女子高生が知らない過去の物語?
法子は総本山の前で、過去の苦い思い出を振り返る。
そして、決意を胸に?
私は法子!
私は過去に知った自分自身の運命を乗り越えるために、未来を変えるために強くなろうと決めたの!
そして、私はお父さんさんの紹介で晴明様の下で修行をする事になったの。
こう見えても、お父さんは裏世界では顔が広いみたいで晴明様とも知り合いなんだって?
ちょっと意外だわ…
家では近所のおじさん達を呼んでお酒と麻雀しかしていない駄目な人なのに?
不思議ね?
さてさて、改めて話を戻すわね?
私は五重の塔の入り口に入ってみる。
そこには?
「おぅ?お嬢ちゃん?久しぶりだな?」
そこには坊主頭のお兄さんがいたの。この人の名前は金剛仁王さん!この五重の塔には選ばれし腕の立つ番人がいまして、第一の塔を守護者が雷三さんなのよ?
「それにしても久しぶりだな?何だ?また修行か?だったら俺が見てやろうか?がははは!」
「また今度にしときます」
「そうか?残念残念!がははは!」
この仁王さんは確かに強いの。攻撃方の武術で空手と棒術に秀でているのね?それに魂に神様を二体も宿しているのよ?
さて、私はそんなこんなで五重の塔を上がって行く。因みにもう一度確認のために言うけど、普通の人はこんな簡単に五重の塔には入れないんだからね?
そして他の階を守護する守護者の方々に挨拶をし、私は第四階の塔にいる安倍晴明様に挨拶をしたの。
「お久しぶりです。晴明師匠!暫く挨拶が出来なくて申し訳ありませんでした」
私が晴明師匠に教えを学んだのは三年間なの。
「久しぶりですね?法子。修行は続けていますか?」
「はい!」
晴明師匠は本当に美形です!まるで芸能人かモデル?
いやいや何かもっと新鮮で手が届かないような神々しいのよ?
確かお父さんに歳が近いとか聞いたけど、全然若く見えるわ!
と、脱線してすみません。
私は昨日の件についてお礼をする。
「昨晩はありがとうございました。まさか晴明師匠があんな場所に現れるなんて、びっくりラッキーでした!本当に!でも、どうしてあんな場所にいたのですか?」
「相変わらずのマシンガントークですね?」
「あ、すみません!えっと何から話したら良いのかな?えっと?」
「法子のお父さんに頼まれたのですよ?」
「えっ?お父さんに?何を頼まれたの?お父さんたら何を頼んだのかしら?もしかして晴明師匠に面倒を?だったら、すみませんでした!」
「違いますよ。私は法子の修行を改めて頼まれたのです」
「えっ?修行?私の?」
「そうです。私が直属に法子に実践的な修行を付けます」
私は話の展開に意味が解らないでいたの?
修行?晴明師匠が?
でも、ちょっと待ってよ?
「師匠?お誘いは嬉しいですが、私はそんなに弱くないです!それに実践的な戦いは数多くして来ました!今さら師匠に教わらなくても大丈夫だから!」
すると師匠は言ったの。
「確かに悪霊や下級の魔物程度なら問題ない力はあるでしょう。でも生粋の悪魔を相手にして法子は手も足も出なかったと聞いていますよ?」
「それは…」
それはサキュバスとインキュバスの事を言っているのだと気付いた。
「それに私達が現れなかったら、ヒュプノス神を相手に危なかったのでは?」
「うっ!」
返す言葉がなかった。
「それは!えっと…」
言い訳出来ない。
「法子?良いですね?」
「でも…学校は?」
「休学届けは出して置きました」
「…そんな勝手な?」
でも晴明師匠の目は真剣で、ちょっと抵抗出来ない威圧感があったの。
「それで師匠?いつから始めるのですか?」
「今からです」
「今からですか?そうですか…いっ?今から?」
「はい。それから一人では練習相手にも困ると思って、手伝ってくれる者も呼んでおいたよ」
「へっ?」
そこに部屋に入って来たのは?
「あっ!?」
そこに入って来たのは階段で私に友達拒否をした女の子だったの?
その娘は晴明師匠に頭を下げた後、私にも頭を下げた後に名前を名乗ったの?
「私の名は…」
『赤羽 宮』
※アカバネ ミヤ
私は嫌そうな顔をする。
でも、彼女の実力はヒュプノス神の配下の神を退かせたくらいなのだから、ただ者ではないのは知ってる。それに晴明様の手前、嫌とは…
この状況では言えないわよね~
「私も後で向かう。それまでに彼女から色々教わっておくのだ?」
「は…はい」
私は仕方なく了承し、宮さんに連れられて修行の場所に向かう事になったの。
私と宮さんが五重の塔を出て行った後、晴明師匠のもとに座主様が姿を現したの!その背後には他の塔を守護する三人が仕える。
「法子の事を頼むぞ?晴明」
「はい。彼女の覚醒を早めねばなりませんから」
「うむ」
座主様は晴明師匠の前に座禅を組むと、
「もう少し気を楽にせよ?俺とお前の間柄で気を張らなくても良いぞ?」
「座禅様…」
今より語られるは、かつてこの総本山が滅びた時の話でした。
その日、
この総本山は魔物の軍勢に襲われたの。
晴明師匠もその襲撃に間に合わず全てが終わったかに思えたの。
でも、再び総本山が機能出来たのも、全ては総本山の二本柱であった座主様と巫女であった卑弥呼様が存命であったから。
不幸中の幸い…
だけど、そこには隠さねばならない真実があったの。
話は過去、総本山が襲撃を受けたその日、晴明師匠は遅れて駆けつける。
「まさか!総本山が落ちたと言うのか?有り得ん!」
かつて総本山には四人の守護者がいらしたの。
その実力は晴明様をも上回る実力者達だったんだって!
その守護者が魔物の襲撃になすすべなく敗れ、更に座主様と卑弥呼様にも魔の手が迫っていたの。
「まだ間に合うはずだ!」
晴明師匠は中央にある五重の塔へと急いだの。そこで、晴明師匠は魔物に襲われ瀕死の状態だった守護者の一人を見付けたの。
「九字の印!」
晴明師匠の滅の印が魔物を消し去り、瀕死の状態だった守護者を抱き抱える。
守護者は全身を噛まれ、傷だらけで、しかも片腕と片足が失っていたの…
更に目から出血し義眼だった目が外れていた。
「一体、何があったのですか?貴方程の者がどうして?」
「俺は…何も出来なかった…他の皆はもう…」
唯一生き残った守護者は五重の塔の頂上に指を向けて、
「アイツが今…一人で戦っているんだ!」
涙する守護者に晴明師匠は五重の塔の頂上を見上げた直後!
突然、空間が歪み、有り得ない天変地異が起きたの!
天が割れ、強烈な閃光の柱が五重の塔を包み込み、その光の柱の中に人影が見えた。その人影は、地上にいる晴明師匠と生き残った守護者に気付き言ったの。
「俺は今より時を旅する。もしかしたら二度と帰れぬかもしれぬ…お前達二人に頼みたい!」
その時、光の柱より光に包まれた少女がゆっくりと空から降りて来たの?
晴明師匠は少女を抱き抱え受け止める。
「頼んだぞ…友よ!」
そこで、天へと続く光の柱の消滅とともに、その人影の主もまた消えたの。
総本山崩壊の噂は全世界に広がった。
だって世界を束ねていた組織が一夜にして消えたのだから。
それから一月が経った時、唯一生き残った守護者の前に晴明師匠が顔を出す。
「晴明か?俺は何故生き残ってしまったのだろうな?俺は守護者の中でも半人前だった…俺なんかよりも必要とされる皆が命を落とし、俺だけが…何故…」
嘆く守護者に晴明師匠は言ったの。
「嘆く暇があるなら自らがやるべき務めを果たしなさい!それが唯一生き残った貴方の使命なのだから!」
「俺の使命だと?」
そこで晴明師匠は生き残った守護者に飛んでもない提案をしたの。
「貴方が新たな座主として世界を導くのです!」
「俺が座主だと?馬鹿な事を?俺なんかに務まるはずがない!」
「駄目でもやらねばなりません!貴方しか出来ぬ事なのだから!」
「俺にしか?」
そして晴明師匠は告げる。
「世界から座主を失えば世界は必ず混乱が生じる。そうなれば世界を纏めるのにどれだけかかるのか解らないでしょう。私達には世界を守る事と同じくらいに、やらねばならない事があるのではないですか?」
「!!」
生き残った守護者は気付く。あの日、光の柱に消えた本物の座主様は守護者の親友だった。その座主様が己を顧みずに友に託したのは、座主様の愛娘だったの。
「そうだな…政治や世界の混乱に費やす時間は俺達にはない!」
守護者は晴明師匠が用意した座主の衣を羽織り袖を通すと、
「友が託した希望を俺が必ず守ってみせる!今度こそ必ず!!」
それは己に課した決意と覚悟!
そして誓いだったの。
そして今、晴明師匠の前にいる偽りの座主様は、この総本山の座主としての務めを果たしている。その側近に安倍晴明師匠を従えて、更に奥の院には卑弥呼様と呼ばれる地球の未来を見透す巫女様がおられるの。
座主様は晴明師匠の前で顔を隠すために被っていた深い帽子と仮面を脱ぎ下ろすと、その素顔が見える。
その顔は…
私の育てのお父さんである事は、この時の私はまだ知らない。
そんなこんな。
次回予告
自分の運命を変えるために法子は強くなる必要があった。
そして、新たな事件に挑む事になる。
※今回の物語は、第二部の「神を導きし救世主」をお読みになると繋がります。




