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小角伝 ~人神~ 


小角と妲己の前に現れた者とは?


自分は小角


自分達の前に現れし謎の者。

警戒する中で、その者から感じる潜在能力に震えが走った。


鬼?違う?

魔物とは違う障気は感じない。

それどころか清く神々しい力を感じる?

まさか神なのか?それとも違う?

神よりは人間?一体、何者?


「異界より現れし災いの元よ!消えよ!」


その者の覇気が放たれると、弟子を守るために自分は盾となる。

そして、その自分を守るように妲己が妖気の壁を作り盾を作った。


「妲己!!」

「心配は無用だよ、主よ!」 


互いの覇気が衝突し大地が震え、空間まで歪む。

まさか妲己と互角?いや、妲己が圧されている?


「狼神変化唯我独尊!」


自分は二体の鬼を出現させると、その力を身に纏い取り込む。

二体の狼の融合した鎧を纏った自分は神にも近い力を持つ。


「うぉおおおおお!」


妲己を手伝い、自分も加勢する。


「往生際悪く逆らうか?招かざる者!」


その者は一瞬で飛び出すと、自分と妲己の間合いに入り剣を振るう!


「くっ!」


紙一重で躱すが鎧に傷が残る。


「お主、何者だ!突然不粋ではないか!」


叫ぶ自分に、その者は無言で攻めて来る。


「氷結の大鎌!」


自分も氷の大鎌で応戦する。妲己と自分の同時攻撃を受け流される。


「名を名乗れ!」

「死にゆくお前達に名を名乗る必要あるまい」


その者は手を翳すと、その手に神具を手にする。


「天之瓊矛」


天之瓊矛を手にして構えた男は覇気が更に膨れ上がる。


「こりゃたまらんな」


その直後、少女の悲鳴が響き渡る??


「きゃあああ!」

「何?」


その声に男は攻撃の手を止めて、声のした方へと慌てて駆け出したのだ。


「一体、何が?」


直ぐに分かった。声のした方から鬼の気配がある。恐らく男の連れの少女が襲われて、慌てて助けに向かったのであろう。ならば自分のするべき行動は一つであった。


男は白き鬼三体を相手に苦戦をしていた。

流石の男も連れの少女を守りながらの戦いに圧されていたのだ。


「助太刀する!」

「お前達!」


先程まで戦っていた自分達の助太刀に驚きつつも、この状況の救いであった。


「逸時の休戦だ!先ずは目の前の敵を倒すのが先であろう?」

「仕方あるまい」


白き鬼は確かに強かった。しかし妲己と自分、それに敵であった謎の男を単体で相手するには力不足であった。その間、弟子達が襲われていた少女を救い出していた。


「・・・」


白き鬼を退治した後、男は少女を抱きしめ安堵していた。そして自分に対して答える。


「お前達を始末するのは、この地の災いを退治してからにしよう」

「まだ自分達にちょっかいするのは変わらぬのだな?それより何者なのだ?せめて名くらい聞かせて貰いたい」


男は馴れ合うつもりはないと思いつつも、礼を尽くして名乗ったのだ。


「我が名はイザナギ!この地に転生した人神だ」


人神?


イザナギと名乗る人神はそれ以上語らなかったが、そこに別の人神が姿を現す。


「遅れて申し訳ありません。イザナギ様!儂が目を離したすきにすみません。因みにその連中は?おっと言わなくても問題ありません。つまり、なるほど!そう言う事ですな?倒すべき相手に助けられたと?これは厄介な面倒事になりましたな。悪意無き者達ゆえ、情を持つ前に倒すべきでしたのに」


「余計な事は言うな!」

「それがイザナギ様のオモイカネ?おっと失礼致しました。口は災いの元、災いは増やしたくないですからな?オホホホ!」


その老人もまた人神であり、知識の神。


思金神オモイカネ


思金神は蚩尤の住処へ向かう間、自分と妲己に何故襲って来たか?この世界に起きた変化、理を聞いてもないのに語ってくれたのだ。


この世界はゼロの世界。神の存在しないはずの新しき世界であった。そこに並行世界から穴を開いて自分と妲己、それに蚩尤が入り込んで来てしまった。そもそも神力に免疫力のなかったこの世界の秩序は崩壊した。そこで世界は秩序を正そうと、既に失われし並行世界の神の魂を呼び寄せたのだ。しかし神を招き入れても肉体は存在はしない。そこで世界は招き入れた神の魂を人の身に宿らせ転生させたのである。それが人神なのである。


だがしかし世界に作られた穴の綻びは、この小さな島国日本だけでは済まなかった。綻びから出来た穴は亀裂を作り、世界中に穴を出現させてしまったのだ。この世界を渦巻く失われし世界の漂う神の魂は、その穴に吸い込まれるかのようにこの世界へと流れ込み、各地にて転生を始めたのだ!しかも善神だけでなく邪神までもが!しかも文化も世界も違う神々は相入れずに牽制を始める。


この世界は今、招き入れた異世界の神々によって、いつ滅びてもおかしくない状態なのだと言う。


その原因が自分なのだと!


「そんなまさか」


始めて自分の能力がうんだ状況に、後悔と混乱に押し潰されそうになった。


そんな自分に妲己は肩に手を置く。


「主よ?そう嘆くでない。望まずに手にした力の暴走から生まれた状況に誰が責められようか?誰とて同じ悲劇を生んでいたかもしれぬし、代われるものなら代わってやりたいわ。責めるべきは自分に手に余る力を与えた運命そのものであろう?それでも償う気持ちがあるなら、これから先の事を考えるのじゃ!」


「だがしかし」


「我は主のその力によって救われた。主に救われたから生きておるし、今はお前の傍におる。もしも主が運命の重荷に耐えられそうにないなら、その半分を我が受け持とう。我と主は運命共同体よ!」


「妲己…お前」


自分は妲己に対して、抱くはずのない思いが寄せる。


その思いに、自負は今日までの妲己との生活を廻らせた。


もし、この戦いの後に妲己に告げる事が出来た。


山頂にまで辿り着くと、蚩尤の障気を浴びて化け物と化した昆虫や動物達が自分達の気配に気付き襲い掛かって来たのだ。


「妲己、行くぞ!」

「雑魚は任されたぞ」


その先には、蚩尤がいた。六本の腕に斧や盾、剣に矢と弓、槍を手にしていた。


「どうやら神の身を残して、この世界に入った異分子め!このイザナギが引導を与えようぞ!」 


イザナギが天之瓊矛を振り下ろすと、神雷が蚩尤の身体を貫通し、更に四方から雷が蚩尤を貫いた。黒焦げになる蚩尤だったが、見る見る再生する。


「不死の肉体とは厄介な化け物め!」


蚩尤の不死性は厄介だが、自分と妲己、それにイザナギ神の力があれば何とかなるかもしれん!

しかし蚩尤の脅威は予想を遥かに超えていた。

倒しても倒しても再生するだけでなく、当初は暴れ狂うだけであった動きが蘇る度に動きが鋭く、速く、力強くなっているのだ。


「このままでは消耗して敗北する。どうすれば」

「主よーー!」

「えっ!?」


気付くと体力と精神の限界が来ていたのか?自分の変化が解けていたのだ。そこに蚩尤の射る矢が向かって来たのだ。そこに自分を守るように飛び出した妲己が身を呈したのである。


「妲己ぃーー!!」


倒れゆく妲己を抱き抱えて、その手を握る。


「妲己!何て馬鹿な真似を!」

「ふふふ。主が無事で何よりじゃ」

「馬鹿者!お前が死しては、意味がない!自分はまだお前に言わねばならぬ事があるのに!」

「なんじゃ?言うてみい?」

「後だ!蚩尤を倒した後に、ゆっくりと語り合おうな?妲己!だから決して死ぬでないぞ!」


そこに、


「師よ!私にお任せください!」

「お前は確か?」


その者は藤原鎌足の所から連れて来た韓国広足であった。

その者は気を高めると、妲己に力を込めると矢傷が消えていく。


「私は戦場では役に立たぬですが、せめて皆を、仲間の負った怪我を癒やす事くらいなら」

「お前」


その治癒術は高レベルであった。


「広足よ?」

「?」

「お前の力は役に立たぬ物ではない。戦う力よりも、仲間を支える力は指揮を高め、そして救う力なのだからな?お前は仲間を、妲己を、そしてこの自分をも救う立派な力だよ!」

「!!」


韓国広足は涙を流しながら妲己を治癒し、そして失った自分の体力をも回復してくれた。


「感謝する。これでまた戦える!」


蚩尤は、イザナギが一人で戦っていた。

そこに自分は飛び出したのだ!

倒す事は出来ないなら、倒せる方を知っている。

あの方達なら、この化け物を倒せるに違いない!

すみません。面倒な仕事を託してしまい!

これから自分が出来る事は…


「この化け物を元に、元の世界へと返す!」


すると蚩尤がイザナギの槍を弾き返した所に無防備に飛び出した自分は、両手を広げる。


「もし自分にまだ力が残っているなら!再び現れいでよ!」


すると再び自分の中から時空の穴が出現したのだ。

自分に対して拳を振るった蚩尤の拳が時空の穴

に吸い込まれる。そして暴れる蚩尤は自分に向かって腕を伸ばしたのだ。


「!!」


その時だった。


時が一瞬止まったかのように思えた?

何が??

すると蚩尤は自分を見ていたのだ?


「蚩尤?」


だが、蚩尤の姿は別の存在に代わって見えたのだ?


それは子供?


「ようやく僕に気付いたな?フォン!」

「何故、自分の名を?君は誰なんだ?」

「始めましてだな?フォン。いや、弟よ!」

「お、弟?自分がか??」


その子供は言った。


その子供はかつて蚩尤に喰われたらしい。

しかし魂は残り、弱っている蚩尤の意識を封じていたのだと言う。だから自我に問題があったのか?


だが、自分の兄とは?


「僕もまた時を移動出来る能力を持った一族。ノアの一族なんだよ。だからフォン、お前が僕の前に現れた事で力が共鳴して時空移動の力が発動したんだ。だけど、この世界に残る事は僕のけど意志ではないし、元の世界へ戻るつもりだ。僕の意識はもう長くない。フォン、僕はお前に伝えるために現れたんだ。よく聞くんだ?」


「!!」


兄の言葉は半信半疑だったけれど、次第に真実味が伝わり、そして時が動く。


蚩尤は時空の穴に消えて、そこに自分達はそこに取り残されていたのだ。


自分は知った。


この先の未来に待つ絶望を!

次回予告


小角の戦い、その最終話!


その結末は?

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