侵入!龍神界へトライ?
法子一行は捕らわれた沙悟浄を取り戻すために
蛟魔王の提案にのった。
しかし、その提案とは?
「出たぁあああ!」
私は法子、私達の背後から見下ろし口を広げて襲い掛かって来た龍を、寸前で飛び上がり躱す。
「生きた龍なんて初めて見たわ!」
私は感心しながら着地すると、孫悟空と八戒が私を守るように前に立つ。
「こりゃ〜倒すしかないぜ?」
「みたいね」
正直、龍なんて倒せるのかしら?でも、やらない訳にはいかないわ。
「分かってる?殺しては駄目よ?仮にも悪者は私達の方なんだからね!」
「そう甘い相手じゃねぇぜ?龍神族はよ」
「それでも駄目よ!」
すると龍が私達に対して、
「お前ら何者ぞ?この地を龍神界と知っての侵入とあらば、生かしては帰さん!」
「あ、喋った?」
再び襲いかかる龍に対して八戒が先手をうつ。
「筋肉強化・拳!」
八戒の拳が肥大化して龍を殴る。
「うぎゃあああ!」
悲鳴を上げたのは殴った方の八戒の方だったの。
八戒は拳を痛めて泣き顔を見せる。
「なんて硬い鱗ら〜!ビクともしないらよ〜」
私も霊気で金の錫杖を構成して龍に殴り付ける。
この霊気の錫杖の破壊力は丸太でも粉砕出来る破壊力なんだから・・・
「いったぁあ〜い!」
私も痺れる手を押さえて泣き顔を見せる。
「龍神族の防御力は並の妖怪とは桁違いだ!この世界には、そんな連中がウヨウヨいるんだよ!」
「弱き下等種よ!今更恐れても手遅れだ!」
孫悟空は如意棒を抜いて迫る龍に向かって突き付けると、龍は額に予想だにしなかった破壊力のある攻撃を受けて大地に倒れ気絶したの。
「誰が下等種だ?この龍野郎が!」
「やったわね!孫悟空、よくやったわ!」
「ば〜か?まだ始まったばかりだぜ!」
「へっ?」
孫悟空が見上げた先に、空から新たな龍が三匹降りて来たの。
「油断してると怪我するぜ!」
「分かってるわよ!」
私達は上空を見回すと、次々に龍が降りて来る。
もう、やるっきゃないみたいね!
私達は数体の龍を相手に交戦する。
「なるべく固まって離れ離れにならないように戦うのよ!」
それに身体の大きい龍が相手なら、的が小さい程
お互いが邪魔になって一度には襲っては来れないしね!
それにしても・・・
「孫悟空!」
私は戦っている孫悟空に向かって叫ぶと、
「あんた!何をらしくない戦い方してるのよ?私達を庇いながら戦っているなら余計なお世話よ!私達はお荷物じゃないわ!」
私は懐から例の物を取り出す。
例の物とは?
「龍神の数珠」
私は霊気を籠めて降りて来る龍に向けて数珠を弾き飛ばすと、数珠は特殊なオーラを帯びながら凄まじい勢いで龍に直撃して落下させたの。
「凄っ!破壊力半端ないわ〜」
蛟魔王から貰った武器は予想以上だったの。
仲間が落下するのを見て警戒した他の龍は数珠を躱しながら降りて来る!
「今度はオラら!」
八戒も蛟魔王から拝借した龍の紋様が入った大トンカチを振り回しながら殴り付けると、龍はくの字に吹き飛び落下する。これが蛟魔王から貰った武器の破壊力なのね?なんでも龍神の加護があるとか?
「これなら戦えるらよ!」
私達は上空を見上げ背中合わせに構える
「へへへ。頼もしいな!だったら気兼ねなく俺様もやらせて貰うぜ!」
孫悟空は尻尾から毛を抜き散らばせるように飛ばすと、分身した孫悟空達が降りて来る龍達を迎え討つ。分身の孫悟空達は龍の背中に乗りながら操縦して、龍同士で衝突させる。
「落下して来たのは私達の仕事よ!」
「了解ら!」
次々と降りて来た龍を倒す私達は、案外楽勝じゃないかと油断していた。けれど龍族は私達が考えるよりも頑丈だったの。倒したはずの龍達が頭を抱えながら起き上がる。
「復活早いわよ〜」
やはり本気でやらないと龍神族って倒せないわけ?
でも、どう見ても悪者はこっちよね?やっぱり良心の呵責に苦しむわ・・・
「!!」
気付けば私達は龍神達に囲まれていたの。
「お前ら!この数日、龍神界を騒がせていた侵入者だな?」
へっ?
「龍神界にどうやって入り込んだか知らぬが、足取りを追って軍を出兵して漸く見付けたぞ!」
「えっ?えっ?何を言ってるのよ?私達はさっき入って来たばかりよ?誰と勘違いしてるのよ?」
「白々しい戯言を!」
「嘘じゃないわよ!私達に構ってなんかいないで、早くその侵入者を追った方が良いんじゃないの?その方が貴方達のためだし、私達の事は放っておいてよ?ねっ?」
「馬鹿者!どちみち侵入者は放ってはおけん!」
「放っておいて!私達に構わないでよ!私達はもう子供じゃないの!自分達の事は自分でやるわ!
「・・・」
龍神達は私達を見下ろし、
「意味分からない事を言って誤魔化せると思うなー!」
「やっぱり?」
仕方ないわ。やっぱり心引けるけど分からず屋には
拳で分からせるしかないのね。
私達は決意を新たに戦うつもりになった時、突然私達は悪寒を感じたの??
しかも龍神達の姿が小型化して、龍神の鎧を纏った人型へと変わる。
「何?人間になったわよ?」
「気を抜くなよ?強さは変わらねぇよ!それに何かヤバイ奴が来たようだぞ?」
「なんらか?」
龍神の武将達の中から中華衣装の長髪白髪の男性が静かに私達の正面から現れたの。美しい顔付き?まるでモデルさんみたいだわ。けど、その美しい姿とは裏腹に他のゴツい龍神の武将よりも桁違いの潜在能力が感じられたの。
「分かる。強いわ・・・」
私達の前に現れた白髪の龍神は私達を見て、
「噂とは違ってますね。しかも単独犯と聞いていたのに三人も侵入者がいるなんて、龍神界の防壁をどうやって入って来たか捕らえて聞き出さねばなるまい」
すると、彼は私達の前で名乗ったの。
「私の名は四海龍王の白龍。お前達を捕らえに来た!」
四海龍王ですって〜??
私達はこの龍神界に侵入する際に、一番注意しないといけなかった事があるの。それでなくても厄介な強さを持つ龍神族の戦士を束ねる四人の龍王がいるんですって!それが、四海を統べる龍王の存在!出会ったら、戦わずに逃げるように蛟魔王に助言されたくらいなの。聞くに代々続く龍王の中でも歴戦最強級の猛者が揃ってるらしいの。
「ここは俺様に任せて先にいけ!」
「えっ?何を言ってるの?孫悟空?」
けど孫悟空の険しい顔に気付くと、
「分かったわ!私と八戒は先に向かうから、あんたは必ず後から私達に合流するのよ?」
「当然だぜ!俺様は天下の孫悟空様だぜ?心配しないで先に行けよ」
私は頷くと、八戒と反対方向へと駆け出す。
「逃がすな!」
龍神の武将達が追って来ようとすると、その前を孫悟空が道を塞ぐ。
「行かせね〜よ?通りたければ俺様を倒してからにするんだな?」
孫悟空が道を塞いでいるにも構わずに襲いかかる龍神の武将達。しかし孫悟空が私達が離れたのを見計らい覇気を開放させる!その凄まじさは迫る龍神の武将の勢いを押し止め、動きを止めたの。それでも本能的に勝てない相手と判断した龍神の武将は、命を捨てる覚悟を決めて再び攻撃を仕掛けようとしたその時、白龍王が一歩前へ出て仲間達を静止させる。
「どうやら、ただの鼠ではないようだな?」
「馬鹿?馬鹿なの?俺様は鼠じゃなくて猿だぞ?目が悪いと違うか?お前!」
「そう言う意味ではない」
白龍王は孫悟空に攻撃を仕掛けようとしていた龍神の武将を片手で合図して退かせる。
「大事な我が龍族の仲間をみすみす傷付けさせる訳にはいかないのでな?この私自らお前の相手を致しましょう」
白龍もまた孫悟空の力量に敬意をみせる。
どうやら龍神族は同族を大切するだけでなく、戦う相手にさえも礼儀を重んじるようね?
「おもしれぇ!この俺様を相手に一人で相手するなんて、よほどのお馬鹿か?それともとんだ思い上がりちゃんかよ?」
二人はひと呼吸ついたと同時に飛び出すと、爆風渦巻きながら衝突したの。互いに拳や手刀の猛襲、繰り出す攻撃と同時に相手の攻撃を弾き、受け流す。二人の攻撃は突風を起こして竜巻の中間で、ぶつかり合う。その攻防を見ている龍神族の武将達も息をするのも忘れて目が離せないでいたの。
何せ四海龍王と言えば龍神族を守護する力の象徴であり、最強の武将。それが何者かも分からない侵入者が互角に渡り合えているのだから!
孫悟空と白龍王は拳と手刀を交差させると距離をとり対峙する。
「改めて聞こう。お前は何者だ?その力量、名のある歴戦の猛者とお見受け致す」
「はっ?俺様は孫悟空様だぜ!」
「聞かぬ名だ?」
「そうだな。お前達、龍神族には過去に因縁もあるからな?かつて俺様は、そう!妖魔王・美美校王猴王と呼ばれていた大魔王様だぜ!!」
その名を耳にした途端、龍神族の武将達は耳を疑り驚くよりも前に凍り付く。
「何?馬鹿な、あの伝説の美猴王だと?お前がか?」
「そうだ、何か文句あるのか?」
白龍王は孫悟空の姿がかつての美猴王の姿と違えど、その力量には被るものを感じたの。かつて天界を騒がした妖怪軍を指揮していた首領の名が美猴王。龍神族もまた天界制圧に出兵した際に、交戦した歴史があったの。
「かつての私はまだ四海龍王ではなく未熟であった。しかし今の私は過去の伝説のお前をも上回る力を身につけた!その証拠をお前を倒して示してやろう」
「面白ぇ〜。良いぜ?俺様が吟味してやるぞ!」
因縁渦巻く戦いに、孫悟空と白龍王の本当の戦いが始まろうとしていた。
そんなこんな
次回予告
孫悟空と四海龍王・白龍との激闘が続く!
勝つのは?