炎上対決決着か?限界を超えた戦い!
紅孩児の新必殺技は、
赤龍の奥義に叶うのか?
決着間近!!
私は法子よ!
私達の目の前で紅孩児君と赤龍が死闘を演じていたの。
もう私達の出る幕ないわよね?
でも紅孩児君が負けたら私達も大ピンチになっちゃうから、紅孩児君!
負けたら許さないんだから!
えっ?他力本願ですって?
だって、大地は蒸発するくらいな高温下で私達は結界の中から二人の戦いの結末を見てるしか出来ないんだもん。
赤龍は『逆鱗』って龍神族秘奥義を自分自身にかけると、その身に龍気と覇気を纏う。
察するに瞬間的に力を倍増する奥義みたいね?
だから長期戦には向かない一か八かの大技になると思う。
赤龍、この百龍炎喰って奥義に賭けてるのね!
それに対して紅孩児君は?
何か大技を繰り出すって言ってたけど、大丈夫なのかしら?
あの赤龍に勝てるの?
「大丈夫!俺様は最強だからな〜」
えっ?私の心の解説聞こえた??
そんな馬鹿な〜
何か孫悟空に似てるわね?
紅孩児君は火せん槍を背に掛けると炎で宙に向かって指文字を
描き始める。
「多・火・羅・紅・死」
そして、紅孩児君の鳳凰が翼を広げると、炎の羽根が飛び散り、姿を炎の鳥・鳳凰へと変える。
「鳳凰煌めけ!」
『光華紅戦禁・百炎!』
それは赤龍の放った百体の炎龍に対して、百匹の鳳凰を繰り出す攻撃だったの。
百の鳳凰と赤い龍が衝突し絡みあい、争いの後に蒸発するかのように消滅していく。
に、しても?
宝くじの高額千金が百円に聞こえたわ・・・
私の聞き間違いかしら?
「熱風で状況が分からないわ!」
「それよりオラ達も危険らよ〜」
「法子さん、あそこ!」
私達が見守る中で、動きが見えたの!
赤い龍達が絡み合い束になると巨大な龍へとなり、赤龍が頭上に乗って炎を燈す立派な剣を手に紅孩児君へと特攻する。紅孩児君もまた鳳凰達が上昇しながら一体となって、その中心に火尖槍を手に急降下する。
「決着をつけるぞ!紅孩児ぃー!!」
「赤龍!俺様の強さに驚けぇー!!」
鳳凰と赤い龍が衝突し、その中心で紅孩児君と赤龍が激突する。
炎の中心で火尖槍と赤龍刀がぶつかり合う中で、赤龍が笑みを見せる。
「どうした?何か楽しい?」
「いや、久しぶりに手応えがあって俺も楽しんだ。だが、これでお終いにしよう!」
「なんだと?」
その時、赤龍の身体から発していた逆鱗の光が更に輝きを増す!
『逆鱗・二枚!』
それは限界の更に限界を超えた赤龍の奥の手?
違う。本人も初の試みだったの。身体中に激痛が走る中で、極限の力を発揮する。
「うぐぅわあああ!」
紅孩児君が赤龍の勢いに負けて圧される中、紅孩児君は危機的状況でと胸踊らせる。
「めちゃくちゃな奴だ。けど、お前も限界のようだな?だったら俺様も限界を超えなきゃな!」
紅孩児君は赤龍に圧されながらも集中していた。
そして父親である牛角魔王の言葉を思い出していたの。
それは稽古をつけて貰っていた時の話。
「やっぱり父上は強いや」
紅孩児は牛角魔王と旅をしながら幾度と手合わせしたけれど、傷一つ付けられないでいた。
尊敬と畏怖。
けれど、紅孩児は自分自身も成長している事を実感していたの。
「俺様はもっと強くなれる。孫悟空!再びお前と会う時が楽しみだ!絶対にお前よりも強くなって、今度は俺様がお前を守れるダチになるからな!」
しかし牛角魔王は自分よりも高みにいた。
先ずは父親に認められなきゃ!
けれど牛角魔王は無言で相手するのみ。
「父上!教えてください!自分に何が足りないと言うのですか!俺様はもっともっと強くなりたいのです!」
牛角魔王は紅孩児に一言だけ告げる。
「危機的状況、もう駄目だと思った時こそ限界を超えるチャンスだ。もっと強くなりたいなら、更に強い相手と戦い限界を超えろ!」
「!!」
紅孩児君は思った。
父上より強い奴なんているのか?
それから紅孩児は一皮むけたの。
今まで手合わせの中で諦めていた局面でも、足掻く事を忘れなかった。
実行した。試みた。
それはゼロをイチに変える作業。
牛角魔王と剣で稽古の際、その成果は現れたの。
頭上に振り下ろされる牛角魔王の剣先に紅孩児は僅かに見えた軌道に身体を翻し冷静に感覚に身を預けて牛角魔王の剣を躱し、その隙に牛角魔王の腕に一太刀を与えたの。
「父上!?」
「見事だったぞ?紅孩児!」
それは初めて貰った牛角魔王からの褒め言葉。
「へへへ。俺様、こうゆう戦いを待ってたんだ!父上、俺様は今から限界超えるからな!」
紅孩児君は赤龍の逆鱗の圧に押し潰されながらも私には感じたの。
「魂の炎が見えるわ・・・」
そもそも私達の使う力の源は全て魂の力なの。
紅孩児君は今、限界を超えるために魂を燃やしていたの。
それは、極限状態の中での覚醒!!
「まだまだ限界はこれからだぁー!」
なのに紅孩児君の発していた炎の圧が急激に小さくなっていく?
徐々に赤龍の巨大な炎圧に飲み込まれていく中で、私は見たの!
赤龍の発する炎の中を紅孩児君が一直線状に突っ込んで行く姿を!
しかもその身体には極限にまで自分自身の放つ鳳凰の力を凝縮して纏い、火尖槍をロケットのように噴射しながら猛スピードで赤龍へと接近する!
「馬鹿な!?俺の炎の中をどうして無事に?」
無事なわけではなかった。いくら炎を纏っていても赤龍の攻撃的な炎に全身火傷を負っていたの。
けれど、この一撃に全てを賭けていたから!
「赤龍!面白かったぜー!!」
間合いに入った紅孩児は火尖槍を振り回しながら赤龍の顔面をぶん殴ったの。
赤龍は物凄い勢いで地面に衝突して埋もれた。
あれ?
もしかして勝ったの?
空中から降りて来た紅孩児君の姿は鳳凰の変化も解けて、全てを出し切った顔で尻もちをつく。
「ふはぁ〜!疲れた〜!」
一帯は二人の戦いが終わった事を告げるかのように
極限熱帯状態は無くなり、私達は結界を解いて勝利の功労者の紅孩児君に駆け寄る。
「凄いわ!紅孩児君!」
「ふふふ。もっと褒めろ!」
「とんでもない奴らな?」
「俺様は凄いのだ!」
と、喜びに浸る暇なく
「赤龍王様・・・」
玉龍君が呟いた先に倒したと思えた赤龍が満身創痍の状態で立ち上がろうとしていたの。
「この俺を、ここまで追い詰めるとは・・・」
その目は諦めるどころか、まだまだ戦おうとしている目だったの。
それに応えかのように傷ついて動けないはずの紅孩児君も立ち上がる。
「まだまだイケるか?そうか、なら俺様も立たなきゃ駄目だよな?身体中痛くてもよ〜」
二人はもう限界のはず?
そこで先に動いたのは赤龍だったの。
「限界の限界だ。逆鱗三枚を使おう!」
えっ?
既に逆鱗二枚って技で全身の筋力は勿論、全ての気を吐き出したのに、まだ?
まさか死ぬ気なの?
「マジか?俺様、死ぬ気で戦う気はないぞ?なにせ俺様は絶対に負けないからだ!」
紅孩児君は赤龍の鬼気迫る迫力に臆する事なく挑む。
それは無謀でも傲りでもなかった。
紅孩児君は過去にもっと絶望的に巨大な敵を相手に戦った経験があったから、それでも乗り越えて来たから、諦めるって事をしない。いえ?そんな選択肢を選ばないのね。
「俺様は負けないぞー!」
紅孩児君が叫ぶと同時に赤龍も奥義発動の準備を終えていたの。
逆鱗三枚。
既に溢れる闘志と覇気が激しく赤龍から開放され始める。
「逆鱗・三ま・・ぃ」
その時、私達は赤龍の背後に現れた何者かの存在に気付く。
赤龍に気配すら感じさせずに接近し、その首元に当て身で衝撃を与えると赤龍は開放した力が一瞬にして消えて気を失った。
「このような戦いに命を落とす必要はない」
だ、誰?
不意打ちとはいえ、あの赤龍を一撃で気を失わせるなんて?
「な、何だよ?アイツ?分かる。あいつ、めちゃくちゃ強いって!」
ここに来て紅孩児君が力抜けるように膝を付く。
すると玉龍君が答えたの。
「あ、あの方が・・・龍神族の力の象徴。四海龍王の筆頭!青龍王様です!」
せ、青龍王??
ま、まさか一番会ってはいけない相手に出くわしちゃったの??
しかも、このタイミングで?
正直、黒龍と赤龍を相手に私達は全力を使い果たしてしまってるわ。
そんな状態でどう乗り切れば良いの??
やっぱり孫悟空!
あんたが頼りよ?だから早く私達の所に助けに来なさいよ!
そこに沢山の足跡が聞こえ、響き渡ったの?
「何が起きてるらか?」
「私だって分からないわよ!」
それは青龍の後から龍神の兵士達が武装して現れ始めたの。
その数は・・・いえ、数えると何か落ち込む状況だから止めるわ。
愕然とする私に今度は玉龍君が口を開く。
「白龍王様?」
えっ?白龍って孫悟空が戦ってるんじゃなかった?それがどうして此処にいるの?
嫌な予感が過ぎる。
まさか孫悟空?あんた負けたなんて状態は止めてよ?マジにさ?
その時、紅孩児君の様子がおかしい事に気付いたの。
全身を震わせ、一点を見ていたの。
やっぱり赤龍との戦いで限界に?
すると紅孩児君は立ち上がり、突然叫んだの!
「何やってんだよ!何でそんな姿になってんだよ!お前らしくないだろ!」
えっ?
「法子はん。あ、あそこ・・・」
私も八戒も気付く。
龍神の兵士達に囲まれた中心に、丸太のようなものに張り付けになった・・・
全身ズタボロの孫悟空の姿を!
う、うそ!?
私は叫ぶ。
「孫悟空ぅー!!」
けれど孫悟空はピクリとも動かずにいた。
そんなこんな。
次回予告
まさか孫悟空の身に何が?
そして法子達の前に現れたのは、まさかの?




