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希望と誓い?輝く瞳と導く背中!?

百眼魔王の術に法子までが捕らわれた。


これで全滅なのか?


私は法子


私達は百眼魔王の魔眼の力によって、脱出不可能のトラウマ世界に捕らわれてしまった。

それは過去の思い出したくない過去を無限ループに味わいながら苦しみ藻掻き、やがて魂が耐えられずに精神崩壊を起こして死に追いやる。


地獄よりも辛い体験が精神を病ませリアルの肉体をも消耗させていく。

この術から逃れるには死への逃避のみ。死ぬよりも辛い地獄が何度も何度も何度も何度も繰り返される。まともな精神の持ち主ほど崩壊は早く訪れる。


孫悟空、八戒、沙悟浄は師との別れ


かつて戦った最凶最悪な大魔王に師を連れ去られた。孫悟空達は決死の覚悟で救いに向かったの。

何度も何度も傷付きながら、ようやくたどり着いた時には、既に師は無惨な姿で息絶えていた。


助けられなかった!

間に合わなかった!

力が足りなかった!!


悔み怒り自分自身を責め続けた。

この繰り返される世界で死にものぐるいで運命を変えようと抗った。けれど過去は同じ結末しか訪れなかった。抗えば抗うほど余計に魂を引き裂く痛みが加算されていく。何度も何度も味わう地獄の迷宮。


徐々に魂が削られていく。


そして私もまた・・・


失われた記憶、お母さんの姿。私は幼少記の衝撃的なショックから過去の記憶を全て失っていたと聞かされていた。自我が戻った時には記憶からお父さんとお母さんの記憶はなかった。火事があったらしく写真も一枚も残ってはいなかった。残ってはいない大切な思い出・・・


私は記憶だけでなく両親も失っていた。


そんな私の閉ざされていた記憶が無理矢理呼び起こされて、目の当たりにされるトラウマ体験。

私は目の前で無惨にお母さんを殺された現場にいたようなの。それが記憶を失った理由?

お母さんの記憶はそんなに残ってはいないけれど、目の前に現れた女性が間違いなくお母さんだって直ぐに分かった。


だって、命がけで化け物がいる中を私を探して来てくれたんだもの。そらに私に向けられた優しくも強く温かい瞳は、私の胸を締め付けた。


「お母さん?」


その一瞬の再開の安堵直後の、衝撃的な体験


目の前でお母さんは化け物の槍に突かれ、生暖かい血が私の顔に降りかかる。


「いゃあああああああ!」


その体験を私にもまた幾度と繰り返し見せられていたの。


「ようやく積年の恨みを成就したぞ!ふふふ、アハハハハハ!」


苦しみ藻掻く私達を見て百眼魔王は勝ち誇っていた。


「これ以上ない生き地獄を与えをながら死ぬが良い!」


百眼魔王は拳を握り、苦しむ孫悟空を見て野心を語り出す?


「全てはお前が私の野望を潰してくれたからだ・・・我が一族の悲願を邪魔したな!」


百眼魔王、眼力魔王は三眼目一族なの。その一族は生まれながらにして特殊な魔眼をもっていたの。

だから、その魔眼の力を手にしようと他の魔物のみならず神族からもレア種として狩られていた。

しかし魔眼の力を持つ三眼目一族は魔眼の能力で撃退していたのだけど、ある日突然、一日にして

滅ぼされたの。眼力魔王はその唯一の生粋の生き残り。


「私は奪われた一族の魔眼を全て集め、邪な愚者に奪われぬように我が身に取り入れて復讐する!

我が一族を滅ぼした天界の一族を皆殺しにするのだ!お前達はその前の前菜に過ぎぬ」


すでに孫悟空、八戒、沙悟浄は虫の息だったの。


残る私も身動きを止めて立ち往生だった。


「立ちながら死したか?この娘だけが不可解な存在であったが、もうどうでも良い!」


百眼魔王は動かない私を見て掌に妖気を籠めて動かない私の眼前に翳すと、


「不快な人間の小娘よ?私をコケにしてくれた償いに私のの前から跡形もなく消えよ!」


妖気で消し飛ばした・・・


「何度も不用意に馬鹿じゃないの!?」


「なぬ?」


百眼魔王は妖気を放つよりも先に手首を掴まれ、地面に叩き付けられる??


「ぐっは!ま、まさか!?」


倒れた百眼魔王は立ったまま動かない私に驚愕していた。


「わ、私の魔眼がかからなかったと言うのか??」


その叫びに私は息を切らしながら力無く答える。


「思いっきり、かかったわよ・・・」


「なら、何故動けるのだ!いや、何故、自我を保っているのだ!?」


「ふふふ、驚かなくても教えてあげるわ」


「!?」


私はうつ伏せ状態で自慢げに伝える。


「それは私が有言実行主義者で、それをあの三馬鹿にも強制したのよ?だったら私が見本に

ならなくてどうするの?こんな性根の腐った術の一つくらい気合いで何とかしてみせたわ!」


気合いで術を解いた?そんな馬鹿な事がと、ありえない顔の百眼魔王はゆっくりと顔を上げる私

を見て、理解したの。


「そ、それは・・・まさか!?そうか、そういう事だったのか!!」


百眼魔王は私の今までの謎の力に納得を覚える。解けないはずの孫悟空にかけた術を馬鹿げた方法で解いた理由。そして、今もまた術から自力で解いた理由。


「それもこれも、お前のその眼のせいかぁー!!」


なびく私の前髪から見える瞳は金色に光り輝いていたの。


「まさか、伝説の始祖の魔眼を持ちし人間とは・・・」


震える百眼魔王は私の光り輝やく瞳を知っていたの。


始祖の魔眼、金色の魔眼、無限の魔眼と呼び名はいろいろあるみたいだけど、

総じて「救世の魔眼」と呼ばれるらしいの。


だけど、魔眼の力だけで術から解けたわけじゃないわ?私は見つけたのよ!


数百、数千と見せられた絶望の悪夢の中から、希望を!


その希望がある限り、私は死ねないし、生きていなきゃいけない!


それって何かって?


死に際のお母様は私の身代わりになって死んだ。それは何故?お母様は私に未来を預けたの。

生きて欲しいと、願ってくれたの。


「だから私は負けられないのよー!!」


私は霊気を高めると金の錫杖を構成して構える。


「だが、強力な魔眼を持っていても所詮は人間!殺せぬ道理はない!」


百眼魔王は私に向かって襲い掛かって来たの。しかし、身動きが止まる?


それは、私の背後から向けられた殺気のため。


「ほら?やれば出来るじゃないの?」


私の背後で胸を押さえながら立ち上がるのは、孫悟空!


いえ、孫悟空だけじゃなく八戒も沙悟浄も百眼魔王の術から自力で破り起き上がったの。


「法子!お前の声、聞こえていたぜ」

「オラもだ!」

「私もですよ!」


三人もまた、絶望な悪夢の中で希望を見つけていたの。


それは、魂に刻まれた誓い!


三人は師との最期に、誓いを刻んだの。


それは、師が守るべきだった者を代わりに守ると!


三人の眼には、私の背中が見えていた。不思議と三人には私の背に、かつての師の背中を

被らせていたの。自分達を導く者の背を!


「馬鹿な!馬鹿な!馬鹿な!馬鹿なぁああああ!」


「馬鹿はお前だ!百眼魔王!」


孫悟空、八戒、沙悟浄は戦闘態勢にはいる。


「くっ、こうなれば!この小娘だけでもー!」


私に飛び掛かる百眼魔王は私を人質にしようとした。


「勘違いするなよ?お前の相手は、この俺様だ!!」



飛び掛かる百眼魔王よりも先に孫悟空が飛び出して、百眼魔王のがんめんをぶん殴り飛ばしたの。

壁に直撃して床に落下した百眼魔王の前には私達が見下ろしていたの。


「観念しなさい?終わりよ!」


「!!」


百眼魔王は私達の大逆転劇にもうなすすべがなかった。


「また、私の夢が閉ざされるのか・・・」


そう覚悟した百眼魔王の妖気が突然たかまっていく?まだ何かするつもりなの?


「往生際わるいわよ!」


「もう私にはお前達を道連れにする事しか残ってはいないよ!この遺跡は私の妖気に同調して

崩れるようにしてある。お前たちは生き埋めになるのだよ。あははははは」


えっ?


まさかの自爆??


百眼魔王の身体が閃光が放たれる。


やばっ!?


止めるに、間に合わないわ!?


私達も一瞬覚悟する。せっかく悪夢から解放されたのにリアルで死ぬの?


私達を信じて先を行かせてくれたフォンさんや百獣王さん、三大仙の皆、ごめん!


けど、


百眼魔王の妖気は急激に収まっていく?


何?何?何が起きたの?


見ると、マントで全身を隠した者が百眼魔王の顔面を掴み妖気を吸収していたの。


「な、何だ?オマエ・・たち・・」


白目を向いて意識を失う百眼魔王。


「これで一仕事終わりですね」


その他にも三人いる?


「何だ?てめぇら!」


孫悟空が威嚇するとリーダー格の者が顔を現したの。


「久しく見ないうちに少しはマシになったか?」


その素顔は金色の髪を靡かせた美しい顔の人?


その素顔を見た孫悟空達は硬直し緊張して動けなくなっていたの。


「この百眼魔王は貰っていく。邪魔はしないよな?孫悟空」


「くっ」


何?孫悟空の知り合いなの?何者?


だけど、私のも分かる。この人を相手にしてはダメだって・・・


もし万全の状態でも、勝てない相手だわ?


私は代表して言葉を発する。


「その百眼魔王をどうするつもり?まさか仲間なの?」


「心配するな。仲間ではない。この者には使い道があるだけ、お前達に害は与えはせん。

それに面白いモノを見せてくれたお前に免じてこのまま身を引こう。どうしたい?」


「そうね。だったら二度と悪さしないようにしてよね?」


「ふふふ」


すると、突然周りの空間が歪みだして元に戻ると、謎の侵入者達は百眼魔王を連れ去り

消えていたの。


取り残された私達は、


「何者だったの?」


孫悟空は私に答えたの。


「あいつは金禅子。百眼魔王なんかよりもヤバい奴だよ!」


「まだ身震いしてるらよ。沙悟浄なんて腰抜かしてるらよ」


「あわわ~」



とにかく、えっと、うん。


「ここで茫然としていても仕方ないから帰ろうか?」


私達は沢山いろいろあったけど、この一件を無事に解決したのでした。



おっと!


危なく忘れる所だったわ!


「沙悟浄?フォンさん達をお願い」


「あっ、はい!」


沙悟浄は部屋の中からフォンさん達を石化していた水晶を見つけて割ると、扉の外から

フォンさん達の声が聞こえて来たの。


そして遺跡から出た私達を出迎えたのは、妖怪の残党を相手に戦って勝利した各国の人間の

軍隊の歓声だったの。


「あはは・・・」


とりあえず一件落着ね?



そんなこんな。




















次回予告


次話より時空を超えた番外編が始まります。


小角伝!

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