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因縁の眼!


黒幕の正体は過去の大戦で孫悟空と因縁のある眼力魔王であった。


名を百眼魔王と改め、法子達の前に現れる。


かつて、美猴王と呼ばれる妖魔王がいた。


美猴王は他に手練れの魔王を義兄弟として手を組み、地上界制覇を始めたのだ。

その時代、地上界を支配していたのは魔王の称号を持った七十二の強者達。その中でも最上位に十人の大魔王がいた。


その十人の大魔王の一人が眼力魔王なのだ。


眼力魔王は三目眼一族の生き残りで、強力な能力を持った魔眼を持っていた。


美猴王率いる義兄弟達は眼力魔王の能力に苦戦した。眼力魔王の魔眼は自らを強化するだけでなく、相手の思考を読み、精神支配を得意としたのだ。


激戦の中で美猴王は眼力魔王の魔眼を潰し、勝利した。敗れた眼力魔王は呪いと復讐の言葉を最期に自らの塔から飛び降りて自害したのである。


だが、眼力魔王は生きていたのだ!


美猴王率いる義兄弟の魔王達に復讐を誓いながら生き残った眼力魔王は魔眼を失い、力無い下等妖怪にまで落ちた。それが美猴王達に生存を知られなかった理由でもある。


地上界を流浪の先に眼力魔王は再起するための手段を探していたのだ。いや?既にあてがあった。盲目の状態で地上界をさ迷い続けながら、ある医術に長けた妖怪を探していた。そもそも再生能力のある妖怪に医術等必要はないが、再起する目的のために必要な存在だった。


「お前が噂に聞いた妖怪には珍しい医術に長けた蝎子精か?」


目を失った眼力魔王は五感を働かせて相手が女である事は分かった。


「お前が元魔眼使いの男だな?私もお前には用があった」


二人は自身の目的のためにお互いの能力が必要だったのだ。


「約束は守って貰うわよ?裏切れば私がお前を始末する。良いね?」


「疑るな?私は目的さえ達成出来ればお前に興味はない。それはお前とて同じであろう?」


「なら、交渉成立ね」


蝎子精と呼ばれる医術妖怪は手にした瓶の中からある者を取り出す。その中身は目玉だった。蝎子精は手にした目玉を眼力魔王に移植を始めたのだ。ただ目玉を手に入れるなら再生能力を持つ眼力魔王なら他者から目玉を奪い、目玉を取り入れれば容易く手に入る。しかし、この目玉はただの目玉ではなく魔眼!その移植には繊細な技術が必要なのである。しかも、その能力を最大限にまで使えるように移植するために。


「終わったよ」


手術を終えた蝎子精は後片付けしながら眠っている眼力魔王を起こした。


「うむ」


眼力魔王は起き上がり巻かれた包帯を外して瞼を開くと、三百年ぶりに光が視界に入って来たのだ。同時に全身に妖気が戻って来るのを実感した。


「私は仕事したわ?今度は貴方に仕事をして貰うわよ?」


蝎子精は威圧的に眼力魔王に命じると、眼力魔王もまた答える。


「安心しろ?約束は守る。それに新しい魔眼の力を試すには丁度良いしな」


眼力魔王は魔眼の力を発動させると、大陸中の様子を魔眼で見て回る。蝎子精が眼力魔王に頼んでいるのは空中要塞だった。


「ふむ。空中要塞は大陸中に八つはあるが…一つは鵬魔王だな?それに…」


探しているのは妖気探知でも探す事が出来ない空中要塞であり、その主は眼力魔王と同じく最上位の十魔王の一人だった玉面魔王の空中要塞であった。


「だが、お前の魔眼なら探せるはずだぞ?その為にお前にその魔眼をくれてやったんだ。私が調べた上で地上界唯一最高の魔眼適応力のあるお前にな?」


「期待にはこたえてやろう。それに私の目的を達する上で、出来ないのであれば力を手に入れた意味がないのでな!」


更に魔眼の力をアップさせた時、強力な結界により隠されていた天空城を遠く離れた北の地で見付けたのだ。城の内部にまで探り、間違いなくその主は玉面魔王に間違いなかった。



「ふふふ。有難う。これで私の目的も果たせるわ」


蝎子精の殺意が目的の天空城に向けられた。眼力魔王も気付いていた。この蝎子精の実力が大魔王級であり、もし魔眼を手に入れた後に約束を破っていたら手に、負えないと。


「礼を言う。あの天空城は簡単には探す事が出来ない。お前の魔眼無くしてはな?」


「お互い様だ」


蝎子精と玉面魔王の因縁がどんなものか知らないが、これ以上興味はなかった。眼力魔王は約束を果たした事で蝎子精と別れた。


魔眼を手に入れて復活を遂げた眼力魔王は、今度は地上地下に向けて魔眼を発動させていた。


「最後は西の方角のようだな…んっ!!」


東南北中央の地を探し回り、最後に西の地を見回して見付けたのは謎の地下遺跡であった。


「漸く見付けたぞ…天界の神共の禁忌の遺産を!」


だが、その遺跡には既に妖怪皇帝と名乗る大妖怪が陣取っていた。その力はかつての大妖怪であった眼力魔王を凌ぎ、手出しが出来ないでいた。


だが、転機が起きた。妖怪皇帝が美猴王の義兄弟であった牛角魔王によって倒されたのだ。


そしてもぬけの殻となった遺跡に眼力魔王は難なく入り込む。


「ふふふ。妖怪皇帝は遺跡の全てを理解する事は出来なかったようだな。さしずめ妖怪皇帝はまだ地下遺跡の最下層への道を知らなかったと見える。しかし私ならこの遺跡を誰よりも上手く使いこなせる自身がある。上手くな!」



眼力魔王は地下遺跡に入ると魔眼の能力を使い遺跡に刻まれた文字より数々の知識を得ていく。文字を理解するのではなく魔眼を使い映像として学んでいた。


「私が手に入れるのは、先ずはコレだ!」


眼力魔王は遺跡にあった複製の装置を起動させたのだ。遺跡から光線が眼力魔王の魔眼を貫くと、眼力魔王は悲鳴をあげた。


「ウギャアアアア!」


光が眼力魔王から飛び出す?無数の光の玉が散らばりながら宙に浮く?その光の玉の正体は何?


「見開け!!」


眼力魔王の合図に光の玉が見開く。それは眼?百個の目玉が宙に浮いていた。


「今、私の力は格段に上がった…新たに手に入れた百個の魔眼!私はこの力で再び憎き美猴王達に復讐を果たそう」


そして名を百眼魔王と改名したのだ。


だが、その復讐するべき美猴王は先の戦争で戦死した事を知る。復讐する者がいない?いや、美猴王は三百年の月日を経て孫悟空と名乗り転生した事を知る。


「この世界、情報が全てだ。情報を先取りし活用する事が世界を握る最前の手段なのだ」


そこで百眼魔王は三百年の月日で起きた情報を全て把握し、世界中に散らばった妖魔王の居場所だけでなく新世代の力のある妖怪の存在を探った。


「現在の地上界には三百年の間で妖力が百万力を越える者は百も満たないようだな?かつての戦場では一万以上はいたのだがな…」


それは天界支配による妖怪討伐が昔よりも厳しくなった証拠であり、妖怪達にとっても住みにくい世の中になった事を意味していた。


「皮肉だな?美猴王が語る天界支配は夢物語かと思っていたが…この遺跡の力があれば、それも現実に叶うだろう」


眼力魔王が最初に始めたのは強力な手足となる者達を造り出す事であった。


孫悟空に恨みを持つ鵬魔王の副将軍だった妖怪を遺跡に呼び寄せる。その妖怪自体には強さこそ並の上級であったが、孫悟空への憎悪、鵬魔一族であった事で再生力にも耐性に強く、更に遺跡の力で鵬獄魔王の肉体を再生させて強引に融合させたのだ。


そして過去の大戦で目覚めた妖恐のうち、唯一目覚めなかった化け物を再び呼び起こす。


更に西の地を統べていた獅駝王から毛を一本抜いて培養し複製を造ったのだ。


これで自分の手足となる新世代の三体の大魔王を生み出し、手始めに獅駝王を狙ったのである。


その事で獅駝王を幽閉して妖気を奪う装置に拘束したのだ。更に西の地に力を持つ妖怪を呼び寄せては拘束し、三魔王の不死と再生のための養分とした。


段取りは出来た。


だが、百眼魔王は用心深かった。孫悟空が鵬魔王と戦う時からずっと観察していたのだ。今度こそ確実に狩るために!


だが、そこで孫悟空とつるむ新たな仲間の存在を知る。

人間の高僧と豚の妖怪に、河童の妖怪だった。


しかし高僧は鵬魔王との戦いの中で戦死し、孫悟空は天界から現れたナタクと呼ばれる討伐隊に負五行山へと封じ込められたのだ。


「だが問題はない。美猴王…いや、孫悟空は再び私の前に現れるだろう!それまで待つとしよう」


それから六年の月日が流れた。三百年もの間放浪していた百眼魔王にとっては短い歳月と言えよう。


その間に眼力魔王は地上界最高の大魔王へと成り上がっていた。いや、造り上げた三魔王を表向きの支配者に置いての黒幕として!


遺跡の力のために天界からの討伐隊も近寄る事すら出来ないでいた。


何人も近寄れない要塞に、守護する不死の三魔王、更に自らも新たな魔眼を手に入れた百眼魔王にはその名の如く死角はなかった。


後は待てば良い。


必ず自ら自分の元へとやって来るはずだと。



「さぁ…永き因縁に終止符をつけようぞ!」




次回予告


百眼魔王を相手に法子一行が最終決戦を挑む!


百眼魔王の実力は?

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