八戒の黒くて太くてデカいモノはナニ?
黒龍の圧倒的な力に翻弄される
法子達。
この状況はまずい!
私は法子。
まだまだ危機的状況は変わってないの。
重力の攻撃から玉龍君を庇い立ち上がる私に油断していた黒龍を、背後から殴り付けたのは瀕死状態だった八戒だったの。
私達を睨みつける黒龍に、騒ぎを聞きつけて現れた龍神の兵士達。
もう逃げ場はないわよね?
「まさか俺の重力から立ち上がった人間の小娘にも驚いたが、確実に黒雷でとどめを刺したはずの豚野郎まで起き上がって来るなんて・・・これは悪夢かよ?」
黒龍は私達を只者でないと察した。
それでも現状勝てない相手でもないが、必ず後々に危険になる存在だと感じる。
「もう遊んではいられん。この黒龍王!四海龍王の誇りにかけて、この場で奴らを始末してみせよう」
黒龍は仲間達が支える腕を振り払うと、一人で立てると立ち上がる。
「覚悟は良いな?」
私達に何か言ってるわね?
「覚悟なんか良くないわよ!私はまだ、やり残した事が沢山あるんだから!八戒?あいつをやっつけてちょうだい!」
「無理を言うならよ!オラはもう武器がないらよ〜さっきアイツの石頭で砕けちまったらから!」
「根性よ!やらないうちに無理なんて性根から負け犬根性やめなさい?やる気よ?やる気!」
「負け豚で良いらよ!やる気と根性で何とかなる相手じゃないらよ?オラに過剰評価はらめらよ!」
私達は、どっちが戦うか醜い争いをする。
気付けば金色に輝いてた魔眼が消えてるし、無理よ!
無理無理よ!
私と八戒が臆している事に黒龍は油断は一切なかったの。
私達に向かって突っ込んで来る!
「来たわよ〜」
黒龍は先に八戒の間合いに入る。
「先ずは死に損ないのお前からだ!」
ビビりながら殴りかかる八戒の拳を受け止め掴むと、握力だけで握り潰す。
悲鳴をあげる八戒に対して容赦なく攻撃を繰り出す。
「今度の黒雷はお前の心臓事消し去るぞ!」
貫いた黒雷は八戒の心臓を貫き、八戒は血反吐を吐いて倒れる。
嘘?今度は本当に??
そして今度は私を見る黒龍は同じく容赦なく攻撃を繰り出したの。
黒雷が私の心臓を貫く??
「!!」
その直後、驚くのは私だけでなかった。
「馬鹿な?不死身か??」
私の前に八戒が飛び出して代わりに受けたの。
黒龍は八戒の身体を見て震えた。
自分を倒す程の力も技もない。
しかし、その再生力は貫いたはずの心臓への穴が閉じていて、焼け焦げた皮膚さえ再生していたから。
「何なんだ!お前は!?」
再び黒雷の猛襲で八戒の身体をサンドバッグにし、今度こそ息の根を止めたと確信する。
そして再び私を標的にしたその時、八戒の身体が見る見ると再生し、そして立ち上がる。
「畏れ入った。本当に不死身のようだな。だが殺せないなら封じてしまえばよい」
黒龍は今度は重力で八戒を見動き出来なくする。
「そのままでいろよ?先に人間の小娘を始末した後にお前を龍の祠に封じてやろう」
そして私を見るなり、また驚く。
「何のつもりだ?」
だって、今度は玉龍くんが私を庇うように震えながら立ちはだかるから。
「もう止めてください黒龍王様!」
「何だ?どうやら正気で反逆するつもりか?」
「僕は、ただ・・・」
「構わん。お前も排除してやるのだからな!」
黒龍は掌に黒雷を集約させ、容赦なく玉龍君に向かって突き付ける。
「!!」
そこに錫杖が盾になって弾けて消える。
「やらせないって言ったわよね?私が相手よ!」
「人間の小娘!何度も何度も邪魔しやがって!安心しろよ?二人まとめて消滅させてやるからよ!」
黒龍は黒雷を両手に籠める。
今度は私達二人を纏めて消し去るつもりなのね?
「私が玉龍君を守るわ!」
そうは言ったけど、もうどうしたら?
「消えろー!!」
黒龍の黒雷が私達に向けて放たれようとした時、突然足下が揺れて軌道が変わったの??
「何が起きた!?」
黒龍は周りを見回すけれど特に何事もなかった。
けど、揺れただけで攻撃を外したわけじゃないみたいなの。
「僅かに俺を威圧する殺気を感じた?何だったのだ?気のせいだと?そんな馬鹿な?」
その時、異変が?
「何よ?この臭いは?ん〜??」
悪臭が一帯を覆う?それは目に染みるような?
「オラの屁らよ?」
「そう!屁よ!この臭いは!って、八戒??」
黒龍の重力の呪縛で見動き取れなかったはずの八戒が自由になっていたの。
「あんた、どうやって?」
「そんな事より、良いらか?」
八戒は自信を持って答える。
「オラの屁は発火するらよ?」
えっ?
直後、八戒の呼ぶ雲が私と玉龍君を乗せ、八戒は懐から発火玉を放り投げたの。
「食らうらよ!」
発火玉は充満した八戒の屁に着火して大爆発を起こしたの。
黒龍や仲間の龍神の兵士達はは爆風に飲まれる。
その隙に私達は、逃げるが勝ち!
けれど、
「逃がすものかー!!」
突然、のしかかる重圧に私達は雲から落下する。
「いたたた・・・」
「法子様!兵士の皆さんが!」
「えっ?」
落下した私達に黒龍と龍神兵が迫って来ていたの。
そんな時、八戒が真面目な顔で言う。
「ここはオラに任せて逃げるら!猿の奴が男見せたんらから、次はオラらよな?」
そうやって背後にいる私に向かって腕を突いて急かす。
・・・八戒、あんた?
私は、私は、私は!
「きゃあきゃあきゃあきゃあ!」
「なんら?ん?おぉお??」
八戒の手は私の、私の、私の胸を押していたの!
それに気付いた八戒も青褪める。
「ま、待つら!今のはわざとじゃないらよ?らから、そんな殺気を向けないで欲しいら〜」
泣きそうな八戒に私は容赦なく蹴る!
蹴る!蹴る!踏んで、蹴る!
「うぎゃあああ!」
「死ぬに値する!お前は私が殺すわ!」
「そんな場合じゃ!」
何をやってるのって?
いや、普通の反応よ!
迫る龍神兵達が、もう直ぐそこまで!
そんな時、八戒が蹲ったまま震えて起き上がらなくなったの。
あれ?やっぱりやり過ぎたかな?
むしろヤル気だったから、うん。
私、悪くないわよね?私、被害者だし?
すると八戒が泣きそうな顔で私に縋るように訴えたの。
それも、それも!
「何かオラから変なもの出たら〜」
えっ!
八戒は何かを支えていたの??
それは?
「オラの下腹部から黒くて太くてデカいモノ出て来たら〜!」
八戒の下腹部から黒いナニかが飛び出して見えた。
それって、まさか?
まさかまさか??
私の胸部を触って、そのその、まさか〜??
八戒は泣きそうな顔で下腹部から飛び出して来た黒いナニを力いっぱい振り回すと、間近に迫った龍神兵士達を、結果的に殴ったの!!
「えっ??」
その黒い物体は龍神兵士達の頑丈な鎧を粉砕して、一撃で五人の龍神兵達は白目をむいて気絶させたの。何て破壊力なの?
「八戒!また来たわ!そのナニでもう一度ぶん殴って!」
「おら〜!!」
黒い物体は再び龍神兵達をふっ飛ばす。
「八戒?それはナニ?じゃなくて何?」
「オラにも分からないらよ〜」
冷静に見ると、それは八戒の下腹部。
つまり丹田から出た黒いオーラが塊になったものだった。
「八戒!それは武器よ?それも破壊力ハンパない武器なの!だから冷静になりなさい!」
「そうなんらか?」
八戒は黒いオーラの塊を手にすると、龍神の兵士達に向ける。
怯む龍神兵の中で黒龍だけが迫って来ていたの。
「そんなもん何処に隠し持っていた?それにどうやって俺の重力から逃れた?」
「オラも知らないらよ!」
「そんなもんで俺を止められると思うな!本当に頭に来る連中だ!今度こそ息の根を!」
脅え震えながら八戒はナニを振り回して黒龍を近付けないように振り回して牽制する。
「そんな物で何が出来る?」
黒龍は軽々と片手でナニを受け止める。
受け、ん?
しかしそのナニは黒龍の受け止めた腕を弾き、その威力は留まらずに黒龍の顔面をぶん殴ってふっ飛ばしたの!!
「ぐぅわあああ!」
転げ倒れる黒龍は口から血を吐き出し、ふらつく頭を押さえながら状況を把握する。
まだ頭がまだ揺れていたの。
「な、何だ?このとんでもない破壊力は??こんな馬鹿げた破壊力、信じられん??」
黒龍は、ふらつく身体で立ち上がる。
「もう許さん。俺の必殺奥義で!」
黒龍は龍気を高めると、大地が震え始める?
「今度は何が起きるのよ!?」
黒龍は覇気を一帯に放って結界を張る。この一帯に押し潰す重力で私達を一網打尽にする気?
「この一帯を俺の最大重力で押し潰す!」
「奥義・超重力!」
最終奥義が放たれたの!
私も玉龍君も逃げ場を失った。
そして八戒、あれ?八戒は何処に?
「上でーす!」
玉龍君の声に私だけでなく黒龍も見上げると、いつの間にか上空から落下して来た八戒が例のナニを持って黒龍目掛けて特攻していたの!
「バラすなら〜!でも計算通りら!重力の力を上乗せしたオラの攻撃は更に破壊力満タンら!」
「おのれー!!」
黒龍は龍気を高めると漆黒の黒龍の鎧を纏う。
八戒の振り降ろしたナニを受け止める黒龍の足が地面に埋もれ、腕の鎧が砕けたの。
「うらあああああ!」
「うおおおおおお!」
それはもう特攻。
攻撃力も防御力も黒龍の鎧を纏い数十倍に膨れ上がった黒龍にも関わらず、八戒の持つナニの破壊力は
余計に黒龍を追い詰める。ん?考えてみれば黒龍がパワーアップすれば自分の使う重力の威力も上がってるわけよね?つまり、これって?黒龍の重力が上乗せされると?されると?
「自爆らよ」
地面が陥没して八戒と黒龍の力が爆発しつつ私と玉龍君も吹き飛んだの。
どうなったかと起き上がる私は辺りを見回す。
黒龍の重力も消えてるみたいね?
そして私は恐る恐る見ると、陥没した穴の中に八戒と黒龍が気絶しているのを見つける。
「どうやら、私達?勝ったみたいね。あは」
私は玉龍君の手を取り勝利を噛みしめる。
や、やった〜
そんな私達を見下ろす新たな脅威がいるとも知れずに、舞い上がっていたの。
そんなこんな
次回予告
黒龍を倒して一件落着とはいかない。
新たな脅威がもう迫っていた。
その者は、黒龍王よりも?