黒き雷!のしかかる重力??
白龍に勝利にした孫悟空。
しかしその頃、法子達は?
私は法子
孫悟空が白龍と激闘を繰り広げていた時、私は八戒と一緒にたぶらかした玉龍君の案内で・・・
たぶらかしたとは人聞き悪いわね?
騙し・・いえ、上手く扱っつ・・、違うわ!
えっと、純粋無垢な心につけ込んだ・・・
あ、胸が痛むわ。
とにかく計画通りにお宝が奉納されている応龍の宮殿へと向かっていたの。
私達が歩いているのは地下トンネルで、特別に鍵を管理していた玉龍君しか持っていない村から王宮への近道なんだって。そのお陰で、特に危険な目にもあってないし、誰も傷付かない事が幸せよね?
そうよ!私の心だけが傷付いて、私だけが我慢すれば良いのよ。
しくしく。
すると前方を案内する玉龍君が満面の笑みで私に言ったの。
「平和のために少しでもお役に立てる事が幸せです。こんな僕でも・・・」
純粋無垢な少年を騙している罪悪感が私の心を締め付ける。
痛い、痛いわ!
「まぁ、オラは戦わないで目的果たせれば一番楽で良いらよ」
「あんた、ぶれないわね?罪悪感ないの?」
「何を言ってるらか?騙したのは法子はんらよ?オラは着いてきてるらけら?」
「この豚!」
と、私と八戒が揉めてる間に長く続いた地下トンネルがゴールへと近付いたの。
「ここを抜けると応龍様の神殿です」
「ありがとうね」
私達はトンネルを抜けると、輝かんばかりの建物が聳え建っていたの。
「立派な宮殿ね〜」
「金目のもんが沢山ありそうら」
「そうね」
ん?
今の台詞は前言撤回します!
始めて見る宮殿に私と八戒が目を奪われていたその時、背後から声がしたの。
「何だ〜?村に出た侵入者討伐から外れて宮殿の警護を任されていたけどよ?もしかして俺、当たりくじ引いたぽいな?」
「!!」
私と八戒は背後の声に振り返り、そこにいた
龍神の男を見る。
黒髪の黒い中華風の衣装を纏っていた目付きの悪い奴がそこにいた。
目付き悪い相手に玉龍君は畏れ入りながら頭を下げると、私達を紹介する。
あっ、やばっ!
「四海龍王・黒龍様!こちら地上界から応龍様へ謁見したく参った和解の使者の方々です!お目通り宜しいでしょうか?」
「はぁ〜?」
私と八戒はその名を聞いて怯んだの。
今、何て言った?
四海龍王の黒龍って???
この目付き悪い奴が?
黒龍は私と八戒を舐め回すように見た後、ケラケラ笑いだしたの?
「なるほどなるほど!つまり、このガキを騙してここまで来たのか?」
「何を仰っているのですか?黒龍様?」
理解出来ない玉龍君に黒龍は答える。
「テメェは騙されたんだよ!その二人によ!コイツらは龍神界に入って来た侵入者だよ!」
「そんな・・・」
泣きそうな顔で私達を見る玉龍君に私は狼狽える。
「この馬鹿者がぁ!」
すると怒りを込めて黒龍が玉龍君を裏拳でぶん殴り、玉龍君は転げるように倒れる。
そんな!!
「待ってよ!その子は悪くないわ!責めるなら私達を責めなさいよ!」
「関係ねぇよ!言われるまでもなくお前達は殺す!だが、その前に失態を犯したコイツにも消えて貰う!」
黒龍が鞘から抜いた剣を玉龍君の前で振り上げる。
「あぁぁ・・・」
玉龍君は全てが信じられない様子で拝むように許しをこい、死を覚悟した。
「死ねぇ!」
刀が振り下ろされる。
「玉龍くーん!」
危機迫る玉龍を叫ぶ私の目の前で、
「何のつもりだ?」
「悪いらな?ここで見過ごしたら目覚めが悪いらよ!それに法子はんが落ち込むからな?」
八戒が間一髪飛び出して大トンカチで受け止めたの。
そして振り回して黒龍を後退させる。
「どうやら先に死にたいようだな?豚野郎!」
私は飛び出し、泣いている玉龍君を抱きしめる。
「ごめんなさい。玉龍君。けど、貴方は私が必ずま守るわ!だから死を覚悟するのは駄目よ!」
「どうして僕を?」
騙されたに過ぎない玉龍君にとって私達が命を救う理由が分からなかったみたい。
「だって、玉龍君は私のだからよ!龍神界でいられなくなったら責任とって私達が世話するから安心して?」
「法子さ・・ま?」
私は玉龍君に背を向けると、霊気を錫杖に変えて戦う構えを取る。
「八戒、分かってるわね?」
「もう慣れたらよ?面倒事に巻き込まれるのは!それに、この場を凌がないと河童の奴を救えないからな。ふん!あのナヨナヨした所が、河童に被ってみえたせいで癖で助けてしまったらよ。もう後には戻れんらよ!」
ぶつくさ言いながらも八戒も構える。
「地上のゴミ虫が、この四海龍王・黒龍様の相手をするだと?笑わせてくれる!お前ら共々、その裏切り者も始末してやる!」
「そうはさせないわ!」
私と八戒が同時に駆け出す。
「えっ?」
阿吽の呼吸で私達は驚く玉龍君を抱えて逆方向に向かって逃げ出したの。
「馬鹿め、逃げられると思うなよ?」
「危なーい!」
玉龍君が私達に上を向くように教えてくれた直後、黒い雷が私達目掛けて落ちて来たの!
私と八戒は互いに力いっぱい押すと、ひっくり返りながらも雷を躱せたの。
「危なかったわ〜」
「黒龍王様は特殊な漆黒の雷を使います!」
漆黒の雷とは地獄の雷らしいの。
黒龍王の血縁は地獄の雷を手にした禁忌を犯した一族らしいの。
当然、龍神族からは追放するに値したけれど、まだ赤子だった今の黒龍は特別に許され龍神界に残れたらしいの。だからこそ恩のある龍神界に対して黒龍は潔癖なほど忠誠を誓う。
産まれながらに得た禁忌の黒雷も、今となっては四海龍王としての力の象徴となるまでに。
「この龍神界にあだなす者は誰であらうと許しはしねぇよ!」
再び黒雷が頭上から落ちて来る。
「きゃあきゃあ」
「臍は隠すら〜」
私も八戒も逃げるしかなかった。
「直に追い詰めて、王手だな?他愛もない」
黒龍が勝利を確信した時、黒龍は突然衝撃を受けて吹っ飛んだの。
何が起きたかって?
「ぐはぁ!な、何が??」
自分が受けた攻撃に驚く中で私の姿を見る。
「数珠龍弾!」
私は龍の紋章が入った数珠を弾いて黒龍に命中させたの。この数珠は蛟魔王から貰った特殊な数珠、破壊力は折り紙付きよ?しかも減った数珠は新たに創り出される便利者なのよ。
「雷は落ちて来るのよね?だったら躱した後に直線的な攻撃をすれば先に命中するのは簡単な理屈よ?」
「おのれ〜、この虫けらが!!」
黒龍は上空を指差し、私に向けて雷を降らせる。
「残念ね?」
私は霊気を込めて数珠を四方上空へ放り投げる。
すると雷は私を反れて、放り投げた数珠に向かって直撃したの。
「何が!?」
「驚く事はないわ?黒い雷と言えど雷は雷!高い所に落ちやすい原理は同じって事よ?しかも霊気を帯びているから尚更かな?」
「何も雷は落下するだけではない!直線的な攻撃も当然出来る!」
黒龍は黒雷を私に向けて放つけれど、私は臆する事なく両手に持った錫杖を地面に突き刺し、後方へと飛ぶ。直後、黒雷は私にではなく錫杖に軌道を変えて直撃したの。
「これも原理よ?錫杖が避雷針の役割になったのよ!」
「おのれ、小細工を!ならば直接、お前に躱せた打ち込めば問題あるまい!」
その時、黒龍王は気付く。
「あの豚は何処へ行った!?」
四方を見回すけれど八戒の姿はない。
まさか本当に逃げたの?
そんなはずありません!
「オラはここらー!」
地面を潜り進んでいた八戒が黒龍の足下から飛び出して、回転しながら振り回すハンマーで黒龍の背後から背中を叩きつけたの。
「やったわ!」
「龍神の力を宿したハンマーの一撃はどうらか?かなり刺激的らろ?」
破壊力抜群のハンマーを受けた黒龍は動かなかった。
もしかして今の一撃でおねんねしたわけじゃないわよね?
もし、そうならラッキー!
とは、いかなかったの。
黒龍はゆっくり顔を上げると、怒りを鎮めて冷静になっていた。
「どれだけ知恵を働かせても所詮は雑魚だな?確かに今の策は決定打になりえたが、この黒龍様には傷一つ付かん!」
「化け物らか?なんて頑丈な奴らよ!」
八戒は青ざめた顔で黒龍を見る。
「おい?豚野郎!テメェよ?下等な生き物の分散で、この俺によくも傷を付けてくれたよな?」
「すまんら。オラを許してやって欲しいらよ」
涙目の八戒に黒龍は腕を伸ばして胸ぐらを掴む。
「許すわけないだろ?」
黒龍は八戒を片腕で持ち上げたまま、逆の腕で何度も何度も殴り付ける。
この黒龍は四海龍王の中でも特に凶暴かつ気が荒いようね?
私は殴られ続ける八戒を救うために駆け出そうとするけど、
「黙って見てろ!」
「きゃあああ!」
黒龍は腕を振るうと黒雷が私の足下の地面を削り道を塞いだの。
「それ以上近付くなよ?黙ってこの豚が始末されるのを見ているんだな?」
黒龍は片手に黒雷を集約させると、直接八戒の身体へと打ち込んだの!
「八戒ぃー!」
叫ぶ私に黒龍は見下ろすように答える。
「終わりだ。こいつは二度と立ち上がる事はない、いや?もう死んだかもな?」
黒雷は八戒の全身の神経を破裂させ、激痛と悶絶の中で八戒は黒焦げになったまま動かなくなった。
「八戒?嘘でしょ?立ちなさいよ?起きなさい!」
けれど八戒は動かなかった。
あの馬鹿で汚い豚でも、私の仲間を?
「絶対に許さないわ!」
「許さんのは俺の方だ、人間の小娘!この俺をコケにした事は、この豚野郎よりも重い罰を与えてやろう!」
激情する黒龍の怒鳴り声に身体は怯むけれど、私はもう戦う意思までは止められなかった。
「行くわよ!」
私は龍数珠を掴むと霊気を込める。私の気と数珠に込められていた龍気が融合して何倍にも膨れ上がる破壊力は今の私でも計り知れない。
「蜂の巣になっても後悔しないでよね?」
私は龍数珠を容赦なく黒龍に向けて弾く。
「!!」
しかし放たれた龍数珠は黒龍の間近で直感的に落下して地面に落下する??
「どうなってるの?」
そこに今の今まで震えて見ていた玉龍君が恐る恐る私に答えたの。
「黒龍様は、黒雷だけでないのです。黒龍様は雷の属性の中でも珍しい重力をも扱えるんです」
「重力??」
重力って重力?地場を操るの?そんな無茶苦茶な〜
しかし仮にも龍神様だし、何があっても不思議じゃないわよね?
でも重力ってどう攻略するの?とにかく数撃ちゃ当たるわ!
私は龍数珠を黒龍目掛けて連続的に弾いたの。
「数珠龍連弾!」
黒龍を中心に数珠は全て落下して埋もれていく。
その中で私は弾いた数珠と数珠をぶつけながら軌道を変える。
それは空中で何度も何度もぶつかり合いながら四方八方から同時に黒龍を攻撃したの。
「これなら、どうよ?」
「無駄な事を!」
数珠は全て落下して地面に埋もれていく。
「あれ?無駄なの?本当に?」
「覚悟するの、ん?」
けど私は奥の手があったの。違うわね?奥の指があったのよ!指をパチンと鳴らすと、黒龍を中心に地面から閃光が放たれて、大爆発したの!
「ぐわぁー!!」
私の奥の手、数珠龍爆弾よ!
数珠に私の合図で爆発するように仕掛けたの。
「どうよ?丸焦げよ!」
しかし燃え盛る一帯から黒龍が傷一つなく怒りの形相で姿を現す。
そして私に向かって掌を下げたの。
「あら、ヤバッ」
直後、私は全身に重さを感じて潰れるように地面に押さえ込まれたの。
「人間の小娘。そのまま潰れてしまえ!」
更に重圧がかかり、私は悲鳴をあげる。
「下等な人間風情が調子のりやがって。ん?そういえばお前の処罰も済ませねぇとな?」
その視線の先には震えて見ていた玉龍くんがいたの。
そして私と同じく地面に押し潰される。
「わぁあああ!」
「玉龍くーん!」
私は玉龍君の苦しむ姿を見て黒龍に向かって叫ぶ。
「その子は私に騙されただけなの!だから被害者なの!責められるのは私よ!だから許してあげて!」
「関係ない。騙される方が馬鹿なのだ!それにお前に指図されるのも気に食わん」
更に私と玉龍君に重圧がのしかかる。
私は良いわ?
でも玉龍君に罪はないのに・・・
そしてついに華奢な玉龍君は白目をむき口から泡を出して今にも危なくなったの。
私は、私は!
「この分からずやが!!」
その時、黒龍は驚きを見せる。
「そんな馬鹿な・・・」
何故なら、黒龍の重力から私が立ち上がり、玉龍君に近付いて抱きしめると、錫杖を掲げたのだから!
「馬鹿な?人間の小娘の何処にそんな力が?」
そして気付く。
私の瞳が金色に光り輝いている事に。
「まさか、魔眼?しかも金色に光り輝く魔眼の所持者だと?ありえん!」
さらに、後方から後頭部に強烈な衝撃を受けたの。
「うらぁあああ!」
それは復活した八戒が龍のハンマーで殴り付けたの。
しかもトンカチが粉々に砕けるくらいに思いっきりね?
さしもの黒龍も白目をむいて倒れる。
「やったら〜」
同時に重力の重圧が消えて私は玉龍君の心配をする。
お願い!生きてて!
「う〜ん」
良かったわ。無事みたい。
「オラの心配もするらよ〜」
「あら?あんた生きてたの?」
「オラは不死身らよ。それに黒龍もやっつけたらよ!褒めるら!」
「馬鹿!私に意識していて油断した所への不意討ちじゃないの?本当に外道ね?」
「何を言うらよ!結果的に助けたらよ!」
けど、私達は勝利を喜べなかったの。
何故って?
そこに騒ぎを聞きつけた龍神の兵士達が集まって来て黒龍を起すと、黒龍も頭を抱えながら私達を睨んでいたから。
まだ終わらないの?
そんなこんな。
次回予告
黒竜王を相手に法子と八戒は勝利出来るの?
そんな時、それは下ネタではありません・・・




