?」


今頃紅孩児君の存在に気付いた孫悟空が驚いて目を飛び出している。


「話せば長くなる。取り敢えず椅子に座って落ち着いて飯を食って話すぞ?悟空!」

「そうだな!」


孫悟空もつられるようにご馳走を食べる。


「もう良いら!オラも我慢せんら!」


飛びつくように料理にかぶりつく八戒。

取り敢えず・・・


「毒味は大丈夫みたいね?」


私も用意されたご馳走を口にしたの。

でも、龍神の皆さんどういうつもりかしら?

まさか私達を肥らせ食べるつもり?


「そんなんだったら治療まではしないだろ?拘束もされてもいないし、取り敢えず飯を食ってから考えようぜ?」

「そうだぞ?食べる子は育つと言うだろ?」

「いや、それは寝る子は育つだろ?」


紅孩児君にすかさず突っ込む孫悟空。

息があってるわね?

私達は食事を取りながら今後の事を話す。


「で?どうする?」

「どうするって何がだ?」

「忘れてないでしょうね?私達の当初の目的!私達は蛟魔王に沙悟浄を人質にされて、この龍神界のお宝・蛟の盾を盗みに来たのよ!」

「あ〜!そう言えば!」


やっぱり忘れてたわね?


「それをアンタが破壊するから!」

「いや待て!あれは俺様じゃないぞ?俺様の中にいるもう一人の俺様だ!」

「何を意味不明な!とにかく蛟の盾が失った今、私達の取るべき行動は三つよ?」

「三つ?」


私は三人に指を折りながら説明する。


「先ずは龍神界からの脱出!次に蛟魔王から沙悟浄を助け出して、蛟魔王を倒す!オッケー?」

「オッケ〜!」


なら、今出来る事は食べて体力付ける!


「しかし蛟魔王は強いぜ?牛角魔王と互角かそれ以上だからよ?あの青龍ともう一度戦うようなもんだぜ?」

「何を弱気な事を言ってんだよ?暫く会わない間に弱音を吐くようになったのか?」

「馬鹿を言うな、紅!俺様は油断するなと言ってんの!」

「だよな?それに俺様と孫悟空がいれば鬼に金棒だぞ!」

「オラは観戦で良いらか?」


弱音を吐く八戒に紅孩児君が睨む。


「お前の金棒も戦力に入れてやるぞ!」

「シモネタか?紅?」


そう言えば孫悟空は八戒の新しい武器を見ていなかったわね?

私達があれやこれやと話をしていた時、扉が開いて玉龍君が入って来たの。

私は駆け寄ると玉龍君の全身を見回す。


「玉龍君!大丈夫だった?何かされてない?」

「はい。大丈夫です!それより応龍様がお呼びです。僕が案内致します」

「そ、そう?」


私達に緊張が走る。


「それより、アイツ誰?」


孫悟空は暫く一人でいる間に幾つも新しい事が起きていてパニック起こしてたの。

って、あんた馬鹿なの?

紅孩児君がいたり、八戒が新しい武器を持ったり、玉龍君って龍神族の子供と仲良くしていたりと。

って、三つじゃない!

私達は廊下を進み広間の扉が開くと中へと入る。

取り敢えず直ぐに戦う警戒だけはして。

そこには四海龍王が揃い踏みしていたの。

その中央には応龍が見下ろしていた。

う〜ん。

勝てるどころか逃げる事も出来るのかしら?

警戒する私達に応龍が口を開く。


「警戒せんでも良いぞ?客人よ。用意した御馳走は口に合いましたかな?」

「え、えぇ。とても美味しかったわ。有り難うございました」


私は代表して礼を言う。


「手っ取り早く聞きたいのだけど、私達をどうするつもりなの?私達もいろいろと理由があって龍神界にお邪魔したんだけど、ご迷惑かけてごめんなさい」

「ホホホ。気にせんで良いぞ。全て存じておる。お客人が来る事も、理由もな?」


へっ?

その直後、私達は応龍の背から現れた人物を見て目を丸くしたの。

だ、だって、何でアンタがいるの?


そこに現れたのは!


「沙悟浄ぉー??」


沙悟浄が箒を持ってそこにいたの。


「皆さ〜ん!お久しぶりで〜す」


唖然とする私達に沙悟浄が全てを語ってくれたの。

この計画されていた茶番劇を!


蛟魔王はかつて龍神界を裏切った逃亡者だった。

その頃に孫悟空、かつての美候王と義兄弟の契りを交わしたのね?

その後、天界大戦の後に美候王は戦死して、生き残った義兄弟の魔王達は地上界を

支配する事になったの。

けれど龍神族と蛟魔王との因縁が消える事もなく、その後も対立していたのだけど。

それが突然、蛟魔王が龍神界に来訪して応龍の前に現れたの。


「何用じゃ?今頃」

「ちょっと里帰りによ。まぁ、誰も迎えてはくれないけれど」

「・・・」


すると蛟魔王は応龍にある事を伝えに来たの。

それを聞いた応龍は蛟魔王と取引きしたんだって。

それが今回の話へと繋がるのよ!


簡単に説明すると

新しく四海龍王になった赤龍王、白龍王、黒龍王の経験値上げですって~!?

天界大戦の後は大きな戦もなく四海龍王に就任した三人にとっては刺激もなく、

磨き上げた力を持て囃していたの。

既に龍神界に三人の相手が出来るのは先代から龍王の青龍と、応龍のみ。

そこで蛟魔王がちょうど良いあてがまを選び龍神界へと送り込んだってわけ。

それが私達なの!

あ、因みに紅孩児君はイレギュラーみたいだけど。

しかも裏切らない証拠として過去に略奪した蛟の盾をあっさり応龍へと渡して、

沙悟浄を囮に私達を強制的に送り込んだの。


「河童、お前大丈夫なんらか?石化はどうしたら?」

「それが皆さんが旅立った後に直ぐに解けたんです。その後は竜宮城の掃除をしていました」

「河童!オラ達が死ぬ思いしていたのにらか?」

「すみません。けど私も知らされたのはさっきなんですよ〜で、突然竜神界へと送られたんです」

「まったく、心配かけやがって!」

「孫悟空兄貴?心配してくれたんですね〜?」

「馬鹿野郎!弟弟子を見殺しに出来るかよ!」

「そうらよ!」


沙悟浄は感動して涙ぐみ、三人は


「あいつ、誰?ダチか?だったら俺様のダチと同じだよな?ダチのダチは皆、友達だぞ!」


紅孩児君も意味分からずに三人と一緒に涙を流してわ〜んわ〜ん泣く。

また茶番劇が始まったわ。


そうそう青龍以外の三龍王は聞かされてなかったからガチで命の奪い合いして来たのよ!

結果、良い喧嘩相手に満足したみたいね?


まさに命懸けの茶番劇よ!

私はムスッとした顔で睨む。

この場にいない蛟魔王に向かって!


「そんな顔するでない。人間の娘よ?騙したお詫びと言ってはなんじゃが、お主達に礼の褒美を与えるつもりじゃ?それで勘弁しておくれ?」

「えっ?お詫びの財宝?財宝くれるの?」

「財宝とは言ってはおらんぞ・・・」


すると龍神の神官達が何かを運んで来たの。


「先ずは置いてけぼりであった、お主?」

「えっ私にもくれるのですか??」


すると応龍の手に沙悟浄の神具・水仙鞭杖が握られていたの。


「あ〜!それは私の水仙鞭杖〜返してくださ〜いい!」


泣きそうな沙悟浄の前で応龍は水仙鞭杖に月の力が込められた月桂樹の枝を合わせ、

自らの手首に傷をつけて血を流すとその血をかけたの。

その直後!杖は光り輝きながら形を変えていく。


「それは??」


水仙鞭杖の形は片方にヘラがの刃に、もう片方には半月型の刃が付いていた。

しかも連珠が嵌められ、芯には金が散らばれていたの。


「お主の杖はそれだけで宝具であったからのぅ。儂の龍の血で進化させたのじゃよ」


『降妖宝杖』


降妖宝杖ゴウヨウホウジョウ

神官に手渡されると沙悟浄は感じたの。


「これ、何か凄い力を感じますよ??」

その重さは三トン。なのに持ち主の沙悟浄には羽のように軽く感じられたの。

攻撃力のない沙悟浄を補い、更に水仙鞭杖の能力は全て受け継ぎ、

沙悟浄の能力を高める神具となったの。


「次は、そちらの豚殿」

「オラらか?美味い御馳走らか?」

「ちゃうわ!」


神官が持って来たのは・・・


「何ら?これ??」

それは

「それはお主の礼のほら?何と言うのじゃ?あの黒くて硬くて太いのは?」

「チンポらか?」


すかさず私は殴る。


「その武器はお主の力を受け止められる武器じゃよ。その力を放出したままだと力の消耗が激しいじゃろ?」

「確かにそうら!よく知ってる爺ちゃんらな?」


八戒の調子こいた言葉使いに黒龍が胸ぐらを掴み見下ろしながら睨む。


「す、すまなかったら〜オラが悪かったら〜」


怯えながら許しを請うと、


「チッ!こんな奴に俺は負けたかと思うと余計に腹がたつぜ!」


黒龍は八戒の胸元は離したの。


「さて、二人とも新たな武器の玉にお主達の妖気を吸わせるが良い?」


それを聞いて八戒と沙悟浄は怯えながら武器を手から落とすと、

新たな武器は床に落ちたと同時に陥没したの。


「ほっ?そんなに重かったらか?」

「私のもそう重く感じませんでしたよ?」


応龍は八戒の新たな武器の名を伝える。


『釘鈀』


釘鈀ていは九本の玉のような歯を持つ熊手のような馬鍬まぐわ

神氷鉄が素で、金環と六曜五星が飾られていたの。

驚く二人に応龍は武器の使用を説明する。二つの武器は持ち手の妖気を吸って力を発揮するんだって!沙悟浄の持つ妖気と霊気、更に神気まで多少なりとも扱える特技。それに八戒の例のアレ?その力を最大限に活かせる特殊な武器らしいの。


「次はお主じゃよ!そんなに目を輝かせなくても大丈夫じゃよ」


私はわくわくしながら待つと今度は巫女さん達が持って来たのは袈裟と服?

私は今の自分の身嗜みが恥ずかしい事に気付く。

そう言えば私、この女子高生の制服しかないのよね〜。

今日まで破ける度に沙悟浄に縫って貰ったりして繫いできたけど、確かに限界だわ。


私は有り難く受け取る。


「早く着るら!直ぐに試着するら!慌てるら!」

「そうね〜」

「オラが手伝うらよ〜」


私は血眼になった八戒を殴ると、ちょっと席を外して着替えに行こうとする。


「待つのじゃ?何処へ行く?」

「まさか私にヌードになれと?まさかのエロ爺ちゃんですか??」

「ちゃうわ!」


私は巫女さんに説明を受けたの。


「嘘?便利!」


私はプレゼントされた服に一滴血を垂らす。

本当に汚れないのかしら?

すると衣は光り輝いて私に巻き付くように装着されたの。

これは、もしかして?


「龍の羽衣でつくった袈裟じゃ」


この袈裟は私に装着されると防御力と治癒力が格段とアップし、しかも破けても再生するんだって!


「神衣だな?」


えっ?


「俺様達の来てるのも神衣だぞ?しかも成長と共に進化するんだぜ!」

「あんた達、そんな便利なの着てたの?確かに破けてたのが知らないうちに直ってるから変だとは思ってたわよ!」

「気付けよ!」


さ・て・と?

私はまた瞳を輝かせて応龍さんを見つめる。


「何じゃ?」

「キラキラ〜」

「・・・」


それが催促だと気付き、応龍は仕方なく他の品を用意してくれたの。


「あ、そうそう!沙悟浄が持ってる龍のナンタラって術札を沢山作れる袋も忘れないでね!」

「まさか、更に要求か!?」


呆れる皆の視線に対して私は見て見ぬふりして満悦していたの。


「貰えるもんは貰わなきゃ〜」


私が貰ったのは無数に術札を生み出す龍札の袋と、龍気の籠もった龍杖。

それに勾玉が装着されたブレスレットを手足左右分に、ネックレス。

やはり乙女としてお洒落道具は必需品よ!

それになんて言っても龍の羽衣!

この羽衣は天女のように飛べるらしいのだけど、ちょっと練習が必要みたい。


「漸く終わったのぉ。そう言えば数に入れてなかったが、お主にもあるぞ?」

「俺様にもか?早くくれ!俺様はどんな物もくれるなら貰ってやるぞ!」


紅孩児君も目を輝かす。

運ばれて来たのは、何か立派な宝剣だったの。


「ちょっと〜!私にそれ頂戴よ〜」


私がせがむと、


「その剣に下手に触れると、その魔力の炎に身体が焼かれて消滅するぞよ?」

「へっ?」


私は慌てて手を引っ込める。


「その剣は本来鳳凰の王が持つ剣。どうやらお主は鳳凰に選ばれし者なら扱えよう?ただし剣がお主を認めねばお主は全身を鳳凰の炎に焼かれて消滅してしまうかもしれんぞ?」

「いらね〜よ!」


紅孩児君は簡単に放棄したの。


「やはり恐ろしいか?」

「違うよ?何か認められるとかムカつく!それに俺様には火尖槍があるからな?」


すると、紅孩児君から小さくて真っ赤な小鳥が飛び出して来て紅孩児君の頭の上を飛び回る。


「何だよ?ん?ピィちゃん?あれ欲しいのか?そっか?」


紅孩児君は手を出して、


「貰ってやるぞ!」


紅孩児君は臆する事なく剣を手に取ると突然真っ赤に燃え盛り暴れ出したの。

紅孩児君は面白がるように剣を殴り付けて鎮めたの。

それを見た応龍さんは、


「半信半疑じゃったが驚いた。本当に手懐けおった。下手をしたら魂ごと消滅してもおかしくないのにな。見事じゃ!その剣の名は」


『如翔鳳魔の剣』


「有り難く貰ってやる」


それを見ていた赤龍王もまた、その剣を手にして大惨事になった経験があり、驚いていたの。


「あの野郎!面白い。次に会った時は、その剣を持ったお前と勝負出来るわけだな」

「俺様も楽しみだぞ!赤龍!」


何かライバル的に認め合ってるわよね?

それじゃあ〜

お土産いっぱい貰ったから解散かな?


「有り難うね?応龍様。これからも龍神族の皆さんとは仲良く出来ると思うわ」

「調子良いの〜」


さて、お開きかな?


「待・て・よ!」


えっ?


「俺様は何も貰ってないぞ?俺様にも何かくれよ〜!くれくれくれ〜」

「恥ずかしいわね!もう少し大人しくしなさいよ!見ている私達が恥ずかしいわ!たかがお土産で本当に、恥ずかしいわよ!」


皆様の私を見る視線が痛いわね。


「そうじゃったな。ふむ。しかしお主、孫悟空には与える物はなかろうて?」

「何かとんでもない武器ないのかよ?」

「そもそもお主の持つ如意棒は儂ら龍神界から盗まれた最上の特殊な力を持つ物なのじゃぞ?それ返してくれんかのう?」

「待て待て!貰うどころか取られてたまるかよ!」


応龍はもったいぶった挙げ句、


「孫悟空。お主には最初から与えるモノがあるのじゃよ。それはお主の魂の器じゃ!」


えっ?魂の器??何、それ?

その時、部屋の奥から強烈な閃光が放たれたの。

そして光の玉が私達に向かって?いえ、孫悟空に向かって飛んで来たのよ!


「な、何だよ??」


光の玉は孫悟空の中に吸い込まれると、その身体が光り輝いて私達は目が眩む。

な、何が起きたの?

私達の視界が戻り孫悟空を見て開いた口が閉じなかったの。


「な、何だ?何も変わった所はないぞ?」


けど、孫悟空も私達と同じく気付く。


自分自身の隣にいる存在に?


「う、嘘だろ?まさか、お前?どうして?」


そこにいたのは?


「そ、孫悟空?僕が分かるのかい?」


そこには孫悟空に瓜二つの銀色の髪をした褐色の少年がいたの。

あの姿は間違いないわ?孫悟空が変化したもう一人の孫悟空??


「お主の中にいた魂に器を与えた。これで毎夜襲う悪夢も心の痛みも無くなるぞ?」


えっ?

それって、どういう事?


「余計な真似しやがって。けど、コイツを再び顔を合わせてくれた事は感謝するぜ?」


そう言うと、孫悟空は涙ぐみながらもう一人の孫悟空を抱き締めたの。

っと、ん?

あれ?これって私達に新たな仲間出来たって事?


「そうじゃ。お主達に頼みがあるのじゃが?」

「た、頼み?私達に出来る事なら?」


そこに玉龍君が紹介されたの。


「この物をお主達の旅のお供に連れて行ってくれないかのう?この者、少々臆病でのぉ?少し鍛え直して欲しいのじゃよ」

「法子様。宜しいでしょうか?」


そんなウルウルした可愛い顔でお願いされたらお姉さん嫌なんて言えるわけないわ!


「そんな!私にとっても嬉しいわ!宜しくね?玉龍君!」

「不束者ですが宜しくお願い致します」


そんなこんなで私達はいっぱいいっぱいお土産貰って、しかも新しい仲間も増えて、幸せ気分で龍神界から地上界へと帰ったの。


けど・・・



私は少し有頂天になって忘れてたけど、私は忘れてたわ。

あの竜宮城へ行った昔話のオチには、お土産貰った後に落とし穴があった事を・・・




私達が帰った後の龍神界の宮殿。


一人残っているのは応龍さん?


「帰ったようね?」


そこに柱の影から現れたのは蛟魔王だったの。


「騒がしい者達であったよ」

「ふふふ。とんだ茶番劇に付き合わせてしまったわね?」


二人には密約があったの。

私達が竜神界へ来る前、蛟魔王は一人龍神界へと来訪して来たの。

そこで応龍さんに自分が見た予言を伝えたの。

その予言とは?


「それが本当なら儂ら龍神族は?」

「滅びるかもね。いえ、龍神族だけでなく地上界も、それに天界すら!この世のいきとしいける全てが滅びるわ」

「!!」


何何?ちょっと?何の話をしてるの?

私達を無視して、何を話してるの?


「暗黒世界を支配する覇王が現れ、この世界を無に返す。しかも間もなく迫っているわ!」

「時は一刻と迫っておると?」

「その為の茶番劇。必要不可欠な茶番劇」


蛟魔王が予言した未来には続きがあったの。

そもそも蛟魔王は竜神界の誇る未来を予言する巫女であったの。

その予言は外れた事が一度もないとか。

予言には覇王が世界を滅ぼす。

それは間違いないみたいなの。

でも、予言に不確定要素が現れると出たの。


それは今より数カ月前に突然未来が変わったと言うのよね?数カ月前って?

それはこの世界に存在していなかった者が突如世界に現れたって言うの。

その者は異界の衣を纏ったまだ若い少女なのらしいのだけど、たかが人間に何が出来るものと最初はたかを括っていたの。蛟魔王はその少女の動向を見ていくうちに興味を持ち始める。

圧倒的な力の差がある敵に対して、仲間と共に撃破していく。

不可能を可能にして来たのよ。

もしかしたら・・・

蛟魔王は賭けてみたの!

その少女に!


って、ん?


そこでまだ頼りない少女の仲間達のレベル上げのために四海龍王と戦わせたの。

本当は少女を人質にしてお供に戦わせるはずが、そのお供が身代わりに飛び出して代わりに人質になると最初から計画は狂い始める。


「あの河童は戦力外であろう?もし戦わせていたら間違いなく死んでおったぞ?力の差は歴然」

「そう?私には見込みあると思うわ。本当に私が欲しいくらいに」

「それは掃除洗濯、料理のお世話係にか?」

「おほほは」


けど蛟魔王は思い出す。確かに弱小妖怪であるはずなのに、蛟魔王の投げた石化の針に唯一気付き飛び出した事に興味を持っていたの。後から聞くに、似た針を使う使い手を知っていたからとか?

だからこその無理ある理由付けで強化アイテムを渡したの。しかも龍神界でも最上級のアイテムを!


「あの者達の存在が現れる絶対的驚異への防衛線になるのであるなら安いものじゃ」


けれど、その為だけにこの密約は成立しない。


「良かったのか?お主の義兄弟であったのだろう?」

「・・・」


その返答だけは即答出来ないでいたの。


「全ては動き出したわ」


あの閃光が全ての理由。


「僕の器見付かったようだな。まだ回復していない僕の魂が回復するまで眠らせて貰おう。いずれ目覚めるまで、この器の中でな」


あの閃光の中にいたのはある龍の魂。

その魂は孫悟空の身体を器に選び、あの瞬間に孫悟空の身体へ魂を転移させたの。

その為に既にいた別の孫悟空の魂に別の肉体を用意して外へ移したの。


「儂らの、龍神の王が目覚めれば暗黒世界の覇王とて心配する事もあるまい」


全ては計画通り。

まるで恩を与えたかのように思わせて何て事を考えていたのよ!?

でも、私達は何も知らない。


そんなこんな。




次回予告


新たな仲間を連れて、法子一行は何処へ?

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